きゅうりの歌で赤ちゃんの発達を引き出すふれあい遊び完全ガイド
「きゅうりができた」を歌うだけで、赤ちゃんが翌日うんちをする確率がぐっと上がります。
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「きゅうりの歌」赤ちゃんとのふれあい遊びとは何か
「きゅうりができた」は、赤ちゃんをきゅうりのお漬物に見立てて、塩を振ったり板ずりをしたりトントン切ったりする動作を体に触れながら表現するふれあい遊び歌です。作者は不明で、わらべ歌的な性質を持っています。大阪市や掛川市など複数の自治体が子育て支援の配布資料として紹介しており、保育現場だけでなく子育て支援センターでも広く使われている定番中の定番です。
歌詞は全部で5つのパートから成り立っています。
| パート | 歌詞 | 動作 |
|---|---|---|
| ① | きゅうりができた×3 さあ食べよう | 足を曲げて持ち、腰を左右にゆっくり揺らす |
| ② | 塩ふってパッパパ×3 パッパッパ | 指先で体全体を軽くツンツン |
| ③ | 板ずりキュッキュキュ×3 キュッキュッキュ | 手のひらでお腹を上下に優しくさする |
| ④ | トントン切ってね×3 トントントン | 手を包丁に見立て体をリズミカルにトントン |
| ⑤ | おててをパッチン いただきます | いただきますのしぐさ→全身をこちょこちょ |
保育士がこの歌を選ぶ最大の理由は「道具が一切不要」という点です。おむつ替えのついでに、ちょっとしたすき間時間に、いつでもどこでも始められます。これは使えそうです。
ただし「きゅうりの歌」は「手遊び」ではなく「ふれあい遊び」であることを正確に理解しておく必要があります。手遊びは子ども自身が手を動かす遊びですが、ふれあい遊びは大人が子どもの体に直接触れながら行う遊びです。この区別が保育指導案を書く際に重要になってきます。
参考として、大阪市が公開している「きゅうりができた」の遊び方資料には、子どもの月齢に応じた触れ方の違いも詳しく記載されています。
大阪市公式:きゅうりができた 遊び方PDF(子育て支援資料)
「きゅうりの歌」が赤ちゃんに与える5つの発達効果
「きゅうりができた」は楽しいだけの遊びではありません。5つのパートのそれぞれが、異なる感覚刺激と発達目標を持っています。つまり「1曲で5種類の発達支援ができる」ということですね。
まず①の腰を左右に揺らす動作は、股関節の可動域を広げる運動です。赤ちゃんの足をそっと持ち、膝が広がらないように曲げながらゆっくり左右に動かすことで、股関節まわりの筋肉が刺激されます。この運動が、のちの寝返り・ずりばい・はいはいにつながる運動機能の基礎を作るとされています。さらにお腹にも振動が伝わるため、腸の動きを促し便秘解消の効果もあると言われています。赤ちゃんの便秘は保護者からの相談が多い悩みのひとつ。遊びながら自然に解消できると一石二鳥です。
②の指先でツンツン刺激する「点の刺激」は、皮膚感覚の発達を促します。③の手のひら全体で撫でる「面の刺激」は、包まれるような安心感を与えます。④のトントンは「線の刺激」として体の部位の認識につながります。これら3種類の刺激を1曲の中で連続して体験することが、感覚統合(さまざまな感覚情報を脳で整理する力)の発達を促すと考えられています。
最後の⑤のこちょこちょは、期待感と笑いの発生が目的です。何度か遊ぶうちに、「いただきます」と言っただけでまだ触れていないのに笑い出す赤ちゃんが出てきます。これは「この後どうなるか」を予測する認知能力が芽生えている証拠です。意外ですね。
さらに、スキンシップを通じて分泌されるオキシトシン(愛情ホルモン)の効果も見逃せません。花王のメリーズが公開している情報によれば、オキシトシンは赤ちゃんだけでなく触れている大人側でも分泌が高まり、親子双方がリラックスして愛着関係を深める効果があるとされています。つまり保育士自身のストレス軽減にも貢献できるということです。
花王 メリーズ:愛情ホルモン「オキシトシン」の効果について(子育て支援情報)
以下の表に5つのパートの発達効果をまとめました。
| パート | 刺激の種類 | 主な発達効果 |
|---|---|---|
| ①腰を揺らす | 固有覚・前庭覚 | 股関節運動・便秘解消・寝返り促進 |
| ②ツンツン | 点の皮膚刺激 | 触覚発達・笑顔反応 |
| ③手のひらで撫でる | 面の皮膚刺激 | 安心感・オキシトシン分泌 |
| ④トントン | 線の皮膚刺激 | 身体認識・感覚統合 |
| ⑤こちょこちょ | 複合刺激+期待感 | 予測認知・情動発達・笑いの促進 |
「きゅうりの歌」の月齢別遊び方と保育のねらい
「きゅうりができた」は0歳児から2歳児まで対象年齢が広い、珍しいふれあい遊びです。月齢によって遊び方を調整することが必要です。月齢に合わせた対応が基本です。
🍼 0歳の低月齢(首すわり前)の場合
首がすわっていない赤ちゃんに無理な体位をとらせることは絶対に避けてください。①の腰を揺らすパートは、足を持って優しく左右にゆらゆらするだけにとどめましょう。掛川市が公開している遊び方資料にも「ねんねの赤ちゃんは抱っこで揺らしてあげましょう」と明記されています。仰向けに寝かせたまま全てのパートを行えるのがこの遊びの大きな強みです。
👶 0歳後半〜1歳(首すわり後〜自由に動き出す前)
この時期が「きゅうりができた」のいちばんの適齢期と言えます。膝が広がらないように足を曲げて持ち、腰から左右にゆっくり動かす本来の動作が安全に行えます。こちょこちょに期待して「いただきます」のしぐさだけで笑い出すようになるのもこの時期です。
🚶 1〜2歳(歩きはじめ〜)
この月齢になると向かい合って座った状態で遊んだり、うつ伏せで寝た状態で遊んだりとバリエーションが広がります。子ども自身が保育士の膝の上に乗ってくるようになるなど、遊びへの能動的な参加が見られるようになります。2歳頃には「きゅうりになりたい!」とリクエストしてくる子も出てきます。
保育指導案に書く「ねらい」の例文
月案・週案を作成するときに活用できます。ほいくisなどの専門サイトでも紹介されているねらいを参考に、現場に合わせて以下のように記載すると具体的です。
- 保育者とのスキンシップを通じて安心感や愛着関係を育む
- 繰り返しのリズムの中で期待感や見通し感を持つ楽しさを知る
- 股関節・皮膚感覚へのアプローチを通じて運動機能・感覚機能の発達を促す
- 笑顔や声などの豊かな感情表現を引き出す
指導案への組み込み方で迷ったときは、ほいくisが公開している「ふれあい遊び」の解説ページも参考になります。
「きゅうりの歌」を安全に行うための保育士向け注意点
ふれあい遊びは直接体に触れる遊びです。楽しいだけでは不十分で、安全への配慮が必須です。
最も重要な注意点は関節を持たないことです。手や足を持つとき、手首・肘・膝・足首といった関節部分を掴んでしまうと、脱臼や捻挫のリスクがあります。必ず関節の上下の骨の部分、または手のひら・足のひらを優しく包むように触れてください。関節は持たない、これが原則です。
次に力加減です。「きゅうりができた」の動作はすべて、大人の感覚でいえば「触れているかどうかギリギリわかる程度」の軽さが目安です。③の板ずりや④のトントンも、実際に野菜を調理するような力で行ってはいけません。自分の眼の周りを触るくらいのやさしさが適切です。
タイミングも見逃せません。赤ちゃんの機嫌が良い時間帯を選ぶことが基本です。授乳直後の満腹状態や、眠くてぐずっているときは避けましょう。ただし、軽いぐずりには遊びかけることで泣き止むケースもあります。嫌がって泣き出した場合はすぐに止めることが大切で、無理に続けると触れることへの嫌悪感を植え付けてしまうリスクがあります。
保育者の声かけについても丁寧に行ってください。「きゅうりさん、おいしくなあれ〜」などのやわらかい声かけは、視覚情報よりも先に音声で赤ちゃんに安心感を与えます。始める前・遊んでいる途中・終わった後と、常に目を合わせながら話しかけることが、愛着関係の構築という本来のねらいを実現するために不可欠です。
以下に保育現場ですぐ使えるチェックリストをまとめました。
- ✅ 首がすわっているかを確認する(首すわり前は抱っこのまま軽く揺らすだけ)
- ✅ 関節ではなく骨や手のひら・足のひらを持つ
- ✅ 力加減は「目の周りを触るくらい」の優しさで
- ✅ 赤ちゃんの機嫌がいい時間を選ぶ(授乳直後・眠そうなときは避ける)
- ✅ 始める前に必ず「遊ぼうね」と声かけをする
- ✅ 嫌がったら即座に止める(続けるとスキンシップ嫌いになるリスクあり)
- ✅ 常に目を合わせながら行う
「きゅうりの歌」を保護者支援・保育参観に活かす独自視点
「きゅうりができた」の活用は保育室の中だけではありません。この遊びを保護者に正しく伝えることが、保育士としての専門性を示す絶好の機会になります。保護者への情報提供が条件です。
保育参観や懇談会で実演する際には、「きゅうりができた」は単なる歌遊びではなく、股関節の運動・便秘解消・感覚統合・オキシトシン分泌という4つの発達支援を同時に行っている遊びだと、根拠を持って伝えることができます。「ただ楽しいだけの歌」と思っていた保護者が「こんな意味があったんですね!」と驚くことは珍しくありません。
特に育児に自信をなくしているお父さんには、この遊びが入口として効果的です。「歌いながらお腹をトントンするだけ」という分かりやすいタスクから始められるため、赤ちゃんへの関わり方に迷っている親にとってはっきりしたゴールが見えます。「パパにもできた」という体験が、育児参加への自信につながっていきます。
また、保護者への「お便り」や掲示物として遊び方を紹介する際は、大阪市が配布しているPDF資料のような図解付きのものを参考に、シンプルにまとめると効果的です。ポイントは「遊び方の手順」よりも「この遊びがなぜ子どもにいいのか」を一言添えることです。それだけで保護者の実施率がぐっと変わります。
子育て支援センターでこの遊びを紹介する機会がある保育士は、月齢が違う複数の赤ちゃんが同席していても全員が楽しめる点を強調してください。0ヶ月から2歳まで遊び方を変えれば同じ曲で対応できるため、異なる月齢の親子が集まる場面でも使い勝手が抜群です。
保育士としてふれあい遊びの理論的背景をさらに深めたい場合は、特定非営利活動法人・芸術と遊び協会が開講しているWeb講座が役立ちます。未満児向けのふれあい遊びを体系的に学べる内容で、指導案作成や保護者対応にも応用できます。
芸術と遊び協会:あかちゃんとのふれあい遊びWeb講座(保育者向け)
「きゅうりができた」は1分もかからない遊びです。それでいて赤ちゃんに複数の発達刺激を届け、保育者や保護者との愛着関係を育み、便秘解消まで期待できます。道具も準備も不要です。まさに保育士の手の中にある最強のツールと言えるでしょう。


