十五夜お月さん歌詞悲しい理由と保育で歌う配慮

十五夜お月さん歌詞悲しい

保育園で「十五夜お月さん」を歌うと、子どもが「おうちの人と離れたくない」と泣き出すことがあります。

この記事の3つのポイント
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一家離散の悲しい歌詞

「婆やはお暇とりました」「妹は田舎へ貰られて」という歌詞は、家族が離れ離れになる様子を描いています

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保育現場での配慮点

歌詞の意味を子どもに説明せず、メロディと十五夜の行事を楽しむことに重点を置く配慮が必要です

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代替曲の選択肢

「うさぎ うさぎ」「月」など、明るい雰囲気のお月見ソングを選ぶ方法もあります

十五夜お月さんの歌詞に込められた意味

 

「十五夜お月さん」は大正9年(1920年)に発表された童謡で、作詞は野口雨情、作曲は本居長世です。歌詞は全3番で構成されており、1番では「婆やはお暇とりました」、2番では「妹は田舎へ貰られてゆきました」、3番では「かかさんにも一度わたしは逢いたいな」と続きます。uta-net+1

「婆や」とは年配の女性使用人を指し、「お暇とりました」は解雇されて家を去ったという意味です。「貰られて」は「貰われて」の方言で、養子や働き手として引き取られることを意味します。つまり家業の破産により使用人を雇えなくなり、妹は他家へ出され、母親も病死または離別したという一家離散の状況が描かれています。sk-imedia+2

大正時代には都市部での工業化が進み、旧家の没落や家族の離散が珍しくありませんでした。作詞者の野口雨情自身も父の事業失敗や離婚を経験しており、自らの子どもたちが母を恋しがる様子を見て、この歌詞を書いたとされています。幼い少女が満月に向かって家族への思いを語る構図は、当時の社会背景を反映した切ない内容です。duarbo.air-nifty+2

十五夜お月さんを保育園で歌う際の注意点

保育園で「十五夜お月さん」を歌う際には、子どもの発達段階に応じた配慮が必要です。3歳未満の子どもはメロディを楽しむ段階なので、歌詞の意味を深く説明する必要はありません。

つまり音楽活動として楽しむことが基本です。

4〜5歳児になると「婆やって何?」「貰られてってどういうこと?」と質問してくることがあります。その場合は「昔の言葉で、お手伝いをしてくれた人がお休みをとったんだよ」「妹が遠くに行っちゃったんだね」と、家族の離散や死別を強調しない説明が適切です。

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家庭環境が多様化している現代では、ひとり親家庭や保護者と離れて暮らす子どももいます。歌詞の内容が特定の子どもを傷つける可能性があるため、クラスの状況を把握した上で選曲を検討することが大切です。「十五夜お月さん」の代わりに「うさぎ うさぎ」や「月」「十五夜さんのもちつき」など、明るい雰囲気のお月見ソングを選ぶ選択肢もあります。

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十五夜お月さんの歌詞が悲しい理由

この歌が悲しいのは、幼い子どもの視点から家族との別れが淡々と語られるからです。大人なら状況を理解して諦めることもできますが、子どもには何が起きているのか理解できず、ただ「かかさんに逢いたい」と願うことしかできません。

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野口雨情は自身の離婚経験から、残された子どもたちが母親を恋しがる姿を目の当たりにしていました。長男の雅夫は後年、「水戸の駅前で母と別れた明るい月夜の晩」のことを語っており、その時の心境が歌詞に反映されていると述べています。つまり実体験に基づいた切実な感情が、この歌詞には込められているのです。

また、満月という明るく美しいものと、家族離散という暗い現実の対比が、より一層悲しさを際立たせています。十五夜の月は本来めでたいものですが、この歌では孤独な少女の話し相手として描かれています。「御機嫌さん」と月に挨拶する健気さが、かえって読者の胸を打つのです。ebaragioba+1

なっとく童謡・唱歌(池田小百合氏による詳細な歌詞解説と歴史的背景)

十五夜お月さんを子どもに伝える工夫

保育現場で「十五夜お月さん」を取り入れる場合、歌詞の悲しい背景を前面に出さず、十五夜という行事や月の美しさに焦点を当てる方法があります。お月見団子を作る活動と組み合わせて、「お月さまにご挨拶する歌だよ」と説明すると、子どもたちは行事の一部として自然に受け入れます。

歌を歌う際には、ゆったりとしたテンポで優しく歌うことで、哀愁よりも温かさが伝わります。無理に全3番を歌う必要はなく、1番だけを繰り返すことで「お月さまにご挨拶」という楽しい要素だけを残せます。

これなら問題ありません。

また、紙芝居や絵本で十五夜の由来を説明した後に歌を歌うと、子どもたちは「お月さまに感謝する歌」として理解しやすくなります。お団子を15個供えることや、収穫への感謝の意味を伝えることで、歌詞の悲しい部分よりも日本の伝統文化への興味が高まります。aruru.alpha-co+1

十五夜お月さん以外のお月見ソング選び

保育園のお月見会では、「十五夜お月さん」以外にも適した歌が複数あります。「うさぎ うさぎ なにみてはねる」で始まる「うさぎ」は、子どもたちが手遊びと一緒に楽しめる明るい曲です。「出た 出た 月が」の歌い出しの「月」も、シンプルで覚えやすく、悲しい要素がありません。

ぽんぽこたぬき」は動きのある歌なので、体を使った活動と組み合わせることができます。これらの歌は、家族の離散や死別といった重いテーマを含まないため、どの子どもも安心して歌えます。

選曲が重要です。

保育士は年間指導計画を立てる際、行事に合わせた歌を複数用意しておくと柔軟に対応できます。クラスの雰囲気や子どもたちの反応を見ながら、その年に最適な曲を選ぶことが、子どもたちの心を守ることにつながります。歌は楽しい思い出として残るべきものですから、選曲には十分な配慮が必要です。


名著復刻 日本児童文学館 十五夜お月さん