木曽節の歌詞の意味と保育での活かし方を徹底解説
「ナンジャラホイ」は意味のない囃子詞ではなく、サンスクリット語で「盆踊り」を意味する説がある。
木曽節の歌詞の全文と基本的な意味を知ろう
木曽節は、長野県木曽地域に伝わる民謡で、盆踊り唄として全国的に知られています。歌詞の構造は「7・7・7・5調」というリズムが基本で、そこに「なかのりさん」「ナンジャラホイ」「ヨイヨイヨイ」という独特の言葉が繰り返し入ります。
まず代表的な歌詞(一番・二番)を確認しましょう。
| 歌詞 | 現代語訳(意味) |
|---|---|
| 木曽のナー なかのりさん 木曽の御嶽さんは ナンジャラホイ 夏でも寒い ヨイヨイヨイ |
木曽の御嶽山は、夏でも冷え込むほど標高が高い山です。(中乗りさん=筏師に語りかけている) |
| 袷ょ(あわしょ)ナー なかのりさん 袷ょやりたや ナンジャラホイ 足袋もそえて ヨイヨイヨイ |
寒い中で働く筏師に、裏地付きの袷(防寒着)を贈ってあげたい。足袋も一緒に添えて。 |
| 心ナー なかのりさん 心細いよ ナンジャラホイ 木曽路の旅は ヨイヨイヨイ |
山深い木曽路の旅は、心細くなるほど険しい道のりです。 |
| 笠にナー なかのりさん 笠に木の葉が ナンジャラホイ 舞いかかる ヨイヨイヨイ |
旅笠の上に木の葉がひらひらと舞い落ちてくる、木曽路の情景。 |
歌詞全体を通じて感じられるのは、林業と川の仕事で生きる人々への温かいまなざしです。つまり、労働者への共感と思いやりが歌の根底にあります。
保育士として子どもにこの歌を教えるとき、「むかしのお仕事の歌だよ」と一言添えるだけで、子どもの理解が大きく変わります。歌詞が「絵」として頭に浮かびやすくなるからです。
※「なかのりさん」や「ナンジャラホイ」の意味・由来について詳しく解説されています。
木曽節の「なかのりさん」の意味を子どもにわかりやすく説明する方法
「なかのりさん」は木曽節の歌詞の中で何度も登場しますが、その意味については3つの説があります。
- 🪵 【最有力説】筏師説:木曽川で丸太を筏に組んで川を下った運搬人のうち、筏の「真ん中に乗る人」を「中乗り」と呼んだという説。先頭は「舳乗り(へのり)」、後ろは「艫乗り(とものり)」。
- 🐴 馬の鞍の説:昔、馬に「三宝荒神」という特殊な鞍を置き、その中央に乗る人を「中乗りさん」と呼んだという説。
- ⛩️ 御岳教の祭司説:木曽御嶽山の「御岳教」において、神のお告げを信者に伝える「中座(なかざ)」と呼ばれる人物を指すという説。
一般的に広く認められているのは最初の筏師説です。木曽山林の木材は、切り出した後に木曽川に流して運ばれていました。筏を巧みに操りながら急流を下る筏師の姿は、当時の人々にとって身近なヒーロー的な存在だったとも言えます。
子どもへの説明としては、「むかし、大きな木を川に浮かべて流していた人たちのお話だよ。いかだの真ん中に乗って、川を下っていたんだよ」と伝えると想像しやすくなります。これは使えそうです。
保育の場で視覚的に補足したい場合、いかだに乗っている人のイラストを見せながら話すと効果的です。「筏(いかだ)って何?」という疑問から、水や木に関心を広げる導入にもなります。
※木曽の筏師と木曽檜の歴史について、日本遺産の視点から詳しく解説されています。
木曽節のナンジャラホイの意味と3つの有力な説
「ナンジャラホイ」は、木曽節を歌ったことがある保育士なら誰もが気になるフレーズではないでしょうか。意外ですね。この言葉には、単なる掛け声以上の深い背景があります。
現在、「ナンジャラホイ」の意味については主に3つの説が知られています。
- 🎶 掛け声説:「なんじゃやらホイ」という掛け声が縮まったもので、特定の意味はなく歌のリズムを整えるための囃子詞であるという説。
- 🕉️ 梵語(サンスクリット語)説:「ナムチャラホイ」という梵語に由来し、「盆踊り」を意味するという説。「お盆(盂蘭盆)」「達磨」「旦那」など、日本語にはサンスクリット語由来の言葉が実は数多く存在します。
- ✡️ ヘブライ語説:「ナン(楽しむ)」「ジャラ(喜ぶ)」「ホイ(感嘆)」という3つのヘブライ語の組み合わせで、「ああ、喜び楽しもう!」という意味になるという説。御嶽山を登る修験者が、神への感謝と期待を込めて唱えた祈りの言葉とも言われています。
どの説が正しいかは現時点で確定していませんが、「ただの意味のない掛け声」ではないかもしれないという点が、この民謡の奥深さを示しています。つまり、何百年もの間、人々が思いを込めて歌い継いできた言葉です。
子どもたちへの伝え方としては、「むかしの人が楽しいな、うれしいなという気持ちを込めて言っていた言葉だよ」と教えると、歌う際の表情や声のトーンが変わります。意味を知ってから歌うと、子どもたちも「ナンジャラホイ!」と元気よく声を出しやすくなります。
※ナンジャラホイのヘブライ語説や、御嶽山信仰との関係について詳しく書かれています。
木曽節の歴史と木曽踊りの起源を保育士が知っておくべき理由
木曽節の歴史は、平安時代末期にまでさかのぼるとも言われています。歴史は長いということです。木曽踊りの起源については諸説ありますが、源義仲(木曽義仲)の供養のために鎧兜姿で踊った「武者踊り」が発祥とする説が広く知られています。
室町時代の記録にもその存在が確認されており、その後、江戸末期から明治にかけて林業従事者や旅人が歌い広めていく中で、現在の木曽節の形ができていきました。大正7年(1918年)には当時の福島町長・伊東淳氏が「木曽踊保存会」を設立し、地域ごとにバラバラだった歌詞を整理・統一しました。この保存会設立から約100年が経った今も、「正調木曽節」として受け継がれています。
注目すべきは、御嶽山信仰との深い結びつきです。木曽節には「御嶽山」が繰り返し登場しますが、これは単なる地名ではありません。御嶽山は古来より霊峰として崇められ、修験道の修行の場でもありました。歌の中に山への畏敬の念が自然と込められているのです。
また、木曽節は「最も簡単な踊りと、最も難しい唄」と表現されることがある点も特徴的です。踊りの動きは12の動作を繰り返すシンプルなものですが、唄の節回しは高旋律で非常に難しいとされています。保育の盆踊りで使う場合は、「音頭取り(リード役)」と「後付け(全員で歌う部分)」に役割を分けると子どもたちも参加しやすくなります。
※木曽踊保存会による公式解説。木曽節の歴史、伊東淳氏の取り組み、踊りの特徴が詳述されています。
木曽節の歌詞の中に登場する「木曽の五木」と自然への敬意を保育で伝える
木曽節の歌詞の中には、木曽の自然を讃える内容も含まれています。特に注目したいのが「木曽の名木 ヒノキにサワラ」という一節で、これは「木曽の五木」と呼ばれる木々を指しています。
木曽の五木とは、以下の5種の樹木のことです。
- 🌲 ヒノキ(檜):最高級木材として名高く、法隆寺などの建築にも使われてきた木曽の象徴。
- 🌲 サワラ(椹):軽く水に強い木材で、桶や盥(たらい)などの生活道具に使われてきた。
- 🌲 ネズコ(翌檜):「あすなろ」とも呼ばれ、木曽の山岳地帯に自生する針葉樹。
- 🌲 アスヒ(翌檜):ヒノキに次ぐ良材として知られ、工芸品にも多用。
- 🌲 コウヤマキ(高野槙):仏事や神事に欠かせない神聖な木として扱われてきた。
この五木は江戸時代、宝永5年(1708年)以降に幕府によって伐採が厳禁とされました。「生一本首一つ」という言葉のとおり、無断で1本でも伐れば命をもって償うという厳しい制度が敷かれていたのです。これは森林資源を守るための、当時としては非常に先進的な環境保護政策でした。
保育の現場でこの話を活かすとしたら、「むかしの人は木を大切にしていた」「ひとつひとつの木に名前がある」という話題を導入にして、秋の自然観察や製作活動につなげることができます。木の葉や松ぼっくりを集める活動の前に、「木曽節に出てくる木があるかな?」と問いかけてみると、子どもたちの好奇心が広がります。
歌の中に自然への敬意が込められているということです。歌詞の意味を知ってから踊ると、子どもたちも木や山に対して親しみを感じやすくなります。
※木曽の五木の解説や歌詞の詳細な背景が記述されています。
保育士が木曽節の歌詞の意味を使って盆踊り指導を成功させる実践ポイント
保育の盆踊りで木曽節を使う際、多くの保育士が「歌詞の意味をどこまで説明すればいいか」で迷うことがあります。どの部分を伝えるかが条件です。年齢別に整理すると、以下のように考えると指導がスムーズになります。
| 年齢の目安 | 伝えるべき内容のポイント | おすすめの声がけ例 |
|---|---|---|
| 3歳児(年少) | 「ナンジャラホイ」「ヨイヨイヨイ」の掛け声を楽しむことを最優先に。 | 「ナンジャラホイって大きな声で言えるかな?」 |
| 4歳児(年中) | 「なかのりさん=いかだに乗った人」のイメージを絵本やイラストで導入する。 | 「川にいかだを浮かべて、木を運んでいた人たちのお歌だよ」 |
| 5歳児(年長) | 「なぜ夏でも寒いのか」「袷ってどんな服?」など歌詞の背景を少し深掘りする。 | 「高い山には夏でも雪が残ることがあるんだよ。その山の歌だよ」 |
指導の際に意識したいのは、「踊りながら歌う」という民謡本来のスタイルです。木曽節の踊り(木曽踊り)は12の動作を繰り返すシンプルな輪踊りで、振り付けを覚えてしまえば誰でも参加できます。保育士自身が「ヨイヨイヨイ!」と楽しそうに声を出すことが、子どもが乗ってくる一番の鍵です。
また、保護者への説明の場でも歌詞の背景知識は役立ちます。「この歌はね、木曽の筏師という職人さんへの愛情が込められた歌で、御嶽山への信仰とも深く関わっているんですよ」と一言添えるだけで、保護者の関心度が大きく変わります。これは使えそうです。
歌詞の意味を知った保育士が伝えた盆踊りと、何も知らないまま振り付けだけ教えた盆踊りでは、子どもたちの歌への向き合い方が違ってきます。背景にある物語や人の営みを「知っている大人」が一緒に踊ることで、日本の民謡が単なる「行事の曲」ではなく、文化として子どもの心に根付いていきます。これが原則です。
※木曽踊りの振り付けの特徴や、唄の形式(音頭取り・後付け)について公式情報が確認できます。


