ドヴォルザーク新世界第2楽章を保育に活かす基本と実践
「家路」としてお昼寝BGMにかけているなら、実は子どもの睡眠の質を下げている可能性があります。
ドヴォルザーク新世界第2楽章の基礎知識:保育士が知っておくべき背景
この曲が「家路」と呼ばれるのは、ドヴォルザーク本人がつけた名前ではありません。 1893年にチェコ出身の作曲家アントニン・ドヴォルザークが作曲した交響曲第9番「新世界より」の第2楽章が原曲で、後年1922年に弟子のウィリアム・アームズ・フィッシャーが歌詞をのせて「家路(Goin’ Home)」として世界に広めたものです。 名前の成り立ちを知っておくと、子どもたちへの説明の幅が広がります。
曲の正式なテンポ指示は「Largo(ラルゴ)」。 これは「非常にゆっくり」を意味し、日本語では1分間に40〜60拍程度のテンポです。 つまり「静かな眠り」に向けた曲ではなく、重厚な感情表現のためのテンポということですね。
参考)20回 ドヴォルザーク交響曲9番「新世界より」 2楽章 解説…
この楽章の冒頭でメロディを奏でるのはイングリッシュホルン(コーラングレ)という楽器です。 フルートやオーボエより一回り大きく低い音が出るこの楽器は、「どこか遠くから語りかけるような」哀愁を持ちます。 保育現場でこの音色の特徴を子どもに伝えると、楽器への興味が育まれます。
参考)ドヴォルザーク《新世界より》第2楽章:イングリッシュホルンが…
ドヴォルザーク自身はこの第2楽章について「大草原の動物たちの朝早い目覚め」にインスピレーションを受けたと語ったとされています。 キャンプファイヤーで歌う「家路」のイメージとは、実はかなり違うわけです。意外ですね。
参考)http://www2u.biglobe.ne.jp/~smacky/rireki%2010th.htm
また、この曲のメロディが日本人に「懐かしい」と感じさせる理由は、「ヨナ抜き音階(ペンタトニック・スケール)」を多用しているからです。 ド・レ・ミ・ソ・ラの5音からなるこの音階は、日本の童謡・演歌・民謡にも広く使われており、聴き慣れた感覚を呼び起こします。 これが保育の場で子どもたちに「なじみやすい」と感じられる理由の一つです。
参考)ドヴォルザーク『新世界より』解説!名曲の背景と聴きどころを紐…
参考:ドヴォルザーク『新世界より』の楽曲背景・各楽章解説(聴きどころ含む)
ドヴォルザーク『新世界より』解説!名曲の背景と聴きどころ|eiSuKe takashima
ドヴォルザーク新世界第2楽章のお昼寝BGMとしての正しい活用法
「静かな曲ならなんでもお昼寝に使える」と思っていませんか。それは半分正解で、半分は注意が必要です。
お昼寝のBGMとして音楽を使う場合、重要な条件が3つあります。 ひとつは音量(会話が聞こえる程度、50デシベル以下が目安)、ふたつめはテンポ(60〜80BPM以下の緩やかなもの)、そしてみっつめが「突然の音量変化がないこと」です。 この3条件が崩れると、入眠の妨げになります。
参考)園ごとのお昼寝事情 その重要性と実施内容の違いを徹底解説 &…
「新世界より」第2楽章はテンポこそゆっくりですが、中間部では弦楽器の音量が急に上がる「クライマックス」があります。 流しっぱなしにすると、この山場で子どもが目を覚ます場合があります。つまり全曲をそのまま流すのはNGです。
保育士が押さえるべきポイントは「曲の最初から中間部の手前まで(約3〜4分)を使う」という時間帯の管理です。 または冒頭のイングリッシュホルンソロ部分のみをループ活用することも実用的な方法です。これは使えそうです。
アメリカのマサチューセッツ大学の研究では、昼寝をした幼児はしなかった幼児と比べて新しい情報を記憶する能力が高いことが示されています。 お昼寝の質を高めるBGM選びは、子どもの学習能力にも直結します。つまりBGMの使い方が保育の質を左右するということですね。
音量設定の目安は「保育士同士が普通に会話できるレベル」。 スマホのスピーカーで流すのではなく、Bluetoothスピーカーを部屋の隅に置いて全体に均一に音が届くようにするのが理想的な方法です。
参考)保育園のお昼寝ルーティン 子供たちの機嫌を良くする方法とは?…
参考:保育園のお昼寝ルーティンとBGM活用に関する解説
保育園のお昼寝ルーティン 子供たちの機嫌を良くする方法とは?|シードほいくえん
ドヴォルザーク新世界第2楽章を使った音楽遊びと情操教育
「遠き山に日は落ちて」という歌詞は保育現場でもなじみ深いですが、この歌詞はドヴォルザークではなく日本の訳詞者・堀内敬三が1927年につけたものです。 原曲の「家路(Goin’ Home)」とは別物として理解しておくと、音楽活動の幅が広がります。これが基本です。
参考)「新世界」交響曲(第2楽章) – ドヴォルザーク – 吹奏楽…
年齢別の活用アイデアをまとめます。
- 🎵 0〜2歳:揺らしながら聴かせる「バウンシング遊び」。ゆっくりしたテンポに合わせて保育士が抱っこしながら体を揺らすと、安心感と音楽的感覚を同時に育てます
- 🎶 3〜4歳:「ゆっくり歩く・止まる」の動作遊び。テンポを感じながら体を動かすことで、リズム感の基礎が育ちます
- 🔔 5〜6歳(年長):ハンドベルや鍵盤ハーモニカで主旋律を演奏。実際に幼稚園の発表会でも使用されています
- 🖼️ 共通:「この曲を聴いてどんな景色が浮かぶ?」と問いかけ、自由に絵を描かせる鑑賞活動。想像力と表現力を同時に引き出せます
歌として使う場合は「遠き山に日は落ちて」(堀内敬三・詞)が最も保育現場での導入にしやすい選択肢です。 夕方の降園前に全員で歌うと、帰宅を促す「お迎え前の儀式」として機能し、子どもたちも気持ちの切り替えがしやすくなります。
参考)https://www.gakufu.co.jp/products/kgh276
音楽遊びに発展させる際は「楽器ではなく体が楽器」という意識を持つことが大切です。 東京未来大学の授業でも、保育者養成の科目「音楽表現指導法」でこの曲を使った実践例が報告されています。 大学の授業で使われている内容を現場に取り込めるのは大きなメリットですね。
参考)『新世界より』の「シンバル」と『かえるのうた』の「ラ」
参考:保育者養成科目での音楽実践事例
『新世界より』の「シンバル」と『かえるのうた』の「ラ」|東京未来大学 竹内貞一
ドヴォルザーク新世界第2楽章の意外な事実:保育士が知ると得する豆知識
「新世界より」第2楽章はチェコの曲だと思われていますが、実はアメリカのニューヨークで書かれた曲です。 1892年にドヴォルザークがニューヨーク・ナショナル音楽院の院長として招かれ、翌1893年に完成させました。 「新世界」とはアメリカのこと。この背景を子どもに伝えるだけで、音楽への親しみが生まれます。
「家路」は「帰り道の夕暮れ」の曲と思われがちです。ところが作曲者本人のコメントでは「大草原の動物たちの朝早い目覚め」からインスピレーションを受けたとされています。 夕方のイメージとは真逆の「朝」の曲というのが実際の成り立ちで、保育士が子どもに話すと「えっ、朝の曲なの?」という驚きの反応が生まれます。
さらに、この曲には意外な構造的特徴があります。第2楽章の主題は、もともとロングフェローの叙事詩「ハイアワサの歌」に登場する英雄の妻の死をテーマにしたオペラのスケッチが転用されたとされています。 穏やかな旋律の下に、実は「死と森葬」の場面が元ネタにあるというわけです。これも意外ですね。
参考)http://tbd-bake.music.coocan.jp/shinsekai.html
また、楽曲の途中でシンバルが1回だけ鳴るという演奏上のポイントがあります。 研究者の間では「教会の鐘の音」を表しているという説が有力です。 普段は気づかない細部を「聞こえたら手をあげてね」と子どもに伝えると、集中して聴く姿勢が育まれます。tokyomirai+1
ペンタトニック(ヨナ抜き音階)の観点から見ると、この曲のメロディは日本の「さくらさくら」や「荒城の月」と同じ音階の骨格を持っています。 「この曲と同じ音だよ」と比較しながら聴かせることで、子どもが音楽の「共通性」を感覚的に理解するきっかけになります。つまり横断的な音楽教育の素材として優秀です。
参考:イングリッシュホルンとこの楽章の音楽的分析
ドヴォルザーク《新世界より》第2楽章:イングリッシュホルンが語る郷愁|note
ドヴォルザーク新世界第2楽章と保育士自身のメンタルケア:独自視点
「新世界より」第2楽章を聴くと、保育士自身が癒されやすい理由があります。これは子どものためだけでなく、あなた自身の疲労回復にも使える情報です。
音楽が人間のストレス反応を低下させることは研究で示されており、特に「60〜80BPMのゆったりした楽曲」が自律神経を整えるとされています。 「新世界より」第2楽章のラルゴのテンポはまさにこの範囲に収まります。これは使えそうです。
保育士は日本の職業の中でも離職率が高い職種のひとつで、精神的・身体的消耗が課題とされています。子どもたちのお昼寝時間に流すBGMを、あえて「自分も一緒に聴いて整える」時間として意識することは、小さいようで実践しやすいセルフケアです。 お昼寝の時間を「自分もリセットする5分間」と捉え直すことが原則です。
また、この曲のイングリッシュホルンの音色は「人間の声の中低音域に近い」という特性を持ちます。 人の声に似た音は聴く側に安心感を与えやすく、子どもだけでなく大人にも情緒を安定させる効果が期待されます。 音域の近さが「聴いていて落ち着く」と感じる心理的理由のひとつですね。
YouTubeでは著作権フリーの演奏も多く公開されており、保育室のスピーカーから手軽に流せます。 「クラシック音楽=難しいもの」と身構える必要はありません。Spotify・YouTube Musicでも「家路 ドヴォルザーク」で検索すれば即日活用できます。 まず一度、自分のお昼休みに聴いてみるのが一番です。
ナクソス・ジャパンによる「癒し度☆☆☆☆☆(最高評価)」という独自チャートでも、この第2楽章は高く評価されています。 音楽配信サービスでの活用として、NMLなど教育・保育施設向けに許諾された配信サービスの使用が、著作権面で安心です。
参考:ナクソス・ジャパンによるドヴォルザーク第2楽章のキュレーション
ドヴォルザーク: 交響曲第9番「新世界より」第2楽章[ナクソス・クラシック・キュレーション #癒し]|YouTube

「新世界より」第2楽章【3-4年生用、参考CD付、ドレミ音名譜付】(ドヴォルザーク)(KGH276)

