メダカの歌 歌詞の意味と由来を保育士が知るべき完全ガイド
実は「めだかの学校」の誕生エピソードは、広く語られる親子の会話は創作で、茶木滋本人が否定しています。
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メダカの歌 歌詞の全文とふりがな付き読み方
「めだかの学校」は、作詞:茶木滋、作曲:中田喜直による日本の童謡で、1951年(昭和26年)3月にNHKラジオ番組「幼児の時間」のコーナー「歌のおけいこ」で初めて発表されました。全部で3番構成になっており、それぞれの番で異なる情景が描かれています。
以下が全文です。保育現場で子どもたちと読み合わせるときにも活用してみてください。
| 番 | 歌詞(ひらがな) |
|---|---|
| 1番 | めだかのがっこうは かわのなか そっとのぞいて みてごらん そっとのぞいて みてごらん みんなで おゆうぎしているよ |
| 2番 | めだかのがっこうの めだかたち だれがせいとか せんせいか だれがせいとか せんせいか みんなで げんきにあそんでる |
| 3番 | めだかのがっこうは うれしそう みずにながれて つーいつい みずにながれて つーいつい みんながそろって つーいつい |
1番では、川の中にある「めだかのがっこう」をそっと覗く場面が描かれています。「そっとのぞいて みてごらん」という言葉は、観察するときの姿勢——静かに、相手を驚かせないようにすること——を自然と教える表現です。もともとこの部分の歌詞は「そっとのぞきにいってみな」だったところ、より柔らかい雰囲気に変えるために現在の形に改められたという記録も残っています。
これは使えそうです。2番では「だれがせいとか せんせいか」と、役割の境界があいまいなまま描かれています。3番になると、めだかたちは「うれしそう」に「つーいつい」と泳いでいます。
歌詞を通じて読むと、1番で「観察」、2番で「関係性」、3番で「喜び・調和」という3段階のストーリーがあることが分かります。つまり、歌全体で一つの情景が完結しているということですね。
メダカの歌 歌詞に込められた意味と「つーいつい」の深読み
歌詞の中でひときわ目を引く表現が、3番に登場する「つーいつい」という擬音語です。魚が泳ぐ様子を表すとき、多くの人は「すいすい」という言葉を思い浮かべるはずです。しかし作詞者の茶木滋は、あえて「つーいつい」という独自の擬態語を選びました。
「すいすい」だとやや速いスピード感があり、メダカのゆったりとした動き方には合わないと考えたためとされています。メダカは流れの緩やかな川や水路を好み、スピードを出して泳ぐよりも、水の流れに身を任せて、のんびりと進む魚です。その「群れでそろって、ゆったり流れる」様子を表現するために、「すーいすい」ではなく「つーいつい」という新しい音が生み出されたと考えられています。
意外ですね。保育現場でこの擬音語を子どもたちに伝えるときは、「どんな動きに聞こえる?」と問いかけてみると、子どもたちが体で表現しようとする場面が生まれます。
また、2番の「だれがせいとか せんせいか」というフレーズにも注目です。同じく「学校」を題材にした童謡『すずめのがっこう』(チイチイパッパ)では、先生と生徒の役割がはっきりと描かれています。一方で「めだかの学校」では、誰が先生で誰が生徒かを決めず、「みんなでげんきにあそんでる」という状態を肯定しています。これは「先生=指導する存在、生徒=従う存在」という固定概念を手放した、非常に自由な視点です。
固定された役割がない状態こそが豊かさだ、というメッセージが歌詞に隠されている、とも読み取れます。保育の文脈で言えば、「子どもが気づきを保育士に教えてくれる」場面や、「お互いが先生になれる関係」を大切にする姿勢と重なりますね。
歌詞全体に流れているのは「そっと、そろって、うれしそう」という3つのキーワードです。このキーワードを軸に子どもたちに語りかけると、歌の世界が一層豊かに広がります。
メダカの歌 作詞者・茶木滋と誕生エピソードの真実
「めだかの学校」の誕生にまつわる有名なエピソードがあります。戦後間もない1946年(昭和21年)、神奈川県小田原市にある荻窪用水のほとりを歩いていた作詞者・茶木滋と3歳の息子。息子がメダカを見つけて大声を上げたためにメダカが逃げてしまうと、息子は「大丈夫、またくるよ。だってここはメダカの学校だもん」と言った——というものです。
この話は長年「事実として」広まってきました。しかし童謡研究家の池田小百合が茶木滋本人と書簡をやりとりした研究(2009年発表)によると、この親子の会話エピソードは、童話作家・佐藤義美が著書『どうようものがたり』(実業之日本社)の中で創作したフィクションである、と結論づけられています。
茶木滋自身も次のように述べています。「三歳のこども(義夫君)がメダカの学校だと言った、と物語にあるのは、ちょっとできすぎですが、それに似た風景が、私の原体験としてあったのは事実です」(毎日新聞学芸部『歌をたずねて』音楽之友社より)。
つまり「完全な創作ではないが、物語として整えられた面がある」という立場です。保育現場でこの由来を語るときは、「こう言われることが多いけれど、実は少し伝説的に語られている部分もあるんだよ」という補足を加えると、事実と物語の両方を子どもたちに丁寧に伝えられます。
この曲が実際に作られた経緯はこうです。1950年、茶木が雑誌に書いた童話を放送したいとNHKから連絡があり、打ち合わせの際に茶木が自ら「童謡を作らせてほしい」と申し出ました。NHKからは「春先に放送する明るい歌を」という条件が出され、それが制作の出発点となっています。
作曲を担当したのは、当時まだ若手だった中田喜直(当時28歳)です。中田はもともと茶木から届いた歌詞には繰り返しのフレーズがなかったところ、知人女性の助言を受けて「そっとのぞいて みてごらん」などの繰り返し部分を加えた上で作曲しました。繰り返しがないと8小節でまとまってしまい、「小さくなってしまう」と判断したためです。この繰り返しが、子どもたちが覚えやすく歌いやすい構造を生み出しています。
作品は1951年3月にNHKラジオで初放送され、同年4月から「うたのおばさん」で安西愛子が歌い、全国に広まりました。そして1954年(昭和29年)には文部省芸術選奨文部大臣賞を受賞し、2006年には文化庁と日本PTA全国協議会が選んだ「日本の歌百選」にも選ばれています。
参考:歌碑の場所や作者情報、発表背景(NHK発表・受賞・歌碑の所在地など)
参考:誕生エピソードの「創作の可能性」を含む詳細な解説
メダカの歌 歌詞を使った保育現場での活動アイデア
「めだかの学校」は、ただ歌うだけでなく、保育のさまざまな場面に応用できる童謡です。歌詞の持つ構造が、子どもたちの「観察・表現・協同」という3つの力を同時に育てる素材になっています。
1番の「そっとのぞいて みてごらん」は、観察の姿勢を教える声かけとして直接使えます。水槽のメダカを見るとき、庭の虫を観察するとき、「そっとのぞいてみてごらん——このときどんな声の大きさかな?」と問いかけるだけで、子どもたちは自然と静かに集中する姿勢を取ります。
2番の「だれがせいとか せんせいか」は、役割遊びの導入に活用できます。「今日は誰が先生役でもいいよ」という声かけと合わせると、固定された役割に縛られず、子ども同士が自由に関わる場が生まれます。
3番の「みずにながれて つーいつい」は身体表現とリズム活動に最適です。以下のように活動に変換すると理解がさらに深まります。
| 歌詞の言葉 | 活動例 | 育ちのねらい |
|---|---|---|
| そっとのぞいて | 🔍 水槽・プランターの生き物をそっと観察する | 観察力・自然への配慮 |
| みんなで おゆうぎ | 🎶 グループで自由にメダカのダンスを創作する | 表現力・創造性 |
| つーいつい | 🏊 「つーい」「つい」でテンポを変えて行進する | リズム感・身体表現 |
| みんながそろって | 🤝 2〜3人組で「そろう」動きを作る | 協同性・同調の楽しさ |
また、歌詞の中の自然描写(川・水・群れ)を入口にして、春の自然観察活動へとつなげることもできます。メダカは現在、環境省が絶滅危惧II類(VU)に指定している魚で、身近な川で見られる機会は大きく減っています。そのため「この歌のころは川にメダカがたくさんいたんだよ」という話を加えると、生命や環境への関心を育てるきっかけにもなります。
保育士の声かけを「歌詞の一節をそのまま使う」というシンプルな工夫だけで、子どもたちの没入感が高まります。特に「そっとのぞいて みてごらん」は、実際の場面でそのまま使える言葉です。
参考:保育園の春の歌としての位置づけや月別の活用情報
保育園・幼稚園で歌いたい!春の歌・童謡17曲 – 保育求人ラボ
メダカの歌 歌詞と保育士試験・ピアノ弾き歌いとの関係
「めだかの学校」は、保育士試験の実技(音楽表現)の課題曲として選ばれた実績があります。2013年(平成25年)度の保育士実技試験では、「めだかの学校」と「そうだったらいいのにな」の2曲が課題曲として指定されました。これは全国保育士養成協議会(厚生労働省所管)が公式に発表したものです。
保育士試験の音楽表現では、幼児に歌って聴かせることを想定した「弾き歌い」が求められます。試験では高度な演奏技術よりも、「明るく元気に、子どもに伝わるように歌えるか」が重視されます。楽譜の指定はなく、自分のレベルに合った難易度のものを選べます。
「めだかの学校」はハ長調(C major)でもニ長調(D major)でも楽譜が販売されており、初心者にはハ長調の方が弾きやすいとされています。ヤマハの「ぷりんと楽譜」では「ドレミふりがな&指番号つき」版が1曲から購入できるため、ピアノが苦手な方でも取り組みやすい環境が整っています。
ピアノが苦手な保育士にとって、「めだかの学校」は比較的シンプルなコード進行(主にI・IV・Vの3コード)で弾き歌いができる曲です。3コードだけ覚えておけばOKです。テンポは♩=76〜84程度を目安に、子どもが一緒に歌いやすいスピードを意識して練習するのが基本です。
現職の保育士がピアノを練習・再学習する場面では、「保育士試験対策の教材」として動画配信やオンラインレッスンも増えています。特にYouTubeの「現役保育士によるピアノ演奏チャンネル」では「めだかの学校」の弾き歌い動画が多数公開されており、独学の参考として活用できます。
参考:平成25年度保育士実技試験の課題曲・試験概要(公式情報)


