かたつむりの歌詞を保育士が子どもへ伝える完全ガイド
「かたつむり」の歌詞には、明治時代から変わっていない一節が今も教育現場で歌われており、文科省の唱歌として著作権が消滅しているため保護者への無断配布が法的に問題なく行えます。
かたつむりの歌詞・全文と読み方
「かたつむり」は文部省唱歌として1911年(明治44年)に発表された童謡で、100年以上にわたり日本の保育・教育現場で歌い継がれています。歌詞は全部で2番まであり、1番と2番でそれぞれ異なる問いかけがかたつむりに向けられています。
以下が歌詞の全文です。
- 【1番】でんでんむしむし かたつむり/おまえのあたまは どこにある/つのだせ やりだせ あたまだせ
- 【2番】でんでんむしむし かたつむり/おまえのめだまは どこにある/つのだせ やりだせ めだまだせ
「でんでんむし」はかたつむりの別名で、「でんでん太鼓」の「でんでん」と同じ語源という説があります。つのだせ やりだせ、の「やり」は槍(武器)ではなく、細長く突き出るものを指す言葉です。これが基本です。
「あたまだせ」「めだまだせ」という掛け声は、子どもがリズムに乗りながら体を動かしやすい構成になっています。保育の場では、「つのだせ」のタイミングで両手の人差し指を立てる振り付けが広く使われており、0〜5歳の幅広い年齢層が楽しめる点が特長です。
意外ですね。100年以上前に作られた歌詞が、ほぼ一語一句変わらずに現代の保育現場で使われているのは、それほどシンプルで普遍的な構造だからです。
参考:文部省唱歌の歴史や歌詞の背景を詳しく知りたい場合は国立教育政策研究所の資料が参考になります。
かたつむりの歌詞に登場する「つの」の生き物としての正体
保育士がよく「かたつむりの角は目だよ」と子どもに教えるシーンがあります。これは正しい説明です。かたつむりの頭部には4本の触角があり、長い2本(大触角)の先端に目がついています。短い2本(小触角)は嗅覚に使われています。つまり「つのだせ めだまだせ」は、生物学的にも正確な描写になっています。
大触角の長さは種類によって異なりますが、一般的なニホンマイマイで約1〜1.5cm程度。はがきの短辺(10cm)の約10分の1ほどの長さです。この小さな構造の中に目と神経が集中しています。
- 大触角(長い2本):先端に目がある、光を感知する
- 小触角(短い2本):においを感知する、地面近くの情報収集に使う
- 触角は危険を感じると素早く引っ込む(自己防衛反応)
保育の現場で「なんで引っ込めるの?」と子どもに聞かれたとき、「怖いと思ったら隠れるんだよ」と伝えると、子どもが自分の感情と重ね合わせて理解しやすくなります。これは使えそうです。
かたつむりの体の仕組みを視覚的に見せたい場面では、図鑑アプリ「学研の図鑑LIVE」や「ずかんワールド」などを活用すると、写真や動画で子どもの興味を引き出しやすくなります。事前に確認してから保育に取り入れるのが安心です。
かたつむりの歌詞を使った梅雨の保育活動アイデア
「かたつむり」の歌は梅雨(6月ごろ)の季節テーマと非常に相性がよく、歌・製作・観察を組み合わせた統合的な活動につなげやすい教材です。歌詞の内容を入口にして、子どもの「なんで?」「どうして?」を自然に引き出せます。
以下に年齢別の活用例をまとめました。
- 【0〜1歳】メロディに合わせて保育士が抱っこしながら揺れる、触角を模した指遊びを取り入れる
- 【2〜3歳】紙皿とモールでかたつむりの製作、「つのだせ」で指を立てる簡単な振り付け
- 【4〜5歳】歌詞の意味を問いかけながら一緒に考える、本物のかたつむりの観察記録をつける
本物のかたつむりを観察に使う場合、糞や粘液が手につくことがあります。観察後の手洗いを徹底すること、および広東住血線虫(かんとんじゅうけつせんちゅう)のリスクについて、4歳以上の担当クラスでは保護者へ事前に書面で伝えておくことが推奨されます。これは必須です。
製作活動に使う素材は、100円ショップで手に入るモール・紙皿・絵の具だけでコストを1人あたり50円以下に抑えられます。クラス全員分(20人)でも1,000円以内に収まる計算です。痛いですね、材料費が高くなりがちな製作活動の中では、かなりコスパの良い選択です。
かたつむりの歌詞の意味を子どもに伝える年齢別の言葉かけ
歌詞の言葉をそのまま読み上げるだけでは、2〜3歳の子どもには「でんでんむし」「やり」といった表現が理解しにくいことがあります。保育士が歌詞の言葉を子どものレベルに合わせて言い換えることで、歌の楽しさと理解が同時に深まります。
- 「でんでんむし」→「かたつむりのことだよ、別のよび方なんだ」
- 「つのだせ」→「頭の上のニョキっとしたやつ、出してみて!」
- 「やりだせ」→「とがったもの、ビヨーンって伸ばして!」
- 「めだまだせ」→「目を大きく開けて!」
言葉かけの工夫は年齢によって変える必要があります。2歳クラスでは擬音語(ニョキっと、ビヨーン)を多用すると動きに直結して理解しやすくなります。4〜5歳クラスでは「本当はどういう意味だと思う?」と問いかけ、子ども同士で意見を言い合う時間を設けると言語発達の観点からも効果的です。
これが基本です。「教える」ではなく「一緒に考える」スタイルへの切り替えが、5歳前後の言語発達段階では特に有効です。
言葉の発達段階に関する参考情報は、こども家庭庁の資料や保育所保育指針解説書に詳しく掲載されています。
かたつむりの歌が持つ「問いかけ構造」が子どもの発達に与える独自の影響
多くの童謡が「〇〇だよ」「〇〇しよう」という教示型の歌詞を持つ中、「かたつむり」は「〇〇はどこにある?」「〇〇だせ」という問いかけ・命令型の構造が特徴的です。この構造は、実は認知発達の観点から非常に理にかなっています。
問いかけ型の歌詞は、子どもが「答えを探す」という能動的な思考を促します。「あたまはどこにある?」という問いに対して、子どもは実際にかたつむりの体をイメージし、答えを考えます。どういうことでしょうか?これは単なる暗記型の学習ではなく、探索型の学習が歌の中に組み込まれているということです。
発達心理学の分野では、3〜4歳ごろから「なぜ?」「どこに?」といった疑問詞を使った思考が活性化することが知られています。「かたつむり」の歌詞はまさにこの発達段階にフィットした問いかけを含んでいます。つまり、歌いながら同時に考える訓練になっているのです。
- 問いかけ(「あたまはどこにある?」)→ 子どもが体の部位を考える
- 命令形(「つのだせ」)→ 子どもが動作で応える
- このサイクルが繰り返されることで、聴覚・視覚・運動の3つの感覚が同時に刺激される
保育の場でこの「問いかけ→応答」の流れを意識的に使うと、集団の中で全員が参加しやすい雰囲気が生まれます。一人ひとりが「自分が答えた」という体験を積み重ねることが、自己肯定感の土台づくりにもつながります。いいことですね。
保育活動における「問いかけ型のかかわり」については、保育士向けの専門書『子どもの言葉と思考を育てる保育実践』(仮題)などでも詳しく取り上げられています。テーマ設定と歌の組み合わせを記録しておくことで、自分自身の保育の振り返りにも役立てられます。


