きんぎんすなご保育歌遊び
きんぎんすなご保育歌遊びの導入とねらい
「きんぎんすなご」は、「たなばたさま」を歌うと必ず出てくるのに、子どもにとっては“意味がつかみにくい言葉”の代表格です。だからこそ保育では、最初から正解を教え込むより、まずは歌の情景(夜空・笹飾り・短冊)を感じられる導入をつくる方が、自然にことばが入ってきます。
実演の観点では、「たなばたさま」はゆったり丁寧に歌うことで言葉の美しさや情景イメージが引き出せるとされ、耳慣れない語(ささのは/お星さま/きんぎんすなご など)は導入で意味を伝えておくと理解が深まる、と整理されています。
この「意味を伝える」を“短い説明”で終わらせず、歌遊びの中で体験に変えるのが、保育の強みです。
ねらいの立て方は、行事理解・語彙・情緒の3つを軸にすると、指導案にも落とし込みやすくなります。
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行事理解:七夕の雰囲気(笹飾り、短冊、星)に親しむ。
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語彙:のきば/すなご/ごしき など、古い語の意味に触れる。
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情緒:静かな旋律と情景を味わい、想像して表現する。
さらに現場で効くのは、「きんぎんすなご」を“名詞”として覚えさせるより、「おほしさまきらきら」の続きとして“キラキラの言葉”として受け止めさせることです。言葉のラベル貼りではなく、感覚と言葉を結びつける支援が、歌遊びの満足度を上げます。
参考リンク(七夕の由来、のきば・金銀砂子・五色の短冊の意味がまとまっており、導入の語りに使える):
ヤマハ|親子で「七夕」を楽しもう!(由来・歌詞語彙・飾りの意味)
きんぎんすなご保育歌遊びで押さえる言葉:のきばと金銀砂子
「のきば」は漢字で「軒端」で、屋根の端で壁から張り出した部分を指します。昔の家では七夕の時期に軒端へ笹飾りを飾っていた、という背景を知ると、歌詞の場面が急に立体的になります。
そして「金銀砂子(きんぎんすなご)」は、金箔や銀箔を細かく砕いた粉で、蒔絵や襖絵などの装飾に使われる“砂子”のことです。歌詞では、星空や天の川のきらめきをその粉にたとえて表現している、と説明できます。
ここでのコツは、「説明→歌う」ではなく、「歌う→確かめる→また歌う」にすることです。
たとえば導入で次のような短いやり取りを挟むだけで、子どもの集中が続きます。
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「“のきば”って、おうちのどこだろう?」(写真や絵で屋根の端を指差す)
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「“すなご”って、砂みたい?でも“金銀”って言ってるね。どんなキラキラだろう?」(キラキラ素材の提示)
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「“おほしさまきらきら”の次に言うから、きっと“星のキラキラ”を言ってるのかもね」
意外と見落とされがちですが、「きんぎんすなご」は“実物が想像しづらい”だけでなく、“音が気持ちいい”言葉でもあります。保育の歌遊びでは、この語感の良さ(き・ん・ぎ・ん/す・な・ご)を活かし、発音で遊べます。
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早口にしない(雰囲気が壊れる)
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代わりに「ささのは さらさら」「おほしさま きらきら」と同じように、語尾の余韻を残す
こうすると、歌全体の“静かな美しさ”を守りつつ、語の印象が残ります。
参考リンク(「たなばたさま」の実演ポイント・対象年齢・導入やねらいの整理があり、保育者向けにまとまっている):
ほいくnote|たなばたさま(振り付き動画・実演ポイント・年齢別ねらい)
きんぎんすなご保育歌遊び:3歳児・4歳児・5歳児の援助
同じ歌でも、年齢で“刺さる入口”が違います。ここでは「たなばたさま」を軸に、無理なく段階づける方法をまとめます(クラスの実態に合わせて微調整してください)。
🎵3歳児:音と繰り返しで楽しむ
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ねらい:七夕という行事に親しみ、繰り返しのあるメロディを楽しむ。
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援助:笹・星・短冊の絵カードを見せ、「今日は七夕のお歌」と行事の入口をつくる。
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きんぎんすなごの扱い:意味の“説明”は最小限でOK。「キラキラの言葉だね」とだけ伝え、発音の面白さで歌を止めない。
🎵4歳児:イメージを広げて歌う
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ねらい:歌詞に出てくる言葉や七夕飾りに興味を持ち、イメージを広げる。
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援助:「さらさらってどんな音?」「きらきらってどんな光?」と感覚の問いかけにする。
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きんぎんすなごの扱い:写真や素材(キラキラ紙など)で“それっぽさ”を提示し、子どもが自分の言葉で言い直すのを待つ。
🎵5歳児:言葉の意味をほどいて表現へ
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ねらい:歌の世界観を感じ取り、自分の願いごとや星空の情景を想像して表現する。
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援助:「金銀砂子って何だろう?」と問いを立て、短い調べ学習(図鑑・写真)→制作(星空の表現)→歌、の循環をつくる。
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きんぎんすなごの扱い:金箔・銀箔を砕いた粉を装飾に使う、という“本来の意味”を紹介し、比喩(星空のきらめき)へつなぐ。
年齢別で共通して大事なのは、「歌のテンポを守る」ことです。途中で説明を長くすると、子どもは“歌”ではなく“講義”だと捉えやすくなります。説明は短く区切り、歌に戻る。これだけで活動の密度が上がります。
きんぎんすなご保育歌遊びの振り付けと環境構成
「たなばたさま」は派手なダンスより、“情景を見せる振り”が合います。振り付けは「意味を見える化」する目的で組むと、子どもも覚えやすいです。
振り付けの例(1番だけでも成立)
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「ささのは さらさら」:両手を上で揺らし、笹の葉のゆれを表現(大きくしすぎず、風のイメージ)。
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「のきばに ゆれる」:片手で屋根の形をつくり、もう片手で笹飾りが揺れる様子。
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「おほしさま きらきら」:指先で小さく点滅するように動かす(星の“点”を意識)。
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「きんぎん すなご」:手のひらから“さらさら”とこぼす動き(砂子の粉のイメージ)。
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「ごしきの たんざく」:胸の前で短冊を持つ真似→「わたしが かいた」で書く動き。
環境構成(歌遊びが一段深くなる小技)
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星の光を“点”で見せる:黒い模造紙に小さなシールを散らし、壁面の“天の川”を作る。
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「すなご」を連想させる素材:キラキラ折り紙の細切り、ラメ入りテープ、金銀の紙片などを少量だけ提示する。
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笹の葉の音:可能なら本物の笹を用意し、触れたときの音・匂いを感じる時間を取る。
活動の組み立ては、次の順にすると失敗しにくいです。
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見る(壁面・笹・短冊)
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触れる(笹・素材)
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歌う(ゆったり)
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もう一度歌う(理解が乗ってくる)
特に「きんぎんすなご」は、説明だけだと抽象語になりがちですが、“さらさら落ちる動き”を入れるだけで、身体語彙として残ります。歌詞の難しさを、身体表現で下支えするのが、保育での現実的な解決策です。
きんぎんすなご保育歌遊びの独自視点:言葉遊びで子どもの耳を育てる
検索上位の記事は「意味解説(すなご=金銀の粉、のきば=軒端)」が中心になりやすい一方、保育の現場で本当に効くのは「音の気持ちよさ」を設計に組み込むことです。ここでは“独自視点”として、歌詞に含まれる言葉遊びを活動へ落とします。
ポイント1:「音のつながり」を見つけて遊ぶ
「たなばたさま」は、「さらさら」「ゆれる」「きらきら」など、同じリズム感・語尾の響きが続きます。子どもは意味より先に、音のパターンで歌を覚えます。
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「さらさら」「きらきら」を言ってみる(同じ“らら”が入るね)
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次に「きんぎん」「すなご」を言ってみる(硬い音→柔らかい音の切り替えがあるね)
この“耳の遊び”を入れると、理解の浅い子も参加しやすく、結果としてクラスの一体感が上がります。
ポイント2:「ご」でつながる言葉の橋渡し
歌詞では「きんぎんすなご」の次に「ごしきのたんざく」が続きます。ここを“言葉の橋”として扱うと、子どもが覚えやすいです。
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先生:「“すなご”の次、何だった?」
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子ども:「ごしき!」
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先生:「そう、“ご”でつながってるみたいだね」
この程度の軽い気づきで十分です。正解を押し付けるより、「見つけた!」の体験が残ります。
ポイント3:比喩を“生活の光”へ広げる
金銀砂子は伝統工芸の語彙ですが、保育では「星みたい」「ラメみたい」「ひかるつぶつぶ」など、子どもの生活語彙へ翻訳していい場面が多いです。
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園の中で「きんぎんすなご探し」をする(窓の光、反射、飾りのきらめき)
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見つけたら「どこがきらきらしてた?」を共有する
これで“歌詞の言葉が、園生活の観察につながる”活動になります。七夕が終わっても、夜空や光への感度が残り、情緒の土台になります。
最後に、保育者が覚えておきたい安全・配慮も一言。ラメ素材や細かな紙片を使う場合は、誤飲・目への付着が起きないよう「大きめ素材」「少量」「机上で扱う」「活動後の手洗い」を徹底してください。歌遊びは楽しいほど盛り上がるので、素材の選び方が活動の質を左右します。
