カメレオンの歌みんなのうたを保育士が使い倒すための完全ガイド
「カメレオンの歌」は子ども向けのシンプルな動物ソングだと思っていませんか?実は歌詞に登場する「金色になっちゃった」は感情表現の科学的事実で、保育の色・感情学習に直結する教材です。
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カメレオンの歌みんなのうたの基本情報と作品背景
NHK「みんなのうた」で1984年8〜9月に初放送されたこの曲は、今も保育現場で親しまれる昭和の名曲です。作詞は斉藤明子さん、作曲は大西進さん、編曲はクラシック界でも著名な三枝成章(現・三枝成彰)さんが担当しています。歌っているのは、「ウエディング・ベル」で一世を風靡した3人組女性コーラスグループ「シュガー(Sugar)」です。
シュガーはミキ・クミ・モーリの3人で構成されており、1981年のデビュー曲「ウエディング・ベル」はオリコン週間2位・1982年度年間13位という大ヒットを記録。NHK紅白歌合戦にも出場した人気グループでした。そのシュガーが子ども向け番組に抜擢されたのは、彼女たちの澄んだコーラスと、高低差の激しいメロディを正確に歌いこなす実力が買われたためです。
「カメレオン」は音域が広く、難易度の高い曲です。アニメーションは倉橋達治さんが担当し、月夜の岩の上で舌を伸ばして月に届こうとするカメレオンの姿がユーモラスに描かれています。同じ「みんなのうた」の1984年放送作品には「メトロポリタン美術館」(大貫妙子)なども含まれており、質の高いラインナップの中に位置している曲です。
つまり「カメレオン」は、大人の感性を持つアーティストが手がけた、子ども向けにとどまらない普遍的な作品ということです。
放送から40年以上が経った現在もNHKのみんなのうた公式サイトに掲載され、YouTubeでのカバー動画や再放送への注目が続いています。これは保育現場で使いやすい定番曲として長年認知されてきた証でもあります。
参考:NHKみんなのうた「カメレオン」公式ページ(作詞・作曲・編曲・歌い手の基本情報が確認できます)
https://www.nhk.or.jp/minna/songs/MIN198408_03/
カメレオンの歌みんなのうたの歌詞の意味を3段階で読み解く
この曲の歌詞は3番構成で、1つのストーリーとして完結しています。子どもが聴いても「楽しい動物のお話」として受け取れる一方、大人が読むと「諦めない姿勢と現実の受け入れ」という人生的なテーマが見えてきます。
1番は、月夜の岩の上に座った緑色のカメレオンが「お月さまを食べたい」と空を見上げ、長い舌を精いっぱい伸ばす場面です。どんなに舌を出しても届かない。これは「憧れには届かない距離がある」という現実を描きつつも、チャレンジ精神をユーモラスに表現しています。
2番では、カメレオンの奥さんが「もうやめたら」と止めるなか、主人公のカメレオンは「きっとすごくうまいんだ」と言い張り、夜が明けるまで舌を巻いたり伸ばしたりし続けます。さすがにくたびれた、という一文がリアルです。これは読者の感想を代弁するような短い一言で、子どもでも「わかる!」となる場面です。
3番がこの曲の最大の山場です。東の空が白みはじめてお月さまが溶けてくる(朝を迎えた月が薄れていく情景)と、カメレオンは「なんてこった!お月さまなんて甘くも辛くもない!」と叫びます。そして、くたびれ果てたカメレオンは金色になってしまいます。これが保育現場でも子どもたちの記憶に刻まれる名場面です。
「金色になる」という結末が印象的なのには理由があります。これは本当にカメレオンが経験することで、強いストレスや疲労・興奮状態のとき、カメレオンの体色は鮮やかな黄色〜金色系に変化することがあります。歌詞の作者・斉藤明子さんがカメレオンの生態をリサーチして書いたかどうかは記録にありませんが、科学的にも筋の通る結末になっています。
歌詞全体を通じて伝わるメッセージは「一生懸命頑張っても空回りすることがある、でもそれが個性になる」という温かみのあるものです。保育士として子どもにこの曲を歌うとき、そのニュアンスを知っているかどうかで指導の深みが変わります。これは使えそうです。
参考:シュガー「カメレオン」歌詞全文(歌ネット)
https://www.uta-net.com/song/219038/
カメレオンの歌みんなのうたで子どもに伝えたい色変化の科学
ほとんどの人は「カメレオンは周りの色に合わせて体色を変える」と思っています。しかしそれは正確ではありません。カメレオンの体色変化の主な理由は擬態ではなく、感情や気温、コミュニケーションです。意外ですね。
カメレオンの皮膚の下には「フォトニック結晶」と呼ばれる光を反射するナノサイズの透明な結晶が敷き詰められており、細胞が伸縮することでこの結晶の間隔が変わり、見える色が変化します。2015年にスイスの研究チームが発表した発見で、それ以前は色素による変色と考えられていました。
興味深いのは色と感情の対応関係です。
- 🟢 緑・茶色:落ち着いている平常時
- 🔴 赤・オレンジ・黄色:興奮・求愛・縄張り主張のとき
- ⚫ 暗い色・灰色:怖がっているとき、ストレスや服従のとき
- 🌕 黄色・金色系:強い疲労・ストレス・過興奮のとき
歌の中でカメレオンが「くたびれて金色になった」のは、疲労と興奮が混在した状態として科学的にも自然な描写です。保育士がこの事実を子どもに伝えるとき「カメレオンが金色になったのは、いっぱい頑張ったからなんだよ」というような言葉がけが可能になります。子どもが感情と色を結びつける体験につながるのが条件です。
また、カメレオンは目ではなく皮膚でまわりの色を感じているという事実も、子どもが驚く知識のひとつです(学研「科学なぜなぜ110番」より)。目を閉じていても色が変わる、という話は3〜5歳児の「なんで?」を引き出す導入として活用できます。
参考:カメレオンの色が変わる理由(学研「科学なぜなぜ110番」・子ども向け解説)
https://kids.gakken.co.jp/kagaku/kagaku110/science0114/
カメレオンの歌みんなのうたを保育士が活用する年齢別アイデア
「カメレオン」はメロディの音域が広く、歌いこなすには相応の発声力が必要です。そのため、子どもが全員で歌うというよりも、保育士が歌いながら活動を展開するスタイルが現場では馴染みやすいでしょう。
3〜4歳児クラスへの活用では、色の認識と感情の表現が主なねらいになります。カメレオンが「緑色」「金色」に変わる場面を切り取り、絵カードを使って「この色のとき、カメレオンはどんな気持ち?」と問いかけることで、感情と色のつながりを体験的に学べます。子どもが色画用紙を使って「今日のカメレオン」を作る製作活動にも展開できます。
5歳児クラスへの活用では、物語の読み解きが加わります。「なんでカメレオンは諦めなかったの?」「奥さんにやめてと言われたのに続けたのはなぜ?」という問いかけは、子どもの思考力と言語表現を促します。さらに「ぼくが頑張ったときに何色になるかな?」という問いは自己表現活動に発展します。
以下にまとめます。
| 年齢 | 主なねらい | 活動例 |
|---|---|---|
| 3歳児 | 色の名前と識別 | 色画用紙でカメレオンの着せ替え遊び |
| 4歳児 | 感情と色の対応 | 絵カードで「どんな気持ちの色?」問いかけ |
| 5歳児 | 物語の読み解き・自己表現 | 「わたしが頑張ったとき何色になる?」製作 |
また、サークルタイムの導入として「カメレオン」を流しながら子どもたちに体を動かしてもらう活動も効果的です。「緑のとき」「金色のとき」でポーズを変えるルールを加えることで、色・感情・身体表現を同時に刺激できます。
音楽活動のねらいとして、「歌詞から情景や感情を想像する力」「音楽のリズムに体で反応する力」「色という視覚情報と感情をつなぐ力」の3点を設定すると、保育指導案に落とし込みやすくなります。これが保育の軸です。
カメレオンの歌みんなのうたを保育士自身が上手に歌うためのポイント
子どもに届く歌声を作るためには、技術よりも「伝えるための準備」が先です。「カメレオン」は音程の上下が激しく、特に高音部分でのびやかに歌うには練習が必要です。保育士が歌の中でもっとも苦手にしやすいポイントとして、冒頭の高音(「月夜の岩の上で」の入り)と、3番のサビ「なんてこった!」の強調部分が挙げられます。
まず、歌う前に必ず半音ずつのスケール練習で声帯をウォームアップしてから歌うと、喉の負担が減ります。保育士の職業病として「声がれ」は見逃しがちですが、声は毎日使う道具です。喉に負荷がかかったまま無理に歌い続けると、慢性的な声がれや声帯ポリープのリスクが高まります。1日の保育活動で30〜40分以上歌ったり大声を出したりする保育士は少なくなく、喉のケアが軽視されがちな職場環境に注意が必要です。
次に、「カメレオン」は語りかける部分とのびやかに歌う部分のメリハリがポイントです。特に「シュルシュル」という擬音語を子どもたちと一緒にやると、全身を使って楽しめる参加型の場面になります。保育士が演じながら歌うことで、子どもの集中を引きつけやすくなります。
ピアノ伴奏に不安がある場合は、NHKの公式音源やYouTubeのカバー動画を使いながらアカペラで語りかけるスタイルも有効です。無理にピアノを弾きながら歌う必要はなく、動きや表情で子どもの興味を引く工夫で十分対応できます。音源を活用するのが条件ではありませんが、一つの選択肢として持っておくと余裕が生まれます。
また、親世代(1980年代生まれ)にとって「カメレオン」はリアルタイムで聞いた世代です。保護者参加の行事や連絡帳でこの曲の話題を出すと、「懐かしい!」という反応から保護者との関係づくりにも役立つことがあります。これは思わぬ副産物です。
参考:保育における音楽活動のねらいと子どもへの効果(久留米信愛大学の音楽表現研究)
https://shukutoku.repo.nii.ac.jp/record/1807/files/tandaikenkyukiyo_060_047_058.pdf

カメレオン・レンズ

