きんたろう 歌の歌詞・意味・保育活用ガイド
「きんたろう」の歌を保育で使うとき、歌詞の意味をきちんと説明できない保育士は子どもの語彙力を7割も伸ばせていません。
きんたろう 歌の歌詞全文と各フレーズの意味
「きんたろう」の歌は、作詞・石原和三郎、作曲・田村虎蔵のコンビによって明治33年(1900年)に出版された『幼年唱歌』に初めて掲載された唱歌です。いまから120年以上前に生まれた歌が、今日の保育現場でも当たり前のように歌われていることは、それだけこの曲の完成度が高い証拠といえます。
歌詞は2番で構成されており、非常にシンプルにまとめられています。
| 番号 | 歌詞 |
|---|---|
| 1番 | まさかりかついで きんたろう くまにまたがり おうまのけいこ ハイ シィ ドウ ドウ ハイ ドウ ドウ |
| 2番 | あしがらやまの やまおくで けだものあつめて すもうのけいこ ハッケヨイヨイ ノコッタ |
各フレーズに含まれる言葉は現代の子どもにとって馴染みが薄いものが多く、保育士が丁寧に解説することで語彙力の習得に直結します。これが基本です。
まさかりとは、木を切ったり薪を割ったりするための大型の斧のことです。昔は武器としても使われていました。現代の子どもの生活ではほとんど見かけない道具ですが、「大きくて重い斧」として絵本やフラッシュカードで視覚的に見せると理解しやすくなります。
ハイシィ ドウ ドウは、馬や牛を動かすときの掛け声です。「ハイシィ」が「進め」を意味し、「ドウ ドウ」が「落ち着け・止まれ」を意味します。金太郎が熊の背中に乗って馬の稽古をしているという、ユーモラスな場面が描かれていることを伝えると、子どもたちは一気にイメージをつかんでくれます。
けだものは「毛の物」という語源を持ち、全身が毛に覆われた四足の動物を指す言葉です。意外ですね。実は同じ構造の言葉に「くだもの(木の物)」があり、年長児クラスでは言葉の成り立ちを教える「言葉遊び」のきっかけとして活用できます。
ハッケヨイヨイ ノコッタは大相撲の行司が発する掛け声です。2番では金太郎が足柄山の動物たちを集めて相撲の稽古をしている情景が描かれています。保育活動で「相撲ごっこ」や「押し合いゲーム」に発展させる保育士も多く、身体表現の導入歌として優秀です。
参考:歌詞の意味と金太郎の伝説を詳しく解説したページ
金太郎 歌詞の意味 きんたろう 童謡 唱歌 坂田金時 足柄山 伝説 | WorldFolkSong
きんたろう 歌のモデル・坂田金時の実在エピソード
童謡「きんたろう」のモデルとなった人物が、平安時代の実在の武将・坂田金時(さかたのきんとき)であることを知っている保育士は意外と少なくありません。
坂田金時は源頼光(みなもとのよりみつ)に仕えた四天王の一人で、足柄山を拠点に育ったとされています。静岡県駿東郡小山町の金時神社に伝わる伝説では、天暦10年(956年)5月に生まれたとされており、時代的には1,000年以上前の人物です。東京ドームのグラウンドが約1.3万㎡ですが、金時山(金時山・きんときやま)の標高は1,212mもあり、箱根山の北西に位置する険しい山岳地帯です。こんな山奥で動物と遊びながら育ったというのが伝説の舞台背景になっています。
つまり「きんたろう」は実在人物の幼少期を歌った歌ということです。
成長した金太郎は、源頼光と足柄峠で運命的な出会いを果たし、坂田金時と改名して京に上ります。そして永祚2年(990年)には、頼光らと共に丹波の国で鬼の頭領・酒呑童子を退治したという話が今日まで語り継がれています。
保育現場でこのエピソードを取り上げると、子どもたちは「金太郎が大人になったら英雄になった!」という物語の続きを知ることができます。4〜5歳児は特にこういったストーリーへの関心が高く、「きんたろう」の歌を歌った後に絵本で昔話を読み聞かせするという流れは、非常に効果的な保育活動の組み立て方です。これは使えそうです。
また、「きんたろう」という名前は日本の食文化にも深く根を下ろしています。「金時豆(きんときまめ)」は坂田金時の名前が由来ですし、息子の坂田金平は「きんぴらごぼう」の由来です。給食の時間や食育の場面と「きんたろうの歌」を結びつけると、子どもたちの記憶に残りやすいという嬉しい効果もあります。
参考:坂田金時の伝説と伝承地について詳しく紹介しているページ
日本中に伝承地が残る「金太郎」こと坂田金時とは何者だったのか | 歴史人
きんたろう 歌の手遊び・振り付けと年齢別ねらい
「きんたろう」は2〜5歳の広い年齢層で活用できる手遊び歌です。年齢ごとに振り付けのレベルや保育のねらいを調整することが大切です。
2〜3歳クラスのねらいと振り付け
2〜3歳児にとっての「きんたろう」の手遊びのねらいは、「リズム感の習得」と「模倣遊びの楽しさを体験すること」です。保育士の動きを見て真似することで、目と手の協応動作が育まれます。
振り付けの基本は次のとおりです。
- 「まさかり」:左手のこぶしの上に右手のこぶしを重ねて縦に構える(斧の形)
- 「かついだ」:両こぶしを左肩に乗せ、斧を担ぐ動作をする
- 「きんたろう」:右腕を横に伸ばして力こぶを作り、強さを表現する
- 「くまにまたがり」:手綱を持つ仕草をして馬乗りのポーズをとる
- 「おうまのけいこ」:その場で足踏みしながら馬に乗って進む様子を表現する
- 「ハイシィ ドウ ドウ」:足踏みしながら部屋を歩き回る
- 歌い終わりに向き合った友だちや保育士とジャンケンをして楽しむ
この年齢では「正確な振り付け」よりも「楽しそうな保育士の表情」を追いかけることがメインです。大げさなくらいリアクションを入れて演じる保育士ほど、子どもたちの食いつきがよくなります。
4〜5歳クラスのねらいと振り付けの発展
4〜5歳になると動作の精度が上がり、ルールのある遊びも楽しめるようになります。「きんたろう」の歌では、ジャンケンの勝ち負けというルールを楽しむことで、社会性や協調性のねらいにつながります。
グループで円になって歌いながら歩き、「ハイシィ ドウ ドウ」のタイミングで止まり、向かいの子とジャンケンするというゲーム性を加えると、5歳児でも十分盛り上がります。また、「相撲のけいこ」の2番に合わせて「押し合いゲーム」や「すり足ゲーム」に発展させることも可能です。
手遊び歌が子どもの運動機能・言語・集中力の3つを同時に刺激することは、多くの研究で確認されています。「きんたろう」は特にこの3要素がバランスよく含まれた曲です。
参考:年齢別の手遊び歌の効果と指導法が詳しくまとまっているページ
人気の手遊び歌を年齢別に紹介!子どもと保育士の距離がグッと近くなる | わたしの保育
きんたろう 歌の弾き歌い・ピアノ伴奏のポイント
「きんたろう」は保育士の弾き歌いとしても人気が高い曲です。楽譜はピアノ初級レベルのものが複数販売されており、ピアノ経験が少ない保育士でも取り組みやすい曲として知られています。
曲はニ長調(D major)を基本とする場合が多く、テンポは♩=100〜120程度のいきいきとした速さが子どもたちに響きやすいテンポです。速すぎると歌詞が聞き取りにくくなり、遅すぎると勇ましさが失われてしまいます。これが条件です。
弾き歌いでとくに意識したいのは、1番の「ハイシィ ドウ ドウ」のリズムを崩さないことです。この部分は馬の駆け足を表現したリズムなので、アクセントと音の強弱をはっきりつけるとドラマチックな雰囲気が出ます。2番の「ハッケヨイヨイ ノコッタ」は少しテンポを落として力強く歌うと、相撲の迫力が増して子どもたちが喜びます。
ピアノが苦手な保育士にとっては、まず右手だけで旋律を弾きながら歌うことから始めるのが現実的な第一歩です。その後、左手に和音(C・G・Dm などのブロックコード)を加えていくと伴奏らしさが出てきます。
保育士として求められるピアノの目安は「バイエル修了程度」とされている園が多く、「きんたろう」はそのレベルで十分対応できる難易度の曲です。楽譜はPiascoreやアット・エリーゼなどのデジタル楽譜サービスで入手できるほか、「ポケットいっぱいの歌(教育芸術社)」などの保育向け楽譜集にも掲載されています。
弾き歌いに自信がない場面では、YouTubeなどの動画で子どもと一緒に歌うスタイルを導入として使い、慣れたら徐々に自分で弾き歌いに移行するという方法も現場でよく使われています。つまり「いきなり完璧な演奏を目指さない」という姿勢が長続きの秘訣です。
参考:「きんたろう」のギターコードや移調対応コード表が確認できるページ
きんたろう 歌が持つ「気は優しくて力持ち」という伝承の深い意味【保育士だからこそ知ってほしい独自視点】
「気は優しくて力持ち」という表現は、今日では金太郎のイメージそのものとして定着しています。しかし、このイメージが日本中に広まったのは、この童謡「きんたろう」が明治33年(1900年)に出版されてからのことです。それ以前の金太郎像は、怪力の豪傑というイメージが中心で、「優しさ」は後から付け加えられた側面が強いとされています。意外ですね。
「力強さ」と「優しさ」を両立する人物像は、保育士が子どもたちに伝えたい「人間としての理想像」そのものではないでしょうか。歌の中で金太郎は、くまと相撲をとりながらも仲良く遊んでいます。動物たちと力を競い合いながらも傷つけ合わない。この場面は「競争と共存」というテーマを子どもたちに自然に伝える力を持っています。
保育士がこのテーマを意識して「きんたろう」を歌うと、活動の質が格段に上がります。たとえば「じゃあ、きんたろうはどうして熊に乗ることができたんだろう?」「動物たちはなぜきんたろうの相撲の稽古に集まってきたんだろう?」という問いかけを4〜5歳児にすると、「仲良かったから」「強いから怖いけど優しかったから」という子どもらしい答えが返ってきます。
これはそのまま「友だちとの関わり方」や「力の使い方」という保育の核心テーマにつながります。ただの歌遊びで終わらせず、「道徳的発達」のきっかけとして使えるのが「きんたろう」の大きな強みです。
また、「まさかり(斧)」という武器を持っているにもかかわらず、動物たちを傷つけない金太郎のイメージは、「力を持つことの責任」という非常に深いメッセージを秘めています。これを5歳児クラスで絵本と組み合わせて伝えると、子どもたちが「強い人はどんな人か」を自分なりに考えるきっかけになります。
保育士が120年前の唱歌を「ただ歌う」のではなく、「物語のテーマを子どもと一緒に読み解く」ツールとして使えるようになると、クラスの言語活動の深さが変わります。「きんたろうの歌」はそのための最高の素材のひとつです。
参考:金太郎の文化的背景と「気は優しくて力持ち」というイメージの形成について詳しく解説しているページ


