懐かしきケンタッキーの我が家 歌詞|意味と保育で使う場面

懐かしきケンタッキーの我が家 歌詞

原曲の歌詞にはdarkiesという差別的表現が使われていた。

この記事の3つのポイント
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歌詞の歴史的背景

フォスター作曲の原曲には差別的表現があり、現代では修正されています

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保育での活用方法

季節や活動に合わせた歌の取り入れ方と子どもへの伝え方

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歌詞に込められた意味

故郷への思いと別れをテーマにした深い内容を理解する

懐かしきケンタッキーの我が家 歌詞の全文と和訳

 

『懐かしきケンタッキーの我が家』は、19世紀アメリカの音楽家スティーブン・フォスターが1852年に作曲した歌曲です。原題は「My Old Kentucky Home」で、現在はケンタッキー州の州歌として採用されています。worldfolksong+1

この歌の日本語訳詞はいくつかのバージョンが存在します。最もよく知られているのは津川主一訳と伊庭孝訳です。

参考)http://fili.g2.xrea.com/kentucky.html

代表的な歌詞の一部を見てみましょう。

英語原詞(1番)

  • The sun shines bright in my old Kentucky home
  • ‘Tis summer, the people are gay
  • The corn top’s ripe and the meadows in the bloom
  • While the birds make music all the day

和訳(一般的な意訳)

  • 懐かしきケンタッキーの我が家に太陽の光が眩しく降り注ぐ
  • 夏は人々も楽しげだ
  • とうもろこしも実り、牧草地も生い茂り
  • 鳥たちも一日中音楽を奏でている

つまり故郷の明るい夏の情景を描いています。

歌詞は3番まであり、徐々に悲しい内容へと変化していきます。若者たちが集まって楽しく過ごしていた時代から、やがて「辛い時代が来てドアをノックする」という別れの場面へと展開します。最終的には重荷を背負いながらよろめく日々を描写し、「懐かしきケンタッキーの我が家よ、おやすみ」という言葉で締めくくられます。

参考)懐かしきケンタッキーの我が家 歌詞の意味 和訳 フォスター歌…

懐かしきケンタッキーの我が家 歌詞に含まれる歴史的問題

この歌の原曲には、現代では使用が避けられる表現が含まれています。

元の歌詞では「darkies」という黒人への当時の呼称が使われており、現在は差別的とされています。具体的には「’Tis summer, the darkies are gay」(夏になると黒人ははしゃぐ)という表現です。wikipedia+1

この背景には奴隷制度の存在があります。

当時のケンタッキー州には奴隷制度が存在していました。歌詞の後半では「the darkies have to part」(黒人達の別れの時がきた)と、奴隷として南部へ売られていく悲しみが描かれています。実はこの歌は、奴隷にされている黒人たちへの共感と悲しみを表現したものと考えられています。ameblo+1

現代ではこの表現は修正されています。

ケンタッキー州議会は、州歌としての歌詞で「darkies」の代わりに「people」を使う決議案を採択しました。演奏される際も「everyone」「children」「friends」などに置き換えられることが一般的です。日本語の訳詞では最初からこうした配慮がなされており、「人々」という表現が使われています。

参考)オールド・ケンタッキー・スペシャル・リザーヴ15年と今宵の一…

保育現場で使う場合は、日本語訳詞を選ぶのが安心です。

懐かしきケンタッキーの我が家 歌詞の意味と曲の背景

この曲が作られた背景には、フォスターの従兄弟の家があります。

ケンタッキー州北部の町バーズタウンにある、法律家ジョン・ローアンの邸宅がこの「我が家」のモデルと言われています。現在その場所は「マイ・オールド・ケンタッキー・ホーム州立公園」として保存されており、25セント記念硬貨(ケンタッキー州)にも彫られています。futarino-arukikata+1

ただし疑問の声もあります。

実際にフォスターがその時期にジョン・ローアンの家を訪れたという確たる証拠がなく、これを疑問視する専門家も多くいます。邸宅は立派な建物ですが、歌詞が描く「小さな小屋」のイメージとはかけ離れているという指摘もあります。fotokiddie.blogspot+2

歌詞が伝えるメッセージは深いものです。

この歌は単なる郷愁の歌ではありません。幸せな日々がやがて終わりを迎え、別れと苦難が訪れることを描いています。特に3番の歌詞「The head must bow and the back will have to bend」(頭を下げ、背中を曲げなければならない)は、奴隷として売られた人々の重労働を暗示しています。「A few more days, and the trouble all will end」(もう少しで苦しみは終わる)という表現には、死による解放という悲痛な意味が込められているとも解釈されます。allegro-vivace+2

フォスターはこの歌に社会的メッセージを埋め込んだのですね。

懐かしきケンタッキーの我が家を保育活動で使う場面

保育園や幼稚園では、この曲をいくつかの活動で活用できます。

まず季節の歌として、夏の時期に取り入れるのが効果的です。歌詞には「夏」「とうもろこし」「牧草地の花」「鳥の歌」など、子どもたちがイメージしやすい夏の要素が含まれています。7月や8月の音楽の時間に、季節を感じる活動として歌うと良いでしょう。

ゆったりとしたメロディーは、お昼寝前の落ち着いた雰囲気づくりにも適しています。

歌詞の「good night」(おやすみ)という言葉が繰り返されるため、午睡前の静かな時間に小さな声で歌うと、子どもたちが自然とリラックスできます。ピアノやオルゴールの音色で流すだけでも効果があります。

参考)My Old Kentucky Home 懐かしきケンタッキ…

卒園や進級の時期にも意味のある曲です。

この歌のテーマは「別れ」と「思い出」です。3月の卒園式シーズンや、クラス替えの時期に、「これまでのクラスとのお別れ」という文脈で歌うことができます。ただし歌詞の悲しい部分を強調しすぎず、「楽しかった日々を思い出す歌」として紹介すると良いでしょう。子どもたちには「みんなで過ごした楽しい時間を大切にしようね」というメッセージとして伝えられます。

年長児であれば歌詞の意味を一緒に考える活動も可能です。

懐かしきケンタッキーの我が家の歌詞を子どもに伝える工夫

保育士として、この歌を子どもたちにどう伝えるかは工夫が必要です。

まず歌詞の難しい部分は、子どもの年齢に合わせて説明を変えましょう。3〜4歳児には「昔、遠いところにあった素敵なお家のことを思い出している歌だよ」という程度のシンプルな説明で十分です。5〜6歳児なら「ふるさとを離れて暮らす人が、家族や友だちと過ごした楽しい時間を思い出している歌」と、もう少し詳しく伝えられます。

歴史的背景については、無理に説明する必要はありません。

原曲の差別的表現や奴隷制度の問題は、就学前の子どもには理解が難しく、不安を与える可能性があります。保育現場では日本語訳詞を使い、「故郷への思い」「大切な人との思い出」というテーマに焦点を当てるのが適切です。もし保護者から質問があった場合に備えて、保育士自身が正しい知識を持っておくことが大切です。

視覚的な教材を組み合わせると効果的です。

歌詞に出てくる「とうもろこし」「牧草地」「鳥」などのイラストや写真を見せながら歌うと、子どもたちのイメージが広がります。絵本や紙芝居の形式で「ケンタッキーってどんなところ?」と世界地図を見せるのも良い学びになります。アメリカの文化に触れる国際理解教育の一環として活用できますね。

実際の保育実践としては、手遊びや身体表現と組み合わせる方法もあります。

「鳥が歌う」場面では両手を羽のように動かす、「小屋の床を転げ回る」場面ではゴロゴロと寝転がる真似をするなど、動きを加えると子どもたちの参加意欲が高まります。ただしメロディーがゆったりしているため、激しい動きよりも優雅な動作が合います。

懐かしきケンタッキーの我が家とフォスターの他の作品

スティーブン・フォスターは、他にも多くの有名な曲を作っています。

代表作には『オー・スザンナ』『草競馬』『金髪のジェニー』などがあります。特に『オールド・ブラック・ジョー』も『ケンタッキーの我が家』と同様に、日本語訳詞で広く歌われてきました。これらの曲はいずれもアメリカの民謡として親しまれ、日本の音楽教育でも長く取り入れられています。

参考)音楽を楽しむ会(旧Oh!Enkaの会)

フォスターの人生は困難なものでした。

『ケンタッキーの我が家』は彼の円熟期の作品ですが、その後フォスターは経済的に困窮し、1864年に37歳の若さで亡くなりました。晩年の作品には、生活苦の中で作られたものも多く含まれています。しかし彼の曲は死後も世界中で愛され続け、「アメリカ音楽の父」と呼ばれるまでになりました。

保育現場では、フォスターの曲をシリーズで紹介できます。

例えば年間を通じて「世界の音楽を知ろう」というテーマで、月ごとに異なるフォスター作品を歌う活動が考えられます。『オー・スザンナ』は明るく楽しい曲調なので、運動会や遠足の準備期間に適しています。『草競馬』はリズミカルで、リトミックや楽器遊びに活用できます。こうした活動を通じて、子どもたちは自然と音楽の多様性や歴史に触れることができますね。

保育士向けの音楽研修でも、フォスター作品の背景知識は役立ちます。

各曲の歴史的文脈を理解しておくことで、保護者からの質問に適切に答えられますし、より深みのある音楽教育が実践できます。インターネットでは、フォスターの生涯や作品について詳しく解説しているサイトもあるので、休憩時間に少し調べてみるのもおすすめです。

知ると面白いですよ。


懐かしきケンタッキーの我が家