日本のわらべうた一覧と年齢別の保育活用法

日本のわらべうた一覧と保育での使い方まとめ

「正しく歌えないと子どもに失礼」と思って遠慮していると、子どもとの愛着形成の機会を1日単位で失い続けています。

📋 この記事の3つのポイント
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年齢別わらべうた一覧を網羅

0歳〜5歳まで、年齢の発達段階に合わせたおすすめわらべうたを一覧で紹介。保育の現場ですぐ活用できます。

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発達への効果を専門家視点で解説

触覚・運動感覚・平衡感覚など、子どもの発達の土台となる4つの感覚を育む理由を、保育学・心理学的視点で掘り下げます。

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保育士が陥りがちな落とし穴も紹介

「完璧に歌わなければ」という思い込みがもたらすデメリット、地域差への対応、日常への取り入れ方まで網羅します。

日本のわらべうたとは何か:童謡との違いを保育士が正しく理解する

 

わらべうたとは、日本で古くから子どもたちの遊びや日常生活のなかで自然に生まれ、口から口へと伝承されてきた歌のことです。「童(わらべ)」とは子どもを指す言葉であり、その名のとおり子ども発信の民族音楽といえます。

保育の現場では「わらべうた」と「童謡」を同じものとして扱いがちですが、この2つは明確に異なります。童謡は大人が子ども向けに作詞・作曲したもので、作者が存在します。一方、わらべうたは特定の作者を持たず、地域の子どもたちがかたちづくった集合知です。楽譜から生まれたものではありません。

わらべうたの大きな特徴は、その音域の狭さにあります。子どもが自然に出せる音域だけで構成されているため、楽器なしでも、音楽が得意でない保育士でも歌いやすいのです。つまり、歌が苦手だからといってわらべうたを避ける理由はありません。

もう一つの特徴として、地域ごとに歌詞やメロディが微妙に異なる点があります。たとえば「はないちもんめ」は地域によって歌詞の内容がかなり変わりますし、「あんたがたどこさ」の発祥地さえ、熊本説と川越・東京説で今も議論が続いています。これはわらべうたが「正解のない、自由に楽しむもの」であることを物語っています。

正しいわらべうたにこだわることにあまり意味はありません。地域差や個性を楽しみながら歌えることが、わらべうたの本質です。

名古屋短期大学保育科の山下直樹教授(公認心理師・臨床心理士)は、「音も歌詞も自由に楽しんでOKなのがわらべうたの魅力」と述べており、完璧に歌おうとするより、子どもと触れ合いながら自由に楽しむことを強調しています。

参考:わらべうたが子どもの発達を左右するという専門家インタビュー(マイナビ保育士)

「わらべうた」が子どもの発達を左右する!?保育学・心理学的視点からみた伝承遊びの効果 – マイナビ保育士

日本のわらべうた一覧:年齢別おすすめと遊び方ガイド

わらべうたは年齢によって、適した曲の難易度や動きの複雑さが異なります。子どもの発達段階に合わせた選曲が、保育の質を大きく左右します。以下に、年齢別のおすすめわらべうた一覧をまとめました。

🍼 0歳児向けわらべうた(ねんね〜ハイハイ期)

曲名 主な遊び方
いっぽんばしこちょこちょ 手のひらをくすぐる触れ合い遊び
ぼうずぼうず 頭をなでながらのスキンシップ
いちりにり 足首→膝→付け根の順にタッチ
かたどんひじどん 肩から小指まで順番にふれる
おふねがぎっちらこ 向かい合って前後に揺れる
うえからしたから 体全体への触れ合い
あがりめさがりめ 目を上下に引っ張る可愛い遊び
ちょちちょちあわわ 手を合わせてリズム遊び

0歳児のポイントは「触れること」そのものです。特に1〜2歳の子どもは、わらべうたを歌いながら身体に触れられると脳がリラックスし、安心状態になると報告されています。これはスキンシップによるオキシトシンの分泌と関係しており、愛着形成の土台になります。

🐣 1〜2歳児向けわらべうた(たっち〜あんよ期)

曲名 主な遊び方
むすんでひらいて 手指を開いたり閉じたりするリズム遊び
ぎっこんばったん 向かい合って前後に揺れる
げんこつやまのたぬきさん 拳を使ったリズム動作
だるまさん 体をゆらゆら揺らすふれあい
おちゃをのみに お茶を飲む仕草を真似する
いちごにんじん 数の概念が入った数え歌
あめこんこん 雨の様子を体で表現
うまはとしとし 膝に乗せて上下に揺する

この時期の子どもは真似が得意です。ゆっくりと丁寧に動きを見せてあげるだけで、驚くほど素早く覚えます。特に「いちごにんじん」は数を繰り返すことで、1、2、3の概念を感覚的に身につける効果があります。

🐥 3歳児向けわらべうた(友達遊びが始まる時期)

曲名 主な遊び方
かごめかごめ 目隠しした鬼が後ろの人を当てる
あぶくたった 順を追って展開するごっこ遊び
ひらいたひらいた 花の開閉を体で表現
とおりゃんせ 2人のアーチをくぐる遊び
もぐらどんの 暗闇のモグラを想像する遊び
おさらにたまごに 指遊びとリズム

3歳になると友達との関わりが生まれます。「かごめかごめ」や「とおりゃんせ」など、複数人で楽しむ曲を取り入れましょう。広いスペースを確保してから行うのが鉄則です。

🐤 4〜5歳児向けわらべうた(集団遊び・協力する時期)

曲名 主な遊び方
なべなべそこぬけ 手をつないで体を回転させる
はないちもんめ 2チームに分かれた交渉遊び
あんたがたどこさ ボールを使ったリズム遊び
だるまさんがころんだ 鬼が振り返った瞬間に止まる
ずいずいずっころばし 順番に指を移していく遊び
おしくらまんじゅう 背中合わせで押し合い
ゆうびんやさん なわとびと組み合わせる
ちゃちゃつぼ 両手を交互に動かすリズム遊び

5歳児は集団でのルールある遊びを楽しめます。「はないちもんめ」はチームで相談しながら進める社会性の訓練にもなります。なわとびと「ゆうびんやさん」を組み合わせると、発表会の出し物としても映えます。

参考:わらべうたを年齢別に詳しく解説している記事(ほいく探しコラム)

【保育園】わらべうたを取り入れよう!ねらいや年齢別のおすすめを紹介 – ほいく探し

日本のわらべうたが子どもの発達に与える4つの効果

わらべうたが「なんとなく良さそう」という感覚だけで語られることは多いですが、保育学・心理学の観点から見ると、その効果は非常に具体的です。

名古屋短期大学の山下直樹教授は、シュタイナー教育の「12の感覚」という概念をもとに、わらべうたが特に子どもの発達の土台となる4つの感覚を育てると説明しています。

① 触覚を育む効果は、抱っこやくすぐりを伴うわらべうたによってもたらされます。「いっぽんばしこちょこちょ」のように、歌に合わせて肌に触れることで、子どもは大人への安心感・信頼感を育てます。これが愛着形成の核になります。

② 生命感覚については、わらべうたの歌遊びが生活のリズムをつくる効果があります。入眠前の子守歌や、目覚めを促す歌は、自律神経を整える働きをすると考えられています。生活習慣の乱れが課題になりやすい現代の子どもにとって、これは見逃せないポイントです。

③ 運動感覚は、体を使ったわらべうたを通じて育ちます。自分の体の大きさや動かし方を理解することで、筋肉や関節をコントロールする力が自然に身につきます。手を使う遊びは特に脳の発達と直結しており、「指先の運動が脳へ直結する」という保育士の実感的知見とも一致します。

④ 平衡感覚は、膝の上で揺する「うまはとしとし」などの遊びで刺激されます。回転や上下の動きを通じて、自分と外部空間の関係を感覚的に学びます。これは体幹の発達にもつながります。

また、東北文化学園大学などの研究では、わらべうたが言語能力・社会性・自立心・人間関係能力を伸ばす可能性についても言及されています。同じリズムを繰り返すことで思考力が育まれ、数の概念を感覚的に習得できるのも重要な側面です。

これだけ効果があるということですね。そして、この効果は「音楽として正確に歌うこと」より「体で触れながら一緒に歌うこと」によって生まれます。保育士が音程に自信がなくても、触れ合いを通じた効果は十分に発揮されます。

参考:発達支援の視点からわらべうたの効果を論じた学術資料(洗足学園音楽大学)

保育にわらべ歌を用いる保育士の認識について(PDF) – 洗足学園音楽大学リポジトリ

日本のわらべうたを保育で活かす実践的な取り入れ方

わらべうたを保育に取り入れたいと思っても、「どのタイミングで使えばいいのか」「設定保育のときだけ?」と迷う保育士も多いでしょう。実は、わらべうたは設定保育よりも日常の隙間時間で輝く遊びです。

朝の会での活用は最も取り入れやすい方法です。季節の歌と合わせて1曲わらべうたを加えると、自然とリズム感や語彙力を養えます。「いちごにんじん」「いちべいさんとごんべいさん」のような数え歌は、数の概念を朝から刺激できるため特におすすめです。曲を月ごとに変えると、年間を通じてレパートリーが広がります。

自由遊びのさりげない触れ合いとしての使い方も重要です。出してある遊びに興味を示さず保育士に甘えてくる子どもは、身体的な触れ合いを求めているサインです。そういった場面で「いっぽんばしこちょこちょ」「おすわりやす」などをさりげなく始めると、子どもの情緒が落ち着きます。山下教授は「大勢で一斉に歌うより、1〜3人と少人数でじっくり触れ合うほうが子どもの発達に良い影響を与える」と述べています。少人数でのふれあいが基本です。

設定保育での活用では、活動の導入として使う方法が効果的です。「おてらのおしょうさん」などの模倣遊びを挟むことで、次の活動への集中力がスムーズに高まります。

参観日や発表会の出し物としても使えます。「あんたがたどこさ」と組み合わせたボール遊び、「ずいずいずっころばし」の親子ゲームなど、保護者世代もなじみがあるわらべうたは場を和ませる効果があります。保護者の多くが子どもの頃に体験しているため、一緒に楽しんでもらいやすいという利点があります。

また、保育園で取り入れているわらべうたは、おたよりやアプリなどで保護者に共有しておくことも大切です。地域や世代によって歌詞が微妙に違うことを事前に伝えておくと、家庭での混乱を防げます。これは細かいようで、保護者との信頼関係を守る重要な配慮です。

保育にわらべうたを使うタイミングは、特別な場面だけに限りません。日常のちょっとした隙間に口ずさむだけで、子どもたちは自然と反応します。道具が必要なく、いつでもどこでもできることが、わらべうたの最大の強みです。

日本のわらべうたを選ぶ際に保育士が知っておくべき地域差と著作権の話

わらべうたを保育で使う前に、意外と見落とされがちな2つの知識があります。「地域による歌詞の違い」と「著作権」です。

地域差については、前述のとおりわらべうたは口伝えで広がったため、同じ曲でも地域によってメロディや歌詞が異なります。たとえば「あんたがたどこさ」の発祥地は熊本と長らく信じられてきましたが、学術的な研究では川越・東京地方の可能性が高いとされています。また「はないちもんめ」も、研究者によって地域の違いが詳しく分類されています。

この地域差は、保護者との間でちょっとしたトラブルのもとになることがあります。子どもが覚えた歌詞を家で歌ったとき、保護者の記憶と異なると「違うよ」と訂正してしまう場面です。事前に「地域によって歌詞が異なります」と一言伝えておくだけで、こうした混乱は防げます。

著作権については、伝統的なわらべうたの多くはパブリックドメイン(著作権消滅)になっており、自由に使えます。著作権の保護期間は作者の没後70年であるため、何百年も前から伝わるわらべうたには基本的に著作権は存在しません。保育の現場で自由に歌っても問題ありません。

ただし、注意が必要なのは「新しく作られた手遊び歌」です。YouTubeなどで広まっている創作手遊び歌には著作権が存在するものがあり、動画で保護者に配信したり、発表会で上演したりする際には確認が必要です。保育用の歌をSNSや動画で公開する際は、パブリックドメインのわらべうたかどうかを確認する習慣を持ちましょう。

著作権を確認する際は、文化庁の「日本の歌百選」リストや、JASRAC(日本音楽著作権協会)の検索サービスを使うのが確実です。わらべうたの多くは著作権フリーなので、過度に心配する必要はありませんが、現代の手遊び歌との区別だけは意識するようにしましょう。

つまり、「古くから伝わるわらべうた=パブリックドメイン」「最近つくられた手遊び歌=要確認」が原則です。この区別を知っておくだけで、著作権トラブルを回避できます。

参考:わらべうたとその著作権に関する考え方(ブログ)

わらべうた|著作権が切れた歌の普及活動(アメブロ)

日本のうた101: プラス6曲