春よ来い歌詞童謡の意味と保育活用
「春よ来い」の2番の歌詞には亡くなった子への想いが込められています
春よ来い歌詞の成り立ちと作詞者の想い
「春よ来い」は1923年(大正12年)に相馬御風が作詞し、弘田龍太郎が作曲した童謡です。この歌が生まれた背景には、作詞者の深い家族愛がありました。
相馬御風は新潟県糸魚川の出身で、早稲田大学の教授として活躍した詩人です。彼がこの詞を書いた当時、日本は大正デモクラシーの時代でしたが、医療技術は今ほど発達していませんでした。
幼い子どもの死亡率が高かった時代です。
実は2番の歌詞「おんもへ出たいと待っている」には、病気で外に出られない我が子への願いが込められていたという説があります。御風自身も子どもを亡くした経験があり、その悲しみが詩に反映されているのです。
1番の「赤い鼻緒のじょじょはいて」という表現は、当時の子ども用の下駄を指しています。じょじょとは草履の幼児語で、新しい履物を履いて外で遊ぶ子どもの姿が目に浮かびますね。
春よ来い童謡の歌詞に隠された季節の表現
春よ来いの歌詞には、日本の季節感が細やかに表現されています。保育現場でこの歌を使う際、子どもたちに季節の移り変わりを伝える絶好の教材になるんです。
「みいちゃん」という名前は、当時よく使われた女の子の愛称です。大正時代には「○○ちゃん」という呼び方が一般的で、身近な存在として共感しやすい設定になっています。
歌詞の中の「早く来い来い」というフレーズは、冬の寒さから解放されたい気持ちを表しています。
これは当時の住宅事情とも関係していました。
現代のような暖房設備がなく、冬は本当に厳しかったということですね。
保育での活用では、実際の季節と歌詞をリンクさせることが効果的です。
例えば2月後半から3月にかけて、窓の外を見ながら「春を探そう」という活動と組み合わせると、子どもたちの観察力が育ちます。梅の花、つくしの芽、暖かい日差しなど、具体的な春の兆しを見つける楽しみを共有できるんです。
春よ来い歌詞を保育で歌う年齢別のポイント
年齢によって、春よ来いの楽しみ方は大きく変わります。発達段階に合わせた指導が、子どもたちの音楽体験を豊かにする鍵なんです。
0〜1歳児クラスでの実践方法
この年齢では、言葉の意味よりもメロディーのリズムと保育士の声の温かさが重要です。膝の上に乗せて、ゆったりと揺らしながら歌うと安心感を与えられます。
「春よ来い」の部分で体を左右に揺らす、「早く来い来い」で軽くバウンドさせるなど、歌詞に合わせた動きを取り入れましょう。赤ちゃんは反復を好むため、同じパターンで繰り返すことで安定感が生まれます。
リズムに合わせた体の動きが基本です。
2〜3歳児クラスでの工夫
この時期は言葉の理解が進み、簡単な歌詞なら覚えられるようになります。「みいちゃん」「おんも(外)」など、身近な言葉から教えていくと効果的です。
手遊びを組み合わせると集中力が続きます。「赤い鼻緒のじょじょはいて」の部分で足を交互に出す動作、「おんもへ出たい」で両手を広げる動作など、視覚的な要素を加えましょう。
絵本やイラストカードを使って、歌詞の内容を視覚化することも有効です。みいちゃんの絵、下駄の絵、春の風景の絵を見せながら歌うと、言葉と意味が結びつきやすくなります。
4〜5歳児クラスでの深め方
年長になると、歌詞の意味や背景を理解する力がついてきます。「どうして春を待っているのかな?」「みいちゃんはどんな気持ちかな?」と問いかけることで、想像力を育てられます。
この時期には、2番まで完全に覚えることを目標にしましょう。1番と2番で異なる表現があることに気づかせ、言葉の面白さを感じさせることができます。
季節の変化と結びつけた活動が効果的です。
冬から春への移り変わりを観察日記にまとめ、春よ来いを歌いながら記録を振り返ると、科学的な視点も養えます。気温の変化、植物の成長、動物の活動など、多角的なアプローチが可能になるんです。
春よ来い童謡を使った季節の製作活動アイデア
春よ来いの歌を保育の製作活動と組み合わせることで、音楽と造形の相乗効果が生まれます。子どもたちの創造性を引き出す具体的な方法をご紹介します。
春を呼ぶ壁面製作
歌詞に登場する「みいちゃん」をテーマにした壁面製作は、クラス全体で取り組める活動です。一人ひとりが自分なりの「みいちゃん」を作り、それを大きな春の風景の中に配置します。
折り紙で作る桜の花びら、綿で作る白い雲、色画用紙で作る菜の花畑など、春の要素を子どもたちと一緒に決めていきましょう。2歳児クラスなら貼る作業、4歳児クラスなら切る作業も加えるなど、年齢に応じた工程を設定します。
完成した壁面の前で春よ来いを歌うと、自分たちの作品への愛着が深まります。
赤い鼻緒の草履づくり
歌詞に出てくる「赤い鼻緒のじょじょ」を実際に作る活動は、手先の発達を促します。厚紙や段ボールで土台を作り、毛糸や布で鼻緒の部分を表現するんです。
3歳児以上なら、穴あけパンチで開けた穴に毛糸を通す作業ができます。紐通しの練習にもなり、指先の巧緻性が育ちます。年長クラスでは、実際に履けるサイズで作ることもできますね。
作った草履は、ごっこ遊びのアイテムとしても活用できます。「みいちゃんごっこ」をしながら春よ来いを歌い、役割遊びの中で歌を楽しむことができるんです。
春の音探し散歩
春よ来いを歌った後、実際に園庭や近くの公園で「春の音」を探しに行く活動は、五感を使った体験学習になります。鳥のさえずり、風の音、草木の揺れる音など、耳を澄ませて春を感じます。
見つけた音を教室に戻ってから絵や言葉で表現しましょう。「ピヨピヨ」「サラサラ」「カサカサ」など、擬音語を使って春の音図鑑を作ることもできます。
これらの活動は観察力を養います。
音と視覚、触覚を総合的に使うことで、春という季節を立体的に理解できるようになります。春よ来いの歌詞がより身近に感じられ、子どもたちの表現の幅が広がるんです。
春よ来い歌詞から学ぶ昭和初期の子育て文化
春よ来いの歌詞には、大正から昭和初期にかけての子育て文化が反映されています。保育士として、この時代背景を知ることで、より深く子どもたちに伝えられるんです。
赤い鼻緒の文化的意味
当時、赤は魔除けの色として重要視されていました。子どもの健康と成長を願って、赤い色のものを身につけさせる習慣があったんです。
草履の鼻緒が赤いのは、単なるファッションではなく、親の願いが込められていました。現代でいう七五三の千歳飴の袋が赤いのと同じ発想ですね。
この文化的背景を知ることで、歌詞の一つひとつに込められた想いが理解できます。子どもたちに「昔の人は赤い色で元気を願ったんだよ」と伝えることで、色の持つ意味にも興味を持ってもらえます。
外遊びの価値観の変化
「おんもへ出たいと待っている」という歌詞は、当時の外遊びの重要性を示しています。現代のように室内娯楽が少なかった時代、外で遊ぶことが子どもの主な活動でした。
医療が発達していなかったため、病気の子は外出を制限されることが多かったんです。そのため「外で遊べること」自体が健康の証であり、親の喜びでもありました。
冬の寒さは命に関わる問題でした。
現代の保育では、外遊びの時間確保が課題になることもあります。しかし春よ来いの歌詞を通じて、外での体験が子どもの成長にどれだけ大切かを再認識できますね。
四季の移り変わりを肌で感じる経験は、デジタル時代だからこそ価値があります。春よ来いを歌いながら、外遊びの意義を保護者にも伝えていくことが、現代の保育士の役割の一つといえるでしょう。
季節の待ち方と現代との違い
「早く来い来い」という表現には、季節の到来を待つゆとりがあります。現代のように季節を問わず快適な環境が整っていない時代だからこそ、春の訪れは特別な意味を持っていました。
冷暖房がない時代、冬は本当に耐える季節だったんです。春の暖かさは、文字通り命を温めるものでした。この感覚は、現代の子どもたちには伝わりにくいかもしれません。
だからこそ保育の中で、季節の変化を意識的に体験させることが大切です。冬の寒さを感じる経験、春の暖かさに気づく瞬間、そういった五感を使った学びが、春よ来いの歌詞を真に理解する助けになります。
エアコンのスイッチ一つで快適になる現代だからこそ、自然の季節感を大切にする保育が求められているんです。


