インド民謡の有名曲を保育に活かす完全ガイド
実は、インドの有名な童謡「バジャン」を保育活動に取り入れた園では、子どもの集中力が平均20分以上持続したという報告があります。
インド民謡で有名な曲ベスト5と特徴まとめ
インド民謡といえば、日本でも耳にしたことのある有名な曲がいくつか存在します。代表的なものを5曲ピックアップして、それぞれの特徴と保育現場での活用しやすさを整理しました。
まず最も有名なのが「ラーガ・ヨガ」系の伝統的な歌曲です。ラーガとはインド古典音楽の旋法(スケール)のことで、時間帯や季節によって演奏される曲が決まっているという独特の文化を持ちます。子どもに話す導入として「朝に聴く音楽があるんだって」と伝えると、興味を引きやすいです。
次に有名なのが「ヴァンデー・マータラム(Vande Mataram)」です。19世紀に作られたこの曲は、インド独立運動の精神的な支柱となった楽曲で、現在もインドの国歌に準ずる存在として扱われています。歌詞の意味は「母なる国よ、称えよ」で、愛国心と自然への敬意が込められています。
「ラーガ・ビャティ」や「バウル・ソング」も外せません。バウル・ソングはベンガル地方発祥の民謡で、2005年にユネスコの無形文化遺産に登録されています。これは注目ポイントです。
もう一つの有名曲が「パヤルニ・パヤルニ」などの北インド系わらべ歌です。子ども向けに歌われてきた歴史があり、シンプルなリズムが特徴なので保育活動に取り入れやすいです。
最後に「バジャン(Bhajan)」を紹介します。バジャンは宗教的な賛歌ですが、メロディーが穏やかで繰り返しのある構造になっているため、子どもでも覚えやすい特徴があります。つまり、取り入れやすさで選ぶなら「バジャン」が最適です。
| 曲名 | ジャンル | 特徴 | 保育への活用度 |
|---|---|---|---|
| バジャン | 宗教民謡 | 繰り返しリズム・穏やかなメロディ | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
| バウル・ソング | ベンガル民謡 | ユネスコ無形文化遺産・自由な表現 | ⭐⭐⭐⭐ |
| パヤルニ系わらべ歌 | 北インド童謡 | 子ども向け・単純なリズム | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
| ヴァンデー・マータラム | 愛国歌 | 荘厳・文化的背景が豊か | ⭐⭐⭐ |
| ラーガ系歌曲 | 古典音楽 | 時間・季節と紐づく哲学的な音楽 | ⭐⭐ |
インド民謡は一括りに語れないほど多様です。地域・宗教・言語によってまったく異なる音楽文化が存在する点が、最大の魅力と言えます。
インド民謡の有名なリズムと音階の基礎知識
インド音楽の根幹を成すのが「タール(Taal)」と呼ばれるリズム体系です。西洋音楽の4拍子・3拍子とは異なり、インドのタールは7拍・10拍・16拍など複雑な拍子構造を持ちます。これは意外ですね。
保育士として知っておきたいのは、すべてのインド民謡が複雑なわけではないという点です。むしろ、子ども向けの民謡や地域に根付いた素朴な歌は、シンプルな2拍子・4拍子のリズムで構成されているものも多くあります。シンプルな曲を選べば問題ありません。
音階についても少し触れておきます。インド音楽では「サ・レ・ガ・マ・パ・ダ・ニ」という7音階(サルガム)が使われており、日本の「ドレミファソラシ」に対応しています。これを知っていると、楽器を使った活動に応用しやすくなります。
特に保育活動で使いやすいのは、繰り返し構造のあるインド民謡です。「フレーズを繰り返す」という音楽的な形式は、子どもの記憶定着に非常に有効だとされており、言語発達の支援にも繋がります。繰り返しがある曲が基本です。
また、インド民謡の多くは「手拍子」や「打楽器」と一緒に演奏されます。タブラ(tabla)という両面太鼓が代表的ですが、保育現場では手拍子やカスタネットで代用できます。リズムを体で感じながら歌う活動は、子どもの身体感覚の発達にもプラスになります。
インド古典音楽の基礎とタール(リズム体系)について詳しく解説しているページ
インド民謡の有名曲を使った保育活動のアイデア
実際に保育活動にインド民謡を取り入れる場合、導入・展開・まとめの流れを意識すると子どもたちが楽しみやすくなります。ここでは具体的なアクティビティを3つ紹介します。
🎵 アクティビティ①:バジャンのリズム手遊び
バジャン系の曲は繰り返しのフレーズが多いので、「パンパン・パン」のような手拍子パターンを事前に決めておくと、子どもが自然にリズムに乗れます。3〜5歳児に特に効果的です。
🌍 アクティビティ②:世界の音楽マップ活動
インドの地図や写真を壁に貼り、「この国の音楽だよ」と視覚情報と一緒に曲を流す方法です。これは使えそうです。子どもの地理感覚・異文化への興味が同時に育ちます。5歳以上を対象にすると効果が高まります。
🥁 アクティビティ③:打楽器で伴奏チャレンジ
シンプルなインド民謡に合わせて、子どもたちがカスタネット・タンバリン・鈴などを担当します。インド音楽はリズム楽器を重視する文化なので、この活動はインド音楽の本質にも近い取り組みになります。
活動を始める前に「インドってどんな国?」「カレーが有名だよね」という会話をはさむと、子どもの背景知識が活性化されます。音楽活動の前後に文化的な文脈を与えることで、記憶への定着がより強固になることが認知科学的にも示されています。
また、CDや動画を使う場合は、著作権フリーの音源を使用することが大切です。YouTubeでは「Indian folk song for children」で検索すると、保育向けのシンプルな楽曲が多数見つかります。音源選びには注意が必要です。
保育現場での異文化音楽活動は、単なる「楽しい時間」にとどまらず、子どもの共感力・表現力・多様性への理解を育てる貴重な機会になります。インド民謡から始めることで、世界の音楽への扉を開くきっかけになるでしょう。
インド民謡が有名になった歴史的背景と保育士が知っておくべき文化的文脈
インド民謡が現在のように世界的に知られるようになった背景には、1960〜70年代の「インド音楽ブーム」があります。ビートルズのジョージ・ハリスンがシタール奏者ラヴィ・シャンカルに師事したことをきっかけに、インド音楽は欧米で爆発的な注目を集めました。これが「インド民謡=神秘的・瞑想的」というイメージが定着したきっかけです。
しかし実際のインド民謡は、そのイメージとはずいぶん異なります。素朴で明るく、農業や季節の行事に根ざした歌が大半で、地域の人々が日常的に歌い継いできたものが多くあります。インドには22の公用語と1600以上の方言があり、それぞれの地域に固有の民謡があると言われています。つまり「インド民謡」と一口に言っても、地域によって全く別の音楽文化が存在するということです。
保育士として子どもに伝える際、「インドのお父さんやお母さんが子どもに歌ってあげた歌」というフレーミングは非常に効果的です。音楽への親近感が一気に高まります。これだけ覚えておけばOKです。
特に注目したいのが「ロック・フォーク・フュージョン」の動きです。現代のインドでは、伝統的な民謡にポップやロックのアレンジを加えた「インディーフォーク」ジャンルが若者に人気を集めており、Spotify等のストリーミングサービスでも再生数が伸びています。この流れを知っておくと、保育の現場でも「昔の歌が今もアレンジされて歌われている」という話をより自然に子どもに伝えられます。
インド独立の父、マハトマ・ガンジーも民謡の力を重視していたことが知られています。彼が特に好んだバジャン「ラグパティ・ラーガフ・ラージャー・ラーム」は、非暴力運動の集会で繰り返し歌われた曲です。現在もインドの学校教育で歌い継がれています。歴史が深いですね。
ユネスコ無形文化遺産の一覧ページ(バウル・ソング登録情報など確認できます)
インド民謡の有名曲を保育士が教える独自視点:子どもの「音の多様性」感覚を育てる方法
これはあまり語られない視点ですが、インド民謡を保育に取り入れることには「音の多様性感覚」を育てるという特別な効果があります。日本の保育現場で流れる音楽の大半は西洋音楽(ドレミ音階)に基づいており、子どもが日常的に接する音のバリエーションは実は非常に狭いです。
インド音楽にはマイクロトーン(微分音)と呼ばれる、半音よりさらに細かい音程が存在します。これは西洋の楽器では再現が難しい音域で、人間の耳が幼少期にこの多様な音程に触れることで、音楽的感受性が豊かになると言われています。早期教育の観点からも注目されています。
具体的な手順として、以下のような流れを試してみてください。
- 🎧 まず子どもに目を閉じてインド民謡を30秒聴かせる
- 🗣️ 「どんな気持ちになった?」「どんな景色が浮かんだ?」と質問する
- 🖍️ 感じたことを絵や色で表現してもらう
- 🌏 その後、インドの写真や映像を見せて「正解」を見せる
- 🔄 もう一度聴いて、感じ方が変わったか確認する
この「聴く→表現する→情報を得る→再び聴く」というサイクルは、音楽教育における「能動的聴取」のアプローチで、近年の音楽療法や感性教育でも重視されています。厳しいところですね、準備が必要ではありますが、子どもの反応は非常に豊かなものになります。
また、インド民謡には「即興性」という要素があります。同じ曲でも歌い手によってメロディやリズムが変わることが多く、これは「正解はひとつではない」という感覚を子どもに自然に伝えることができます。日本の保育環境ではどうしても「正しい歌い方」に縛られがちな側面があるため、インド民謡の即興的な要素は良い刺激になります。
保育士自身がインド民謡を深く知りたい場合は、オンライン講座プラットフォーム(UdemyやNHK文化センターなど)でインド音楽入門のコースが受講できます。1コース数千円程度から始められるため、専門知識を深める手段として検討してみてください。
NHK文化センター(インド音楽・民族音楽系の講座情報が掲載されています)
知識として持っておくことで、保護者への説明にも説得力が増します。「なぜインド民謡なのか」を言語化できる保育士は、信頼感の面でも一歩リードできるでしょう。


