なべなべそこぬけの歌詞・意味と保育での活かし方
「なべなべそこぬけ」の歌詞は短い一文にすぎませんが、4歳以上が対象の幼児クラス向けで、低年齢児には関節脱臼のリスクがあります。
なべなべそこぬけの歌詞と「かえりましょ」の本当の意味
「なべなべそこぬけ」の歌詞は、全部でたった2フレーズしかありません。
なべなべ そこぬけ
そこがぬけたら かえりましょ
覚えやすい歌詞ですね。
「なべなべそこぬけ」という言葉は、鍋の底に穴が開いて抜けてしまった状態の比喩です。 わらべうたが発祥した江戸時代には鉄鍋や鉄釜が穴開きやすく、金属自体が庶民にとって非常に貴重だったため、穴が開くまで長く大切に使っていました。tamagodaruma+1
「かえりましょ」については、多くの人が「帰りましょ(帰宅する意味)」と解釈しがちです。しかし実際には「体が後ろに反り返る(そりかえる)」を意味する「かえりましょ」であるという見方が有力です。 歌いながら体をひっくり返すあの動作が、まさに歌詞の意味そのものだったということです。
2回目に元に戻る動作の際は、「帰りましょ(戻りましょ)」という意味でも解釈できます。 つまり「かえりましょ」には二重の意味が込められているわけですね。
なべなべそこぬけの由来:かごめかごめとの深いつながり
「なべなべそこぬけ」のルーツは、江戸時代後期に出版された童謡集「竹堂随筆(ちくどうずいしゅう)」にあります。 そこには、「かごめかごめ」の原曲と思われるわらべうたが収録されており、その後半部分に「なべのなべのそこぬけ/そこぬいてーたーァもれ」という一節が登場します。
つまり「なべなべそこぬけ」と「かごめかごめ」は、江戸時代にひとつの歌だった可能性があります。 意外ですね。
「そこぬいてーたーァもれ」の部分は現代の遊び方でいうアーチ(門)を通り抜けるくだりと対応しており、「底(アーチの間)を通りたいから間を開けておくれ」と歌っているようにも解釈できます。 江戸時代の遊び方は現代と完全に同じではないと考えられますが、形を変えながら数百年の時を超えて伝わってきた遊びだということです。
また、「つるつるつっぺぇつた」という歌詞部分は、大人数がぞろぞろとアーチをくぐり抜けていく様子を表しているとも想像できます。 同じわらべうた仲間の「はないちもんめ」にも「お釜が底抜け行かれない」という一節があり、江戸時代には鍋・釜の底抜けが身近な出来事だったことが伝わってきます。
保育でのねらい:なべなべそこぬけが育てる3つの力
「なべなべそこぬけ」を保育に取り入れる際は、ねらいを明確にすることが指導案・月案作成の基本です。 具体的には次の3つが挙げられます。
- 🤸 体の柔軟性を養う:手を繋いだまま体をひねり反り返る動作は、普段の生活ではなかなかしない動き。繰り返すことで関節の可動域と柔軟性が育ちます。
- 🗣️ コミュニケーション能力を育てる:友だちと息を合わせ、タイミングを共有する体験が社会性の基礎を育みます。
- 🏮 伝統・文化への親しみを深める:地域によって呼び方やルールが微妙に異なる伝承遊びに触れることで、文化の多様性と継承の意識が芽生えます。
山口大学の研究によると、わらべうた遊びを保育に取り入れた保育士の気づきで最も多かったのは「子どもたちの社会性の発達」に関するものでした。 数十の観察事例の中で、他者との情意のやり取りや協調性の芽生えが繰り返し報告されています。 遊び一つひとつに確かな発達効果がある、ということですね。
対象年齢は4〜5歳の幼児クラスが推奨です。 低年齢児は関節が外れやすいため、1〜2歳児クラスへの導入は注意が必要という点は覚えておけばOKです。
なべなべそこぬけの遊び方:2人・大人数それぞれの手順
遊び方はシンプルで、道具は一切不要です。 スキマ時間にすぐ取り入れられるのも保育士にとっての大きなメリットです。
🔵 2人で遊ぶ場合
- 2人1組になり、向かい合って両手を繋ぐ
- 「なべなべそこぬけ そこがぬけたら♪」と歌いながら、繋いだ手を左右にゆらゆら揺らす
- 「かえりましょ♪」で手を繋いだまま片方の手の下をくぐって反り返り、背中合わせになる
- 背中合わせのまま再び「なべなべそこぬけ♪」と歌いながら手を揺らす
- 「かえりましょ♪」で再びくぐって元の向かい合わせに戻る
🔴 3人以上で遊ぶ場合
- 全員で手を繋いで輪を作る
- 歌いながら手を左右に揺らす
- 「かえりましょ♪」で代表2人がアーチ(門)を作り、他の人がくぐり抜ける
- 最後にアーチ担当の2人が反り返り、全員が背中合わせになる
- もう一度繰り返して元に戻る
10人程度になると、アーチをくぐる様子が鶴や雁の群れが飛んでいくように見え、視覚的にも美しい遊びになります。 これは使えそうです。
保育士だからこそ伝えたい:なべなべそこぬけの独自アレンジと発展活動
「なべなべそこぬけ」はシンプルだからこそ、アレンジの幅が広い遊びです。 子どもが慣れてきたら、次のような発展活動を試してみましょう。
- 🎹 保育者が楽器で盛り上げる:タンバリンやカスタネットで拍を刻むと、さらに盛り上がります。
- 🌏 地域ごとの違いを話題にする:地域によって「かえりましょ」の代わりに「もとへもどろ」と歌う場合もあります。文化の多様性を子どもに伝えるきっかけになります。
愛知県立大学の研究では、わらべうた遊びが発達障害児の社会性向上にも有効であることが示されています。 インクルーシブ保育の観点から、全員が参加しやすい「なべなべそこぬけ」の活動設計は非常に意義深いです。
参考)https://aichi-pu.repo.nii.ac.jp/record/4604/files/GH12_05onza.pdf
遊び終わった後は子どもに「どんな鍋のことを歌っているんだろう?」と問いかけてみましょう。歌詞の背景を想像する対話が、語彙力と想像力の発達を同時に促します。これが保育士にしかできない、わらべうた指導の醍醐味です。
なべなべそこぬけの歌詞と意味を深く理解することで、ただ「遊ぶ」から「育てる」保育へと変わります。江戸時代の庶民の暮らしに根ざした歌詞、かごめかごめとのつながり、体・社会性・文化の3つの発達ねらいを押さえ、ぜひ日々の保育実践に取り入れてみてください。
参考:わらべうたを活用した保育実践とその有用性について、山口大学の研究論文で詳しく解説されています。
参考:愛知県立大学によるわらべうたと発達障害児の社会性発達に関する研究報告。インクルーシブ保育の参考に。
保育実践におけるわらべうた遊びと発達障害児の社会性の発達(愛知県立大学)
参考:文部科学省が公開する「なべなべそこぬけ」を含む伝承あそびの教材。保育・学校現場で活用できる資料です。


