イ短調の音階と楽譜を保育士試験で使いこなす
イ短調の楽譜を「黒鍵がないから簡単」と油断すると、本番でソ♯を弾き忘れて減点されます。
イ短調の音階とは何か:自然・和声・旋律の3種類
イ短調(Aマイナー)は、ラの音を主音とする短調です。 調号がつかないため、楽譜上は♯も♭も書かれていません。これが「読みやすい調」と言われる最大の理由です。
ただし、音階の種類は3つあります。それぞれ微妙に異なる音を使うため、楽譜を読むときに混乱しがちです。
| 音階の種類 | 音の並び(上行) | 特徴 |
|---|---|---|
| 自然的短音階 | ラ シ ド レ ミ ファ ソ ラ | 調号どおり。変化音なし |
| 和声的短音階 | ラ シ ド レ ミ ファ ソ♯ ラ | 第7音(ソ)を半音上げる |
| 旋律的短音階 | 上行:ラ シ ド レ ミ ファ♯ ソ♯ ラ/下行:ソ ファ ミ レ ド シ ラ | 上行と下行で音が変わる |
つまり、「イ短調=黒鍵なし」は自然的短音階のときだけです。 和声的短音階ではソ♯が必ず出てくる、と覚えておけばOKです。
保育士試験の実技で使う伴奏譜のほとんどは、和声的短音階をベースにしています。 臨時記号のソ♯を見落とすと、音階のルールを崩した演奏になってしまうため要注意です。
参考)保育士試験音楽に受かるには?緊張が最大の敵!当日会場配置も解…
イ短調の楽譜の書き方:臨時記号ソ♯の正しい扱い方
イ短調の楽譜で最も注意すべき点は、ソ♯の臨時記号の書き方です。 調号がゼロのため、ソを半音上げたいときは毎回「♯」を音符の左横に書く必要があります。
この臨時記号は、同じ小節内では以降の同じ音すべてに有効です。小節をまたぐと効力がなくなるため、次の小節でまた♯が必要なら改めて書きます。これが原則です。
楽譜を自分で書く・コピーして使う場面では、以下の点を確認してください。
- 和声的短音階では第7音のソに必ず♯をつける
参考)イ短調(Aマイナー)
- 旋律的短音階は上行(ファ♯・ソ♯)と下行(変化なし)で音が変わる
- 臨時記号は小節内の同音すべてに効く(次の小節は再表記が必要)
- 楽譜によってはナチュラル記号(♮)で臨時記号を取り消す表記がある
参考)http://gutan.minibird.jp/ongakuyougojiten/kodomoyougo-mollscalepage-1.html
意外ですね。 自分で楽譜を書く機会が少なくても、読む側として上記のルールを知っていると、間違いに気づく力が一段と上がります。
参考として、イ短調の音階構成を網羅した信頼性の高い資料も確認しておきましょう。
イ短調の自然・和声・旋律的短音階の音名を一覧で確認できます(Wikipedia「イ短調」)。
https://ja.wikipedia.org/wiki/イ短調
イ短調の音階を保育士試験の楽譜で活かす:うれしいひなまつり攻略
2026年(令和8年度)の保育士実技試験・音楽課題の1曲目は「うれしいひなまつり」です。 この曲はイ短調版(低声調)がピアノ弾き歌い試験で広く推奨されています。
なぜイ短調が選ばれるかというと、調号がゼロで読譜しやすいからだけではありません。女性の平均的な声域に音の高さが合いやすく、歌いながら弾く弾き歌いに向いているからです。
参考)【2025年保育士試験実技】ピアノ伴奏のコツは?音楽の実技試…
とはいえ、イ短調に移調した楽譜を使う場合の注意点があります。
- 移調によって声域が合わなくなる人もいる:必ず事前に歌って確認する
- 和声的短音階のソ♯が伴奏の中に含まれている場合がある:臨時記号を見落とさない
- 楽譜のレベル(初級・中級・上級)で左手の伴奏パターンが大きく変わる
これは使えそうです。 楽譜選びの際は「初級イ短調・調号なし・白鍵のみ」の表記があるものを選ぶと、ソ♯の臨時記号さえ気をつければ演奏難度が一段下がります。
2026年保育士試験実技の課題曲を実際に演奏した動画(島村楽器)で音とテンポをイメージできます。

イ短調の音階を子どもにわかりやすく教えるコツ
保育士として現場に立つと、子どもたちに「暗い感じの曲」を説明する場面が出てきます。そのとき「イ短調だから」と言っても伝わりません。感覚的な言葉で伝えるのが基本です。
音楽学者のマッテゾンはイ短調を「嘆くような、品位のある、落ちついた性格をもっている調」と評しています。 子どもへの言葉に置き換えると「ちょっぴり切ない感じの音の並び」が伝わりやすいでしょう。
実際の保育現場で使えるポイントは以下のとおりです。
- 「ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ」の並びをドレミ歌のリズムで歌って覚えさせる
- 長調(明るい)と短調(落ち着いた・切ない)の聴き比べを体験させる
- 「うれしいひなまつり」のサビのメロディで実際の音階の動きを感じさせる
- 絵本のような「物語」に音を乗せる遊びから、感覚的に調の雰囲気を学ぶ
短調の3種類(自然・和声・旋律)を子ども向けに解説している動画も参考になります。

独自視点:イ短調の楽譜を「調号ゼロ」以外の理由で選ぶメリット
「イ短調は調号がないから選ぶ」という理解は正しいですが、それだけではありません。 実はイ短調には、保育士試験準備という文脈で見逃されがちな、もう一つの重要なメリットがあります。
ピアノの鍵盤で見ると、イ短調の主音ラは白鍵です。 そしてヴァイオリンやチェロなどの弦楽器でもA弦(ラ)が開放弦として使えるため、楽器の自然な響きを最大限に引き出せる調とされています。 ピアノでも、和音をいくつか練習するだけで「それらしい響き」が出やすい調です。
一方で注意点もあります。ハ長調と同じく、ピアノ演奏では「弾きにくい調のひとつ」とも言われています。 これは黒鍵を踏まないゆえに指が滑りやすく、鍵盤上での手の支点が作りにくいためです。
独自視点でいうと、「イ短調の楽譜をあえてハ長調に移調した練習版」を作り、音の感覚と楽譜読みを並行して訓練する方法もあります。移調前後の音を弾き比べると、短調と長調の「空気感の違い」が体感的に理解でき、子どもへの音楽説明力が格段に上がります。
イ短調のコードと音階の仕組みをヤマハ公式が解説しています(音楽理論の権威ある参考資料)。
https://jp.yamaha.com/services/music_pal/study/chord/minor/index.html

PP-597 ワルツ イ短調(遺作)/ショパン (全音ピアノピース 597)

