ベビーサインいつから始めるか保育士が知るべき最適時期

ベビーサインはいつから始めるか:保育士が知るべき開始時期と月齢別の教え方

生後6ヶ月より前から始めても、赤ちゃんはサインをしっかり目と耳で記憶しています。

📋 この記事の3ポイントまとめ
🕐

開始時期の目安は生後6〜8ヶ月

おすわりができる頃が始めやすいタイミング。ただし生後0ヶ月から見せ続けることに問題はなく、早い子では生後2〜3ヶ月でも習得し始めます。

🔬

ベビーサインは言語発達を遅らせない

米カリフォルニア大学の140人を対象にした研究で、ベビーサイン実施グループの方が24ヶ月時点での語彙・発話が豊富という結果が出ています。

🏫

保育現場での自発的使用ピークは生後16ヶ月

保育園での研究では、生後9ヶ月頃から自発的なサイン使用が始まり、16ヶ月頃にピークを迎えます。保育士が事前に知識を持つことが重要です。

ベビーサインとはいつから注目されてきた育児法か

 

ベビーサインとは、まだ言葉が話せない赤ちゃんと、簡単な手話やジェスチャーを使って「会話」をする育児法のことです。1990年代にアメリカの発達心理学者リンダ・アクレドロ博士とスーザン・グッドウィン博士によって提唱・研究され、日本では2000年代に入ってから本格的に普及が始まりました。

つまり、日本での歴史は20年以上あります。

赤ちゃんは口・舌・喉の筋肉が未発達なため、言葉を発することができるのは2歳頃が目安とされています。ところが手や指は比較的早くから自在に動かすことができます。この特性を活かして、赤ちゃんでも真似しやすい手の動きを「言葉の代わり」として使うのがベビーサインの基本的な仕組みです。

保育士として働いている方なら、乳児クラスで赤ちゃんが泣いている理由を探すのに苦労したことがあるはずです。空腹なのか、眠いのか、どこか痛いのか。これは保育現場の大きな課題でもあります。ベビーサインはこの問題に対して、実践的なアプローチを提供してくれます。

実際、近年では保育園にベビーサインを導入する施設が増えており、日本ベビーサイン協会が認定した保育士資格者は2004年の設立から約12年間で1,000名を超えています。保育士がベビーサインの知識を持つことは、もはや「あれば便利」なレベルを超えつつあります。

ベビーサインはいつから始められるか・月齢別の目安を整理

「ベビーサインはいつから始めるべきか」という問いへの答えは、一言で言えば「早ければ早いほど良い」です。ただし、「赤ちゃんがサインを返せるようになる時期」と「始める時期」は別物として理解しておく必要があります。

大人がサインを見せ始める時期については、生後0ヶ月から始めることに問題はありません。赤ちゃんはサインを返せなくても、目と耳でインプットを続けており、やがて自分からアウトプットするようになります。これは言語習得のプロセスと同じ仕組みです。

一方、赤ちゃんが実際にサインを使い始める時期には月齢によって差があります。以下の表に主な目安をまとめています。

月齢の目安 発達の状況 ベビーサインの取り組み方
生後0〜5ヶ月 ねんね期。視線が合い始める 授乳時などにサインを見せながら語りかけるだけでOK
生後6〜8ヶ月 おすわりができ始める 「おっぱい」「もっと」「おしまい」などから導入開始
生後8〜10ヶ月 ハイハイ期・指さしが始まる 「帽子」「電気」など日常用品のサインを追加
1歳1ヶ月〜 ひとり歩き開始 短期間でたくさんのサインを覚えられるようになる

生後6ヶ月頃から始めた場合、赤ちゃんからサインが返ってくるまでに2〜3ヶ月かかるケースが多いとされています。つまり、生後6ヶ月スタートなら、生後8〜9ヶ月頃にサインが返ってくる計算になります。これは標準的な流れです。

一方で1歳を過ぎてからスタートした場合は、1〜2週間という短期間でサインを覚えてくれることも多く、より素早い反応が期待できます。これが条件です。

根気が続かないと感じた場合は、日本ベビーサイン協会が提供するベビーサイン教室や、書籍・オンライン教材を活用するのも一つの選択肢です。段階的に無理なく継続するための仕組みを借りるのは非常に有効です。

ベビーサインいつから教えるかより大事な「教え方のコツ」

始める時期よりも、実は継続できる「教え方」の方が重要です。

ベビーサインを保育現場で教える際、もっとも大切なのは「語りかけと同時にサインを見せる」という基本動作です。サインだけを無言で見せても赤ちゃんにはほとんど伝わりません。「おっぱい飲もうね」「帽子かぶるよ」という言葉と一緒にサインを見せることで、赤ちゃんの脳の中で言語とジェスチャーが結びついていきます。

また、赤ちゃんは大人よりも視野が狭いため、しっかりと目線を合わせてから近い距離でサインを見せることが大切です。視野の広さで言えば、生後3ヶ月の赤ちゃんが快適に見られる距離は顔から30cm前後とされており、遠くから手を振っても認識しにくいことがあります。

いくつかの実践的なポイントをまとめます。

  • 🎯 笑顔で見せる:赤ちゃんは保育士の表情を強く読み取ります。無表情でサインを見せても、赤ちゃんの関心を引きにくくなります。
  • 🔁 繰り返しが命:生後6ヶ月スタートの場合、サインが定着するまでに平均2〜3ヶ月かかります。毎日のルーティンに組み込むことで、繰り返しの機会を自然に作れます。
  • 最初は3〜5種類に絞る:一度に多くのサインを導入すると保育士側の負担が増えます。「おっぱい・ミルク」「もっと」「おしまい」など、頻度の高いものから始めるのが基本です。
  • 🚫 強制しない:赤ちゃんが疲れているとき・眠いときにサインを見せても覚えられません。赤ちゃんの機嫌が良いタイミングを見計らうことが大切です。

保育士がベビーサインを日常の保育に組み込む際、特に有効なのが食事・おむつ替え・お昼寝のタイミングです。これらは毎日繰り返される行動であり、赤ちゃんがサインと行動を自然に結びつけやすい場面でもあります。「ごはんの前には食べるサイン」「オムツ替えのときはオムツサイン」というルーティンを作ることで、保育士側が特別な時間を確保しなくても、自然にベビーサインの環境が整います。

これは使えそうです。

ベビーサインいつから使えるかの個人差と保育現場での注意点

ベビーサインを始める時期や習得の速さには、個人差が非常に大きいという点を保育士は特に意識しておく必要があります。同じ0歳児クラスの子どもでも、月齢が2〜3ヶ月違えば発達段階はまったく異なります。

埼玉学園大学・赤津純子氏による保育園での実証研究(2007〜2008年)では、千葉県内の私立保育園の0歳児クラス13名・1歳児クラス13名、合計26名を6ヶ月間追跡調査しています。その結果として、自発的なベビーサインの使用は生後9ヶ月頃から見られ始め、生後16ヶ月頃にピークを迎えることが明らかになりました。ピークの時期は、ちょうどことばが急増する「語彙爆発」が起きる前後と重なっています。

また同研究では、サインの習得順序に一定のパターンがあることも確認されています。最初に習得されるのは「挨拶(いただきます・バイバイ)」「要求・指示(もっと・やって)」「形容・修飾(おいしい)」の3カテゴリーです。そして「食物(ミルク・バナナ)」「動物」「乗り物」などの名詞系サインは、これらより後に習得される傾向があります。

さらに興味深いのは、0歳児クラスの子どもの方が1歳児クラスよりもベビーサインに強い影響を受けたという点です。つまり、保育現場においては1歳クラスよりも0歳クラスへの導入の方が、より大きな効果が期待できます。

保育士が注意すべきは、集団保育ならではの「タイミングのズレ」です。家庭では親と子の1対1のやりとりが中心ですが、保育園では一人の保育士が複数の子どもに対してサインを見せます。あの子にはすでに反応があるのに、この子にはまだ……という状況が生まれがちです。個人差に対して焦りや比較が生じないよう、保護者への説明においても「習得の速さは個人差が大きい」という点を丁寧に伝えることが大切です。

埼玉学園大学「保育園児に対するベビーサインの教授時期に関する考察」:0歳・1歳クラスの26名を対象にした6ヶ月間の実証研究論文(PDF)

ベビーサインはいつから言語発達に影響するか・デメリットと誤解を解く

保育士や保護者から「ベビーサインを使うと言葉が遅れるのでは?」という不安の声を聞くことがあります。これは依然として根強い誤解の一つです。

結論は明確です。ベビーサインによって話し言葉の発達が遅れるという医学的根拠はありません。

米国カリフォルニア大学のアクレドロ博士・グッドウィン博士が1989年に行った研究では、生後11ヶ月の赤ちゃん140人を3グループに分け、2年間にわたって言語能力を追跡調査しました。「ベビーサインを積極的に教えたグループ」「特別な介入をしないグループ」「積極的に話しかけるだけのグループ」を比較したところ、ベビーサインを教えたグループが24ヶ月時点での語彙量・発話の長さのいずれにおいても高い平均スコアを示したとされています。

これは意外ですね。

また、大阪芸術大学・梶田恵子氏による調査(160名対象、2013〜2015年)では、ベビーサインを学んだ子どもたちは「理解言語」「表出言語」「概念」の3分野すべてで平均を上回るスコアを示し、特に理解言語の得点が顕著に高い結果となっています。さらにベビーサインを学んだ子の91%が絵本好きになったというデータも得られています。絵本に親しむ習慣が早期に形成されることは、その後の語彙力・読解力の発達にも好影響を与えます。

一方で、現実的に存在するデメリットとしては「習得に時間がかかる」という点があります。生後6ヶ月スタートであれば、赤ちゃんからのアウトプットまでに2〜3ヶ月必要なことが多いです。赤ちゃんが関心を示さないからといって諦めてしまうケースは少なくありません。根気強く続けることが条件です。

もう一点、ベビーサインを過信しないことも大切です。ベビーサインはコミュニケーションをサポートするツールであり、赤ちゃんの気持ちをすべて把握できる魔法ではありません。サインと合わせて、赤ちゃんの表情・体の動き・泣き方などのノンバーバルなサインも引き続き丁寧に読み取る姿勢が、保育士としての専門性を発揮する場面でもあります。

保育士がベビーサイン講師資格を取得するメリットとキャリアへの影響

保育士としてベビーサインをより深く学ぶ方法として、「ベビーサイン講師」または「ベビーサインアドバイザー」の資格取得があります。どちらも日本ベビーサイン協会が認定する資格です。

ベビーサインアドバイザーは1日5時間の講座で取得でき、費用は3万円(受講料2万5,000円+教材費5,000円)です。「生後6ヶ月以下の赤ちゃんを育てる保護者を対象としたプレ教室」を開講できる資格で、保育士がまず第一歩として取得するのに適しています。

一方のベビーサイン講師は、4日間のオンライン講座と2日間の会場受講を合わせた計6日間の育成プログラムと試験合格が必要で、費用は16万5,000円です。取得後はベビーサインに関するあらゆる教室・イベントを開催できるようになります。2004年の協会設立から約12年間で1,000名以上の講師が輩出されており、保育士からの取得者も増加傾向にあります。

保育士がこの資格を持つことのメリットは3つあります。1つ目は「保育に直接活かせること」です。0歳児クラスで言語コミュニケーションが取れない時期の安全管理や感情ケアに、ベビーサインは非常に実用的です。2つ目は「保護者との信頼関係構築」です。保育士がベビーサインを活用して赤ちゃんの状態を細かく保護者に報告できると、連絡帳や保護者面談での情報の質が上がります。3つ目は「キャリアアップ」です。ベビーサイン導入園が増える中、資格を持つ保育士の需要は高まっています。

保育士として転職やキャリアチェンジを考えている方にとっては、ベビーサイン講師資格は履歴書に書ける専門スキルになり得ます。まずアドバイザー資格からスタートして現場での実践経験を積み、その後講師資格を目指すという段階的な取得もおすすめです。

マイナビ保育士「ベビーサイン講師とは|保育士が取得するメリット3つ・取得方法も」:資格の詳細・費用・取得フローがまとめられています

SHELLYも大絶賛! ベビーサイン図 鑑: 簡単なジェスチャーだけで、2歳児以下とも双方向コミュニケーション!