水分補給と保育と熱中症
水分補給の保育で熱中症を予防するタイミング
保育の現場で効くのは、「子どもが欲しがったら飲ませる」よりも「欲しがる前に、少しずつ、繰り返す」という設計です。こどもは「喉が渇いた」と感じた時点で水分がかなり失われていることがあるため、喉が渇く前に水分・塩分を少しずつ補給する考え方が示されています。
この前提に立つと、水分補給のタイミングは“活動に合わせて自動化”するほど事故が減ります。特に、外遊び・散歩・プール/水遊びは、開始前に一口、途中に休憩、終了後にも補給、というリズムにしておくと運用がブレにくくなります。プール活動・水遊びに関しても、必要に応じた水分・塩分補給環境の整備、こまめな休憩、活動終了後の水分補給が明記されています。
具体的な運用例(園のルールとして掲示しやすい形)
・屋外活動の前:集合→帽子確認→水分補給(全員)→出発
・屋外活動の途中:5〜10分休憩+水分補給(“飲める子だけ”にしない)
・屋外活動の後:手洗いの前に一口→落ち着いてからもう一口(誤嚥リスクも考え、姿勢を整えて)
・午睡の前後:寝る前に少量、起床後は必ず水分補給(寝汗で失われやすい)
ここで大切なのは、「一気飲み」ではなく「少量を頻回」です。乳幼児は一度に飲める量が大きくないこともあり、回数設計のほうが現実的です。さらに、暑い環境で長時間過ごす場合は、涼しい場所での休憩と十分な水分・適度な塩分補給が推奨されています。
水分補給の保育で熱中症を見逃さない観察
熱中症は、重くなるほど「水分を飲ませて解決」ではなくなります。周囲の大人が顔色や汗の量などに気を配る必要があるとされ、症状として「呼びかけに反応しない」「まっすぐ歩けない」「水分補給ができない」などが挙げられています。
つまり保育では、「水分補給をさせる」だけでなく、「水分補給が成立しているか(飲める状態か)」を観察項目に含めるのが重要です。
観察チェック(現場で使える短い言葉にしています)
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顔:赤い/青白い/口唇が乾く
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汗:異常に多い、または汗が出ない
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様子:ぼーっとする、返事が遅い、泣き方が弱い
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動き:ふらつく、いつもより座り込む、まっすぐ歩けない
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訴え:頭痛、気持ち悪い、だるい、吐き気
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決定的:呼びかけに反応しない/水分補給ができない
「水分補給ができない」は、とても重要な分岐点です。こども家庭庁の注意喚起では、呼びかけに反応しないなど自分で上手に水分補給できない場合は大変危険で、無理に口から飲ませず医療機関受診を促しています。
現場の会話に落とし込むなら、「飲ませるかどうか」ではなく、「飲めるかどうか」を先に判断する、という順番にします。
応急対応の優先順位(迷いが出やすいので順序化)
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涼しい場所へ移動(風通しの良い日陰、エアコンの効いた室内)
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衣服をゆるめる
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冷却(首の周り・わきの下・足の付け根など太い血管部位)
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意識がはっきりして“飲める”なら水分・塩分を少しずつ
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飲めない/反応が悪いなら救急要請・受診へ(無理に飲ませない)
参考リンク(子どもの危険サインと「無理に飲ませない」判断の根拠)
こども家庭庁|みんなで見守り「こどもの熱中症」を防ぎましょう!
水分補給の保育で熱中症の飲み物と塩分を選ぶ
「水分補給=水」だけだと足りない局面があります。大量に発汗する状況では、経口補水液など塩分等も含めた補給が必要だと厚生労働省のリーフレットに記載があります。
ただし、経口補水液は“いつでも誰でも日常的にゴクゴク”という性格の飲み物ではなく、あくまで脱水・大量発汗など状況に応じた選択が基本です。園としては、飲み物を“用途別に分けて運用”すると事故が減り、保護者説明もしやすくなります。
飲み物の使い分け(園内の共通理解向け)
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ふだん(室内中心・平常時):水、麦茶など「日常の飲み物」
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汗が多い日(屋外活動が長い、WBGTが高い、子どもが汗だく):水分+塩分を意識(食事、塩分を含む補給、必要時は経口補水液等)
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体調不良で脱水が疑われる(嘔吐・下痢、ぐったり、尿が極端に少ない等):医療判断と連携しつつ経口補水液の適応を検討
現場で起きがちなミスは、「汗をかいた=とにかく甘い飲料を多めに」という短絡です。糖分過多は虫歯や食欲低下につながりやすく、別の困りごと(夕方の食事が進まない等)を呼びます。そこで、園の基本線としては「普段は水・麦茶、強い発汗や体調不良時は“状況に応じた塩分”」という建て付けにしておくと整合します。
さらに、塩分補給は飲料だけで完結させなくてもよい点が意外と見落とされます。給食・おやつの献立、汁物、塩分を適量含む補食など“食”を絡めると、飲料に頼りすぎない設計ができます。こども家庭庁の資料でも「水分と塩分を補給」という組み合わせが繰り返し示されており、飲み物一本に限定していない点がヒントになります。
参考リンク(「大量発汗時は塩分も」など公的に整理された要点)
厚生労働省|熱中症予防の普及啓発・注意喚起(リーフレット等)
水分補給の保育で熱中症の環境とWBGTを整える
水分補給だけで熱中症をゼロにはできません。暑さそのものを下げる工夫が必要で、扇風機やエアコンの利用、室温確認、WBGT(暑さ指数)を参考にすることが厚生労働省のリーフレットに示されています。
保育園は「活動の選択肢」が多い場所なので、WBGTや室温に合わせて“活動を切り替える”設計がしやすいのが強みです。例えば、同じ運動遊びでも、日陰へ移動する・時間を短くする・室内で同等の活動に置き換える、といった判断ができます。
環境づくりのチェックリスト(設備が十分でない園でもできる)
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室内:エアコン+扇風機で空気を動かす、遮光カーテンやすだれの活用、室温の定期確認
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屋外:日陰の確保、地面の照り返しが強い場所を避ける、こまめな休憩
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服装:通気性・吸湿性・速乾性を優先(汗を逃がす)
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冷却:保冷剤、冷たいタオル等をすぐ使える場所に常備
ここでの意外なポイントは、「大人が暑いと感じている時、子どもはもっと暑い環境にいる」ことです。こども家庭庁の資料では、背が低い子どもは地面からの照り返しの影響を強く受けるとされ、環境要因の見立てが大人基準だとズレる可能性が示されています。
したがって、屋外活動の場所選びは「日陰」だけでなく「地面の材質(照り返し)」も見ておくと、同じ園庭でも危険度が変わります。
水分補給の保育で熱中症と歌で習慣化(独自視点)
検索上位で多いのは「何を飲ませるか」「量はどれくらいか」「WBGT」などの話ですが、現場で本当に効くのは“子どもが自分で水分補給を選べる状態を増やす”ことです。こども家庭庁の資料でも、子どもは体調の変化に気づかなかったり伝えられなかったりするため周囲が気を配る必要があるとされ、行動面の支援が重要だと読み取れます。
そこで、保育園での歌に興味がある読者向けに、歌を使って水分補給を「指示」ではなく「習慣」に寄せる工夫を提案します。ポイントは、歌を“盛り上げる”ためではなく、“毎回同じ手順を再現する合図”として使うことです。
水分補給を促す「合図の歌」の設計(短く、毎回同じ)
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目的:飲む行動+姿勢+片付けまでをルーティン化
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長さ:20〜30秒(長いと子どもが飽きて逆効果)
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文言:行動が映像化できる言葉だけ(例:「すわる」「のむ」「ふく」「しまう」)
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テンポ:ゆっくり(誤嚥予防のため“急がせない”)
歌に合わせた運用例
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「すわろう」のフレーズで座る(立ち歩きながら飲まない)
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「ひとくち・ふたくち」で少量を飲む(がぶ飲みを避ける)
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「くちをふく」で口元を拭く(衣服が濡れると冷え・不快につながる)
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「しまって おしまい」で水筒管理(飲み口の衛生と紛失予防)
この仕組みが効く理由は、子どもが“喉が渇いた”と自覚してから動くのではなく、環境の合図で動けるようになるからです。こども家庭庁は「喉が渇く前から水分補給」「こまめに少しずつ」を重要点として示しており、歌による定期化はその方針と相性が良いです。
さらに、歌にすることで保育者側もタイミングが揃い、クラス全体の補給漏れが減ります。結果として、個別対応(飲みたがらない子への声かけ、飲めない子の早期発見)に集中しやすくなります。
表:水分補給が進まない時の声かけ例(歌と併用)
| よくある状況 | 声かけ(例) | ねらい |
|---|---|---|
| 遊びに夢中で飲まない | 「歌が終わったら、続きしよう」 | 中断を短く見せて抵抗を下げる |
| コップ/水筒を嫌がる | 「座って一口だけ。できたらすごいね」 | 少量の成功体験を作る |
| 飲むとむせやすい | 「いったん落ち着いて、ゆっくりね」 | 誤嚥・焦りを防ぐ |
| 反応が鈍く飲めない | 「無理に飲ませないで、涼しい所で休もう」 | 危険サインとして扱い、対応へ切替 |
最後に、危険サインだけは園内で“言い回しを統一”しておくと強いです。こども家庭庁が示すように「呼びかけに反応しない」「水分補給ができない」は危険度が高く、無理に飲ませず受診につなぐ判断が必要になります。歌で習慣化できる部分と、歌では対応できない緊急部分を分けて、現場のブレをなくすことが安全につながります。

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