バイエル ピアノレベルと保育士に必要な練習曲の選び方

バイエルのピアノレベルと保育士に必要な技術の関係

バイエル後半まで弾ければ保育士試験は余裕、と思っていませんか?

この記事のポイント
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バイエルのレベルと保育士試験の関係

バイエル後半(80番台)レベルで保育士試験の実技は合格ラインに達しますが、「弾けること」と「子どもに伝わること」は別の話です。

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合格者の約7割はバイエル終了前後のレベル

保育士試験の音楽実技合格者のうち、ピアノ経験が浅い方でも、適切な課題曲選びと練習法で短期間に合格レベルへ到達できます。

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現場で必要なスキルは試験と異なる

保育現場では伴奏の「安定感」と「歌いやすさ」が最重要。テクニックより表現力と安定したテンポが求められます。

バイエルのピアノレベルとは何番から何番までを指すのか

 

バイエル(Beyer)は、ドイツの作曲家フェルディナント・バイエルが1850年頃に出版したピアノ教則本です。日本では長らく「ピアノ学習の入門書」として使われ続け、保育士・幼稚園教諭を目指す学生にとっても定番教材の位置づけになっています。

バイエルの構成は、全部で106番まであります。一般的なレベル区分は以下の通りです。

  • 1〜30番:超入門。両手を使わず、指番号の確認と音符読みが主
  • 31〜60番:初級前半。簡単な両手演奏が始まり、ハ長調を中心とした曲が並ぶ
  • 61〜90番:初級後半。ト長調ヘ長調が登場し、リズムのバリエーションも増える
  • 91〜106番:初級〜中級の橋渡し。テンポ変化や表現指示が増え、演奏の完成度が問われる

つまり「バイエル終了」とは106番まで一通り弾けるようになった状態を指します。

「バイエル終了レベル」という言葉はよく聞きますが、実際に106番を最後まで仕上げている人は思ったより少ないのが現状です。音楽大学の附属教室でも、バイエル後半に差し掛かったあたりで別の教材(ブルクミュラー25番など)へ移行するケースが多いです。

バイエルが基本です。ただし、それがゴールではありません。

保育士を目指す場合、「何番まで弾けるか」よりも「その曲をどれだけ安定して弾けるか」の方が評価に直結します。試験官が聴いているのは、テクニックの高さではなく安定したテンポと正確な音程です。

バイエルのレベルと保育士試験・音楽実技の合格基準の関係

保育士試験の音楽実技では、受験者は課題曲2曲をピアノ・ギター・アコーディオンのいずれかで演奏します。ピアノを選ぶ受験者が圧倒的に多く、全体の9割以上とされています。

合格に必要なピアノレベルの目安として、よく言われるのが「バイエル80番台が弾けること」です。

実際に、保育士試験を実施する全国保育士養成協議会が公表している採点基準では、以下の3点が重視されます。

  • 🎵 正確な音程・リズムで演奏できること
  • 🎵 子どもが一緒に歌えるような適切なテンポで弾けること
  • 🎵 弾き歌いとして声と伴奏が合っていること

これが条件です。つまり「難しい曲を弾く力」は一切求められていません。

実際の課題曲は毎年変わりますが、難易度はバイエル60〜80番台相当のものが多く、複雑なアレンジよりもシンプルな伴奏形で歌いやすく演奏することが合格の近道です。

ここで一つ意外な事実があります。保育士試験の音楽実技における合格率は、全実技科目の中でも比較的高く、例年70〜80%台を推移しています。難しそうに見えて、準備次第で十分に合格できる科目です。これは使えそうです。

独学でバイエルを進めている場合、80番台の曲が「だいたい弾ける」状態であれば、課題曲の練習に専念するフェーズに入って問題ありません。完璧に仕上げることよりも、課題曲を繰り返し練習して安定させる方が得点に直結します。

全国保育士養成協議会 – 保育士試験 実技試験について(公式)

上記の公式サイトでは、音楽実技の採点基準や過去の課題曲を確認できます。試験前に必ず目を通しておきましょう。

バイエルのピアノレベル別・効率的な練習方法と曲の選び方

バイエルをどこまで進めるべきかは、現在のレベルと目標によって変わります。保育士試験を目指す場合と、保育現場で即戦力になりたい場合では、練習の優先順位が異なります。

まず、自分のバイエルの現在地を確認する方法として、以下を目安にしてください。

  • 30番以下:両手で簡単なメロディを弾く練習から始める。スマホアプリ「ピアノマスター」などで音名を確認しながら進めると効率的
  • 31〜60番:ハ長調の両手演奏を安定させ、曲の最初から最後まで止まらずに弾けるよう練習する
  • 61〜90番:保育士試験の課題曲レベルに近い。この段階から実際の課題曲を並行して練習するのが最短ルート
  • 91番以降:仕上げ段階。弾き歌いの練習(歌いながら弾く)を本格的に取り入れる

短期間で試験に向けて仕上げたい場合、バイエルの全曲をこなすより「課題曲を弾けるようにすること」に絞る方が合理的です。

練習時間が週5時間しか取れない社会人の場合、バイエル全曲を終わらせようとすると半年以上かかる計算になります(1曲を仕上げるのに平均1〜2週間と仮定)。一方、課題曲2曲に絞って毎日20分練習すれば、2〜3か月で試験水準に達するケースが多いです。

つまり目標から逆算した練習が原則です。

短文テンポを意識した練習方法として「手拍子練習」があります。楽器を弾かずに、曲のリズムだけを手拍子で再現するやり方で、テンポのブレを体に覚えさせる効果があります。メトロノームアプリ(無料)と組み合わせると効果が高く、特に左手のリズムが安定しにくい方に有効です。

バイエル終了後に保育士が取り組むべき次のピアノ教材

バイエルを終えた(または終了レベルに達した)あと、次に何をするかで保育現場での対応力が大きく変わります。

次のステップとして定番なのがブルクミュラー25の練習曲(Op.100)です。バイエルよりも音楽的な表現が求められ、各曲に「アラベスク」「やさしい花」のようにテーマがあるため、子どもに説明しやすいというメリットもあります。

  • 📘 ブルクミュラー:バイエル終了後の定番。25曲で構成され、それぞれが独立した小品
  • 📘 ソナチネアルバム:中級入り口。保育現場では直接使わないが、指の独立性を高める
  • 📘 童謡・唱歌の弾き歌い教材:保育現場で即戦力になるための実践的教材

保育現場で実際に必要なのは「曲を仕上げる力」より「初見でだいたい弾ける力」です。これは意外ですね。現場ではリクエストされた曲をすぐに弾かなければならない場面も多く、初見演奏の力が問われることがあります。

初見力を高めるには、バイエルやブルクミュラーの「まだ練習していない曲」を毎日1曲、止まらずに最後まで弾き通す練習が有効です。上手に弾こうとするのではなく、「止まらないこと」だけを目標にします。

保育現場で頻出の曲としては「チューリップ」「ぞうさん」「手のひらを太陽に」などがあり、これらをバイエル終了レベルで弾けるアレンジ楽譜に絞って練習しておくと、現場デビュー後の負担が減ります。

全音楽譜出版社 – 保育・教育向け楽譜ラインナップ(参考)

全音楽譜出版社のサイトでは、バイエル・ブルクミュラーから保育士向け弾き歌い教材まで幅広い楽譜を確認できます。「保育士」カテゴリで絞り込むと効率的です。

バイエルのピアノレベルが低くても保育士として活躍できる独自の理由

ここは多くの記事では触れられない視点です。「ピアノが得意でないと保育士はつらい」というイメージは、実は現場の実態とかなりズレがあります。

保育現場の音楽活動では、CDや電子ピアノの自動伴奏機能を使うケースが増えています。2020年代以降、ICT化が保育施設にも普及し、タブレットやスピーカーを活用した音楽活動が当たり前になってきました。ピアノが主役ではなくなりつつある、というのが現場のリアルです。

また、保育士の評価軸は「ピアノの上手さ」だけではありません。子どもとの関係構築力、観察力、安全管理の徹底、保護者対応の丁寧さ、これらの方が採用担当者に重視されるケースが多いです。

実際、保育士の求人情報サイト「保育士バンク!」などで掲載されている求人の採用条件をみると、「ピアノ必須」と明記している求人は全体の3割程度にとどまり、「ピアノ不問」または「サポートあり」と記載している施設が増えています。知らないと損する情報です。

  • 🏫 認可保育所:ピアノを使う場面は多いが、補助教材・CDで代替可能な場面も多い
  • 🏫 小規模保育施設:ピアノ設置がない施設もあり、弾き歌いより手遊び・歌中心
  • 🏫 企業内保育所:音楽活動よりも安全管理・生活援助が優先される傾向

バイエルが基本だというのは変わりません。しかし、「バイエルが弾けないと保育士になれない」は思い込みです。

ピアノに不安がある場合でも、「子どもと一緒に楽しむ姿勢」と「安定したリズム感」があれば、現場でカバーできる部分は大きいです。むしろ、ピアノに意識を向けすぎて子どもへの目線が切れることの方が、保育の現場では問題になります。

ピアノの練習を続けながら、子どもへの関わり方も同時に磨くことが、現場で頼られる保育士への最短ルートです。それだけ覚えておけばOKです。

保育士バンク! – 保育士求人情報・ピアノ条件別検索(参考)

保育士バンク!では、ピアノの条件別に求人を絞り込む機能があります。「ピアノ不問」で検索すると、ピアノに不安がある方でも応募できる施設を効率よく探せます。


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