花嫁人形歌詞意味を保育士向けに解説

花嫁人形歌詞意味

保育現場では「花嫁人形」を懐かしい童謡として歌うことがあります。

この記事の3ポイント要約
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歌詞の二重構造

花嫁御寮(人間)と花嫁人形(紙製)の2つの視点で構成され、涙の意味が異なります

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時代背景の重み

1923年発表の詩は、意志に反する結婚を強いられた当時の女性の悲しみを表現しています

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保育での配慮点

歌詞の深い意味を理解した上で、子どもには情緒的な美しさを伝える工夫が必要です

花嫁人形の歌詞に込められた二重の涙

 

「花嫁人形」の歌詞は、1番2番と3番以降で視点が切り替わる構造になっています。1番2番では「金襴緞子の帯しめながら」「文金島田に髪結いながら」と、豪華な衣装を身につけた花嫁御寮(人間の花嫁さん)がなぜ泣いているのかと子どもが遠くから見ている様子を描きます。金襴緞子とは高級織物の代名詞で、贅沢で高価な美しい織物を意味します。文金島田は花嫁が結う髪型で、根元を高く仕立てた最も上品な髪形です。worldfolksong+1

3番以降は視点が変わります。「あねさんごっこの花嫁人形は赤いかのこの振袖着てる」と、おままごとの花嫁人形に焦点が移ります。

この人形は千代紙で作られた紙製の人形です。

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二重構造になっているんですね。

4番では「泣けば鹿の子のたもとが切れる」と歌われます。紙でできた人形が涙で濡れると破れてしまう様子を表すと同時に、「袂が切れる」は結婚のご縁が切れてしまう、つまり実家と嫁ぎ先が絶縁してしまう意味も含まれます。「涙で鹿の子の赤い紅にじむ」は、紙人形の赤い模様が涙で滲む様子です。worldfolksong+1

5番の「泣くに泣かれぬ花嫁人形は」では、泣きたいのに泣けない状況が描かれます。人間の花嫁さんも紙の花嫁人形も、どちらも泣けない存在として重ねられているのです。fumino-ya.hatenablog+1

花嫁人形の作者蕗谷虹児の背景

「花嫁人形」の作詞者は蕗谷虹児(ふきやこうじ)で、1898年(明治31年)に新潟県新発田市に生まれた抒情画家であり詩人です。この詩は1924年(大正13年)2月号の雑誌『令女界』に詩画として掲載されました。作曲は作曲家でヴァイオリニストの杉山長谷夫が後に曲をつけ、童謡として広まりました。

参考)花嫁人形 – Wikipedia

蕗谷の両親は駆け落ち同然で結ばれたため、盛大な結婚式を挙げられなかったと言われています。母のエツは15歳で虹児を出産し、若くして亡くなりました。虹児は人形に亡き母を感じ、着ることがなかった花嫁衣装を人形の母に着せてあげる気持ちになったとき、母の人生が思われて人形が涙を流しているように感じたのではないかと推測されています。

参考)花嫁人形: 二木紘三のうた物語

つまり個人的な経験が基盤です。

この歌には作者自身の母への想いと、当時の社会で自分の意志に反して結婚させられる女性たちへの共感が込められています。「昔の嫁入りに関連する歌は、ほぼ泣いているか無になっています。当時は家のために身売りされているようなものですから、悲しいものだったことでしょう」という指摘もあります。

参考)童謡「花嫁人形」なぜ花嫁は泣いているのか。歌詞の意味を解説し…

花嫁人形の歌詞に現れる時代背景

大正時代の日本では、結婚は個人の意思よりも家と家の結びつきが優先されました。好きな人がいても貧困ゆえに金持ちとの結婚を強いられたり、政略結婚が行われたり、病弱や若い家族を残して嫁ぐ罪悪感に苦しむ女性もいました。花嫁御寮が泣く理由には、こうした当時の社会状況が反映されています。duarbo.air-nifty+1

実際、この歌は結婚式で定番曲として使われていた時期がありました。「泣けば鹿の子のたもとが切れる」という歌詞は縁起が悪いとの指摘を受け、作者は晩年の色紙では「きれる」を「ぬれる」と書き換えることもありました。しかし本来の意味は「千代紙人形をじっと見つめながら涙すると人形が濡れて切れてしまう」でした。

現代では考えられませんね。

花嫁さんが泣くことが珍しくなかった時代背景を知ると、この歌の切なさがより深く理解できます。現代の保育者は、本人たちの意思で幸せな結婚式を行う時代に生きているため、この歌の本当の意味を知らないと、単なる美しい童謡として捉えてしまう可能性があります。

花嫁人形の歌詞「きれる」と「ぬれる」の違い

「花嫁人形」の歌詞には、4番の部分に2つのバージョンが存在します。オリジナルは「泣けば鹿の子のたもとが切れる」でしたが、現在は「泣けば鹿の子のたもとが濡れる」として歌われることも多くなっています。

この変更には明確な理由があります。

参考)蕗谷虹児「花嫁人形」について : 新発田市西宮内・佐々木家の…

結婚式でこの曲が歌われるようになったとき、「切れる」という言葉は縁が切れることを連想させるため縁起が悪いと指摘されました。そのため作詞者の蕗谷虹児は、晩年の色紙には「ぬれる」と書くようになったのです。蕗谷の歌碑には「濡れる」と記載されています。

どちらが正しいんでしょうか?

しかし、ご親族によれば本来の意味は「千代紙人形をじっと見つめながら涙すると人形が濡れて切れてしまう」だったそうです。つまり「濡れる」→「切れる」という連続した現象を表現していました。調査によると現在でも「切れる」で歌うバージョンの方が圧倒的に多いようです。

保育現場でこの歌を扱う際は、どちらのバージョンで歌うかを事前に確認しておくとよいでしょう。園の方針や地域の慣習によって選択が異なる場合があります。歌詞カードを配布する場合は、使用するバージョンを明記することで混乱を避けられます。

花嫁人形を保育現場で扱う際の配慮点

保育現場で「花嫁人形」を取り扱う際には、いくつかの配慮が必要です。まず、この歌の背景にある重いテーマ(意志に反する結婚、家父長制など)を、そのまま幼児に説明する必要はありません。子どもたちには、美しいメロディーと日本語の情緒的な表現を楽しむことを優先させるのが基本です。

保育者自身が歌詞の意味を理解していることが重要です。

一方で、保育者自身はこの歌の深い意味を理解しておく必要があります。年齢の高い子どもから「なぜ花嫁さんは泣いているの?」と質問された場合に備えて、発達段階に応じた説明を準備しておきましょう。例えば「昔の花嫁さんは、大好きな家族と離れて新しい家族のところに行くから、寂しくて泣いていたのよ」といった説明が適切です。

人形を使った遊びとの関連付けも効果的です。保育室にある人形を使ったごっこ遊びの中で、お世話する優しさや思いやりの気持ちを育てることができます。「花嫁人形」の歌を通じて、人形への愛着や情緒の安定を促すことが期待できます。

参考)友だちとしてのお人形 – 鞠生幼稚園

また、多様な家族形態が存在する現代では、結婚や家族についての価値観も多様化しています。この歌を扱う際は、特定の家族観を押し付けることなく、文化的・歴史的な作品として紹介する姿勢が求められます。保護者の中には、この歌の背景に違和感を持つ方もいるかもしれないため、お便りなどで取り上げる理由を説明しておくと安心です。

花嫁人形の教育的価値と活用法

「花嫁人形」には保育における教育的価値がいくつか存在します。まず、日本語の美しい表現を学ぶ機会になります。「金襴緞子」「文金島田」「鹿の子」といった伝統的な言葉に触れることで、子どもたちは日本の文化や言葉の豊かさを感じ取ることができます。実物の写真や絵を見せながら説明すると、視覚的な理解も深まります。

参考)花嫁人形 歌詞の意味

情緒的な表現力を育てる教材としても有効です。「なぜ泣くのだろう」という問いかけの形式は、他者の感情を想像する力を養います。保育者が表情豊かに歌うことで、子どもたちは言葉だけでなく非言語的なコミュニケーションも学びます。

感情を読み取る練習になりますね。

季節の行事との関連付けもできます。例えば、ひな祭りの時期に日本の伝統的な衣装について話す際、この歌を紹介することで興味を広げられます。また、人形遊びの導入として歌うことで、人形への愛着を深める効果もあります。

音楽的な価値も高く、メロディーが美しく覚えやすいため、音感を育てる教材として適しています。ゆったりとした3拍子のリズムは、落ち着いた雰囲気を作り出し、静かな活動への移行時に使用することもできます。

ただし、歌詞の内容が少し難しいため、4歳児以上のクラスでの活用が適切でしょう。年少児には歌詞の意味よりも、メロディーを楽しむことを重視します。年長児であれば、簡単な時代背景の説明を加えることで、歴史や文化への興味を引き出すこともできます。

花嫁人形の詳しい歌詞解説と文化的背景について知りたい方はこちら

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