バランス感覚とリトミックと遊び
バランス感覚のリトミック遊びのねらいと効果
保育園でのリトミックは、音楽を通して「心・身体・感覚」をバランスよく育てる考え方として紹介されることが多く、リズム遊びと運動を組み合わせて発達を促す活動です。
特に「跳ぶ・走る・止まる」のような切り替えを音に合わせて行うことで、身体をコントロールする力が育ち、バランス感覚や瞬発力の発達をねらえるとされています。
ここで大事なのは、“筋トレ”のように鍛えるよりも、「音をよく聴いて反応する」経験を積み重ねることです。
音やリズムの変化を聴いて動きで応える活動は、集中して聴く力と「考えて動く力」につながる、という整理もされており、運動面だけに寄らないのがリトミックの強みです。
活動設計のコツは、ねらいを次の3つに分けて考えることです。
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🎯身体:体幹・姿勢・片足支持(片足で立つ)など、バランスに直結する経験を増やす。
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🎯認知:音の合図で「止まる」「切り替える」を体で覚える(抑制・注意の切り替え)。
参考)リトミック遊びの効果と年齢別やり方を保育現場の実例付きで徹底…
- 🎯情緒:できた瞬間を拾って認めることで、自己肯定感につなげる。
バランス感覚のリトミック遊びの年齢別アイデア(0歳〜5歳)
リトミックは0歳からでも取り入れられ、0・1歳は「音楽に気づく」「簡単な動きを楽しむ」から始めるのがポイントとされています。
2歳は、保育者が手本となって「しゃがむ→立つ」「横に揺れる」など動きのバリエーションを増やすと取り組みやすい、という説明があります。
3歳はジャンプやつま先歩きなど少し複雑な動きが可能になり、4歳は片足立ちや静と動のメリハリ、5歳は子ども同士でイメージを膨らませて表現する段階へ、という流れで整理されています。
年齢別に“バランス感覚に効く形”へ寄せた具体例を、保育園の歌・リズムに合わせる想定でまとめます。
【0・1歳:安心が最優先】
- 🎵ゆっくりテンポで手をたたく/手を振る(座位や抱っこでもOK)。
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🎵保育者の膝の上で左右にゆれる(不安定さを少量だけ入れる)。
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🎵止まる合図は短く:「ピタ!」で静止を一瞬だけ体験。
【2歳:上下動で体幹スイッチ】
- 🎵しゃがむ→立つを繰り返す(膝が崩れる子は回数を減らす)。
- 🎵横ゆれ(船・木・かたつむり等のイメージ)で姿勢を保つ。
- 🎵音が止まったら“ぴたん”で止まる(止まれたら即承認)。
【3歳:ジャンプとつま先で「支持」を作る】
- 🎵行進→合図で止まる(急停止は転びやすいので「小さく止まる」から)。
- 🎵つま先歩き(短い距離)→普通歩きへ戻す(切り替えがねらい)。
- 🎵友だちと輪になり、手をつないで歩く(ふらつきを相互に補う)。
【4歳:片足支持・静止を遊びにする】
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🎵片足立ち(フラミンゴ等)をリズム遊びの「止まる」ルールに組み込むとゲーム性が増すとされています。
- 🎵小道具(スカーフ等)を持って動くと表現が広がる段階、という説明があり、手が忙しい状態で姿勢を保つ練習にもなります。
【5歳:表現×ルールで“自分で調整”へ】
- 🎵ストーリーのある曲で「どこで止まる?」「どう歩く?」を子どもが提案する(言葉で説明できる段階に入るとされています)。
- 🎵グループでイメージを合わせて動く(協同と自己調整が同時に育つ)。
バランス感覚のリトミック遊びの環境づくりと安全
リトミックは動きに夢中になってぶつかることがあるため、十分な広さがある場所で行い、怪我に気をつけることがポイントとして挙げられています。
バランス系の遊びは、転倒リスクを下げるために広いスペース確保や滑りにくいマットの使用が推奨される例もあり、特に片足立ち等では環境の影響が大きいです。
「安全」は制限ではなく、成功体験の土台です。実装しやすいチェックリストを用意します。
- 🧭導線:走る子が出ても衝突しにくい“外周を歩く→中央は止まる”のような配置にする。
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🧱床:滑りやすい靴下・床材のときは、短い動きにする/マットで範囲を区切る。
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👀視界:保育者が全員を視認できる立ち位置を確保する(子どもの背後に死角を作らない)。
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🧩難易度:片足立ちは「5秒→10秒→ポーズ変更」のように段階的に、という展開例があります。
また、市販の平均台がなくても、床にマスキングテープで線を引くだけで“平均台遊び”ができるという提案があり、高さがない分、小さい子でも安全に挑戦しやすいです。
線の上をまっすぐ歩くシンプルな動きでも、バランスをとる力や集中力が必要な遊びだと説明されています。
バランス感覚のリトミック遊びの声かけと保育者の役割
保育でリトミックを行うポイントとして「保育士自身が楽しむ」「子どもの動きや声を否定しない」ことが挙げられており、自由な表現を肯定的に受け止める姿勢が強調されています。
「落ちないようにそーっとね」「前を見てごらん」など、声かけで子どもの意識を促すと集中して取り組める、という具体例もあります。
片足立ちの場面でも「じょうずに止まれたね」「ぐらぐらしてたけど、頑張ったね」といった声かけが自己肯定感につながる、という示唆があります。
声かけは、技術指導というより「注意の向け先」を渡すイメージで組み立てると安定します。
- 👂聴く: 「今の音、早かった?ゆっくりだった?」(音の特徴に気づかせる)
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🧍姿勢: 「おへそをまっすぐ」「頭は空にのせる」(体幹の意識づけ)
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🧠切り替え: 「止まるは小さく」「次はふわっと歩く」(動きの質を言語化)
- 🏁達成: 「今のピタッ、かっこいい!」(瞬間を切り取って承認)
さらに、よくある不安への対応として「リトミックに特別な資格は不要」とされつつ、園の指導計画に基づくことが推奨されています。
ピアノが苦手でも、CDを流す・別の楽器でリズムを取るなどで成立する、という考え方も示されています。
つまり「上手な演奏」より「子どもの反応を拾って展開する保育」が中心で、ここを押さえると活動が安定します。
バランス感覚のリトミック遊びの独自視点:前庭覚と「止まる」の練習
バランス感覚は「まっすぐ立てる」だけでなく、動いている最中に“止まれる”ことが重要です。
リトミックの説明でも、音楽に合わせて走って止まるなどの動きを繰り返し、リズムに合わせて身体をコントロールする力を養うことでバランス感覚の発達を促す、とされています。
また、リズム遊びの中で音楽が止まった瞬間に片足で静止するルールを加えるとゲーム性が増す、という具体例があり、「止まる」を楽しく反復する設計が可能です。
ここに独自の工夫として、「止まる練習」を“評価”にしないことを提案します。止まれない子は、ふざけているのではなく、身体のブレーキが育ち途中なだけかもしれません。
そこで、ルールを2段階にします。
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①まずは「両足でピタッ」だけOK(成功率を上げる)。
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②慣れてきたら「片足ピタッ」「後ろ向き歩き→ピタッ」など、変化を1つだけ足す(難易度を増やす例として、後ろ向き歩き等の提案があります)。
さらに、線(マスキングテープ)を使った平均台遊びは高さがなく安全で、目標が視覚化されるぶん「線の上で止まる」など“止まる位置”を決めやすいのが意外な利点です。
「どこで止まるか」が明確になると、子どもは“止まる成功”を自分で確認でき、保育者の評価に頼りすぎない自信が育ちやすくなります。
保育園の歌に合わせるなら、サビ前・間奏・歌詞の区切りに「ピタッ」を入れて、音の構造そのものを“合図”にするのも効果的です。
このやり方だと、笛や掛け声に頼らず、子どもが音楽を聴いて自分で切り替える経験を増やせます。
ねらいの根拠(リトミックの定義・ねらい・年齢別ポイント)
https://hoiku-is.jp/article/detail/3115/
バランス感覚の具体的な遊び例(線で平均台、片足立ち、環境と声かけ)
https://hoiku-is.jp/article/detail/3075/

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