打楽器の種類一覧を保育士が知っておくべき理由と活用法
カスタネットの赤と青を逆に持つと、子どもが出す音が約2割濁ります。
打楽器の種類一覧を理解する前に:3分類の基本を押さえよう
打楽器は、世界中に1,100種類以上あると言われています(音楽之友社『打楽器事典』1994年より)。全てを一度に覚えようとするのは現実的ではありません。まずは「どんなしくみで音が出るか」という視点で3つのグループに分けることが、知識を整理する最短ルートです。
打楽器の基本的な分類は①膜鳴楽器(まくなりがっき)、②体鳴楽器(たいなりがっき)、③鍵盤打楽器の3種類です。
① 膜鳴楽器とは、皮や膜を張った胴体を持ち、その膜の振動で音を出す楽器です。太鼓・タンバリン・ティンパニ・ボンゴ・コンガ・ジャンベが代表例で、保育現場でも特によく登場するグループです。
② 体鳴楽器とは、楽器本体そのものが振動して音を出す楽器です。膜を持たず、木や金属の固体が響くことで音が生まれます。カスタネット・トライアングル・シンバル・マラカス・クラベス・ウッドブロックなどが代表で、保育の日常でも頻繁に使われます。
③ 鍵盤打楽器とは、ピアノと同じ配列の音板をマレット(バチ)で叩いて音を出す楽器です。木琴(シロフォン)・鉄琴(グロッケン)・マリンバ・ビブラフォンなどが含まれます。鍵盤楽器と混同しやすいですが、分類上は打楽器です。これが基本です。
この3分類は保育士試験の「保育実習理論」でも頻出です。「タンバリンは膜鳴楽器か?」「トライアングルはどの分類に入るか?」という問いが過去にも繰り返し出題されているため、分類の根拠とセットで覚えておくと確実な得点源になります。
| 分類 | 代表的な打楽器 | 音の出るしくみ |
|---|---|---|
| 膜鳴楽器 | 太鼓・タンバリン・ティンパニ・ボンゴ・コンガ・ジャンベ | 張った膜(皮)が振動する |
| 体鳴楽器 | トライアングル・カスタネット・シンバル・マラカス・クラベス・ウッドブロック | 楽器本体が振動する |
| 鍵盤打楽器 | 木琴(シロフォン)・マリンバ・鉄琴(グロッケン)・ビブラフォン・ハンドベル | 音板をマレットで叩く |
保育士試験の出題傾向と楽器の分類についての詳しい解説はこちらを参照してください。
保育実習理論 おぼえよう!音楽の基礎知識④いろいろな楽器(保育士試験対策サイト)
打楽器種類一覧:保育で使う膜鳴楽器の名前と特徴
保育園で最もよく目にする打楽器の多くは膜鳴楽器のグループです。「音が大きく迫力が出やすい」という特性から、発表会のリズム活動や合奏に欠かせない存在です。代表的な楽器の特徴と保育での使い方を整理しておきましょう。
🥁 タンバリンは保育の定番中の定番楽器です。浅い小型の太鼓で、枠の周囲に「ジングル」と呼ばれる金属シンバル片が付いており、叩く・振る・フチをこするなど複数の奏法が楽しめます。正しい持ち方は「左手の親指を皮の上に乗せ、残り4本の指で木枠を支えるスタイル」です。木枠に空いている小さな穴は「スタンドに取り付けるためのもの」なので、子どもが指を入れないよう事前に伝えることが必要です。
🥁 太鼓・ボンゴ(Bongo)は乳児クラスへの導入に特に適しています。乳児には手のひらで叩けるボンゴが扱いやすく、大太鼓(バスドラム)や小太鼓(スネアドラム)は幼児クラスの発表会で活用します。太鼓系の楽器で美しい音を出すには「力を入れすぎず、バチを軽く持つ」ことが鉄則です。力が入りすぎると音が潰れ、響きが失われます。これは要注意です。
🥁 ジャンベ(Djembe)は西アフリカ発祥の太鼓で、保育施設や音楽教育の場で徐々に注目されています。手のひらの位置や叩く角度によって「ベース音」「トーン」「スラップ」の3種類の音が出せます。子ども全員が演奏者として参加できることが最大の特徴で、「先生が弾いて子どもが聴く」という受け身の音楽体験とは対照的に、主体的な音楽参加を促せる楽器として評価されています。
| 楽器名 | 適した年齢目安 | 保育での主な使い方 |
|---|---|---|
| タンバリン | 1歳〜 | リズム遊び・発表会の合奏 |
| ボンゴ | 0歳〜 | 手叩き体験・リズム導入 |
| 大太鼓・小太鼓 | 3歳〜 | 発表会・リズムアンサンブル |
| ジャンベ | 2歳〜 | 集団でのリズム体験 |
保育の楽器遊びにおける正しい使い方・導入ポイントの詳細はこちらを参考にしてください。
保育で楽器遊びを楽しもう!鈴や太鼓の正しい使い方や導入するときのポイント(保育士バンク!)
打楽器種類一覧:保育で使う体鳴楽器の名前と正しい使い方
体鳴楽器は、木や金属などの素材そのものを叩く・振る・こするなどして音を出すグループです。保育の日常で頻繁に登場するカスタネットやトライアングル・マラカスも、全て体鳴楽器に分類されます。ここでは、現場でよく起きる「使い方の誤り」とあわせて解説します。
🔔 カスタネット(Castanet)はスペインの民族楽器で、名前の由来はスペイン語で「栗」を意味する「カスターニャ(Castaña)」です。本来は両手それぞれに1個ずつ付け、フラメンコなどの舞踊で指を細かく動かして演奏するプロ仕様の楽器です。意外ですね。
日本の保育・教育現場で使われている赤と青のカスタネットは「教育用カスタネット」と呼ぶのが正確で、日本独自の改良品です。赤と青の2色は、もともと男女別に分けていた2種類を1種類に統合して在庫管理を効率化するために考案されたデザインと言われています。正しい持ち方は「青を上・赤を下」です。赤い部分の突起を右手で叩く構造になっており、逆にすると音板の当たり方が変わって音が濁ります。この向きを毎回確認することが大切です。
🔔 トライアングル(Triangle)は三角形の金属楽器で、金属棒の「ビーター」で叩いて音を出します。正しい持ち方は「左手の人差し指に紐を通し、楽器本体には絶対に触れない」ことが鉄則です。本体に触れると振動が止まり、「チーン」という美しい余韻が消えてしまいます。子どもは無意識に本体を握ってしまうことが多いため、丁寧な持ち方の指導が欠かせません。ビーターを三角面に対して垂直に当てると、安定した音が出ます。
🔔 マラカス(Maracas)・シェイカー(Shaker)はシェイカーの一種で、中に木の実やビーズが入っており振ることで音を出します。0〜1歳児でも扱いやすく、「音を出す楽しさ」への最初の入口として活用できます。手作りも簡単で、ペットボトルの中にお米や小豆を入れれば簡単に代用品が作れます。これは使えそうです。
🔔 クラベス(Claves)は2本の円柱形の木片を上下に打ち合わせて音を出す体鳴楽器です。日本の「拍子木」は平行に叩きますが、クラベスは上下に打ち合わせる点が異なります。ラテン音楽で「クラーべ」というリズムパターンを刻む楽器として有名で、4〜5歳クラスのリズム遊びのアクセントに活用できます。
🔔 ウッドブロック(Wood block)は木の塊に溝を入れ、空洞を活用した体鳴楽器です。コンコンとした明るく高い音が特徴で、合奏の中でユニークなアクセントを加えてくれます。シンプルな外見ながら存在感が大きく、発表会のアンサンブルに深みを与えます。
| 楽器名 | 発祥 | 保育での使い方 | 適した年齢目安 |
|---|---|---|---|
| カスタネット | スペイン | リズム打ち・合奏 | 2歳〜 |
| トライアングル | 中東起源 | 発表会・リズム遊び | 3歳〜 |
| マラカス | ラテンアメリカ | シェイク遊び・音体験 | 0歳〜 |
| クラベス | キューバ | リズムアンサンブル | 4歳〜 |
| ウッドブロック | アジア・中国起源 | 合奏のアクセント | 4歳〜 |
打楽器の体鳴・膜鳴の分類と音の出るしくみを詳しく解説しているページはこちらです。
打楽器(パーカッション)の種類とその特徴(Percussion Library)
打楽器種類一覧:木琴・マリンバ・鉄琴など鍵盤打楽器の特徴と違い
鍵盤打楽器は「打楽器なのにメロディーが演奏できる」という独特のグループです。ピアノのように鍵盤が並んでいますが、音の出るしくみは「マレットで叩く」なので分類上は打楽器に属します。保育士試験でも「マリンバは打楽器である ○か×か」という問いが出題されるため、正確に覚えておきましょう。つまり、これは打楽器です。
🎹 木琴(シロフォン/Xylophone)は木製の音板を硬めのマレットで叩く楽器で、カチカチとした明るい音色が特徴です。「シロフォン」はアフリカや東南アジアで発展した木琴の系統で、保育現場でよく見かける小型の教育用木琴もこのグループに入ります。ピアノと同じ鍵盤配列なので、ピアノが弾ける保育士にとっては直感的に扱いやすいのが利点です。
🎹 マリンバ(Marimba)も木琴の一種ですが、シロフォンとは音色が大きく異なります。マリンバは音板の下に「共鳴管(パイプ)」が付いており、柔らかくまろやかな音が出るのが最大の特徴です。一方、シロフォンはくっきりとした硬めの音色です。マレットも柔らかめのものを使用します。保育現場よりもコンサートや吹奏楽での活躍が多い楽器ですが、保育士試験の出題対象でもあります。
🎹 鉄琴(グロッケンシュピール/Glockenspiel)は金属製の音板が並んだ鍵盤打楽器で、高音域の澄んだきらびやかな音色が特徴です。「グロッケン」と略されることも多く、保育の発表会で「キラキラ感」を演出する楽器として人気があります。シロフォンとセットで保育室に置いてある園も多く、子どもが「木と金属の音色の違い」に気づく体験の場にもなります。
🎹 ハンドベル・ミュージックベルはもともと17世紀のイギリスで誕生した楽器で、1つのベルが1つの音を担います。本来はサイズが音高によって異なりますが、日本では昭和57年(1982年)に教育用として全て同じサイズの「ミュージックベル(カラーベル)」が考案されました。色分けされているため、小さな子どもでも「自分がいつ鳴らすか」が視覚的にわかりやすく、年少〜年長の発表会で広く活用されています。
| 楽器名 | 音板の素材 | 音色の特徴 | 保育での活用場面 |
|---|---|---|---|
| 木琴(シロフォン) | 木製 | 明るくくっきり | リズム遊び・発表会 |
| マリンバ | 木製+共鳴管 | 柔らかくまろやか | 試験対策・コンサート |
| 鉄琴(グロッケン) | 金属製 | 高音・きらびやか | 発表会の合奏 |
| ビブラフォン | 金属製+ビブラート装置 | 揺れる・独特の余韻 | 試験対策・鑑賞教材 |
| ミュージックベル | 金属製 | 澄んだ単音 | 発表会の全員合奏 |
国立音楽院による鍵盤打楽器の種類と特徴の解説はこちらで確認できます。
打楽器種類一覧:保育士が意外と知らない民族打楽器5選
ここでは、検索上位の記事ではほとんど取り上げられない「民族打楽器」を5つ紹介します。これらを保育活動に取り入れると、子どもたちが「世界には色々な音楽がある」と気づく入口になります。また、保育士自身の音楽的引き出しを増やすことにもつながります。
🌍 アンクルン(Angklung)はインドネシア発祥の竹製体鳴楽器です。振ると竹の筒が共鳴して音が出るしくみで、1本のアンクルンが1つの音を担当します。複数人の子どもがそれぞれ1音を受け持ち、合奏する活動が海外の幼児教育でも実践されています。日本でも小学校の音楽授業での活用事例があり、保育段階でも多様な音文化に触れる入口として注目されつつある楽器です。
🌍 カリンバ(Kalimba)はアフリカの「親指ピアノ」とも呼ばれる楽器で、ムビラという名でも知られています。木の板に金属の棒(ティン)を取り付け、親指で弾いて音を出します。音色が穏やかで癒し系なのが特徴です。保育士が朝の会のBGMや絵本読み聞かせのサウンドエフェクトとして使うと、子どもが「なんの音?」と自然に興味を持ちます。価格も2,000〜5,000円前後から購入できるため、保育士が個人で手軽に試せる楽器という点も魅力です。
🌍 カホン(Cajon)はペルー発祥の木箱型体鳴楽器です。前面の打面やその縁を素手で叩き、叩く位置によって「ドン」という低音と「タン」という高音を出し分けられます。箱型なので座って演奏でき、省スペースで設置できます。生活発表会でドラムセットの代わりとして活用する園も徐々に増えています。
🌍 ビブラスラップ(Vibraslap)は時代劇やアニメの効果音「カカカカカ…」として有名な打楽器です。中南米発祥のユニークな楽器で、球形のウェイトを叩くと中のバネが震えて独特の音が出ます。子どもにとっては「面白い音」として反応が大きく、音当てゲームに使うと盛り上がります。また、集中が途切れやすい時間帯のリフレッシュ活動にも使えます。
🌍 オーシャンドラム(Ocean drum)は透明な両面太鼓の中に小さな金属ビーズが入った擬音楽器です。傾けると「ザザーッ」という本物の波音に近い音が出ます。0〜1歳児の音の探索遊びや、海をテーマにした絵本の読み聞かせと組み合わせると、子どもの音への感受性を自然に育てることができます。
| 楽器名 | 発祥 | 音の特徴 | 保育での活用アイデア |
|---|---|---|---|
| アンクルン | インドネシア | 竹の共鳴音・1本1音 | 全員参加の合奏活動 |
| カリンバ | アフリカ | 穏やかな金属音 | 朝の会BGM・読み聞かせ |
| カホン | ペルー | 低音・高音の2音 | 発表会のドラム代替 |
| ビブラスラップ | 中南米 | 独特のガラガラ音 | 音当てゲーム・効果音 |
| オーシャンドラム | 現代楽器 | 波音・ザザーッ | 0歳音遊び・絵本の演出 |
打楽器の種類を保育に活かす:年齢別の選び方と発達への効果
打楽器を保育に取り入れる際に最も重要なポイントは「年齢・発達段階に合わせること」です。楽器が難しすぎると子どもはすぐに興味を失い、簡単すぎると刺激が足りなくなります。年齢ごとの目安を押さえれば、保育の質が大きく変わります。
0〜1歳:音を出す楽しさを体験する段階
この時期のねらいは「楽器に親しみ、音が出ることに興味を持つ」ことです。鈴・マラカス・オーシャンドラムのように「持って振るだけ」で音が出る楽器が最適です。リズムの正確さは全く求めなくてOKで、「音が出た!」という達成感が最優先です。指の感触と音の因果関係を体で感じる、この時期ならではの貴重な体験になります。
2〜3歳:リズムに合わせる体験へ移行する段階
2歳ごろから手首の動きが発達してくるため、カスタネット・タンバリンなど「叩く動作」を伴う楽器が扱いやすくなります。保育士が手拍子でリズムを示しながら「一緒にやってみよう」と促す関わりが効果的です。正確なリズムにこだわる必要はなく、「音楽に体が反応する」体験を積み重ねることが目的です。
3〜4歳:複数の楽器の音色の違いを楽しむ段階
3歳になると、トライアングルのような「持ち方・叩き方に決まりがある楽器」にも挑戦できるようになります。木琴と鉄琴を並べて音の「温かさと硬さ」を比べてみる活動も、集中力・観察力を育てる有効な実践です。「この持ち方だとこんな音がするね」という発見の連続が、音楽への好奇心を深めます。
4〜5歳:合奏・アンサンブルへの挑戦
年長クラスでは、タンバリン・トライアングル・鈴・カスタネットなどを役割分担した合奏が可能になります。「自分が鳴らすタイミング」を判断しながら全体の音を聴く体験は、協調性・集中力・音楽的感性を同時に育てます。間違えても笑顔でリトライできる雰囲気づくりが、子どもの挑戦意欲を守る上で最も重要です。これが条件です。
打楽器が子どもの発達に与える効果について
リズムに合わせて手を叩くという単純な動作だけで、聴覚(音を聴く)・運動(手を動かす)・認知(タイミングを合わせる)という複数の脳領域が同時に活性化することが研究で示されています。幼児期は脳の神経回路が急速に発達する時期であり、この時期に多様な音楽体験を積むことは、神経ネットワークの豊かな形成につながると言われています。
また、リズムと言語には深い関係があります。太鼓のリズムパターンを繰り返す体験が言葉のリズム感を育てる効果があるという研究もあり、実際に打楽器を取り入れた保育現場では「子どもたちの歌のテンポ感が安定してきた」「言葉のリズムが豊かになった」という保育士の声も報告されています。さらに、打楽器は感情の表現・発散にも有効で、イライラした子どもがジャンベを力強く叩いた後にスッキリした表情に変わる場面は、現場でよく見られます。これだけ覚えておけばOKです。
打楽器遊びのねらいと年齢別の実践アイデアについて詳しく解説したページはこちらです。


