日本保育学会 第79回大会を保育士が活かす全ガイド

日本保育学会 第79回大会で保育士が知っておくべき全情報

大会に参加しなくても、発表論文集だけ読めば十分だと思っていると、9,000円の参加費が丸ごと損になります。

📋 日本保育学会 第79回大会 3ポイント要約
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開催日時・会場

2026年5月16日(土)・17日(日)、東京大学主管によるオンライン開催(Zoom使用)。大会テーマは「あらゆる学問は保育につながる」。

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参加費・登録

早期参加登録(〜2026年2月28日):会員9,000円、直前参加登録(2026年3月25日〜):会員10,000円、非会員10,000円、地域一般・大学生5,000円。

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発表・シンポジウム

口頭発表15分(発表12分+質疑3分)、ポスター発表、自主シンポジウム90分枠で実施。論文原稿登録締切は2026年2月26日(木)。

日本保育学会 第79回大会の開催概要と大会テーマの意味

 

日本保育学会 第79回大会は、2026年5月16日(土)・17日(日)の2日間、東京大学が担当校となりオンラインで開催されます。今回の大会を主導するのは、東京大学大学院教育学研究科附属の「発達保育実践政策学センター(CEDEP)」です。このセンターは2015年に設立され、保育・幼児教育に関する最先端の研究を推進してきた機関です。

大会テーマは「あらゆる学問は保育につながる」。このフレーズは、2016年に東京大学出版会から発刊された同名の書籍にそのまま由来しています。

もともと「さすがに大げさでは?」と思っていた実行委員長・遠藤利彦氏自身も、様々な学問分野の専門家と対話を重ねる中で、このスローガンが「決して盛り過ぎではない」と確信したとのことです。つまり、脳科学・経済学・建築学・法学・音楽学など、一見保育と無縁に見える学問でも、子どもの発達や保育環境の構築に深く関わることができるという信念がこのテーマの核心にあります。

これは大きな意味を持ちます。つまり保育士として現場で日々感じていた「なぜ?」という疑問が、実は様々な学問的アプローチから答えを得られるかもしれないということです。

大会プログラム(予定)の全体像は以下のとおりです。

プログラム 内容
🎓 大会記念 基調講演 「あらゆる学問は保育につながる・あらゆる学問を保育につなげる」(仮題)
🗣️ 学会企画シンポジウム 学会全体として企画するシンポジウム
🌏 国際シンポジウム 国際交流委員会・OMEP日本委員会との共催
🔬 実行委員会企画シンポジウム CEDEPが中心となる特別企画
💬 自主シンポジウム 各団体・研究者による90分枠での自由討論
📢 口頭発表 15分(発表12分+質疑3分)+全体討議20分
📌 ポスター発表 事前投稿ポスターによるオンライン展示・コメント交流

日本保育学会は、会員数が約5,000人という教育学・心理学・福祉学分野のなかでも大規模な学会です。保育実践者と研究者の両方が在籍しており、現場保育士にとっても決して「研究者だけの場」ではありません。

参考:日本保育学会 公式Webサイト(学会概要・大会案内)

大会案内 | 日本保育学会 公式Webサイト
第79回大会(東京大学) 今後の大会予定 過去の大会 発表要旨集・論文集 大会研究発表に関する規程

日本保育学会 第79回大会の参加費と登録方法を正確に確認しよう

第79回大会への参加にあたって、まず費用と締め切りをしっかり把握することが重要です。見逃すと金銭的なロスに直結するので注意が必要です。

参加費の種別は以下のとおりです。

区分 早期参加登録 直前参加登録
会員(発表者・参加のみ共通) 9,000円 10,000円
発表登録費(筆頭のみ) +3,000円
自主シンポジウム開催登録費 30,000円
非会員大会参加費 10,000円
地域一般・大学生 5,000円

ここで注意したいのが「早期参加登録の条件」です。早期参加登録(〜2026年2月28日)の対象は、2025年度の年会費を2025年9月30日(火)までに納入した会員に限定されています。10月1日以降に年会費を払っていた場合は、「会員」でありながら早期参加登録の画面で「非会員」と表示され、アクセスできません。意外と見落としがちなポイントです。

この場合は、2026年3月25日(水)〜開始予定の「直前参加登録」を利用することになります。直前参加登録は大会参加のみの登録となり、発表申込みは対象外です。

一旦納入した参加費は原則返金されません。返金が認められるのは、申込件数超過で自主シンポジウムが開催不可になった場合のみです。申込前に予定を確実に確保しておくことが大切です。

また、発表論文集(アクセス権)は参加費に含まれています。ただし、論文集はダウンロード形式のみで、CD-ROMの発行はありません。この点も事前に把握しておきましょう。

早期参加登録の詳細はこちらから確認できます。

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日本保育学会 第79回大会で採択された研究発表の傾向と注目テーマ

第79回大会では、すでに研究発表の採択演題一覧が公開されています。現場保育士の視点から見ると、実に多彩なテーマが並んでいて興味深いです。採択された演題からいくつか傾向を整理してみましょう。

まず目立つのは、保育者のウェルビーイング・労働環境に関する研究です。「保育者はなぜ腰痛になるのか(1)業務中の姿勢観察から推定する腰痛リスク」「保育者はなぜ腰痛になるのか(2)保育中の保育者の意識について」という演題が採択されています。保育士の腰痛は全国的な職業病と言われており、東京消防庁のデータでも保育士の労働災害発生率の高さが示されています。「対策は?」とすぐ飛びつきたくなるところですが、まずこの研究発表での分析結果が、腰への負担軽減に向けた具体的ヒントを与えてくれそうです。

次に注目したいのはICT・AIと保育の領域です。「保育現場におけるICT導入と保育者のICTリテラシーとの関連」「保育者の生成AI利用とメタAIリテラシーとの関係」という演題が揃っています。2026年現在、保育現場でのICT活用はもはや避けられないテーマです。

また子どもの権利・インクルーシブ保育に関する発表も複数採択されています。「こどもの意見表明を支える保育者のケア倫理」「インクルーシブな保育実践におけるICF-CYの活用⑯」などが見られます。障害のある子どもへの対応や、多様なニーズへの支援に悩む保育士にとって実践的な知見が得られるでしょう。

さらに、「子どもの誰でも通園制度」をテーマにした発表もあります。2025年度から本格スタートしたこの制度について、現場ではどう対応すればよいか、最新の研究からヒントが得られるかもしれません。

注目演題の分野まとめ。

  • 💼 保育者のウェルビーイング・労働環境(腰痛・離職・専門性)
  • 📱 ICT・生成AI利用(デジタル化と保育者スキル)
  • 🌈 インクルーシブ保育・障害児支援
  • 🤝 幼保小接続・子育て支援
  • 🌍 海外の保育実践との比較・国際動向
  • 👩‍👧 保護者支援・父親の育児参加

採択演題一覧の詳細はこちらから確認できます。

https://pub-files.atlas.jp/public/hoiku79/pdf/hoiku79_oralposter_1120_ja_20251120160002779.pdf

日本保育学会 第79回大会のオンライン参加で保育士が最大限活用するコツ

第79回大会は完全オンライン開催です。つまり、北海道から沖縄まで、どこにいても参加できます。移動費・宿泊費がかからないことを考えると、9,000円という参加費は実はかなりコストパフォーマンスが高いと言えるでしょう。

ただし、オンライン開催ならではの活用法を知っておかないと、「画面を眺えただけで終わった」という残念な結果になりがちです。ここが重要です。

まず、口頭発表への参加方法について確認しておきましょう。口頭発表はZoomを使用して進められます。1発表あたり15分(発表12分+質疑3分)で、その後20分の全体討議が行われます。自分の関心テーマに近い発表のセッションに入室し、積極的に質疑応答に参加することで、研究者との直接交流が生まれます。

次に、ポスター発表の活用法です。ポスター発表は、筆頭発表者が在席時間中にZoomのコメント欄を通じてやり取りを行う形式で実施されます。口頭発表と比べてより対話的なやり取りがしやすいので、具体的な実践的疑問を持っている保育士にとって使いやすい形式です。事前投稿ポスターは大会当日より前から公開されているため、2026年3月下旬以降には確認できるようになる予定です。

自主シンポジウムへの参加も見逃せません。1コマ90分、自由討論形式で行われるシンポジウムは、現場保育士の実践事例が共有されることも多く、明日の保育に活かせる知恵が詰まっています。

オンライン参加を最大限に活かすための準備チェックリスト。

  • ✅ Zoomを最新バージョンに更新しておく
  • ✅ 事前投稿ポスターを大会前に確認し、関心テーマをメモしておく
  • ✅ プログラム冊子を事前にダウンロードして参加セッションを選定
  • ✅ 質疑で聞きたい質問を事前に考えておく
  • ✅ 参加費の領収書は大会終了後1か月以内にダウンロード(期限あり⚠️)

特に最後の領収書については、大会終了後1か月以内にシステムからダウンロードしないと取得できなくなります。職場の研修費申請や確定申告に必要な場合は必ずダウンロード期限を忘れずメモしておいてください。

参考:大会FAQ(よくある質問)

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日本保育学会 第79回大会が現場保育士の専門性に与える独自の影響

多くの保育士が「学会は研究者のもの」と感じているのではないでしょうか。これは現場保育士が学会から遠ざかってしまう最も大きな誤解です。

実際には、第79回大会の採択演題を見ると、保育士資格を持つ現場実践者や保育園・認定こども園の施設長が筆頭発表者として名を連ねているケースも少なくありません。つまり学会は、大学教員や大学院生だけの場ではないということです。

では、現場保育士が学会に参加することで何が変わるのか、具体的なメリットを整理してみましょう。

① 現場の「感覚」に学術的な根拠がつく

保育士として日々「この関わり方がいいと思う」と感じていることは多いはずです。しかし、それを保護者に説明したり、園内研修で共有したりするとき「なんとなく」では説得力が弱いことがあります。学会の発表は、そうした現場の感覚を裏付ける数字・データ・理論を提供してくれます。エビデンスが手に入るということです。

② 全国の「同じ悩みを持つ保育者」とつながれる

第78回大会では、全国から研究者・実践者が集まり、濃密な交流が行われたという参加レポートが複数の保育施設から公開されています。オンライン開催でもコメント欄やZoomの交流機能を通じて、普段会えない全国の保育士と知見を共有できます。

③ 「保育を語れる保育士」になれる

遠藤実行委員長のご挨拶にもあるとおり、現在の日本では保育者不足と保育志願者の減少が深刻化しています。こうした状況下で、「保育・幼児教育の豊かな魅力を、揺るぎない自信をもって語れるようになること」が現場保育士にも求められているのです。学会への参加は、その「語る力」を育てる場でもあります。

独自視点として強調したいのは、保育士が「消費者」から「発信者」になれるという点です。参加するだけでなく、自分の保育実践をポスター発表や自主シンポジウムで発表することも可能です(非会員の登壇も条件付きで可)。一保育士が「実践者発表者」として全国に発信するチャンスが、この学会には開かれています。年会費は2026年度から一般会員9,000円に改定されていますが、入会金1,000円+年会費9,000円の合計10,000円で、年間を通じた学術誌『保育学研究』の閲覧権や学会大会への参加が視野に入ります。

参加を迷っている保育士は、まず2026年3月25日(水)から始まる「直前参加登録」のタイミングで、非会員として参加することも選択肢の一つです。直前参加登録の参加費は10,000円(大会発表論文集アクセス権付き)。論文集だけ読みたいと考えるなら、大会に参加することで最新研究の全文にアクセスできますので、はるかに情報量が増えます。

参考:日本保育学会 入会案内(年会費・入会資格)

入会方法 | 日本保育学会 公式Webサイト
※入会手続き完了までには、不備の無い場合で1か月程度かかります。  2026年1月以降のお申込みは、2026年度新入会(2026年3月1日~)とし、手続きをいたします。 ■入会資格 以下の(1)~(4)のうちいずれかに該当する方 (1)大学

参考:東京大学CEDEPによる「あらゆる学問は保育につながる」の解説

https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/fsi008.html

保育学講座5 保育を支えるネットワーク: 支援と連携