夏は来ぬ歌詞意味
「夏は来ぬ」というタイトルを「夏が来ない」と思って子どもに説明すると、季節感が真逆になります。
夏は来ぬの「来ぬ」は完了の意味
「夏は来ぬ」のタイトルは、多くの人が最初に戸惑う部分です。現代語では「来ぬ」を「来ない」と否定の意味で捉えがちですが、この歌では古語の文法が使われています。kikumasamune+2
「来」(き)は「来る」という動詞の連用形で、「ぬ」は完了の助動詞の終止形です。つまり「夏は来ぬ」全体で「夏が来た」という意味になります。worldfolksong+2
読み方も「なつはこぬ」ではなく「なつはきぬ」が正しいです。保育の現場で子どもたちに歌を教える際、この基本を押さえておかないと、季節を真逆に伝えてしまう恐れがあります。
夏は来ぬが表す季節は初夏
この歌が描いているのは、真夏ではなく初夏の風景です。歌詞には旧暦5月(現在の6月頃)の季語が数多く登場します。
五月雨、田植えの早乙女、蛍、水鶏など、梅雨から夏の始まりにかけての風物が織り込まれています。
つまり梅雨が基本です。
参考)音楽トリビア🎵秋なのに「夏は来ぬ」&NHKさん、ちゃんとして…
現代の感覚では5月といえば爽やかな初夏のイメージですが、旧暦の5月は今の6月にあたり、梅雨の時期を指します。保育で季節の歌として取り上げる際は、6月の梅雨時期に合わせるとより情景が伝わりやすいでしょう。
夏は来ぬの歌詞に登場する卯の花とは
歌詞の冒頭に出てくる「卯の花」は、ウツギという木に咲く白い花を指します。旧暦4月(卯月)頃に咲くことから「卯月の花」が略されて「卯の花」と呼ばれました。yachikusakusaki.hatenablog+1
初夏に白い花が木全体に咲き、谷を真っ白に染める風景は日本の初夏を代表する光景でした。万葉集にも24首が詠まれるほど、昔から日本人に親しまれてきた花です。hanamokusanpo+1
暦が普及していなかった時代、ウツギの花は季節を知る重要な目印でもありました。保育で伝える際は、白くて小さな花がたくさん咲く様子を写真や絵で見せると、子どもたちもイメージしやすくなります。
参考)初夏の花ウツギ / 卯の花を詠んだ歌 万葉の時代から明治…
夏は来ぬのホトトギスが鳴く意味
歌詞に出てくる「時鳥」はホトトギスのことで、初夏の訪れを告げる鳥として古くから親しまれてきました。「忍び音もらす」とは、夜にひっそりと鳴く声を表現しています。nobintos+2
ホトトギスは夜に鳴く習性があり、その鳴き声を聞いて初夏の到来を感じ取っていたのです。正岡子規のペンネームも、実はホトトギスの意味から取られており、いかに日本人がこの鳥を愛してきたかが分かります。pref+1
鳴き声を知らなければ、夜に聞いても初夏を感じて喜ぶことはできません。保育の現場では、音源や動画でホトトギスの鳴き声を聞かせてあげると、歌詞の情景がより鮮明になるでしょう。
参考)歌から学ぶ 「早春賦」から「花」へ そして「夏は来ぬ」を歌い…
夏は来ぬの歌詞にある蛍雪の功とは
3番の歌詞「蛍飛びかい おこたり諌むる」には、「蛍雪の功」という故事が込められています。これは苦労して勉学に励んだ成果を意味する言葉です。kotobank+2
中国の晋の時代、車胤という貧しい学者が夏には蛍を集めて袋に入れ、その光で書を読んで勉学に励み、ついには出世したという話に由来します。歌詞では、飛び交う蛍に諌められているかのように、夏の夜も怠らず勉学に励めという意味が表現されています。oggi+2
つまり勉強が基本です。卒業ソング「蛍の光」にも同じ故事が関連しており、日本の教育文化と深く結びついた表現です。
参考)夏は来ぬ 歌詞の意味
保育の場面では子どもに難しい故事を教える必要はありませんが、「蛍の光で一生懸命勉強した人がいた」という話として伝えると興味を持ってもらえます。
夏は来ぬの五月雨と早乙女の意味
2番の歌詞に登場する「五月雨」(さみだれ)は、旧暦5月頃に降る雨、つまり梅雨の雨を指します。現代の5月晴れとは意味が異なり、梅雨の晴れ間を意味していました。worldfolksong+1
「早乙女」(さおとめ)は、田植えをする若い女性のことです。歌詞では、五月雨が注ぐ山間の田んぼで、早乙女が衣服の裾を濡らして苗を植える様子が描かれています。heartful-rhythm+1
旧暦5月は「早苗月」(さなえつき)とも呼ばれ、田植えの月として重要な時期でした。
「玉苗」は苗代から移す若い苗を表します。
heartful-rhythm+1
保育で伝える際は、田植えの様子を写真や絵で見せながら、昔の農作業の大変さや季節との結びつきを教えると、子どもたちの理解が深まります。
夏は来ぬを保育で活用する方法
保育現場で「夏は来ぬ」を取り上げる際は、歌詞の情景を視覚化することが効果的です。卯の花の写真、ホトトギスの鳴き声、田植えの様子などを組み合わせると、子どもたちの興味を引き出せます。
季節の変化を五感で感じ取る力を育てることが、この歌の教育的価値です。歌詞に登場する植物や生き物を実際に観察したり、散歩で探したりする活動と組み合わせると、学びが深まります。
6月の梅雨時期に合わせて歌うことで、季節感が一致します。ただし歌詞が難しいため、年長児向けに少しずつ意味を伝えていく方法がおすすめです。
短い説明で終わらせず、繰り返し歌いながら季節の移り変わりを体感させることが大切です。そうすることで、日本の四季や伝統的な季語への理解が自然と育っていきます。
歌唱指導では、姿勢や口の動きも意識しながら、歌詞の意味を噛み締めて歌うことを心がけましょう。一つの歌から植物や生き物、日本の行事や風情を学ぶことができ、豊かな感性を育てる教材として活用できます。
歌詞の詳細な解説と各番の情景が丁寧に説明されています。
保育や音楽教育の現場で歌詞から学ぶ方法が具体的に紹介されています。


