伝承遊び一覧で保育に活かす遊びとねらいの完全ガイド

伝承遊び一覧|保育で使える遊びをまるごと解説

実は、けん玉を週3回取り入れた園児グループは8週間で集中力テストのスコアが約20%向上したという研究報告があります。

この記事でわかること
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伝承遊びの種類と一覧

手先・体・わらべうたの3カテゴリに分けて、保育で使える伝承遊びを30種類以上まとめて紹介します。

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年齢別のねらいと活用法

0歳〜5歳まで年齢ごとに適した伝承遊びのねらいと保育への取り入れ方を解説します。

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指導案・保育のポイント

保育所保育指針の五領域との関連や、季節行事への組み込み方など、指導案に役立つ情報をまとめています。

伝承遊びとは何か?保育における定義と五領域との関係

 

伝承遊びとは、大人から子どもへ、子どもから子どもへと長い年月をかけて受け継がれてきた昔ながらの遊びのことです。鬼ごっこや折り紙、けん玉コマ回し、わらべうたなどが代表的な例として挙げられます。たとえばコマ回しは、文献上の記録だけで南北朝時代(西暦420〜589年)にまでさかのぼることができ、実に1,600年以上も子どもたちに親しまれてきた遊びです。これは日本の伝統文化そのものといっても過言ではありません。

保育所保育指針では、保育の内容を「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の五領域で整理しています。伝承遊びはこの五領域すべてにまたがる活動であり、一つの遊びで複数のねらいを同時に達成できるのが大きな強みです。五領域が基本です。

具体的な対応の例を挙げると、体を使った鬼ごっこや縄跳びは「健康」に、友だちと楽しむはないちもんめかごめかごめは「人間関係」に、折り紙や竹とんぼを手作りする活動は「環境」や「表現」に、わらべうたの言葉やリズムは「言葉」や「表現」にそれぞれ深く関わっています。

保育士がねらいを設定する際、伝承遊びであれば一度の活動で複数の領域をカバーできるため、指導案を書く際にもねらいを広げやすいという利点があります。これは使えそうですね。年齢や発達段階に合わせて遊びの種類や関わり方を工夫することで、乳児クラスから年長クラスまで幅広く活用できる点も、現場での実用性の高さにつながっています。

【参考】保育所保育指針(厚生労働省)|五領域の詳細な内容と各年齢の保育のねらいが確認できます

伝承遊び一覧①手先を使う遊び|折り紙・あやとり・お手玉など

手先を使う伝承遊びは、指先の細かな動きを繰り返すことで、脳の神経ネットワークを発達させる効果があります。手指の運動は脳の運動野の広い範囲を刺激するとされており、「手は第二の脳」とも呼ばれるほどです。幼少期に指先を使う遊びに多く触れることが、将来の学習にも良い影響を与えるという研究も報告されています。

以下に、保育で活用しやすい手先の伝承遊びをまとめました。

遊びの名前 対象年齢の目安 主なねらい
折り紙 2歳〜 集中力・巧緻性・創造力
あやとり 3歳〜 手指の巧緻性・思考力・集中力
お手玉 2歳〜 動体視力・リズム感・集中力
けん玉 4歳〜 集中力・バランス感覚・忍耐力
おはじき 3歳〜 数の概念・目と手の協応
めんこ 4歳〜 力加減・勝敗のルール理解
こま回し 4歳〜 巧緻性・粘り強さ・達成感
かるた 4歳〜 文字への興味・反射神経・集中力
紙飛行機 3歳〜 空間認識・想像力・巧緻性
竹とんぼ 5歳〜 力の調整・物理への興味

なかでも特に注目したいのがあやとりです。あやとりは指を複雑に動かしながら形を作っていく過程で、「次はどこに指を通すか」という思考が繰り返されます。つまり手先の運動と論理的思考を同時に鍛えられる、非常にコストパフォーマンスの高い遊びといえます。

お手玉については、2〜3個を空中に投げてリズムよくキャッチする動作が、動体視力と全身の協調運動を同時に刺激します。「お手玉遊びに多く触れることにより、手先の器用な子どもに成長することが期待できる」という研究報告(北陸学院大学)も出ており、保育での活用価値は高いといえるでしょう。繰り返しが基本です。

おはじきは一見シンプルに見えますが、指ではじいた玉の力加減を調整しながら他のおはじきに当てていく遊びです。複数個集めた時に自然と「いくつ集まったか」と数えるため、数の概念の導入としても使えます。3〜4歳クラスで数や量の概念を遊びながら身に付けさせたい時期に特におすすめです。

【参考】伝承遊び(お手玉)に関する研究|北陸学院大学|お手玉遊びと運動能力・集中力・忍耐力の発達との関連が詳しく記述されています

伝承遊び一覧②体を動かす遊び|鬼ごっこ・縄跳び・だるまさんが転んだなど

体を動かす伝承遊びは、遊びの中で自然に全身を使う場面が生まれます。道具がいらないものも多く、保育士がすぐに取り入れられるのが大きなメリットです。また、鬼役やルールを通じて社会性やコミュニケーション力も同時に育まれるという点も見逃せません。

以下に、保育で定番の体を動かす伝承遊びをまとめました。

遊びの名前 対象年齢の目安 主なねらい
鬼ごっこ 3歳〜 走力・ルール理解・社会性
だるまさんが転んだ 3歳〜 静止力・体のコントロール・先見力
縄跳び 4歳〜 持久力・体幹・リズム感
ハンカチ落とし 3歳〜 集中力・瞬発力・ルール理解
かくれんぼ 2歳〜 空間認識・想像力・我慢する力
けんけんぱ 2歳〜 バランス感覚・リズム・足の筋力
缶蹴り 4歳〜 戦略的思考・俊敏性・協力
竹馬 5歳〜 体幹・バランス・粘り強さ
凧あげ 3歳〜 自然への関心・全身運動
大根抜き 2歳〜 全身の筋力・笑いとふれあい

「だるまさんが転んだ」は、動きと静止を繰り返す中で「身体の動きを自分でコントロールする力」を育てます。これは運動能力の基盤となる「調整力」に直結しています。静止した瞬間のドキドキ感がスリルを生み、子どもたちが夢中になりやすいのも特徴です。広い場所さえあれば道具なしですぐに始められます。

縄跳びは一人でも集団でも楽しめる万能な伝承遊びです。大縄跳びでは「いつ入るか」を自分で判断する必要があるため、先を見通す力や判断力も養われます。縄跳びが基本です。慣れてきたら「郵便屋さん」「電車ごっこ」などのわらべうたを組み合わせたアレンジで遊ぶと、表現力やコミュニケーション力もさらに高まります。

鬼ごっこには「氷鬼」「色鬼」「手つなぎ鬼」など多彩なバリエーションがあります。年齢や子どもの発達段階に合わせてルールを変えながら使えるため、1歳上の年齢クラスへの橋渡しにもなります。鬼役を経験することで、集団の中での役割意識や責任感も芽生えやすいというメリットがあります。

伝承遊び一覧③わらべうたを楽しむ遊び|かごめかごめ・はないちもんめなど

わらべうたを使った伝承遊びは、音楽・言語・身体・コミュニケーションを同時に刺激できる、非常に総合的な遊びです。「手を動かすわらべうたが多く、指先の運動や体を動かすことが脳の発達に直結している」という保育士への調査報告(洗足学園音楽大学)があるように、わらべうたの保育効果は研究の場でも高く評価されています。

以下に、保育でよく取り入れられるわらべうた伝承遊びをまとめました。

遊びの名前 対象年齢の目安 主なねらい
はないちもんめ 4歳〜 集団遊び・歌・コミュニケーション
かごめかごめ 3歳〜 聴覚・集中力・伝統文化への親しみ
あんたがたどこさ 3歳〜 リズム感・ボール操作・言語
なべなべそこぬけ 2歳〜 友だちとの協力・身体柔軟性
おしくらまんじゅう 3歳〜 体幹・ふれあい・冬の体温め
あぶくたった 2歳〜 歌・想像力・鬼ごっこの入門
いっぽんばしこちょこちょ 0歳〜 スキンシップ・愛着形成・触覚刺激
おせんべやけたかな 1歳〜 ふれあい・ルール理解・想像遊び
ちゃちゃつぼ 4歳〜 手先の巧緻性・記憶力・集中力
げんこつやまのたぬきさん 0歳〜 模倣・言語・愛着関係の構築

乳児クラス(0〜2歳)の保育士に特に推薦したいのが「いっぽんばしこちょこちょ」です。子どもの腕を橋に見立て、指でトントンと歩いて最後にくすぐる、この単純なふれあいが赤ちゃんとの信頼関係(愛着関係)の形成に大きく寄与します。わらべうたが持つ12の感覚のうち、「触覚」「生命感覚」「運動感覚」「平衡感覚」の4つを育む効果があるという専門家の見解もあります。愛着形成が条件です。

「かごめかごめ」は江戸時代から伝わる遊びで、「かごめ」とは竹かごの網目模様を意味するとされています。目を閉じて鬼が後ろの人物を当てる場面では、聴覚を研ぎ澄ます集中力が必要です。子どもたちに「これは江戸時代から続いている遊びだよ」と伝えることで、歴史への興味や文化的アイデンティティへの目覚めにもつながります。

「おしくらまんじゅう」は寒い時期に屋外でおこなうと体がすぐに温まる遊びです。背中合わせで押し合うため、体幹を自然に使い、転倒しないよう踏ん張ることで下半身の筋力も鍛えられます。冬の保育で体を温めながら友だちとのふれあいを楽しめるのは大きなメリットです。

【参考】保育にわらべ歌を用いる保育士の認識について(洗足学園音楽大学)|保育士へのインタビューを通じたわらべうたの脳発達・発達促進効果についての考察が記されています

伝承遊びの年齢別ねらいと指導案への活かし方

伝承遊びのねらいは、年齢や発達段階によって大きく変わります。同じ「折り紙」でも、2歳児なら「紙を折る感触を楽しむ」がねらいになりますし、5歳児なら「複雑な作品に挑戦し達成感を味わう」がねらいになります。年齢に合わせた設定が原則です。

年齢ごとの保育のポイントを整理すると、以下のようになります。

  • 0〜1歳児:保育士とのふれあいを通じて「いっぽんばしこちょこちょ」「げんこつやまのたぬきさん」などの触れ合い遊びを中心に。スキンシップによる愛着形成がねらいの主軸となります。
  • 2歳児:「なべなべそこぬけ」「けんけんぱ」「かくれんぼ」など、シンプルなルールがある遊びが適しています。身体の動きを楽しみながら、友だちへの意識が芽生える時期です。
  • 3〜4歳児:「鬼ごっこ」「あやとり」「折り紙」「かごめかごめ」など幅広く取り入れられます。ルールを理解してみんなで守る経験が、社会性の発達につながります。
  • 5歳児:「けん玉」「竹馬」「はないちもんめ」「かるた」など、技術や戦略が必要な遊びへ挑戦する時期です。できた時の達成感と自己肯定感の向上がねらいの中心になります。

指導案のねらい文を書く際には、「遊びの種類」×「五領域のどれか」×「子どもに育てたい力」の3つを組み合わせると、具体性が高まります。たとえば「けん玉やお手玉などの伝承遊びに繰り返し挑戦し、手指の巧緻性や集中力を高めるとともに、達成感を味わう(3〜5歳児・健康)」というような形です。

また、正月や敬老の日などの季節行事に合わせて伝承遊びを計画するのも効果的です。1月には凧あげ・福笑い・こま回し・かるたなどお正月遊びが定番ですし、9月の敬老の日には祖父母を招いたお手玉やあやとりの交流会として活用している園も多くあります。指導案に「行事との関連」を記載することで、保育の意図をより明確に示すことができます。

保育士だけが知る!伝承遊びの「隠れた効果」と継承のコツ

これは検索上位の記事にはほとんど書かれていない視点ですが、伝承遊びには「世代間の橋渡し」という機能があります。多くの伝承遊びは、ルールが単純な割に奥が深く、大人が一緒に楽しめるという特徴を持っています。だからこそ、保護者参観や敬老の日のような世代を超えた場で機能するのです。

お手玉はその代表例で、日本では「隔世伝承遊び」と呼ばれることがあります。これは「祖母から孫娘へ」と女性を通じて縦に伝わってきた文化を指します。保育園がその伝承の「場」としての役割を担えるという視点を持つと、伝承遊びを取り入れる意味が一段と深まります。

また、伝承遊びの多くは「ルール変更」に対して非常に柔軟です。たとえば「鬼ごっこ」は地域によって「色鬼」「影踏み鬼」「手つなぎ鬼」など、数十種類のバリエーションが存在します。地域ごとの遊び文化の違いを子どもたちと話し合うこと自体が、豊かな学びになります。地域差の発見は環境領域に直結です。

さらに、保育士自身が「子どもの頃に楽しんでいた遊び」を持ち込むことも非常に効果的です。保育士が本当に楽しそうにしている遊びには、子どもたちが引き込まれやすいという現場の経験則があります。「先生も子どもの時に同じ遊びをしていたんだ」という発見が、世代を超えた文化のつながりを子どもたちに実感させる大切なきっかけになります。

伝承遊びを継続的に保育に取り入れる上での実践的なコツとして、次のような工夫が有効です。遊びを毎月1〜2種類ずつローテーションして季節や行事に合わせる、保育室の壁面に「今月の伝承遊び」コーナーを設けて視覚的に意識づける、子どもが「もう一回やりたい」と言ったら翌日も繰り返せる環境を用意する、などが挙げられます。

継続が一番の条件です。けん玉やあやとりのような技の伝承遊びは、1回や2回では上達を実感しにくい場合があります。週2〜3回のペースで4〜8週間取り組むことで、子どもの上達が目に見えてきます。その達成感の積み重ねが、挑戦する姿勢や自己肯定感の土台をつくっていきます。

神奈川県が作成した「子どもたちに伝えたい伝承あそび111選」のような地域教育機関のリソースを参考にすることも、遊びの幅を広げる有効な方法です。保育士自身の引き出しを増やしておくことで、子どもたちの興味に柔軟に応えることができます。

【参考】子どもたちに伝えたい伝承あそび111選(神奈川県)|保育・教育現場で活用できる伝承遊びが111種類収録されており、遊び方・工夫・道具の作り方まで詳しく記されています

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