埴生の宿 歌詞 意味
埴生の宿の歌詞は貧しさを肯定する内容に見えるため、子どもに教えるべきではないと思っていませんか。
埴生の宿の歌詞に込められた本当の意味
「埴生の宿」の歌詞は、一見すると貧しい暮らしを我慢する内容に思えますが、実際には全く違う意味を持っています。
参考)埴生の宿 はにゅうのやど 歌詞の意味 Home, Sweet…
「埴生」とは粘土性の土を指す雅語的表現で、「埴生の宿」は土で塗った質素な家のことです。
つまり貧しい家という意味ですね。
歌詞の「玉の装い 羨まじ」は、宝玉をちりばめたような豪邸を羨ましくないと述べています。これは貧しさを我慢するのではなく、物質的な豊かさよりも心の豊かさを大切にする価値観を表現しているのです。
「長閑なりや 春の空 花はあるじ 鳥は友」という部分では、春ののどかな空、花や鳥といった自然こそが自分の財産であり友人だと歌っています。
質素な暮らしの中にある豊かさが基本です。
参考)https://bunbun.boo.jp/okera/w_shouka/m_chutou/c22_hanyu_yado2.htm
この歌詞を子どもたちに伝える際は、「お金持ちじゃなくても幸せになれる」という前向きなメッセージとして捉えることが大切です。保育現場では、自然との触れ合いや友達との関係性を大切にする教育につながります。
埴生の宿の原曲と日本語訳の背景
「埴生の宿」の原曲は、イングランド民謡「Home, Sweet Home!」(ホーム・スイート・ホーム)です。allegro-vivace+1
この曲は1823年初演のオペラ『ミラノの乙女クラリ』のオープニングで、主人公クラリによって歌われるアリアとして作られました。宮殿暮らしをすることになったクラリが、貧しくとも満ち足りていた故郷を懐かしむ場面で歌われる曲です。
参考)Home! Sweet Home! 邦題:埴生の宿|歌詞・解…
作曲者はイギリスのヘンリー・ビショップで、イタリア(シチリア)の民謡から着想を得たと言われています。作詞者はアメリカのジョン・ハワード・ペイン(1791-1852年)です。allegro-vivace+1
日本語の「埴生の宿」は里見義(さとみただし、1824-1886年)による訳詞で、1889年(明治22年)12月に東京音楽学校が出版した『中等唱歌集』に収載されました。実は里見は収載の3年前に他界しており、この歌が広まる姿を見ることはありませんでした。
里見義による訳詞は単なる翻訳ではなく、日本人の感性に合わせた独自の世界観を持つ愛唱歌として定着しました。原曲が「故郷への郷愁」を歌っているのに対し、日本語版は「質素な暮らしの中の豊かさ」を強調している点が特徴的です。
保育士として知っておくと、子どもたちに文化の違いや翻訳の奥深さを伝える良い教材になります。
埴生の宿の全歌詞と各番の意味
「埴生の宿」の日本語歌詞は2番まであり、それぞれに深い意味が込められています。
1番の歌詞と意味
「埴生の宿も わが宿 玉の装い 羨まじ 長閑なりや 春の空 花はあるじ 鳥は友 おお わが宿よ 楽しとも 頼もしや」
1番は質素な家でも自分の家であることの喜びを歌っています。豪華な家を羨まず、春の穏やかな空の下、花を主人として鳥を友とする暮らしの楽しさと頼もしさを表現しているのです。
2番の歌詞と意味
「玉の装い 羨まじ 住めば都 わが里 花はあるじ 鳥は友 おお わが宿よ 楽しとも 頼もしや」
2番では「住めば都」という日本の諺を用いて、どんな場所でも住み慣れればそこが最高の場所になるという考え方を示しています。
つまり住環境への適応力を表す言葉です。
原曲の英語歌詞は「’Mid pleasures and palaces though we may roam, Be it ever so humble, there’s no place like home!」(楽しみや宮殿があったとしても、どんなに粗末でも我が家に勝る場所はない)となっています。bunbun.boo+1
保育現場で歌う際は、1番だけでも十分にメッセージが伝わります。歌詞の意味を簡単に説明してから歌うと、子どもたちの理解が深まるでしょう。
埴生の宿と映画「ビルマの竪琴」の関係
「埴生の宿」は映画「ビルマの竪琴」で効果的に使われ、日本人の心に深く刻まれた曲です。
参考)『埴生の宿 ( Home ! Sweet Home! ) 』…
「ビルマの竪琴」は1956年に市川崑監督によって制作された反戦映画で、第二次世界大戦末期のビルマ(現ミャンマー)を舞台にしています。捕虜となった日本軍の部隊が合唱好きだったという設定で、劇中で「埴生の宿」が何度も歌われます。
参考)「【“埴生の宿”ビルマで英国軍に囚われた日本軍の中で、只一人…
映画の中で最も印象的なシーンは、日本軍と英国軍が対峙する場面で、日本軍が「埴生の宿」を歌い始めると、英国軍が原曲の「Home, Sweet Home」で応えるという場面です。敵味方を超えて同じメロディーが心を通わせる感動的なシーンとなっています。
水島上等兵が竪琴で「埴生の宿」を演奏するシーンも、この映画の大きな魅力です。
参考)http://hmpiano.net/riwakino/2020/20.08.27harp_of_burma/newpage1.html
この映画は1985年にリメイクされ、石坂浩二や中井貴一が出演しました。2つの版とも「埴生の宿」が重要な役割を果たしています。
保育士として年長児に平和教育を行う際、この映画のエピソードを簡単に紹介すると、音楽が国境を越える力を持つことを伝えられます。実際にこの映画以外にも「二十四の瞳」「火垂るの墓」などの作品で使われています。
埴生の宿を保育現場で活用する具体的方法
「埴生の宿」は保育現場でさまざまな形で活用できる教材です。
音楽活動での活用
唱歌として年長児クラスで歌うのが一般的です。メロディーが美しく、歌いやすい曲なので、音楽の時間や発表会での合唱曲として適しています。
季節としては「春の空」という歌詞があるため、春の歌として取り入れるのが自然です。4月から5月にかけて歌うと、歌詞の情景と実際の季節が重なり、子どもたちの理解が深まります。
道徳教育での活用
中学校の道徳教材としても使われており、「思いやり」や「感謝」をテーマにした授業が行われています。保育現場でも、物を大切にすることや友達との関係性を考える教材として活用できます。
参考)道徳教材「埴生の宿」を新しいタイプの道徳授業で考えると…|飯…
具体的には、「お金持ちじゃなくても幸せになれる」「友達や自然があれば豊か」というメッセージを、絵本の読み聞かせや日常の会話に織り交ぜることができます。
文化的背景の学習
年長児であれば、この歌が外国の曲を日本語にしたものであることを簡単に説明できます。「同じメロディーでも言葉が違う歌がある」という異文化理解の第一歩になります。
保育士自身が歌詞の意味を正しく理解していれば、子どもたちへの伝え方も自然と変わってきます。この歌を通じて、心の豊かさを大切にする価値観を育てることが条件です。


