ニコニコする保育園の表情あそび
ニコニコする表情あそびのねらいと保育
表情あそびの中心は、「笑う顔を作らせる」ことではなく、「表情は気持ちを伝える道具だ」と子どもが体験としてわかっていくことです。表情は“コミュニケーションツールの一つ”で、子どもは自分の表情を知り、意味を考える経験を通して、相手の表情から感情を読み取る力につながるとされています。これは、日々の集団生活(保育園)で起きる小さな行き違いを減らす土台にもなります(誤解が減る=不安が減る)。参考:表情を使った遊びの意義(表情がコミュニケーションツールであり、感情理解につながる)https://www.hoiku-partners.com/page/megu_column_20191212/
では、狙いワードの「ニコニコする」はどう扱うべきでしょうか。ポイントは“結果としてニコニコが増える設計”にすることです。最初から「笑って!」と言われると、子どもは“正解の表情”を探し始めます。すると、表情が気持ちから離れて「課題」になり、ぎこちなくなったり、恥ずかしさで固まったりします。
そこで保育者側は、次の順にねらいを置くとブレにくくなります。
・気づく:自分の顔は動く/相手の顔も動く。
・試す:同じ動きをしてみる(まねっこ)。
・伝える:気持ちを表情+ことばで言ってみる。
・共有する:友だちと同じ表情で笑い合う(ニコニコは“共有の結果”)。
実は「ニコニコの表情」は、単に口角だけの問題ではありません。子どもは、目の形・眉・頬・身体のゆるみ(肩が上がっていない等)まで含めて“安心しているサイン”として受け取ります。表情あそびを、無理なテンション上げではなく、安心の確認作業として扱うと、クラスの落ち着きも作りやすくなります。
ニコニコする保育園でのまねっこ遊びと表情
表情あそびの導入として強いのが「まねっこ」です。0歳児でも、近くにいる人の動きや表情を真似ること自体を喜ぶとされ、模倣遊びの例として「ニコッと笑う」「手を振る」「両手を叩く」などが挙げられています。つまり“表情あそび”は特別活動ではなく、日常のまねっこ遊びの延長線にあります。参考:模倣遊び(0歳児の例に「ニコッと笑う」など)https://hoiku-is.jp/article/detail/2300/
現場での組み立て例(短時間・毎日できる型)を示します。
✅朝の会(1〜2分)
・保育者「おはようの顔!」→にこ/まじめ/眠い顔(どれでもOK)
・子ども「これ〜」→周囲はまねしてみる
✅移行の待ち時間(30秒)
・「まばたき10回」「0の口」「ほっぺふくらます」など、顔の体操をゲーム化
✅絵本前(1分)
・登場人物の顔をまね→“どんな気持ち?”を一言添える
この時に効く援助は、「正解を当てる」より「観察して言語化する」ことです。
・「目が細くなってるね」
・「口がぎゅっとしてるね」
・「今は“笑う”より“びっくり”に近いかな?」
こうした言い方は、子どもに“自分の表情を言葉で扱う”経験を増やします。結果として、友だちへの衝突場面で「いやだった」「びっくりした」などの表現が出やすくなり、泣く・叩くの前に止まりやすくなります。
ニコニコする表情あそびの鏡とふくわらい
表情あそびは「鏡」が入ると一気に深まります。鏡を使って「顔のパーツを確認」し、「ウィンク」「0の口」「鼻の下をのばす」など比較的簡単な動きから始め、慣れたらゲーム形式にする方法が紹介されています。ここでのコツは“上手さ”より“発見”を拾うことです。参考:鏡で顔のパーツ確認→顔を動かす遊びの流れhttps://www.hoiku-partners.com/page/megu_column_20191212/
さらに、伝統遊びの「ふくわらい」は表情あそびと相性抜群です。目・鼻・口・眉などのパーツを並べて「どんな顔になった?」をみんなで言葉にするだけで、表情と感情語彙がつながっていきます。記事では、最初は目隠しなしで“色々な表情を作ることを楽しむ”こと、慣れるまでは保育者がお題を出すのも良いこと、出来上がった顔がどんな気持ちか言葉にする経験が大切だとされています。参考:ふくわらいの進め方(目隠しなし→お題→言語化)https://www.hoiku-partners.com/page/megu_column_20191212/
活動を保育園向けに“事故なく・揉めずに”運用する工夫も置いておきます。
🧩運用のポイント(小集団で回る)
・パーツは大きめ(誤飲防止)
・磁石ボードや面ファスナーで固定(床に落ちるストレスを減らす)
・「変な顔!」は禁止ワードにせず、「面白い」「強そう」「困ってるみたい」など言い換えを提案
・写真撮影は“作品”として扱い、個人の顔の評価にならないようにする
また、鏡活動は“見たくない子”も一定数います。鏡を避けるのは、恥ずかしさ・見慣れなさ・自己像の不安定さなどが背景にあることが多いので、「見なくていい」「保育者だけ見る」から始めて、無理に引っ張らない方が結果的に参加が増えます。表情あそびは、参加の形が一つではない点が強みです。
ニコニコする保育園でのにらめっこと集団
「にらめっこ」は、表情あそびを“対人の遊び”に変えるスイッチになります。記事では、相手を笑わせるために色々な表情をする遊びとして紹介され、最初は二人組や保育士対子どもたちで行い、慣れたらクラス全体で輪になって大会形式にする方法も示されています。年中・年長でも人気の遊びとされ、年齢が上がっても扱いやすいのが利点です。参考:にらめっこの進め方(少人数→全体)https://www.hoiku-partners.com/page/megu_column_20191212/
ただし、保育園の集団では“勝ち負け”が強く出ると、表情が「武器」になります。勝てない子が黙る、負けた子が泣く、ふざけが過剰になる—この3つが典型です。そこで、にらめっこはルールを少し変えると安定します。
😊保育園向けアレンジ例
・勝敗をつけない:「みんなの面白い顔を集める」方式
・時間制:「10秒だけ」→切り替えが早く、興奮が残りにくい
・役割交代:「作る人」「まねする人」を交代(観察力が育つ)
・ことばもセット:「今の顔、どんな気持ち?」→感情語を1つ足す
集団で実施する場合は、保育者が“評価者”にならない工夫も大切です。
・「誰が一番」は言わない
・「上手」を連発しない
・代わりに「よく見てたね」「まゆが動いたね」「お友だちの顔を大事にしたね」とプロセスを拾う
この視点は、模倣遊びのねらいとして挙げられている「相手をよく見る」「観察して再現する」ことにも合います。参考:模倣遊びは相手をよく見て学ぶ(社会性など)https://hoiku-is.jp/article/detail/2300/
ニコニコする表情あそびの独自視点(マスクと口角)
検索上位の多くは「鏡」「にらめっこ」「ふくわらい」の紹介で終わりがちですが、現場で本当に効くのは“表情が見えにくい状況での設計”です。特に保育園は、行事・感染症流行・花粉の季節などで、マスク着用が増えるタイミングがあります。ここで表情あそびを「口角(口元)」中心にしていると、活動が急に成立しにくくなります。逆に、目・眉・頬の動き、姿勢、声色まで含めて表情として扱うと、マスク環境でもコミュニケーションの練習が続けられます。
そこで、独自視点として“口が見えない表情あそび”を提案します。
😷口元なし表情あそび(室内・短時間向け)
・「目だけニコニコ」:目を細める/まばたきをゆっくり→相手はまね
・「まゆげクイズ」:びっくり(上げる)/こまった(八の字)/おこった(寄せる)
・「ほっぺチャレンジ」:ほっぺをふくらます→息をふー→落ち着く時間にも使える
・「声の表情」:同じ「おはよう」を“うれしい”“ねむい”“はずかしい”で言い分ける
さらに、表情あそびを“クラスの安心づくり”に接続すると、ニコニコが増えるまでが早くなります。模倣遊びの支援ポイントとして「安心して遊べる環境に整える」こと(誤飲やケガにつながる物を片付け、柔らかいマットやクッションなど)が挙げられています。表情あそびでも、場が落ち着かないと顔を作る余裕が消えるので、座る位置・距離・音量・照明などの環境を整える価値が大きいです。参考:模倣遊びを支える環境づくり(安心して遊べる空間)https://hoiku-is.jp/article/detail/2300/
📌現場で使えるチェック(担任の自己点検)
・活動の目的が「笑わせる」になっていないか
・“表情が苦手な子”の逃げ道があるか(見学・小集団・保育者と1対1)
・子どもの表情を「評価」せず「観察と言葉」に変換できているか
・ニコニコが出ない日でも、活動を失敗扱いにしていないか(安心が先)
(参考リンク:模倣遊びのねらいと活動例がまとまっており、年齢別に「ニコッと笑う」など表情の模倣が示されています)

(参考リンク:表情を使った遊びとして、鏡・にらめっこ・ふくわらいの進め方と言語化のポイントが具体的に書かれています)
https://www.hoiku-partners.com/page/megu_column_20191212/

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