行進曲有名吹奏楽曲を保育士が選ぶ運動会完全ガイド

行進曲の有名な吹奏楽を保育士が活用する完全ガイド

運動会の入退場で行進曲を選ぼうとして、「どれが子どもに合っているか」「どの曲が盛り上がるか」と悩んだことはないでしょうか。

🎺 この記事でわかること
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世界三大行進曲をはじめとした有名曲を厳選紹介

スーザの「星条旗よ永遠なれ」から日本の吹奏楽コンクール人気曲まで、保育現場で役立つ情報を掲載。

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運動会・マーチング選曲のポイント

子どもの年齢別に最適なテンポや難易度を解説。保育士がすぐ使える選曲基準を紹介します。

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運動会動画のSNS投稿と著作権の注意点

知らないと動画が削除されることも。保育園行事の動画配信で必ず確認すべき著作権ルールを解説。

行進曲とは何か?吹奏楽との深い関係

 

行進曲(マーチ)とは、元来「軍隊が一定のリズムで歩くための音楽」として生まれた楽曲ジャンルです。その起源はルネサンス期のヨーロッパにまで遡りますが、現代私たちが「マーチ」と聞いてすぐ思い浮かべるスタイルは、19世紀後半のブラスバンド・吹奏楽の発展とともに確立されました。

吹奏楽との関係は切っても切れません。管楽器と打楽器のみで構成される吹奏楽のアンサンブルは、野外での行進に向いた音量・音色を持っており、行進曲の本来の目的と完全に一致します。つまり、行進曲は「吹奏楽のために生まれたジャンル」といっても過言ではないのです。

拍子についても整理しておきましょう。行進曲の多くは 2/4拍子、または 4/4拍子(カットタイム) で書かれており、「一歩・一歩」のリズムが刻みやすい構造になっています。1分間に約120拍(歩)がマーチの標準テンポとされており、これは健康な成人がしっかりした歩調で歩くペースとほぼ一致します。子どもは足が短い分、やや速く感じることもありますが、保育園でのマーチングでは、少しテンポを落として練習させるのが基本です。

行進曲の構成は「主題(1st テーマ)→ 副主題 → トリオ(中間部)」というパターンが多く、トリオで曲調が落ち着いてから再び盛り上がるという流れが、聴く人に「ドラマ性」を感じさせます。これが運動会で行進曲が使われ続ける理由のひとつでもあります。

つまり吹奏楽と行進曲は「ベストパートナー」です。

海上自衛隊東京音楽隊による「行進曲・軍艦」の解説(世界三大行進曲の一つとしての位置づけを詳述)

行進曲の有名曲ランキング:吹奏楽の定番を厳選紹介

保育士として「行進曲といえば?」を整理しておくと、子どもへの説明や保護者への選曲報告がスムーズになります。ここでは吹奏楽の現場でとくに演奏頻度の高い有名曲を中心に紹介します。

まず「世界三大行進曲」は必ず押さえておきましょう。三大行進曲とは以下の3曲です。

曲名 作曲者 特徴
⭐ 星条旗よ永遠なれ J.P.スーザ 🇺🇸 アメリカ 1997年にアメリカ公式行進曲に制定。演奏会アンコールの定番。
⭐ 旧友(Alte Kameraden) カール・タイケ 🇩🇪 ドイツ ドイツ陸軍の伝統的な行進曲。堂々とした音楽が特徴。
⭐ 軍艦行進曲 瀬戸口藤吉 🇯🇵 日本 日本を代表するマーチ。現在もパチンコ店のBGMとして有名。

次に、保育現場でなじみが深い代表的な吹奏楽行進曲を確認しましょう。

  • 🎺 トランペット吹きの休日(ルロイ・アンダーソン):運動会BGMの王道。3本のトランペットが主役のかっこいい曲。徒競走やリレーでの使用頻度が特に高い。
  • 🎺 ラデツキー行進曲(ヨハン・シュトラウス1世):ウィーン・ニューイヤーコンサートでおなじみ。会場が一体になる手拍子付きの演奏が有名。
  • 🎺 76本のトロンボーンミュージカル「ミュージック・マン」の名曲。テンションが高く、アンコール向けとしても演奏されることが多い。
  • 🎺 アルセナール(ヤン・ヴァンデルロースト):吹奏楽マーチランキング上位の常連。感情的なメロディが印象的なコンサートマーチ。
  • 🎺 五月の風(真島俊夫):日本の吹奏楽コンクール課題曲の名作。爽やかで聴きやすいため、保育園でも取り入れやすい。

これは使えそうです。

「トランペット吹きの休日」のタイトルは日本語訳ですが、原題は「Bugler’s Holiday(ビューグラーの休日)」です。「bugle(ビューグル)」は軍隊用の信号ラッパのことで、起床・食事・消灯の合図を毎日吹くビューグラーたちが休日に自由に演奏する様子をアンダーソンが想像して作ったとされています。曲調が「休日とは思えないほど忙しい」ことから、「ブラック企業の休暇」とも笑って揶揄されることがある名曲です。

保育士向けの選曲として確認しておきたいのは「テンポ」です。

  • ⚡ テンポが速すぎる曲(例:トランペット吹きの休日)は3〜4歳児には難しいことがある
  • 🌸 ラデツキー行進曲はテンポに余裕があるため、年少クラスの入場行進にも使いやすい
  • 🎵 アンパンマンのマーチなど、子どもになじみのあるポップス系行進曲も選択肢に入れると良い

吹奏楽専門サイト「スイバカ」によるマーチ名曲ランキングベスト10(各曲の特徴と演奏ポイントを詳解)

行進曲の吹奏楽演奏で知っておきたい「世界三大行進曲」の意外な由来

「世界三大行進曲」という呼称は、音楽の教科書に書かれているほどの定番知識ですが、各曲の誕生背景を知ると、子どもたちへの音楽指導がぐっと豊かになります。これが意外と知られていない。

「星条旗よ永遠なれ」の誕生秘話

1896年、スーザは妻とヨーロッパを旅行中でした。その旅先で、長年信頼していた楽団マネージャーの訃報が届きます。急ぎ帰国する船の甲板に立ったスーザは、帰国の想い・愛国心・悲しみが入り混じった感情の中でこの行進曲のメロディを思い浮かべたと伝えられています。翌1897年に出版され、のちの1987年には正式にアメリカ合衆国の「公式行進曲」に制定されました。

作曲から実に約100年後に公式認定されたことになります。

さらに興味深いのは、この曲がかつてアメリカのサーカスで「非常事態を知らせる合図」として使われていたという話です。観客がパニックにならないよう楽団が目立たず演奏し始め、裏方に緊急を知らせる隠れコードだったとされており、現代の私たちが運動会で晴れやかに聴く印象とはかなりギャップがあります。

「旧友(Alte Kameraden)」の背景

ドイツのカール・タイケが作曲したこの曲は、戦場で亡くなった戦友への哀悼と、それでも力強く歩み続ける兵士の意志を表現したものとされています。日本では比較的知名度が低いものの、吹奏楽コンクールや自衛隊演奏会では欠かせない1曲です。

「軍艦行進曲」が日本で愛される理由

瀬戸口藤吉が作曲した「軍艦行進曲」は、明治時代の海軍軍歌を起源とします。パチンコ店や闘牛場のBGMとして定着しているため、その印象が先行しがちですが、吹奏楽作品としての完成度は非常に高く、国際的な吹奏楽の場でも日本の誇りとして演奏されています。世界三大行進曲の中で唯一のアジア発の作品であることも覚えておくと良いでしょう。

世界の民謡・童謡データベースによる「星条旗よ永遠なれ」の解説(作曲経緯・公式行進曲制定の歴史を掲載)

行進曲を吹奏楽で活用!保育園マーチングの選曲と指導の実践ポイント

保育士にとって行進曲は「演奏して楽しむもの」だけでなく、「子どもたちに経験させる教育活動の道具」です。選曲を間違えると練習が苦痛になり、本番直前に崩れてしまうことも少なくありません。選曲が9割、といっても言い過ぎではないでしょう。

年齢・クラス別の選曲指針

年齢 おすすめの行進曲タイプ 具体例
2〜3歳児(0・1・2歳) ゆっくりめ・知っている曲 アンパンマンのマーチ、ぼよよん行進曲
3〜4歳児(年少) テンポ適度・親しみやすいメロディ ミッキーマウスマーチ、さんぽ
4〜5歳児(年中) 少しテンポがある・構成がシンプル ラデツキー行進曲、げんきげんきマーチ
5〜6歳児(年長) 本格的な行進曲・感動的な仕上がり トランペット吹きの休日、五月の風

保育士が意識したい「テンポ選びの基準」

一般的な行進曲のテンポは1分間に120拍前後ですが、4歳以下の子どもにこのテンポで行進させると足がついていかず、転倒やバラバラな動きにつながりやすいです。練習では80〜90拍に落とすか、CDをゆっくり再生できる機器を使うのが現実的な対処法です。

最近はタブレットアプリ「Metronomerous(メトロノーマス)」や「Tempo」などのBPM調整機能付きアプリを使えば、元のピッチを変えずにテンポだけ変えて練習できます。アプリで練習テンポを設定するのが一番手軽です。

マーチング指導で絶対外してはいけない3原則

  • 🥁 まず「リズムを口ずさむ」ことから始める:楽器より先に体でリズムを理解させる
  • 🥁 「保育士の指示に必ず従う」習慣をつける:マーチングは集団行動のため、バラバラな判断が禁物
  • 🥁 「短い単位で繰り返す」練習を徹底する:1曲まるごとではなく、8小節単位で完璧にしてから次へ

楽器の種類についても注意が必要です。保育園のマーチングでよく使われるのは太鼓(バスドラム・スネアドラム)・鍵盤打楽器(木琴・鉄琴)・ベルリラ(グロッケン)・ポンポンなどです。すべての子どもが同じ楽器を担当するわけではなく、「動きを見せる役」「音を鳴らす役」に分けて構成する保育園も多くあります。

保育士向けブログ「ふなべん」による保育園マーチング18選(年齢別選曲・指導のコツを詳述)

運動会の行進曲動画をSNSにあげると削除されることがある著作権の落とし穴

運動会の入退場で吹奏楽の行進曲が流れる中、子どもたちが行進する姿をスマホで撮影し、そのままYouTubeや限定公開でアップロードしたことはありませんか。実は、それが原因で動画が削除されたり、チャンネルに著作権警告(著作権ストライク)が記録される事例は全国で報告されています。「家族に見せるだけだから大丈夫」は危険な思い込みです。

運動会での演奏そのものは問題ない

まず正確に理解しておきたいのは、「保育園や学校の運動会で吹奏楽の行進曲を演奏したり、CDを流したりすること」については、著作権法第38条(営利を目的としない上演・演奏等)の要件を満たせば著作権者の許諾は不要だということです。営利目的でない・入場料を取らない・演奏者に報酬が発生しない、という3条件が揃えば演奏は適法です。

法律の条文は複雑ですが、運動会で曲を流すのは問題なし、と覚えておけばOKです。

問題になるのは「動画配信・録画・SNS投稿」

一方で、その運動会を撮影した動画をYouTubeやInstagramなどにアップロードすると話が変わります。動画の中に著作権のある音楽が入っている場合、それは「複製権」や「公衆送信権」の問題が生じます。限定公開設定でもYouTubeは著作権楽曲を自動検知する「Content ID」システムを持っているため、音楽が入った運動会動画がヒットして削除やミュート処理の対象になることがあります。

実際にYouTubeのサポートコミュニティでも「子供の運動会をアップしたら著作権により削除された」という投稿が複数確認されています。限定公開でも削除された事例があります。

保育園としての安全な対応策

  • 📹 動画を保護者に渡す場合は、DVDや限定URLの専用サービス(例:fotowa、ハピクルなど)を使用し、外部公開しない形をとる
  • 📹 著作権フリーの吹奏楽行進曲音源(例:Musica Ficta、Freesound)を使用することで配信リスクをゼロにできる
  • 📹 JASRACやNexToneが管理していない曲(作曲者没後70年以上経過したパブリックドメイン曲)を選べばSNS投稿も安全

たとえばラデツキー行進曲(ヨハン・シュトラウス1世、1849年没)やワシントン・ポスト(スーザ、1932年没)は著作権の保護期間が日本では作者の没後70年間であることから、いずれも現在はパブリックドメインです。ただし「演奏した録音」には別途演奏者の隣接権が発生するため、市販CDの音源をそのまま使う場合は注意が必要です。著作権フリーの行進曲音源を使うのが最も確実な方法と言えます。

JASRAC公式「学校でのクラブ活動と著作権」(非営利・無償演奏の適法条件をわかりやすく解説)

行進曲・吹奏楽曲を保育士が子どもの音楽感受性を育てる場面で活かす独自視点

多くの保育士向け記事では「どの曲を選ぶか」という選曲情報が中心ですが、じつは行進曲を「子どもの音楽感受性を育てる体験」として使う切り口はほとんど語られていません。ここでは保育の現場でそのまま使える、少し違う視点での活用法を紹介します。

「マーチの構造」を子どもに体験させる

行進曲には「Aメロ→Bメロ→トリオ(ゆったりした中間部)→Aメロ」という繰り返しの構造があります。この構造を「声で歌う→手拍子→行進」という段階的な体験に変えると、子どもは曲の変化に気づき、「ここで雰囲気が変わった!」という感受性を自然に育てることができます。

これは音楽教育のなかで「形式感(フォーム感)」と呼ばれる力であり、小学校音楽の学習指導要領でも大切にされている素地です。保育園で行進曲を使うことは、単なる運動会の準備ではなく、「小学校音楽への接続」という意義も持っています。

吹奏楽の楽器紹介と行進曲を組み合わせる

年長クラスでは、行進曲を聴かせながら「この音は何の楽器?」というクイズ形式の活動を組み込めます。トランペット吹きの休日なら「3本のトランペット」、ラデツキー行進曲なら「シンバルの手拍子のタイミング」などに注目させると、楽器への興味が自然と高まります。

吹奏楽は管楽器・打楽器合わせて20〜50人規模の演奏団体であり、「誰かが休んでも曲が成立するのではなく、全員の音が合わさってひとつの音楽になる」という集団性を子どもたちに伝えられます。これはクラスでのチームワークを育てる言葉にも自然につながります。

保護者を巻き込む「行進曲クイズ」の提案

運動会当日に使う行進曲を、事前に「曲名クイズ」として園だよりやクラスだよりで紹介するというアイデアがあります。「今年の行進曲はアメリカ生まれの曲です!1897年に発表されて約130年後の今もみんなが大好き!」という形で情報を出すと、保護者も関心を持って運動会に臨んでくれます。

行進曲を「ただ流れている音楽」から「ストーリーのある音楽」に変えるだけで、保育士としての専門性が保護者に伝わります。

つまり「行進曲の知識=保育の質向上に直結する」ということです。

  • 🎵 「トランペット吹きの休日」→「休日なのにすごく忙しそうな音楽だね、なんで?」と問いかけると子どもが考える
  • 🎵 「ラデツキー行進曲」→「手をたたいてもいいよ」と伝えるだけで、子どもが自然に体を動かす
  • 🎵 「星条旗よ永遠なれ」→「アメリカのマーチ王という人が船の上で作った曲だよ」と伝えると物語として印象に残る

行進曲は「子どもを整列・行進させるための道具」だけではありません。曲の持つ物語・構造・楽器の個性を保育の文脈に結びつけることで、保育の時間全体が豊かな音楽体験になります。保育士自身が行進曲の面白さを知っていることが、子どもへの熱量ある指導につながるという好循環を生み出します。

WEBマガジン「ららら♪クラブ」による吹奏楽名曲5選(星条旗よ永遠なれをはじめとした吹奏楽名曲の歴史背景を詳解)

トルコ行進曲〜サイ・プレイズ・モーツァルト