子供たちの歌と童謡
子供たちの歌と童謡の人気と定番
保育園での「人気」と「定番」は似ているようで違い、人気は流行や動画視聴の影響で毎年少しずつ入れ替わる一方、定番は行事・季節・生活場面(朝、帰り、片付けなど)と結びついて残りやすいのが特徴です。
たとえば「さんぽ」「どんないろがすき」のように、歌うだけでなく隊列づくりや色遊びに展開できる曲は“活動のフック”が多く、園で繰り返し選ばれやすい傾向があります。
また、「童謡+あそびうた」をまとめた音源が“園向けにバランスよく収録されている”という形で流通しており、選曲の母集団(候補曲)が実務上はここから生まれやすい点も見落としがちです。
ここで、保育園の現場視点で「定番化しやすい童謡」を見極めるチェックリストを置いておきます。
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口が回りやすい短いフレーズが多い(繰り返しがある)。
参考)保育に昔ながらの童謡を取り入れよう!年齢別のおすすめを紹介|…
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擬音語・擬態語が含まれ、動きや表情の真似がしやすい。
参考)保育園の歌の時間に使える曲とは~季節に合わせた曲で子どもたち…
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歌詞が“場面”になっていて、導入トークが短く済む(動物、食べ物、乗り物など)。
参考)【こどものうた】保育におすすめのかわいい歌。人気の童謡一覧
- 歌→手遊び→ごっこ遊びへ連結できる(活動に変換できる)。
子供たちの歌と童謡のねらいと効果
童謡を保育に取り入れるねらいとして、音感・リズム感の育ち、友だちと歌う一体感、歌詞からイメージを広げる表現力などが挙げられています。
さらに、季節の童謡や行事の歌を選ぶと、その季節ならではの言葉が出てくるため語彙や想像が広がり、文化への親しみにつながるという整理もされています。
「歌=音楽活動」として閉じず、生活や行事の理解に接続できるのが、童謡が長く園で使われてきた強みです。
一方で、現場では“ねらい”が強すぎると子供たちの主体性が薄くなることがあります。そこで、同じ曲でも「目的」を2階建てにすると扱いやすいです。
- 表の目的:みんなで気持ちよく歌う(成功体験)。
- 裏の目的:語彙、リズム、順番を待つ、声量の調整などを自然に経験する。
意外に効く小技として、歌う前に「今日は“音”じゃなく“ことば”を拾うよ」など“観察ポイントを1つだけ”提示すると、ただの反復になりにくいです。
特に歌詞が短い曲ほど、子供たちが「次に言いたい言葉」を先回りして待てるようになり、集団のテンポが整いやすくなります。
子供たちの歌と童謡の手遊びとリズム
手遊び歌は、歌に手指(場合によっては身体)の動きを伴う遊び歌で、伝承的なわらべ歌、外国の遊び歌、童謡に振りをつけたもの、創作など多様だと研究でも整理されています。
また、保育の現場では「一斉活動の前」や「隙間時間」に、保育者が子どもの前で演じて見せる形で使われることが多い、という指摘もあります。
つまり手遊びは、単なる“盛り上げ”ではなく、活動の切り替え装置として機能しやすい枠組みを持っています。
手遊びの導入を安定させるコツは、「テンポ」「見せ方」「失敗の許容」を設計することです。
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テンポ:最初はゆっくり、子供たちの動きが揃ってから上げる(同じ曲でも“速い版”は後出し)。
参考)https://k-rain.repo.nii.ac.jp/record/2000285/files/ningenkaihatsu_15_006.pdf
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見せ方:手だけ先に見せ、歌詞は後から重ねる(情報量を分割して提示)。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/tokusimabunriu/104/0/104_43/_pdf/-char/ja
- 失敗の許容:間違えたら笑える雰囲気にして、止めずに続ける(“途中参加OK”の空気を作る)。
また、年齢が上がるほど「同じメロディの替え歌」が効きます。たとえば、海外由来のメロディが日本の園向けに替え歌として広がっている例があり、同じ旋律で複数のバリエーションを回せるのが強みです。
参考)手遊び歌のベスト20!!保育園での人気をランキング形式でご紹…
替え歌は“子供たちが歌詞を作る側に回れる”ため、歌→表現→言葉遊びに展開しやすく、マンネリ対策にもなります。
手遊び選びの実務チェックも置いておきます。
- 初見で真似できる動きか(3動作以内で1フレーズが完結する)。
- 動きが“意味”と結びついているか(ただの運動ではなく、歌詞の理解につながる)。
- 教室の安全に合うか(跳ねる動きはスペースが要る、など)。
子供たちの歌と童謡の保育園の選曲
歌の選曲は「子供たちの好み」に寄せるだけだと、場面転換や行事準備で苦労しがちなので、季節・行事・生活の流れに合わせて“曲に役割を持たせる”考え方が有効です。
童謡は言葉がわからない年齢でも、メロディーとリズムに乗せて覚えやすく、歌っているうちに語彙が増え表現が豊かになる、という実務的メリットも語られています。
また、擬音語・擬態語が多くテンポの良い歌は、子供たちが親しみやすい傾向がある、という指摘もあり、導入期の選曲に使えます。
「選曲で困る」の正体は、実は“曲数不足”より“配置の失敗”であることが多いです。以下のように、同じ童謡でも置き場所を変えると機能が変わります。
- 朝の会:短くて声が揃いやすい(同じ始まりが毎日あると安心感が出る)。
- 移動前:手遊び歌で注意を一点に集める(言葉で静かにさせるより早い)。
- 行事前:季節・行事の歌で語彙と背景理解を先に作る。
- 帰り:落ち着くテンポで“今日を終える合図”にする。
意外な落とし穴として、「人気曲のメドレー」だけで回すと、子供たちが“待てない”状態になりやすい点があります。人気曲は刺激が強いこともあるため、園内では“刺激の強弱”が交互になるように並べると、集団のテンポが整います。
候補曲の探し方としては、園・幼稚園向けに人気曲をまとめた一覧から「カテゴリー別(動物、食べ物など)で探せる」形式を利用すると、クラスの興味に合わせて絞り込みやすいです。
子供たちの歌と童謡の著作権とルール(独自視点)
園内で歌うことと、歌詞・楽譜・音源・動画を配布したりWebに載せたりすることは、著作権上の扱いが変わり得るため、運用ルールを先に決めておくのが現場の安全策になります。
教育機関での利用には著作権法35条に関する例外規定があり、営利目的で設置されていない教育機関で、授業の過程における利用を目的とする場合、必要と認められる限度で複製や公衆送信などが可能だと解説されています。
ただし「学校で音楽を使う」場面でも、学級通信や配布物への歌詞・楽譜掲載、CD/DVDへの録音・録画など、行為の種類で考え方が分かれることがあるため、都度確認が必要です。
ここからが独自視点です。著作権対応を“法務チェック”で終わらせず、保育の品質管理として扱うと、現場のミスが減ります。具体的には「曲カード(運用カード)」を作り、各曲に“利用OKの範囲”を紐づけておく方法です。
参考)学校で音楽を使うときには
曲カードに入れる項目例は次の通りです。
- 園内で歌う:OK(いつもの活動)。
- 配布物に歌詞掲載:要確認(学級通信・園だより等の扱いを含めて判断)。
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動画を撮って保護者に配布/限定公開:要確認(複製・公衆送信の論点が出る)。
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園のWebサイトやSNSに投稿:特に要確認(園外への公衆送信になり得る)。
参考)JASRACのWebサイトで学ぶ 音楽著作権の基本知識
そして、もう一つの盲点が「童謡=全部著作権フリーではない」という点です。童謡でも著作権が消失していないものはあり、商用利用などの場合は権利管理団体への申請が必要になるケースがある、という注意喚起があります。
参考)童謡を店舗BGMとして商用利用するには?著作権に注意が必要!…
このため、「伝承曲っぽいから大丈夫」ではなく、園のルールとして“出典確認→記録→共有”までを一連の作業にしておくと、担当が変わっても事故が起きにくくなります。
著作権まわりの確認に役立つ参考リンク(権威性のある日本語)を置いておきます。
学校など教育機関での音楽利用の考え方(手続きが必要なケースの整理に役立つ)
改正著作権法35条と教育機関の利用範囲(対象施設や利用行為の整理が詳しい)
学校教育と著作権(第35条の条文引用を含むQ&Aで、判断の入口として使える)
https://www.cric.or.jp/qa/cs01/

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