大根の煮物と鶏肉で給食を制する完全攻略レシピ
大根を冷凍してから煮ると、下茹でなしでも30分で中まで味がしみます。
大根の煮物に使う大根の部位と選び方のコツ
スーパーで大根を選ぶとき、上下どちらを使えばいいか迷ったことはありませんか。実は大根は3つのゾーンでまったく異なる顔を持っており、料理の目的に合わせた選び方が仕上がりを左右します。
大根は「上部(葉に近い側)」「中央部」「下部(先端側)」に分かれ、それぞれの特徴は次のとおりです。
| 部位 | 味・食感の特徴 | 向いている料理 |
|---|---|---|
| 上部(葉元側) | 甘みが強く、水分が多い | サラダ・大根おろし・浅漬け |
| 中央部 | 甘みと辛みのバランスが良く、やわらかい | 煮物・おでん・鍋料理 ✅ |
| 下部(先端側) | 辛みが強く、繊維が多い | 大根おろし・漬物 |
煮物には中央部が正解です。中央部はもともとやわらかいうえに、加熱すると調味料が染み込みやすくなります。辛みが少なく甘みがあるので、子どもたちにとっても食べやすい口あたりに仕上がります。
下部(先端側)は辛みが強く、長く煮込んでも「えぐみ」が出やすいため、給食での煮物には向きません。価格の安さにつられて先端部分を使うと、子どもたちの食べが悪くなる原因になることもあります。これは損ですね。
新鮮な大根を選ぶポイントもあります。茎の切り口を確認し、断面の中央が白く空洞になっていたり、白い輪のような模様(「ス」が入った状態)が見えるものはNG。内部まで「ス」が入っている可能性が高く、火を通しても固くパサパサに仕上がります。葉付きの大根なら、葉の色が濃く元気なものを選ぶのが基本です。
煮物用の大根には中央部を選ぶ、が原則です。
参考:大根の部位ごとの使い分けを詳しく解説しています。
「大根の部位」別の使い方を総まとめ!辛いのは上・下どっち? – macaroni
大根の煮物における鶏肉の下ごしらえと部位選びの基本
鶏肉は部位によって食感も味わいもまったく異なります。給食に使うとき、どの部位を選ぶかは子どもたちの「食べやすさ」に直結する大切なポイントです。
保育園給食の大根の煮物には、鶏もも肉が最も適しています。もも肉は脂肪のバランスがよく、煮込んでもジューシーさが保たれます。加熱しても水分が保持されやすいため、長めに煮ても口の中でほろほろとほぐれる食感に仕上がります。
一方、鶏むね肉は脂肪が少なくヘルシーですが、煮物に使うと固くパサパサになりやすい弱点があります。もも肉に比べると加熱後の水分の抜けが早く、煮汁の中でも筋肉のタンパク質が収縮しやすいためです。むね肉を使う場合は、次の下処理が欠かせません。
- 🔪 片栗粉をまぶす:表面をコーティングして水分の流出を防ぐ(煮るときは片栗粉が◎)
- 🧂 酒と砂糖で下味をつける:砂糖の保水力で加熱後のパサつきを防ぐ
- 🌡️ 加熱しすぎない:65〜70℃以上で急激にタンパク質が固まるため、火加減は弱〜中火が基本
つまり鶏もも肉なら手間が少ないです。
鶏肉全般の下ごしらえとして、調理前にクッキングペーパーで「ドリップ(赤い汁)」を拭き取ることが重要です。ドリップを拭かないまま鍋に入れると臭みが煮汁全体に広がり、子どもたちが嫌がる独特のにおいが出てしまいます。冷蔵庫から出した直後に調理すると、外は焼けているのに中が生というムラができやすいため、調理の15〜30分前には冷蔵庫から出して室温に戻しておくのも大切な一手間です。
参考:保育園・幼稚園での鶏肉の調理ポイントを栄養面から解説しています。
「鶏肉(とりにく)」こどもに話したい!栄養と調理・保存のコツ【食育コラム】 – 富喜屋
大根の煮物を時短で仕上げる冷凍大根の活用法
「下茹でが面倒」「味がなかなか染みない」という悩みを抱えたことのある人は多いはずです。実はその解決策が「冷凍大根」にあります。意外ですね。
冷凍大根が時短の切り札になる理由は、科学的にシンプルです。大根は約90%が水分でできた野菜です。冷凍すると内部の水分が凍って体積が膨らみ、細胞壁を内側から壊します。そのため解凍後あるいは凍ったまま加熱すると、生のままより大幅に早く柔らかくなり、調味料も中心まで短時間でしみ込むのです。
クラシルの検証によると、冷凍した大根を使えば、生の大根より煮る時間を大幅に短縮できます。通常なら30〜40分かかる煮物でも、冷凍大根を使うとわずか20〜25分程度で中まで味がしみ込んだ仕上がりになります。忙しい給食準備の時間を5〜15分節約できるのは現場にとって大きなメリットです。
冷凍大根の作り方はとても簡単で、次の手順だけで準備できます。
- ① 大根を半月切りやいちょう切りなど、使いやすい形に切る
- ② キッチンペーパーで水分を軽く拭き取る
- ③ 冷凍用保存袋に入れて空気を抜き、平らにして冷凍庫へ
- ④ 使うときは凍ったまま鍋に入れてOK(解凍不要)
冷凍前の大根に少量のだしの素や薄口醤油を絡めておくと、さらに味がしみやすくなります。また、大根は冷凍することで下茹で不要になるため、「米のとぎ汁で下茹でする」という工程を丸ごとカットできます。余った大根を切って冷凍しておく習慣をつけると、給食の前日準備がぐっとラクになります。
注意点として、冷凍大根は生のときよりやわらかく仕上がるため、崩れやすくなります。切り方は少し厚め(1.5〜2cm程度)にしておくのが安心です。葉書の短辺ほど(約14cm)の大根なら4〜5切れの厚みが目安です。
参考:冷凍大根で味しみしみ煮物をつくる方法を検証した記事です。
保育園給食の大根の煮物・鶏肉の基本レシピと味付けのコツ
保育園給食に実際に使われている定番レシピをもとに、家庭でもそのまま応用できる内容でご紹介します。子どもが食べやすい味付けには、いくつかの共通したポイントがあります。
【基本レシピ:幼児4人分の目安】
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 鶏もも肉 | 200g |
| 大根(中央部) | 240g |
| 人参 | 60g |
| だし汁 | 200ml |
| 醤油 | 大さじ1強(20g) |
| 砂糖 | 大さじ1(12g) |
| みりん | 大さじ1 |
【作り方】
① 大根・人参は1〜1.5cm厚さのいちょう切りまたは半月切りにする。鶏もも肉はドリップを拭き取り、一口大に切る。
② フライパンに少量の油を熱し、鶏もも肉を中火で炒める。表面全体に焼き色がついたら一度取り出す(中まで火が通っていなくてOK)。
③ 同じフライパンに大根・人参を入れ、だし汁と調味料をすべて加える。
④ 鶏肉を戻し入れ、落し蓋をして弱〜中火で15〜20分煮る(冷凍大根なら10〜15分に時短可)。
⑤ 大根が透き通るくらい柔らかくなったら完成。
子どもに合わせた味付けの大原則は「大人の7割の濃さ」です。醤油の量を抑えめにして砂糖・みりんを加えることで、甘みと旨みが引き立ちます。過度な塩分は幼児の腎臓に負担をかけるだけでなく、濃い味に慣れてしまうと薄味への食欲が下がってしまう問題もあります。薄口醤油を使うと色が薄くなり見た目も明るくなって、子どもたちが手を伸ばしやすい一皿になります。
鶏肉を先に炒めてから煮るのが条件です。先に鶏肉の表面を焼いておくことで、旨み成分が煮汁に溶け出しすぎず、肉自体もジューシーに仕上がります。また、焼き目によるメイラード反応で旨みと香ばしさが生まれ、子どもたちが「おいしそう」と感じる香りが出ます。
さらに「だし」の使い方も重要です。顆粒だしでも問題ありませんが、昆布だしやかつおだしを使うと塩分が少なくても満足感のある味わいになります。保育園の現場では「うま味で塩分を控える」という調理の工夫が各地で取り入れられています。
大根の煮物の作り置き・保存方法と保育園給食での活用術
保育園給食は毎日の業務です。作り置きできるかどうかは、現場の負担を大きく左右します。
大根の鶏肉煮物の保存期間の目安は次のとおりです。
- 🧊 冷蔵保存:密閉容器に粗熱を取ってから保存。3〜4日が目安。
- ❄️ 冷凍保存:1食分ずつラップで包んでから冷凍袋へ。2〜3週間が目安。
- 🔥 解凍・再加熱:冷蔵庫で自然解凍後、鍋で再加熱するのが基本。電子レンジの場合はラップをかけて600Wで2分を目安に。
大根の煮物を冷凍すると「食感が変わる」と嫌がる方がいますが、煮汁ごと冷凍することで食感の劣化を最小限に抑えられます。煮汁が大根の周りをコーティングしてくれるので、解凍後も水っぽくなりにくいです。
作り置きするなら「味は薄め」で完成させるのがポイントです。冷蔵・冷凍後に再加熱すると煮汁が煮詰まり、味が濃くなります。特に塩分は子どもたちの健康に影響するため、仕上げは「少し薄い」と感じる程度に抑えておくと安心です。
下味冷凍という方法も現場では重宝されています。切った鶏もも肉と大根に醤油・みりん・料理酒・砂糖を合わせてそのまま冷凍用保存袋に入れて冷凍します。使うときは袋ごと解凍し、だし汁を加えて煮るだけです。準備時間がわずか5分で、これなら翌朝の時間が足りない日でも給食を安心して準備できます。
保育園では幼児の1日に摂取すべき栄養量のうち40〜45%を給食でまかなうことが目標とされています(厚生労働省「保育所保育指針」参考)。大根と鶏肉の煮物は良質なタンパク質(鶏もも肉100gで約17g)と食物繊維、カリウムなどを同時に摂れる栄養バランスのよいメニューです。日々の給食計画に組み込みやすい一品といえます。
参考:保育園での食育の観点から給食の栄養バランスを解説しています。
食育だより2020年7月号 保育園給食の疑問を解説 – あしたばマインド
大根の煮物と鶏肉を使った保育園ならではの食育アレンジと独自視点
「作って食べる」だけでなく、食育の視点を取り入れると給食の時間がさらに豊かなものになります。大根の鶏肉煮物は、食材の観察や感覚体験が自然にできる優れた食育素材です。
まず着目したいのが「噛む体験」です。大根は煮る前と煮た後で硬さが大きく変わる野菜の代表格です。給食前に生の大根と煮た大根を両方触らせてみることで、子どもたちは「熱を加えると食べ物がやわらかくなる」という現象を自分の手で感じ取れます。歯医者が推奨する咀嚼回数は1回の食事で約30回以上が理想とされており、適度な歯ごたえが残る煮物はその習慣形成にも役立ちます。
横浜市が公表している食育資料によると、よく噛む習慣は消化吸収を助けるだけでなく、脳神経を刺激して意欲の向上や運動神経の発達にも貢献するとされています。これは使えそうです。
大根の色の変化も食育のポイントになります。生のときは白くパリパリしている大根が、加熱によって半透明に変化します。子どもたちに「大根さんがどうなったかな?」と問いかけながら調理の様子を見せると、観察力や食への関心が自然と育ちます。3〜5歳クラスであれば、大根を鍋に入れる作業を安全に手伝わせることも食育実践として効果的です。
また、大根の上部・中央・下部を実際に子どもたちに食べ比べさせる食育活動も効果的です。「どこの大根が一番甘かった?」という問いは、子どもたちが食材の多様性に気づく貴重な機会になります。味覚体験が豊かになると、偏食の改善にもつながることが現場でも報告されています。
鶏肉と大根の煮物は、冬を中心に旬の大根が店頭に多く出回る時期(11月〜2月ごろ)に特においしく作れます。旬の食材を取り上げて「今が一番おいしい時期だよ」と伝えることも、立派な食育の一場面です。季節と食をつなぐことで、子どもたちは「食べる楽しさ」をより深く感じられるようになります。
アレルギー対応の観点からも、大根の鶏肉煮物は安心して提供しやすいメニューです。主要な食物アレルギー7品目(卵・乳・小麦・そば・落花生・えび・かに)を使わないため、多くの子どもたちが同じメニューを一緒に食べられます。保育士として「みんなで同じものを食べる喜び」を大切にするなら、このレシピは心強い定番メニューになってくれます。
参考:よく噛むことの大切さと食育への活用方法が詳しく載っています。


