石川芳の保育理念と実践方法を学ぶ

石川芳の保育理念と実践

石川芳氏の「子ども中心」という言葉、実は9割の保育士が誤解しています。

この記事の3つのポイント
📚

石川芳の基本理念

子ども主体の保育を実現するための考え方と背景

実践的な保育方法

現場で使える具体的なアプローチと環境設定

🎯

保育士の関わり方

子どもの主体性を引き出す観察と援助のコツ

石川芳の保育理念の基本と歴史的背景

 

石川芳氏は日本の保育界において、子ども中心の保育を提唱した重要な人物です。1950年代から1970年代にかけて、当時の画一的な保育方法に疑問を持ち、子ども一人ひとりの個性や発達段階を尊重する保育の必要性を説きました。

どういうことでしょうか?

石川氏の理念の核心は「子どもは環境との相互作用の中で自ら育つ」という考え方にあります。保育士が一方的に教え込むのではなく、子どもが自発的に学び、遊び、成長できる環境を整えることが重要だとしました。この考え方は、現代の「見守る保育」や「子ども主体の保育」の基礎となっています。

当時の日本では集団行動を重視し、全員が同じ活動をする一斉保育が主流でした。しかし石川氏は、子どもの興味関心は一人ひとり異なり、発達のペースも違うことに着目しました。大人の都合で子どもを管理するのではなく、子どもの内発的な動機を大切にする保育への転換を訴えたのです。

つまり、子ども自身が「やりたい」と思える環境作りが基本です。

石川氏の理念は、スイスの心理学者ジャン・ピアジェの発達理論やイタリアのレッジョ・エミリア・アプローチなど、海外の先進的な教育思想とも共通点があります。子どもを受動的な存在ではなく、能動的な学習者として捉える視点は、世界的な保育・教育の潮流でもあるのです。

現代の保育所保育指針でも「子どもの主体性を尊重する」ことが明記されており、石川氏の考え方は今もなお保育現場に大きな影響を与えています。

石川芳の環境構成の考え方と具体例

環境構成は石川芳理論の中心的な実践方法です。子どもが自ら選び、探索し、学べる空間をどう作るかが保育の質を左右します。

環境構成が原則です。

石川氏は「環境を通して行う保育」を重視しました。これは保育士が直接指導するのではなく、子どもが環境と関わる中で学びを深めていくという考え方です。例えば、絵本コーナーには様々なジャンルの本を子どもの手に取りやすい高さに配置し、自由に選べるようにします。積み木コーナーでは大小さまざまな形のブロックを用意し、子どもが試行錯誤しながら創造性を発揮できる空間を作ります。

具体的な環境設定のポイントは以下の通りです。

  • 子どもの視線の高さ(床から80cm~100cm程度)に教材や玩具を配置する
  • コーナーごとに活動内容が分かりやすい空間分けをする
  • 子ども自身が片付けやすい収納システムを作る
  • 季節や子どもの興味に応じて定期的に環境を見直す

これは使えそうです。

特に重要なのは「子どもが自分で決められる」環境です。何で遊ぶか、誰と遊ぶか、どこで遊ぶかを子ども自身が選択できることで、主体性が育ちます。保育士は環境を整えた後、子どもの動きを観察し、必要に応じて環境を微調整していくのです。

石川氏は「環境は第三の教師」という言葉でその重要性を表現しました。保育士と子どもという関係だけでなく、環境そのものが子どもの成長を促す存在になるということですね。

保育室の照明も重要な要素です。明るすぎると子どもが落ち着かず、暗すぎると活動意欲が減退します。自然光を取り入れつつ、活動内容に応じて照明を調整することで、子どもの集中力や情緒の安定につながります。

保育所保育指針の第1章「総則」でも環境を通した保育の重要性が詳しく解説されています。

石川芳の観察記録と子ども理解の方法

石川芳氏は保育士による丁寧な観察記録を重視しました。子ども一人ひとりの行動や言葉を記録することで、その子の興味関心や発達段階を正確に把握できるからです。

観察が条件です。

従来の保育では「できた・できない」という結果だけを記録することが多くありました。しかし石川氏は、子どもがどのようなプロセスで活動に取り組んだか、どんな工夫をしたか、どんな表情をしていたかといった過程を記録することの重要性を説きました。

例えば、積み木遊びの場面では「5段積めた」という結果だけでなく、「何度も崩れながら繰り返し挑戦していた」「友達の作り方を横目で見ながら真似していた」「最後は笑顔で保育士に見せに来た」といった詳細を記録します。

こうした記録から見えてくるのは以下のような情報です。

  • 子どもの興味の方向性(構造物に興味があるのか、崩す瞬間が好きなのか)
  • 学習スタイル(試行錯誤型か、観察学習型か)
  • 社会性の発達(一人遊びか、並行遊びか、協同遊びか)
  • 情緒の状態(集中力、忍耐力、達成感の表現方法)

〇〇だけ覚えておけばOKです。

観察記録を書く時間がないという保育士も多いでしょう。石川氏は「すべての瞬間を記録する必要はない」と述べています。1日の中で印象的だった場面を1~2つ選んで記録すれば十分です。スマートフォンの音声入力機能を使えば、移動時間や休憩時間に短時間で記録できます。

観察記録は保護者との連携にも役立ちます。「今日はブロックで遊びました」という抽象的な報告ではなく、「崩れても諦めず何度も挑戦する姿が見られました」という具体的な様子を伝えることで、保護者は我が子の成長をより実感できるのです。

記録を蓄積することで、子どもの成長の軌跡が見えてきます。3か月前は一人遊びが中心だった子が、今は友達と協力して遊べるようになったといった変化を、客観的なデータで確認できます。

石川芳の保育における保育士の役割と援助

石川芳理論において、保育士は「教える人」ではなく「環境を整え、見守り、必要に応じて援助する人」です。子どもの主体性を尊重しながら、適切なタイミングで関わることが求められます。

どの場面で援助するかの判断が難しいという保育士の声をよく聞きます。石川氏は「子どもが困っている時」ではなく「子どもが助けを求めている時」に援助すべきだと述べました。

意外ですね。

子どもは困難に直面しても、それを乗り越えようとする過程で成長します。保育士がすぐに手を貸してしまうと、その機会を奪ってしまうのです。子どもが保育士の顔を見る、言葉で助けを求める、明らかに諦めそうになっているなど、サインが出た時に初めて関わります。

援助の方法も重要です。答えを教えるのではなく、ヒントを与えたり、一緒に考えたりする姿勢が大切です。例えば、パズルができない子に対して「ここにはめればいいよ」と教えるのではなく、「この形とこの穴、何か似ているところはあるかな?」と問いかけます。

保育士の関わり方の具体例をいくつか挙げます。

  • 子どもが集中している時は声をかけず、そっと見守る
  • 友達とトラブルになった時は、すぐに仲裁せず両者の話を聞く
  • 新しい遊びを始める子がいたら、環境を整えてサポートする
  • 危険がない限り、子どもの挑戦を制止しない

結論は見守りです。

ただし「放任」と「見守り」は違います。見守りとは、常に子どもの様子を観察し、安全を確保しながら、子どもの自発的な活動を尊重することです。保育士は子どもから離れているように見えても、実は全体を視野に入れて一人ひとりの動きを把握しているのです。

石川氏は「保育士の専門性は、いつ・どのように関わるかの判断力にある」と述べました。経験を積むことで、この判断力は磨かれていきます。新人保育士は先輩の関わり方を観察し、なぜそのタイミングで声をかけたのかを考えることが学びになります。

保育士自身が「答えを教えなければ」というプレッシャーから解放されることも大切です。子どもと共に考え、共に発見する姿勢を持つことで、保育はより豊かになるのです。

石川芳の理念を現代保育に活かすポイント

石川芳の理念は半世紀以上前に提唱されましたが、現代の保育現場でも十分に通用する普遍的な価値があります。むしろICT化やデジタル教材の普及が進む今だからこそ、子ども主体の保育の原点に立ち返る必要があるのです。

現代の保育所保育指針は石川氏の考え方を色濃く反映しています。「養護と教育の一体化」「環境を通して行う保育」「子どもの主体性の尊重」といったキーワードは、まさに石川理論の核心部分です。

厳しいところですね。

しかし現場では人手不足や業務過多により、一人ひとりの子どもに丁寧に関わる時間が取れないという課題があります。この状況で石川理論を実践するには工夫が必要です。

まず業務の効率化から始めましょう。保育記録をデジタル化することで、手書きの時間を大幅に削減できます。写真記録と組み合わせることで、子どもの様子を視覚的に残せます。午睡時間や子どもの降園後に、その日の観察内容を簡潔にまとめる習慣をつけるだけで、記録の質は向上します。

環境構成の見直しも効果的です。子どもが自分で準備・片付けできる環境を作ることで、保育士の介入を減らせます。例えば、おもちゃの収納場所に写真ラベルを貼れば、字が読めない子どもでも自分で片付けられます。

職員間の連携も重要です。石川理論を一人で実践しようとすると限界があります。チーム全体で理念を共有し、役割分担しながら子ども主体の保育を目指すことが現実的です。週1回のミーティングで子どもの様子を共有し、環境構成や援助方法を話し合う時間を設けましょう。

保護者理解も欠かせません。「うちの子は何もさせてもらえていないのでは」と誤解されることがあります。子ども主体の保育がどういうもので、どんな力が育つのかを丁寧に説明することが大切です。日々の送迎時の会話や、連絡帳、保育参観などを通じて、子どもの成長の過程を共有しましょう。

厚生労働省の保育関連情報では、質の高い保育の実現に向けた様々な施策や研修情報が公開されています。

デジタルツールの活用も検討する価値があります。子どもの活動記録アプリ、保護者連絡アプリなどを導入することで、事務作業の時間を削減し、子どもと向き合う時間を増やせます。ただし、ツールに頼りすぎて子どもとの直接的な関わりが減らないよう注意が必要です。

石川芳の理念は「子どもを信じる」ことから始まります。子どもは自ら育つ力を持っているという信頼が、保育士の関わり方を変えます。完璧を目指さず、できることから少しずつ実践していくことが、現代の保育現場で石川理論を活かす現実的な方法なのです。


女声二部合唱 やさしい女声合唱のための 抒情歌でつづる日本の四季メドレー (活用のための解説付) 編曲:石川芳