ミ・ソ・シ 保育 和音あそび
ミ・ソ・シ 保育で和音あそびのねらい
ミ・ソ・シは3つの音を同時に鳴らして和音を作る入口として扱いやすく、「音が重なると雰囲気が変わる」ことを体感しやすい素材です。和音は“1個飛ばし”で音を拾っていく考え方(例:ミ・ソ・シ)で作れるため、保育の現場でも「ルールは簡単、体験は豊か」という形に落とし込めます。
特に集団の遊びでは、子どもが「自分の音」と「みんなの音」を聴き比べる場面が自然に生まれます。合奏や歌の土台になるのは“同時に鳴っている音を聴き分ける経験”なので、ここで育つ耳は後々かなり効いてきます。
ねらいを言語化すると、現場で共有しやすくなります。例えば次の3つに絞ると指導案にも書きやすいです。
- 👂 音が重なる心地よさ・違和感に気づく(聴く力)。
- 🤝 合図で一斉に鳴らす/止める(合わせる力)。
- 🎼 「3音でできる世界」を知る(音楽への興味)。
また、保育者側にとってもメリットがあります。保育士試験の学習でも、和音は「音程(長3度・短3度など)の組み合わせ」として整理すると理解が進みやすいとされ、コードの作り方を知ることが得点源になる、という整理がされています。こうした“学び直し”を保育実践に還元できる点が、ミ・ソ・シの和音あそびの意外な強みです。
保育の時間に無理なく入れるコツは、「音楽の授業」にしないことです。あくまで“遊び”として、短時間・繰り返しで積む方がうまくいきます。
(和音やコードの基本整理の参考:コードネームは和音の組み合わせを記号化したもの/和音は一個飛ばしで作る、などの説明がまとまっています)
和音とコードの基礎(保育士試験対策の解説)

ミ・ソ・シ 保育の和音あそび:導入と声かけ
導入で最初にやりたいのは、「いきなり三和音」ではなく“単音での成功”です。子どもは「一緒に鳴った!」の経験があると、次の段階(2音、3音)を前向きに受け止めやすくなります。
おすすめの流れは次の通りです(年齢は目安で、クラスの実態に合わせて前後させます)。
- ⭐ ステップ1:ミだけ(「ミの音で“こんにちは”】【合図で鳴らす/止める】)
- ⭐ ステップ2:ソだけ(「ソは“そーっと鳴らす”】【強弱を遊ぶ】)
- ⭐ ステップ3:シだけ(「シは“しーっ”の静けさから鳴らす”】【休符の感覚】)
- ⭐ ステップ4:ミ+ソ(2人組/左右で分担/響きを聴く)
- ⭐ ステップ5:ミ・ソ・シ(3人組→グループ→全体)
声かけは、音名を覚えさせるよりも“役割”にしてしまうと回りやすいです。
- 「ミさん、準備できた?」
- 「ソさん、みんなを支えてね」
- 「シさん、最後に入って合図だよ」
「入るタイミング」をそろえるために、合図を固定します。保育者の手の合図(パーで鳴らす/グーで止める)や、短い掛け声(「いくよ、せーの」)が効果的です。実際の保育実践の記録でも、手の合図で吹く・止める約束をして進める方法が示されています。
さらに導入で“事故”を減らすポイントは、音量とスピードを最初から上げないことです。和音は大きな音で鳴らすと、合っていない時の不快感も大きくなり、苦手意識につながりがちです。最初は小さく、短く、成功を積んでから「きれいなハーモニー」を味わう方が、クラスが落ち着きます。
(合図で吹く/止める、音を合わせる難しさから構成を変えた、など保育実践の具体が載っています)
ピアニカ遊びの実践例(合図・和音の合わせ方)
ミ・ソ・シ 保育の和音あそび:ピアノ伴奏
保育の和音あそびは、保育者の伴奏が“正解”を提示しすぎると逆に面白さが減ります。伴奏は「場を支える」「合図をつくる」「子どもの音を引き立てる」くらいの薄さがちょうど良いです。
ピアノが得意でない場合でも、考え方をシンプルにすると続けられます。保育士試験の伴奏問題の解法としても、ハ長調の曲ではCコード(ドミソ)が最初と最後に来やすい、コードチェンジは小節の最初や真ん中に起きやすい、といった“型”が示されています。ここをそのまま遊びに転用し、和音あそびでは「一定の拍で支える」「切り替えは合図の時だけ」にすると混乱が減ります。
具体的な伴奏例(難易度低め)です。
- 🎹 伴奏A:左手は「ミ」だけを一定の拍で(ドローンのように支える)
- 🎹 伴奏B:右手で「ミ・ソ・シ」を短く鳴らして“合図”にする(開始のベル)
- 🎹 伴奏C:子どもが鳴らす時は伴奏を止め、終わったら保育者が和音で締める(拍手の代わり)
「子どもの音を聴かせる」時間を作ると、活動が“音あてクイズ”ではなく“音の共同制作”になります。特に「メロディと同じ音を含む伴奏が多い」「省略音がある(例:G7の構成音が省略されることがある)」など、和音の仕組みが分かると伴奏の引き算がしやすくなります。
また、ミ・ソ・シは音楽理論としてはE(ミ)を根音にした和音(ミソシ)として扱われることがあり、保育士試験対策の解説でも「e minor はミソシ」という例が示されています。理論を知っていると、現場で子どもが「なんか暗いね」「こわい感じ」などと反応した時に、否定せず“感じ方の言語化”へ導けます。
(伴奏問題の基本手順、コードチェンジ、和音の基本の重要性などがまとまっています)
伴奏問題のポイント(保育実習理論の解説)

(e minor=ミソシ、長3度/短3度の考え方などの解説動画)
保育実習理論「和音の作り方」解説(YouTube)

ミ・ソ・シ 保育の和音あそび:年齢別
同じ「ミ・ソ・シ」でも、年齢によって“難しさ”の正体が違います。年少は指の運動や息のコントロール、年中は合図を待つ抑制、年長は役割理解と聴き合いが中心になります。
年少(3歳前後)のポイントは「鳴らす/止める」と「短く鳴らす」です。長く鳴らすと音量が上がり、合わなかった時に場が荒れやすいので、保育者が“短く区切る遊び”にします。
- 🧸 例:「ミ・(止)」「ソ・(止)」「シ・(止)」の一発勝負
- 🧸 例:「先生がグーの間はお休み」
年中(4歳前後)は、2音→3音へ移行しやすい時期です。2人組でミ+ソを作り、「きれい」「にごる」を言葉にしてから3人組へ行くと、聴く意識が育ちます。保育実践の記録でも、最初は複数のグループで音を合わせるのが難しく、構成を変えると音が合いやすくなった、という経過が示されています。つまり“難しいなら設計を変える”が正解です。
年長(5歳前後)は、指揮者役や“入る順番”のルールを入れると活動が締まります。
- 👑 指揮者:「次はミだけ」「次はミとソ」「最後にシ」
- 👑 役割交代:「今日はシ担当が合図係」
意外に効く工夫として、「音を変えないで、人数を変える」があります。例えばミ担当を2人にして厚みを出すと、子どもが“同じ音でも役割がある”ことを学べます(支える音、目立つ音)。この感覚は、歌のハモりや合奏のバランス感覚にもつながります。
安全面・環境面では、楽器や声の大きさが上がりすぎたら必ず“静けさの合図”に戻します。ミ・ソ・シは高音域で鳴らすと耳に刺さりやすいことがあるため、ピアノや鍵盤ハーモニカなら音域(オクターブ)を調整し、落ち着く高さを探るとクラス運営が楽になります。
ミ・ソ・シ 保育の和音あそび:独自視点
検索上位で多いのは「和音の作り方」「コードの覚え方」「試験対策」ですが、現場で効く独自視点は“生活の切り替え音(合図)としてのミ・ソ・シ”です。つまり、活動として完結させず、日常のスイッチに埋め込みます。
例えば、次のように「同じ和音」を“違う意味”で使い分けると、子どもは音を情報として受け取ります。
- 🚦 集合の合図:ミ・ソ・シを短く1回(「集まる」)
- 🌙 静かにする合図:ミ・ソ・シを小さく2回(「しーっ」)
- ✅ 終了の合図:ミ・ソ・シをはっきり1回+拍手(「終わり」)
この方法の良さは、言葉で叱る回数を減らせることです。音の合図は、注意ではなく“環境”として働き、子どもに選択肢(動きを切り替える余地)を残します。さらに、毎日同じ合図を続けると、子どもが「先生の音」を待つようになり、結果として和音あそび自体の成功率も上がります。
もう一つの独自視点は、ミ・ソ・シを「感情の言葉」に翻訳する活動です。音を鳴らした直後に、正解不正解ではなく次の質問を投げます。
- 「今の“ミ・ソ・シ”は、どんな気持ちの音?」
- 「明るい?ふしぎ?こわい?ワクワク?」
- 「同じ音でも、小さい音だとどう変わる?」
音楽理論を“知識”として教えるのではなく、感じたことを言葉にする練習に変えると、表現活動としての価値が上がります。保育者側も、コードや和音の理解があるほど“感じ方の違い”を受け止めやすく、活動が深まります。
最後に、クラス運営のコツを1つだけ。うまく合わない日は、音を合わせることをゴールにせず「合図で止められたら成功」「最後に1回だけそろえば成功」に目標を下げると、子どもは“できた感”を持ち帰れます。和音あそびは、積み上げるほど音が整っていく遊びなので、短期の完成度で評価しない設計が長続きします。


