カデンツ 一覧 表と終止と和音

カデンツ 一覧 表

カデンツ 一覧 表:声楽のための使い方
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目的

終止形(ケーデンス)を「型」として整理し、フレーズ終わりの呼吸・母音処理・響きの方向性を揃えます。V→Iなどの進行パターンを見える化します。

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聴き分けの軸

「解決(緊張→安定)」の強さで判定します。強い終止は区切り(句点)、半終止は続き(読点)として感じやすいです。[文脈の終わり方]に注目します。

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歌い方のコツ

「D(ドミナント)」では前に推進、「T(トニック)」では落ち着き、「S(サブドミナント)」では色彩を作る、という機能感を声の方向(前後・明暗)で表現します。

カデンツ 一覧 表:終止と種類

 

カデンツ(ケーデンス/終止形)は、数個の和音進行で「一区切り」を作る定型で、音楽の句読点にたとえられます。

声楽では、フレーズ末尾の「息の残し方」「子音の扱い」「母音の着地」が、どの終止形かで変わるため、一覧表で型を固定すると練習効率が上がります。

まず押さえたい代表的な終止形(クラシック/ポピュラー両方で頻出)は、次の4つです。

参考)https://www.semanticscholar.org/paper/89c237bc360a3c6fc2b783d8f28f14cd84fc2a96

  • 正格終止(Authentic):V→I(強く終わる)。​
  • 変格終止(Plagal):IV→I(柔らかく終わる)。​
  • 偽終止(Deceptive):V→VI(終わると思わせて外す)。​
  • 半終止(Half):Vで止める(続きそうに終わる)。​

「終止形=曲の最後だけ」と思いがちですが、実際には途中の小さな区切りにも繰り返し現れ、歌の“文法”として働きます。

参考)https://www.semanticscholar.org/paper/aadaf5e698b6f9b420aa41f3108e333f84b61b57

この“文法”が見えると、同じ音価で伸ばしていても、終止の種類に応じて「どこまで緊張を残すか」「どこで緩めるか」を意識的に設計できます。

カデンツ 一覧 表:T S Dと和音

一覧表を実用化する鍵は、ローマ数字より先に「機能(T・S・D)」を置くことです。ヤマハの解説では、カデンツを音楽の文章の型と捉え、代表パターンとしてK1=T-D-T、K2=T-S-D-T、K3=T-S-Tを挙げています。

この考え方は、声楽の解釈に直結します。なぜなら「D=最も緊張」「T=始まりや終止の和音」「S=Dを飾る和音」という役割が、声の“向き”を決めるヒントになるからです。

C majorを例に、T・S・Dの具体和音は次のように整理できます。

  • T(トニック):I、III、VI。​
  • D(ドミナント):V(および派生としてVIIなど)。​
  • S(サブドミナント):II、IV。​

この整理を「終止形」と合体させると、たとえば正格終止V→Iは D→T、変格終止IV→Iは S→T、偽終止V→VIは D→T(ただしIではない別着地)と見なせます。

歌唱面では、Dで母音の芯を前に集めて緊張を保ち、Tで響きを落ち着かせると、理論が“音”として再現しやすくなります(声量を上げるより、緊張の質を変えるイメージが有効です)。

カデンツ 一覧 表:完全終止と半終止

完全終止は、V(またはV7など)からIへ進み、旋律も主音で終わるタイプで、古典派の楽曲の最後など「終わった感」を強く作れます。

このとき歌い手は、フレーズ末尾で「音程の到達」だけでなく「終止の安定」に着地させる必要があり、語尾の子音を強くしすぎると安定より“切断”が目立つことがあります(終止の性格に合わせた発音設計が重要です)。

一方、半終止はVで止まり、読点のように次へ進む余韻を残す終わり方です。

声楽でありがちな失敗は、半終止なのに“完全終止の顔”で着地してしまい、次のフレーズの入りが重くなることです。半終止では、最後の母音を「閉じる」のではなく「支えは残して、息の流れだけ次へ渡す」感覚が合います。

練習の具体策として、同じメロディ終止音でも、伴奏がVかIかで「息の抜き方」を変えて録音比較すると違いが明確になります。

  • 伴奏がV(半終止):少し前傾の響きを残し、ビブラートを急に止めない。
  • 伴奏がI(完全終止):支えを保ったまま“落ち着く方向”へ、語尾を整える。

カデンツ 一覧 表:偽終止とピカルディ終止

偽終止は、VからIに行くと期待させてVIへ進む終止で、意外な印象を与えたり、曲を続けたいときに用いられやすいと説明されています。

歌唱としては、Vで高まった推進力をIで“収束”させず、VIへ“逃がす”ため、語尾の表情を「言い切り」ではなく「含み」に寄せると音楽と一致しやすいです(語尾を断言口調にしない、という日本語歌詞の解釈にもつながります)。

また、短調特有の終止としてピカルディ終止(Picardy Cadence)があり、短調の主和音を最後だけ長和音にして明るく終える型として紹介されています。

ここが意外と声楽に効くポイントで、同じ歌詞でも「暗い内容なのに、最後に光が差す」ニュアンスを、和声が肩代わりしてくれる瞬間が生まれます。したがって歌い手は、歌詞の表情を無理に変えず、響きの明度(母音の開き・倍音の立て方)を少し上げるだけで“和声の演出”に乗れます。

さらに、あまり知られていない視点として「短調の終止の強さ」を作るために、導音を半音で主音へ向かわせる工夫が伝統的に重要視され、短調の終止では臨時記号で強い結束を作る説明もあります。

歌唱練習では、臨時記号が付いた瞬間にピッチが不安定になりやすいので、「その音は“飾り”ではなく終止の推進力そのもの」と位置づけて、息の支えを一段だけ強くして当てると安定します。

参考:カデンツの型(T-D-T / T-S-D-T / T-S-T)と、T・S・Dの具体和音、借用和音の考え方がまとまっています。

ヤマハ:第4回 カデンツとコード進行の基礎

参考:終止形の種類一覧(正格終止、変格終止、偽終止、半終止、ピカルディ終止など)と、短調で導音を半音で解決させる発想が詳しいです。

SoundQuest:ケーデンス(終止形)

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