フルート運指高音をマスターする保育士のための完全ガイド

フルート運指高音を保育士が確実に攻略する方法

高音域の運指を「とにかく全部覚えよう」としている保育士ほど、演奏が上達しにくいです。

この記事でわかること
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高音域の運指の基本構造

フルートの第3オクターブ(高音域)で使われる運指パターンと、保育現場で頻出する音域の優先順位を解説します。

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息のコントロールと音程の関係

高音を安定して出すために必要なアンブシュアと息のスピードについて、具体的な練習方法とともに紹介します。

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保育現場で使える高音フレーズ

子どもの歌でよく登場する高音フレーズを中心に、現場ですぐ使える運指のコツと練習スケジュールを提案します。

フルート高音域の運指:第3オクターブの基本構造

 

フルートの音域は大きく3つのオクターブに分かれます。保育士が日常的に使うのは主に第1・第2オクターブですが、子どもの歌には「高いド(C5以上)」が頻繁に登場するため、第3オクターブの運指を避けて通ることはできません。

第3オクターブとは、C5(高いド)からC6(さらに高いド)あたりまでの音域を指します。ピアノの鍵盤でいうと、中央のドよりも2オクターブ上の領域です。この音域はフルートの構造上、第1・第2オクターブとは運指が大きく変わるケースがあり、初心者が最もつまずきやすい場所でもあります。

つまり「なんとなく吹けている」状態では対応できないのが高音域です。

第3オクターブの運指で特徴的なのは、「サムキー(左手親指キー)」と呼ばれるキーの使い方が変わる点です。第2オクターブまでは基本的にサムキーを押さえたまま演奏しますが、第3オクターブのいくつかの音では、このサムキーを外すことで音が安定します。具体的には、D5(高いレ)以上の音になると、サムキーを離すか半押しにするテクニックが必要になってきます。

音名 オクターブ サムキーの扱い 難易度
C4(中央ド) 第2オクターブ 押さえる ★☆☆
C5(高いド) 第3オクターブ 押さえる ★★☆
D5(高いレ) 第3オクターブ 離すか半押し ★★☆
E5(高いミ) 第3オクターブ 離す ★★★

これが基本です。まずC5とD5の運指を固めれば、保育現場の9割の曲に対応できます。

保育士向けのフルート運指表(第3オクターブ対応)は、各出版社からも発売されており、たとえばヤマハミュージックメディアの「フルート運指ガイド」はコンパクトで現場向きです。演奏前にキーの確認をする習慣をつけると、本番でのミスを大幅に減らすことができます。

フルート高音が出ない原因:アンブシュアと息のスピードの関係

フルートの高音が「かすれる」「出ない」「音程が下がる」という悩みの約8割は、アンブシュア(口の形)と息のスピードの問題です。運指が正しくても、これが崩れると高音は絶対に安定しません。

アンブシュアとは、唇のどこにどれだけ力を入れて、歌口に当てるかという口の形全体を指します。高音を出すときは、唇の開口部(アパチュア)を小さくし、息を細く速く出す必要があります。低音のときは逆に、口を少し広げてゆっくりした息で対応します。これを「オクターブが上がるごとに息のスピードを約1.5倍にする」と覚えておくと整理しやすいです。

意外ですね。運指よりも息のコントロールが先決なのです。

具体的なイメージとしては、低音は「ふわっと吹く」感覚で、高音は「ストローの先から水を押し出すような」細く速い息のイメージが有効です。初心者がよくやりがちなのは、高音を出そうとして「力を入れて吹く」こと。しかしこれは逆効果で、むしろ唇が緊張しすぎて音がかすれる原因になります。

息のスピードを確認するには、手のひらを口の前15cmほどの位置(ちょうど本の横幅くらいの距離)に置き、低音・高音で息の感触がどう変わるかを感じてみる練習が効果的です。スピードの差が体感できれば、音域の切り替えもスムーズになります。

  • 🎯 低音:ゆっくりで広い息(ふわっとした感覚)
  • 🎯 中音:やや速めで少し細い息
  • 🎯 高音:速くて細い息(ストロー感覚)

これだけ覚えておけばOKです。

なお、アンブシュアの形成には鏡を使ったセルフチェックが有効です。練習時に小型の卓上鏡を置き、唇の形を目視確認しながら練習するだけで、修正スピードが大きく変わります。

フルート高音の運指:保育現場で頻出する音と覚え方のコツ

保育士が覚えるべき高音の運指には優先順位があります。全部を一度に覚えようとすると挫折しやすいため、「よく出る音から攻略する」戦略が最も効率的です。

子どもの歌で特に高音が登場しやすい曲としては、「さんぽ」「ドレミの歌」「山の音楽家」などが挙げられます。これらの曲に共通して登場する音は、E5(高いミ)・F5(高いファ)・G5(高いソ)の3つです。この3音の運指を集中的に練習するだけで、保育現場で使う機会の多い曲の大半をカバーできます。

まず覚えるべき音が3つに絞れる、ということですね。

  • 🎵 E5(高いミ):左手人差し指・中指・薬指を押さえ、サムキーは離す。Eメカニズム(Eキー補助)がある楽器では活用すると安定しやすい
  • 🎵 F5(高いファ):E5の運指から左手薬指を外した形。息のスピードをわずかに上げることで音が安定する
  • 🎵 G5(高いソ):左手人差し指のみで押さえ、サムキーは離す。3音の中では比較的出しやすい

「Eメカニズム(E機構)」はフルートによってあるものとないものがあります。これはE5の音を出しやすくするための補助キーで、初心者・中級者には非常に有効な機能です。入門モデルでは省略されていることが多いため、購入時の確認ポイントになります。現在では2万円台のモデルにもEメカ付きが存在するため、保育士向けの楽器選びでは積極的に選択肢に入れることをおすすめします。

運指を覚える際には、音を出さずに指だけを動かす「サイレント練習」が非常に効果的です。就寝前や移動中など、楽器を持てない時間でも指の動きを反復できるため、保育士として多忙な日常の中でも練習時間を確保しやすくなります。

フルート高音の音程が不安定になる:よくある4つのミスと対策

高音域の練習でつまずいている保育士に多いのは、「運指は合っているのに音程が下がる」「音は出るけど細くかすれる」という状態です。これには4つの典型的なミスパターンがあります。

結論は「息・口・楽器の角度・キーの押さえ方」の4点です。

  • ミス①:歌口を内側に向けすぎる 歌口の向きが体側に向きすぎると、息が楽器の中に入りすぎて音が低くなります。特に高音を出す際は、歌口をわずかに外向き(5度程度)にセットすると音程が上がりやすくなります。
  • ミス②:下唇で歌口を塞ぎすぎる 高音を出そうとして歌口を塞ぎすぎると、息の出口が狭まりすぎて音がつまります。歌口の3分の1程度が唇にかかる位置が基本です。
  • ミス③:キーを中途半端に押さえる 指が短い人や手が小さい人に多いのが、キーの端だけで押さえてしまい、パッドが浮く状態です。音の抜けや音程の不安定さに直結します。パッドの中心を指の腹で押さえることを意識してください。
  • ミス④:構え方による楽器の角度のズレ 楽器を水平に保てていないと、息の向きと歌口の角度がずれて高音が出にくくなります。立奏・座奏どちらでも、楽器の右端が軽く下がる程度の角度(約5〜10度)が標準的です。

厳しいところですね。ただし、どれも意識するだけで改善できるポイントです。

これらのチェックを一度に全部直すのは難しいため、1週間ごとに1項目だけ集中して修正するローテーション練習が実践しやすいです。4週間で一巡するサイクルを作ると、着実に改善を実感できます。

保育士だからこそ活かせる:高音フレーズを子どもの歌で練習する独自メソッド

一般的なフルート教則本では、音階練習(スケール)やエチュードから高音域の練習を始めることが多いです。しかし保育士にとっては、子どもたちが喜ぶ曲を通じて練習するほうが、モチベーションの維持と実用性の両立という点で圧倒的に優れています。

これは使えそうです。

具体的には「ドレミの歌」の高音フレーズ(特にラ・シ・高いドの連続箇所)を使った反復練習が最も効果的です。この曲には第3オクターブのA5・B5・C6が自然なメロディーの流れの中で登場するため、スケール練習では習得しにくい「音と音のつながりの中での運指切り替え」を身につけることができます。

  • 🏫 ステップ1:「ドレミの歌」をゆっくりなテンポ(♩=60程度)で通して吹き、高音が出る箇所を確認する
  • 🏫 ステップ2:高音が続く箇所だけを抜き出し、5回繰り返して吹く(部分練習)
  • 🏫 ステップ3:テンポを徐々に上げ(♩=80→100)、音程が安定したか確認しながら仕上げていく

この練習方法のメリットは、完成した時点で即座に「保育現場で演奏できる曲」になる点です。通常の音階練習は練習と実践が別物になりがちですが、曲を素材にした練習は達成感が直結します。

さらに一歩進めると、子どもたちと一緒にメロディーを「ドレミで歌いながらフルートを吹く」練習を取り入れることで、保育士としての音楽活動と自分の技術向上を同時に進めることができます。これは一般のフルート教室では得られない、保育士ならではの練習環境の強みです。

子どもの歌を使った練習法については、教育現場での音楽指導をまとめた参考資料も存在します。

フルートの高音域に関する運指の詳細な解説が載っているヤマハの公式楽器解説ページです。

ヤマハ フルート 製品・機能紹介ページ

保育士向け音楽指導の全般的な情報がまとまっているサイトです。

文部科学省 幼児教育ページ(保育における音楽活動の位置づけ)

高音域の練習は根気が必要です。しかし「毎日5分だけ、高音3音に絞った運指練習」を続けるだけで、1ヶ月後には確実な手応えを感じられます。保育の現場で子どもたちの笑顔を引き出すために、今日から一音ずつ積み上げていきましょう。


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