花いちもんめの歌と遊び方・保育士が知るべき完全ガイド
「勝ってうれしい花いちもんめ」の歌が止まると、クラスの中でなぜか特定の子だけが毎回選ばれ、保護者からクレームが入ることがあります。
花いちもんめの歌の由来と「怖い意味」の真相
「花いちもんめ」という言葉は、漢字で書くと「花一匁」になります。「匁(もんめ)」とは江戸時代に使われていた重さと銀貨の単位で、銀一匁は現代の価値にすると約2,000円ほどとされています。つまり「花の値段は一匁(ひとつの安い値)」という意味が、この歌のタイトルには込められています。
🌸 歌詞の語源をざっくり整理するとこうなります。
| 歌詞の言葉 | 表面的な意味 | 別の解釈 |
|---|---|---|
| 花 | 植物の花 | 若い女性・少女の隠語とも |
| 勝ってうれしい | 買ってうれしい(値交渉で勝った) | 人を安く買えてうれしい |
| 負けてくやしい | 値引きして悔しい | 売られる側の悲しみ |
一般的には「銀一匁の花を売り買いする際の、売り手と買い手のやりとりを歌ったもの」と解釈されています。ただし、「花」が若い女性の隠語であるという説もあり、「口減らしのために人買いに一匁で売られる子どもの悲哀を歌ったもの」という解釈も広く知られています。
この説の支持者は「子どもが素直に伝承してきたからこそ、大人では到底歌えないような内容が残ったのだ」と主張しています。真偽は諸説ありますが、その背景を知ることで保護者や同僚との会話が深まるのは間違いありません。
つまり「表と裏の意味を持つ歌」ということですね。
保育現場では歌詞の怖い解釈を子どもたちに伝える必要はありませんが、保護者から「どういう意味の歌ですか?」と聞かれたときのために、大まかな由来は把握しておくのがベターです。
ほいくらし(マイナビ保育士):はないちもんめの歌詞の意味や遊び方の詳細解説
花いちもんめの歌の発祥と地域による歌詞の違い
「花いちもんめ」は江戸・明治・大正の文献には確認されておらず、文献に登場するのは1935年(昭和10年)発行の『続日本童謡民謡曲集』が最初です。そこには京都市で歌われていた歌として掲載されており、昭和初期に全国へ広まったとされています。「鎌倉時代からある古い伝承遊び」と思いがちですが、実は戦前〜戦中期に広まった、比較的新しいわらべうたなのです。意外ですね。
さらに興味深いのが、地域によって歌詞が大きく異なる点です。全国のバリエーションをいくつか見てみましょう。
- 東京・神奈川・埼玉エリア:「隣のおばさんちょっと来ておくれ」「鬼が怖くて行かれない」「お釜かぶって〜」「お布団かぶって〜」など複数の節が続く長めの歌詞が一般的
- 関西(大阪・兵庫・京都)エリア:「タンス長持ち、どの子が欲しい?」という節が挿入されるのが特徴
- 愛知(名古屋市周辺)エリア:「負けて悔しい大根の尻尾」という独自の歌詞で歌われるバリエーションが存在
- 福岡エリア:「あらよ、ばいばい、あっかんべー、のへのかっぱ」という短縮版が一般的
- 静岡(一部)エリア:「ゴリラ、パンツ、あっかんべ〜」という独特の悪態フレーズが含まれる
これが基本です。
保育現場で気をつけたいのは、スタッフ同士で育った地域が違うと、歌詞が異なる場合がある点です。子どもたちが混乱しないよう、遊びを始める前にスタッフ間で「どの歌詞バージョンを使うか」をあらかじめ統一しておくことが重要です。異年齢保育や合同保育で取り入れる際は特に、担当者全員が同じ認識を持てるよう準備しましょう。
Wikipedia「はないちもんめ」:各都道府県の歌詞バリエーションの詳細な一覧
花いちもんめの遊び方・ルールを保育士向けに解説
正しいルールを理解してから導入することで、子どもたちがスムーズに楽しめます。対象年齢は4〜5歳(年中・年長)が基本で、人数は8人以上(1グループ4人以上)が理想的です。これが原則です。
🎮 基本的な進め方(ステップ順)
- 人数を半分に分けて2グループを作り、横一列で向かい合って手をつなぐ
- 代表者がじゃんけんをして先攻・後攻を決める
- 先攻グループが「かーってうれしいはないちもんめ」と歌いながら前進し、「め」の部分で片足を蹴り上げる
- 後攻グループは「まけてくやしいはないちもんめ」と歌いながら同様に前進する
- その後、地域の歌詞に合わせて「となりのおばさんちょっと来ておくれ〜」の節を交互に歌いながら前後に移動する
- 歌が終わったらグループに分かれてほしい子を相談し「き〜まった」と宣言する
- お互いが指名した子の名前を呼びながら再び前後に動く
- 指名された2人がじゃんけんをし、負けた側が相手グループに移動する
- どちらかのグループが全員いなくなったら終了(時間制の場合は人数の多い方が勝ち)
ここで注意が必要なのが、「手をつないで列で動く」という動き方です。前進するタイミングがずれると、手が引っ張られて転倒する危険があります。特に初めて遊ぶ子どもたちには、「ゆっくり同じ速さで動こうね」という声かけを最初に入れておくと安全に進められます。
また、人数が多くてなかなか勝敗がつかない場合は、あらかじめ「10分で終わり、多い方の勝ち」と時間制のルールを設定しておくと、保育の流れが崩れにくくなります。これは使えそうです。
花いちもんめの歌が「10の姿」と深くつながる理由
「花いちもんめ」が単なる昔遊びではなく、現代保育に有効な理由は、保育所保育指針が求める「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」のうち、複数の項目を一度に体験できる点にあります。
🌟 花いちもんめで育める「10の姿」の具体例
| 10の姿の項目 | 花いちもんめでの実際の場面 |
|---|---|
| 🤸 健康な心と身体 | 歌に合わせた前進・後退・片足蹴り上げで全身を動かす |
| 🤲 協同性 | 手をつないでリズムを合わせ、チームで動く体験 |
| 💬 言葉による伝え合い | 「相談しましょ」の場面でチーム内で意見を伝え合う |
| 🧠 思考力の芽生え | 次の歌詞・動きを予測しながら行動する |
| 😊 道徳性・規範意識の芽生え | 「選ばれなかった子を次は呼ぼう」という気づき |
特に「相談のパート」は、30秒〜1分という短い時間の中で「自分の意見を伝える」「相手の意見を聞く」「チームで合意を形成する」という3つのプロセスを自然に踏む体験になります。これは、現代の子どもたちが苦手としやすいコミュニケーションのトレーニングそのものです。
さらに、異年齢保育で取り入れると効果が増す場面があります。年長が年少に歌詞を教える・年少が年長の動きを真似するという縦のつながりが生まれ、思いやりの心やあこがれの気持ちも育まれます。準備ゼロで始められることも、忙しい保育士にとって大きなメリットです。
note(art.hoiku):「花いちもんめ最強説」〜10の姿を網羅できる保育メソッド〜
花いちもんめの歌を取り入れるときの配慮と注意点
花いちもんめの最大のリスクは「選ばれない子が毎回同じになる」状況です。この問題を放置すると、子ども同士の関係がこじれ、保護者からのクレームにつながるケースもあります。痛いですね。
具体的に気をつけるポイントと対処法をまとめます。
⚠️ 保育士が特に注意すること3点
- 同じ子ばかりが選ばれる問題:人気のある子や目立つ子ばかりが指名され続けると、選ばれない子が傷つきます。「まだ選ばれていない友だちいる?」「せっかくだから違う子を呼んでみようよ」などのさりげない声かけで、選ぶ側の気づきを促しましょう。
- 転倒リスクの防止:横一列で手をつないで動く場面では、前進のタイミングがズレて腕を強く引っ張られることがあります。「急がずゆっくり動こうね」と遊び前に全員へ声かけをしておくのが安全面の基本です。
また、「選ばれなかった子」の感情には必ずフォローを入れることが大切です。「最後まで残るってすごいことなんだよ」「次の試合では〇〇ちゃんから選べるね」というポジティブな言葉かけが、悔しさを「次は頑張ろう」という気持ちに変えるきっかけになります。
選ばれる・選ばれないという経験そのものは、感情のコントロール力を育てる貴重な機会でもあります。大切なのは禁止することではなく、保育士が適切に関わることです。安全で温かい環境が条件です。
月案や指導案に取り入れる際は「協調性」「コミュニケーション能力」「身体を動かす楽しさ」などをねらいとして記載し、「選ばれない子への配慮・声かけ」を配慮事項として必ず明記しておきましょう。
厚生労働省「不適切な保育に関する対応について」:子どもの人権・人格尊重の視点から保育を振り返る際の参考資料

花いちもんめ

