合唱団と保育園でこどもの合唱
合唱団の保育園でこどもの合唱：ねらいと一体感づくり
保育園で「こどもの合唱」を行う価値は、歌の上手さを競うことではなく、友だちと声を合わせる心地よさや一体感を体験できる点にあります。実際、保育園で歌うことのねらいとして「音のよさを感じる」「友だちと声を合わせて一体感を感じる」「歌詞やリズムの楽しさを分かち合う」などが挙げられています。
この“同じ方向を向く体験”は、合唱団が大切にする基礎（合わせる・聴く・支える）と相性が良いです。園の活動としては、合唱を「発表会のための練習」だけに閉じず、日常のあそびの延長として育てると、子どもが構えにくく伸びやすくなります。
【園で一体感を育てるコツ（すぐ使える）】
- 🎧「聴く番」を作る：1番は先生と数人だけ歌い、他は“聴く拍手役”にして「聴く姿勢」を学ぶ。
- 👣 立ち位置を固定しすぎない：輪・半円・2列などを試し、隣の声が聴こえる配置を探す。
- 🗯️ ねらいを子どもに翻訳する：「そろえる」ではなく「となりの声とまぜる」「同じところで息する」。
参考：保育園で歌うねらい（活動の意味づけ）
合唱団の保育園でこどもの合唱：選曲（音域・テンポ・歌詞）
合唱が崩れる原因は「練習不足」より、そもそもの曲が子どもの身体条件に合っていないケースが多いです。保育園の歌指導では、子どもが親しみやすいメロディーやリズム、興味を持てる題材を選ぶことが推奨され、さらに“子どもが自然にきれいに発声しやすい音階はミファソラ”といった考え方も紹介されています。
合唱団的に言うと「音域が高すぎる」「跳躍が激しい」「言葉が詰まる」曲は、揃う前に息が乱れます。園では、原曲キーにこだわらず、子どもが無理なく歌える高さに調整する（移調）発想を“最初から前提”にすると、合唱が急に整います。
【選曲のチェック表（園向け）】
- 🎼 音域：高低差が急すぎない／子どもが出しやすい範囲に収まる。
- ⏱️ テンポ：速すぎず、言葉が置いていかれない。
- 📝 歌詞：子どもが意味を想像できる（絵本・生活体験と結びつく）。
- 🔁 構造：短い繰り返しがある（サビや決めフレーズが覚えやすい）。
- 👏 しかけ：手拍子・簡単な振りが入ると、合唱が“息”で揃いやすい。
参考：選曲の考え方と「ミファソラ」など（導入の実務）
合唱団の保育園でこどもの合唱：導入（絵本・ペープサート・サビ）
合唱は、音程以前に「歌の場面が共有できているか」で揃い方が変わります。歌を初めて教える導入では、絵本やペープサートでイメージを膨らませたり、最初はサビから歌って「歌いたい」気持ちを作ったり、節ごとに区切って少しずつ覚える方法が有効だとされています。
合唱団の練習でも、いきなり通し練習より“核になるフレーズ”を作るのが近道です。園なら、サビを「みんなの合言葉」にしてからAメロへ戻すと、子どもは迷子になりにくいです。
【導入の手順（10分×数日で回す）】
- 📚 絵本・カードで場面を共有：「誰が」「どこで」「どんな気持ち」を短く確認。
- 🎤 先生が1回だけ通す：間違い探しをさせず、まず“音のプレゼント”にする。
- ⭐ サビを合言葉化：語尾をそろえる、最後の1音だけ揃える、など成功体験を刻む。
- 🧩 1フレーズずつ増やす：2番3番は“後日のお楽しみ”にして飽きを防ぐ。
参考：導入（絵本・ペープサート、サビから、少しずつ）
合唱団の保育園でこどもの合唱：発声（がなり声対策・口の開け方）
園の合唱でよく起きるのが「大きな声＝良い」と誤解して、結果的に“がなり声”になってしまう問題です。保育園の歌指導では、「大きな声で歌おうね」と言うと声を張り上げやすいため、「お口をしっかり開けてね」などの声かけで優しい発声に導くことが大切だとされています。
合唱団の観点でも、音量を先に上げるより、響き（口の形・母音・息）を整えたほうが、結果として遠くまで届く声になります。子どもは“説明”より“比喩”が効くので、声の質を言葉で描写して共通イメージを作るのが実務的です。
【がなり声を減らす声かけ例（そのまま使える）】
- 🙂「にこにこの声で」
- 🟠「まあるい声で」
- 🚪「お口のドアを大きく開けて」
- 🦖（注意喚起）「かいじゅうの声になってないかな？」（気づきを促す言い方として紹介あり）
参考：優しい発声への声かけ、がなり声の気づきの促し方
合唱団の保育園でこどもの合唱：独自視点（フォルテッシモ→ピアニッシモ練習）
検索上位では「優しい声で」「口を開けて」といった方向が中心になりがちですが、合唱団の練習発想を“安全に園へ翻訳”すると、あえて強い声から弱い声へ幅を作るアプローチが役に立つ場合があります。木下式の発声に関する解説では、音楽の基本はフォルテッシモから開始し、順次ピアニッシモへ移行するという考え方が述べられ、幼児の歌唱指導もまず大きな声で歌えるようにするところから出発するとしています（ただし闇雲に大きくすると怒鳴り声になり得る点にも注意が書かれています）。
園でそのまま真似るのではなく、「声量の大小」ではなく「響きのコントロール遊び」に変換するのがコツです。たとえば同じフレーズを、①“ホールに届ける声”→②“お人形に聞かせる声”→③“赤ちゃんを起こさない声”の順で歌うと、子どもはゲーム感覚で強弱と息の使い方を学び、合唱が整いやすくなります。
【園向け“強弱あそび”の具体例】
- 🎮 3段階ゲーム：大（おおきい）→中（ふつう）→小（そっと）で同じ1行を歌う。
- 🕯️ ろうそくルール：小さい声＝息を細く長く（言葉が消えないように口は開ける）。
- 👂 聴き合いポイント：小さい声のときほど「となりの声が聞こえる？」を確認する。
参考：フォルテッシモから始める考え方、幼児の歌唱指導への言及
https://k-onkan-kyokai.com/kyouiku/dokusyou/index.html
Cafe ふぉるだ #57