いぬのおまわりさん歌の歌詞・由来と保育での活かし方

いぬのおまわりさんの歌・歌詞と保育での使い方ガイド

「いぬのおまわりさん」の歌詞をSNSに全文投稿すると、著作権違反で罰則を受けるケースがあります。

この記事でわかること
📜

誕生の背景と歌詞の深い意味

1960年に生まれた「いぬのおまわりさん」。作詞・佐藤義美と作曲・大中恩が込めた思い、チャイルドブック発表から「日本の歌百選」選出までの歴史を解説します。

👶

年齢別ねらいと振り付けポイント

2歳〜5歳まで、年齢に応じたねらいの設定方法と、子どもが思わず体を動かしたくなる振り付けのコツを具体的に紹介します。

⚠️

保育士が知っておくべき著作権の注意点

2038年まで著作権保護期間が続く「いぬのおまわりさん」。SNS投稿や動画公開で知らずに違反しないために、保育士が押さえておくべきポイントをまとめました。

いぬのおまわりさんの歌詞の意味と誕生の背景

 

「まいごのまいごのこねこちゃん〜」という出だしを聞いただけで、多くの人がメロディをすぐ口ずさめるはずです。それほどこの曲は、日本の保育・童謡シーンに深く根付いています。

「いぬのおまわりさん」は1960年(昭和35年)、雑誌『チャイルドブック』の10月号に、迷路遊びの課題として詩曲同時に発表されました。作詞を手がけたのは大分県竹田市出身の童謡作詞家佐藤義美(1905〜1968年)で、55歳のときの作品です。作曲は「サッちゃん」でも知られる大中恩(1924〜2018年)が担当しました。

実は、この曲には誕生時にちょっとしたエピソードがあります。当時の編集長が「子どもの歌としては歌詞が長すぎる」と修正を求めたのですが、佐藤義美が断固として拒否。そのまま掲載されたというのが、今に伝わる逸話です。作詞家のこだわりが、あの独特のテンポある長めの歌詞を守ったわけですね。

その後、1961年(昭和36年)10月10日にNHK『うたのえほん』で初めてオンエアされ、後継番組『おかあさんといっしょ』でも定番曲として流れ続けました。また、1977年以降は小学校の音楽教科書にも掲載されるようになり、世代を超えて歌い継がれていきます。2007年(平成19年)には、文化庁と日本PTA全国協議会が選定した「日本の歌百選」にも選出されています。

🎵 童謡の誕生と歴史について詳しく知りたい方へ参考になる資料です。

チャイルドブックの歴史 ─ チャイルド本社公式サイト

歌の内容は、動物を擬人化した2番構成のストーリーになっています。迷子の子猫ちゃんに「おうちはどこですか」と聞こうとする犬のおまわりさんが、1番ではカラスやスズメに聞いても分からず、子猫は泣くばかり。困り果てた犬のおまわりさんが「ワンワンワンワーン」と吠えてしまう、というほのぼのとしたオチで終わります。結局、子猫の家はわからないままで、「きっちり解決しない」という温かみのある終わり方が、大人になってから聞くと何とも言えない味わいを生みます。

つまり、この歌は「困った相手を助けようとする優しさ」と「どうにもならなかった現実」を、子どもが笑って受け入れられるように描いた作品なのです。保育の場でこの背景を理解して歌うと、読み聞かせや語りかけの質がぐっと高まります。

いぬのおまわりさんの歌を使った年齢別のねらい設定

「いぬのおまわりさん」は2〜5歳と幅広い年齢で使える曲ですが、年齢ごとに「ねらい」が異なります。同じ曲でもねらいを変えることで、保育の質が大きく変わります。

まず2歳児の場合、「ニャンニャン」「ワンワン」という擬音語の模倣が中心になります。子どもはこの年齢から「模倣力」が急速に育つ時期で、動物の鳴き声を真似することで、感情表現と発声の土台が同時に育まれます。発語を促す手遊び歌としても活用されており、言語発達支援の場でも取り上げられるほど効果的な一曲です。

3歳児では、犬と子猫という2つのキャラクターの「関係性」を理解し始めます。「困っているこねこちゃんを助けようとしているんだね」という声かけで、共感力や情景理解が深まります。物語を聞く力がついてくる3歳には、絵本と組み合わせると効果的です。

4歳児になると、犬のおまわりさんが「困ってしまった」ことを演じ分ける表現力が育ちます。保育士が大げさに首を傾けたり、困った顔をしてみせると、子どもたちは喜んで真似します。想像力と表現力を育てる段階として位置づけましょう。

5歳児では、さらに発展させた活動が可能です。「別の動物が主役だったら?」という問いかけから、子どもたち自身が歌の展開を考えてオリジナルバージョンを作ることができます。これは協働表現力と創造性の両方を育む、高度な活動です。

年齢 主なねらい 導入のポイント
2歳児 擬音模倣・感情表現・発語促進 「子猫ちゃん、泣いてるね。なんて言ってるかな?」
3歳児 物語理解・共感力 「困ってるお巡りさんを一緒に助けてあげよう」
4歳児 役割表現・想像力 「犬のおまわりさんの気持ちになって歌ってみよう」
5歳児 創作力・協働表現 「別の動物バージョンを考えてみよう!」

年齢別のねらい設定が基本です。同じ曲でも、年齢によってこれだけ深め方が変わります。保育の記録や指導計画を書くときも、この視点を持っておくと文章がぐっと具体的になりますよ。

年齢ごとのねらいと導入について参考になる情報はこちらでも確認できます。

犬のおまわりさん|近藤夏子による振り付き動画・年齢別のねらい ─ ほいくnote

いぬのおまわりさんの歌の振り付けと手遊びのやり方

振り付けや手遊びを加えることで、「いぬのおまわりさん」はさらに活き活きした活動になります。ここでは保育現場で実際に使いやすい動作のポイントを整理します。

「まいごのまいごのこねこちゃん」では、両手で目をこすって泣く真似をします。子どもが感情と動作をリンクさせやすい、最初のジェスチャーです。

「おうちをきいても わからない」「なまえをきいても わからない」では、首を横に振りながら手を左右に振ります。「わからない」という状況を体全体で表現することで、語彙と状況理解が結びつきます。

「ニャンニャン ニャニャーン」では、両手を頬のそばで猫の手にして、ニャーと鳴く仕草をします。この部分が最も子どもたちが盛り上がるポイントです。

「いぬのおまわりさん こまってしまって」では、保育士が大げさに首を傾け、困った顔をしてみせます。子どもが「困る」という表情を体感する瞬間です。

「ワンワンワンワーン」では、両手を口の前に持ってきて、大きな声で犬の鳴き声を真似します。腹から声を出す練習にもなり、発声力を鍛えるうえで効果的です。

手遊びは入れ子にしないシンプルな構成が基本です。特に2歳児は動作の種類が増えすぎると混乱するため、最初は「ニャンニャン」と「ワンワン」の2か所だけ動かすところから始めると自然に体が動くようになります。

繰り返すうちに、子どもたち自身が保育士の動きをコピーするようになります。そのタイミングで「今度は自分でやってみよう!」と促すのが、参加意欲を引き出す効果的な声かけです。

振り付けの動画を参考にしたい場合は、以下のような保育専門のコンテンツも活用できます。

犬のおまわりさん 近藤夏子による振り付き実演動画 ─ ほいくnote

いぬのおまわりさんの歌を使った絵本・ペープサートへの展開

この曲の最大の特長は、ストーリー性があることです。単に歌うだけでなく、絵本やペープサートへの展開がしやすく、保育活動の幅が広がります。

代表的な絵本として、ひさかたチャイルド刊「いぬのおまわりさん」(詞:佐藤義美、絵:さいとうしのぶ、2016年)があります。このシリーズは22×19cmのA5サイズ変型で24ページ、価格は1,100円(税込)とリーズナブルです。歌の前後に絵本らしいストーリーが加えられており、「なぜ子猫が迷子になったのか」という導入がある点が保育士から評価されています。

絵本を使う場合は、歌の部分だけでなく最初と最後のストーリーページもゆっくり読むのがポイントです。街の様子や売られている果物など、細部まで描き込まれた絵の中に「発見」があり、子どもたちの観察力や好奇心を刺激します。

ペープサートを使う場合は、子猫・犬のおまわりさん・カラス・スズメの4キャラクターを準備します。2番でカラスとスズメが登場する場面を、子どもたち自身が操作できるようにすると、5歳児の劇遊びや発表会への展開にもつながります。

ごっこ遊びとの連動も自然にできます。「子猫役」「おまわりさん役」「カラス役」などを子どもたちに割り振ると、役割理解と社会性を育む活動になります。これは保育の記録に「劇的表現・想像力の育み」として落とし込める活動でもあります。

季節や行事を問わず使える点も魅力です。春の動物テーマ、移行活動の導入、読み聞かせ活動など、さまざまな場面に対応できます。月案・週案を書くときに「どの場面で使えるか」をイメージしやすい曲を1つ持っておくと、計画書の記述が楽になります。

いぬのおまわりさんの歌の著作権と保育士が気をつけること

「いぬのおまわりさん」は古い童謡なので著作権は切れている、と思っている保育士は少なくありません。しかし、それは間違いです。

作詞者の佐藤義美は1968年に亡くなりました。日本では著作権の保護期間は「著作者の死後70年」と定められており(著作権法第51条)、しかも2018年の法改正で従来の50年から70年に延長されています。つまり佐藤義美の歌詞の著作権は、2038年12月31日まで有効です。また作曲者の大中恩は2018年に亡くなっており、こちらの保護期間は2088年まで続きます。

著作権保護期間は2038年まであります。これは現場の保育士にとって無視できない事実です。

具体的に注意が必要な場面を挙げます。

  • 📱 SNS・ブログへの歌詞全文掲載:歌詞を最初から最後まで丸ごと投稿する行為は、著作権法上の「複製権」の侵害にあたります。一節の引用であっても、商用利用の場合はJASRACへの申請が必要です。
  • 🎥 保育の様子を動画撮影してYouTubeやInstagramに投稿する場合:背景で「いぬのおまわりさん」が流れていると、著作権者の許諾が必要になるケースがあります。動画投稿サービスによっては、JASRACと包括契約を結んでいる場合もありますが、確認が必要です。
  • 📄 保護者向けプリントへの歌詞掲載:園内限定であれば「非営利目的の演奏・上演」として例外規定が適用されやすいですが、配布物として歌詞を全文印刷するケースでは注意が必要です。
  • 🎹 発表会での演奏・合唱:入場料を取らない園内行事であれば、著作権法第38条の「非営利・無料の演奏」として著作権の許諾なく使用できます。ただし録音・録画した映像を外部公開する場合は別途対応が必要です。

保育の現場でこの曲を歌うこと自体は、非営利・無償の演奏として問題ありません。ただし「歌詞のテキストをネット上に公開する」「演奏動画を外部公開する」行為は、著作権の保護対象に入ることを覚えておきましょう。

著作権の範囲については、JASRACの公式サイトや弁護士へ確認するのが確実です。

音楽を楽しむための3つの鉄則 ─ JASRAC公式サイト
著作権保護期間の延長(70年ルール)をわかりやすく解説 ─ 企業法務コラム

少年と犬