ダンゴムシと保育園で自然あそび観察飼育

ダンゴムシと保育園で自然あそび

ダンゴムシ自然あそびの全体像
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見つける→観察する

落ち葉・植木鉢・石の下など、環境の「ヒント」を手渡して自分で発見する楽しさを育てます。

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飼育ケースで「お家づくり」

土・落ち葉・枝・石を入れ、乾燥と直射日光を避ける。世話は“湿り気”が要です。

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命の尊重と「返す」

触る・飼うだけで終わらず、元の場所へ戻す経験まで含めて“自然との関わり”を深めます。

ダンゴムシの観察あそびでねらいを立てる

 

保育園の自然あそびでダンゴムシが強い教材性をもつ理由は、子どもが「見つけやすい」「動きが面白い」「丸まる」という分かりやすい反応があるからです。さらに、保育者が“教える”より先に、子どもの発見や驚きが自然に出やすい点が大きな利点です。

ねらいの立て方は、活動を「知る」「感じる」「伝える」「大切にする」に分けると整理しやすくなります。実践例として、身近な小動物との出会いを通して“動き・様子・食べ物への関心”を育て、友達と一緒に調べたり話し合ったりして思いを伝え合う、というねらいが示されています。

参考(ねらいの書き方の根拠になりやすい部分):大阪市の実践資料は「本活動のねらい」「教育的意図」をそのまま引用せずに要約して使える形で載せています。

活動のねらい(思考・言語、自然との関わり・生命尊重の視点)

https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/cmsfiles/contents/0000446/446892/05_4asi_compressed.pdf

現場で使いやすい「ねらい」の言い換え例も置いておきます(園内の指導計画に合わせて調整してください)。

  • 気付き:ダンゴムシがいる場所・いない場所の違いに気付く。
  • 探究:食べ物やすみかを試し、うまくいった/いかなかったを比べる。
  • 言葉:見たことを絵・言葉・身ぶりで伝え合う。
  • 生命尊重:弱らせない扱い方を考え、最後は元の場所へ戻す。

意外と見落とされがちなのが、「ねらい=知識」だけに寄せないことです。例えば“丸まる”という現象を説明するより、「触ると丸くなる」「同じ形でも丸くならない(ワラジムシ等)」といった違いに出会うことで、子どもの中に分類や比較の芽が立ち上がります(大人が答えを急がないほど深まりやすいポイントです)。

ダンゴムシの探し方と環境設定(園庭・落ち葉・石)

ダンゴムシ探しは、単に「探しておいで」だと経験差が出やすいので、保育者が“見つかる環境の条件”を言語化して渡すと成功体験が増えます。大阪市の実践でも、植木鉢の下・枯れ葉の下など、子どもが見つけた場所を言葉にして共有し、次の探しにつなげています。

探す前の環境設定のコツ(保育者が先に安全確認しつつ、発見は子どもに返す形が◎)。

  • 「ひんやり・しめった・暗い」場所がある園庭動線を作る(落ち葉コーナー、プランター周辺、石の端など)。
  • 最初の導入は“見つかる確率が高いスポット”から(成功体験→自力探索へ)。
  • 採集容器は透明で小さめを基本にし、入れ過ぎを防ぐ(観察が目的だと伝えやすい)。
  • 触れない子も参加できるよう、観察席(自然コーナー)を用意する。

声かけ例は、答えを言わずに条件へ戻すと、子どもが自分で「場所の法則」を作ります。

  • 「どこが“お家”っぽいかな?」
  • 「さっき見つけたところ、暗かった?湿ってた?」
  • 「落ち葉の下って、どんな感じ?」

また、独自の工夫として「園庭の“ダンゴムシ地図”」をおすすめします。紙に園庭の簡単な絵を描き、見つけた場所にシールを貼るだけで、比較・予想・振り返りが自然に起こります(理科っぽい学びになりますが、言葉の発達にも直結します)。

ダンゴムシの飼育ケースと飼育のコツ(湿り気)

飼育に発展させる場合、最大の失敗原因は「乾燥」と「環境が違いすぎる」ことです。HoiClueの飼育記事でも、土を湿らせて乾かさないこと、落ち葉や枝・石を入れて隠れ家を作ること、直射日光を避けることが基本として整理されています。

飼育方法(霧吹き、落ち葉、直射日光を避ける等の要点)

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園で実際に回すときは、次の「保育運用のルール」を先に決めておくと、トラブルが激減します。

  • 飼育ケースの置き場所:直射日光が当たらない、風が抜けすぎない場所。
  • 霧吹き当番:2〜3日に1回を目安にしつつ、土が乾いたら増やす(毎日びしょびしょはカビの原因)。
  • 餌:落ち葉を基本に、野菜は少量から(食べ残しは早めに回収)。
  • 数:最初は少数で(詰め込みすぎると弱りやすい)。

「意外な観察ポイント」として、HoiClueでは落ち葉や野菜だけでなく煮干し・鰹節なども食べる(雑食)という紹介があります。園で扱う場合は、アレルギーや衛生面の観点から“園のルールに合う範囲”で実施し、無理なら「落ち葉・野菜の範囲で食べ比べ」でも十分に探究が起こります。

さらに、脱皮(白い抜け殻)に気付くと、子どもの「生きているって、変わるんだ」という実感につながります。大阪市の実践でも、白いものを見つけて“皮(抜け殻)”として話が広がる場面が記録されており、絵本や図鑑の知識と実体験が結びつく瞬間になります。

ダンゴムシと命の尊重(死んだ時・返す時)

自然あそびで必ず出会うのが、「弱る」「動かない」「死んでしまった」という現実です。ここを避けると、子どもは“命がある”を頭では知っても、実感が育ちにくくなります。大阪市の資料では、飼育ケースに入れたままのダンゴムシが動かなくなり、「なんで死んでしまったんかな」と子どもが問いを持ち、暑さ・住みやすさを考える流れが描かれています。

死んだ時に保育者がやりたいのは、説教でも正解探しでもなく、次の3点を丁寧に扱うことです。

  • 事実を見つめる:「動かないね」「昨日と違うね」と変化に気付く言葉。
  • 理由を一緒に考える:「暑かった?乾いてた?お家は合ってた?」と環境へ戻す問い。
  • 気持ちの整理と次の行動:土に埋める/花を添える/次はどうするか話し合う。

「返す」場面も重要です。長期飼育が目的ではなく、一定期間観察したら“見つけた場所(近い環境)へ戻す”経験まで含めると、自然あそびが“採集”で終わらず“関係”になります。ここでの声かけは、子どもが主体になれる言い方が合います。

  • 「ダンゴムシさんのお家、どこだった?」
  • 「戻す場所、さっきの“暗くてしめったところ”かな?」
  • 「戻したら、そっと土や落ち葉をかけてあげようか」

ダンゴムシの自然あそびをSTEAMに広げる(独自視点)

検索上位に多いのは「飼い方」「観察」「製作」ですが、保育園ならではの独自性を出すなら、ダンゴムシを“STEAMの入口”として設計するのが強いです(難しい言葉は表に出さず、中身だけやるのがコツ)。

おすすめは「ダンゴムシ迷路」「ダンゴムシのお家設計図」「記録の見える化」です。大阪市の実践が示すように、保育者が答えを示すのではなく、子どもが“住みやすい環境を考え、試して作る”過程に価値があります。そこで、次のようなミニ探究にすると、自然に論理が育ちます。

  • 迷路:紙の上に簡単な壁を作り、「暗い方に行く?」「湿った方に行く?」を予想して試す。
  • お家設計図:飼育ケースの中を絵で描き、「土」「落ち葉」「石」「枝」をどこに置くか考える。
  • 記録:写真+一言、または絵+一言で「今日の発見」を貼り出す(共有の場が学びを加速させる)。

意外と盛り上がるのが、「丸まる/丸まらない」「動く速さ」「ひっくり返った時の戻り方」など“体のつくり”に関わる観察です。子どもの言葉は最初は擬音や身ぶりですが、そこから「速い・遅い」「長い・短い」「多い・少ない」へつながり、言語活動としても手応えが出ます。

最後に、園内共有用の短いチェックリストを置きます(このまま掲示しても使えます)。

  • 乾燥対策はできている?(土がカラカラになっていない)
  • 直射日光を避けている?(置き場所の再確認)
  • 数を入れすぎていない?(観察しやすい数)
  • 触れない子の居場所はある?(見る・描く・話す参加)
  • 返す計画はある?(観察期間と戻す場所)


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