歌の時間にアニマックス「うたのじかん」を保育で活かす
歌の上手な保育士より、歌が苦手な保育士のほうが子どもの歌唱力を伸ばせることがあります。
歌の時間アニマックス「うたのじかん」の番組概要と特徴
アニマックス「うたのじかん」は、アニメ専門チャンネル・アニマックスが2017年6月から開始したオリジナルミニ番組です。毎月1曲ずつ、レコード会社所属のアーティストとコラボレートしたオリジナル楽曲を制作し、親子に向けたアニメ映像とともにお届けするという形式をとっています。
放送時間は朝6時57分ほかで、朝6時から夜6時の間に1日5〜6回繰り返し放送されます。1曲の尺はたったの2分。この「短さ」こそが、保育現場でそのまま活用しやすい大きな利点です。
番組のコンセプトは「親子で楽しめるメッセージソングをオリジナル映像とともに届けること」。単に子ども向けというわけではなく、大人もいっしょに楽しめる内容に仕上げられているのが特徴です。これはそのまま、保育士とこどもがともに楽しめるという意味でもあります。
これは使えそうです。
これまでに放送された楽曲も非常に幅広く、以下のようなラインナップが並んでいます。
| 楽曲名 | アーティスト | テーマ |
|---|---|---|
| 気球にのって | コアラモード. | 旅・冒険 |
| おはよう地球 | 新居昭乃 | 朝・地球の大きさ |
| るすばん天国 | むぎ(猫) | 日常・ほのぼの |
| うんうんうんちくん | Gacharic Spin | ユーモア・身近な話題 |
| 僕の小さな悩み事 | サトミツ&ザ・トイレッツ | 等身大の感情 |
| ヤバババイ | 吉田凜音 | テーマ曲・元気 |
元気なガールズバンドから幻想系の音楽まで、バラエティ豊かです。子どもたちが「次はどんな曲かな?」と毎月楽しみにできる構造になっているのも、継続的に活用しやすい理由のひとつです。
公式YouTubeチャンネル「うたのじかん アニマックス Time to Sing!!!」でも各楽曲のMVが公開されており、アニマックスを視聴できない環境でも手軽にアクセスできます。「うんうんうんちくん」は2026年3月時点でYouTube再生数28万回を超えており、子どもたちへの人気の高さが伝わってきます。
参考:アニマックス公式「うたのじかん」番組詳細(PRTimes)

歌の時間が子どもの発達に与えるアニマックス活用の科学的根拠
「歌の時間はただ楽しいだけ」と思っていると、子どもの発達チャンスを見逃します。
カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のアドリアナ・ガスワミ教授らの2014年の研究によると、音楽・楽器の訓練を受けた子どもは語彙の習得速度が平均20%速いという結果が示されています。20%という数字を日常に置き換えると、3歳でひらがなを100語覚える子が、音楽活動ありの環境では120語に近づくイメージです。これは決して小さな差ではありません。
また、ハーバード大学の研究でも、音楽教育を受けた子どもは言語・数学の理解で優れた成績を収める傾向があることが報告されています。脳科学の観点から見ると、音楽に触れることで聴覚野だけでなく言語野・運動野・感情に関わる大脳辺縁系まで広く活性化されます。つまり歌の時間は、脳全体への刺激になっているわけです。
厚生労働省が示す「保育所保育指針」の中でも、うたを含む音楽は「表現」の領域に位置づけられています。ねらいは「さまざまなものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ」「自分の気持ちを言葉や動きで表現する楽しさを味わう」こと。歌の時間は、子どもの感受性と自己表現力を同時に育てられる貴重な場面なのです。
つまり、歌の時間は発達への投資です。
保育現場のリアルなデータとして、保育士向けサイト「ほいくis」のアンケートによれば、保育者の78%が日常的に童謡・歌を取り入れていると回答しています。それほど一般的な活動であるにもかかわらず、「ただ歌わせる」だけになっているケースも多いのが現状です。そこにアニマックス「うたのじかん」のようなオリジナルの映像コンテンツを組み合わせると、子どもたちの「もう一回!」という能動的な反応を引き出しやすくなります。
参考:保育に童謡を取り入れるねらいと実践(ほいくis)
参考:音楽と記憶の論文が保育士の現場実践を変える

歌の時間にアニマックス「うたのじかん」を保育へ取り入れる具体的な手順
実際に「うたのじかん」を保育の歌の時間に使うとき、どこから始めればいいかを整理しておきます。
まず最初のステップは、YouTubeで楽曲を事前にチェックすることです。公式チャンネル「うたのじかん アニマックス Time to Sing!!!」で全8曲の映像が無料公開されています。アニマックスを契約していなくても、タブレットやモニターがあれば保育室でそのまま流せます。2分という短さは、朝の会や給食前のちょっとした隙間時間にもぴったりです。
次のステップは、歌詞の内容をクラスの年齢と合わせて選曲することです。
- 🐣 乳児クラス(0〜1歳):「トントントン」(岩崎愛)や「るすばん天国」のような、ゆったりしたリズムと繰り返しフレーズのある曲が◎
- 🐥 1〜2歳クラス:「うんうんうんちくん」のようにリズミカルで体が動きたくなる曲がおすすめ
- 🐤 3〜5歳クラス:「おはよう地球」のように歌詞の意味を一緒に考えられる曲が表現活動に繋がりやすい
選曲が決まったら、歌詞の内容に合わせた動きを子どもと一緒に考える段階に進みます。大切なのは、保育士が振り付けを全部決めてしまわないこと。「この歌詞のとき、どんな動きしたい?」と子どもに聞くだけで、保育士が思いつかないような豊かな表現が生まれます。
歌えない子がいても問題ありません。映像を見ながら体を揺らしているだけでも、リズム感や聴覚的発達への刺激になっています。歌えることよりも、歌の時間を「楽しい時間」と感じてもらえるかどうかが原則です。
歌の時間アニマックス「うたのじかん」を「表現活動」に変える保育士の工夫
「ただ歌う」だけでは、もったいないです。
保育士歴8年目の現場レポートによると、手を後ろに組んで姿勢よく歌わせるスタイルは、発表会の準備としては意味があっても、日常の歌の時間では子どもの表現力を引き出しにくいという現実があります。「うたのじかん」の2分間映像を使うことで、子どもたちが映像に引き込まれながら自然に体を動かし始めるというのが、現場で実感されている反応です。
具体的な「表現活動」化のコツを整理すると、以下の4つのアプローチが有効です。
- 🎭 歌詞の意味を一緒に調べる:「地球の裏側って、どこかな?」「うんちくんってどんな子だろう?」と問いかけると、子どもの想像力が動き出します
- 🕺 歌詞に合わせた動きを子ども自身に考えてもらう:「大きくなった!」という歌詞で飛び跳ねるか、腕を広げるかは子どもに選ばせてみましょう
- 🖼 絵や映像とつなげてイメージを広げる:「うたのじかん」はもともとオリジナルアニメ映像つきなので、映像を観ながら「どんなお話に見えた?」と問いかけるだけでOKです
- 📖 絵本やその日の活動とリンクさせる:「気球にのって」を歌った日は、世界地図を広げて「どこに行きたい?」と話すだけで言語活動と組み合わさります
意外ですね。たった2分の曲がここまで広がります。
また、歌詞が難しい場合でも「わからないまま歌わせる」より「一緒に調べる」過程を重視することで、その曲への愛着と理解が深まります。意味を理解して歌えるようになると、子どもの声の表情が変わってきます。声量・表情・体の動きが変化することで、周囲の子どもにも「歌って楽しい」という感情が伝染しやすくなるのです。
歌詞カードを模造紙に書いてクラスに掲示しておくのも、幼児クラスでは特に効果的です。文字が読めなくてもイラストと合わせることで、歌詞を「見ながら歌う」体験が記憶と結びつきやすくなります。
参考:保育士の視点から見た歌の時間の表現活動化(note)

歌の時間アニマックス「うたのじかん」を知らない保育士が見落としがちな独自視点:選曲の「テーマ連動」戦略
多くの保育士が見落としているのが、「うたのじかん」の楽曲テーマを保育計画の月テーマや行事と意図的にリンクさせるという発想です。
一般的に、保育の歌の選曲は「季節の童謡」か「行事の曲」に偏りがちです。もちろんそれは大切ですが、「うたのじかん」の楽曲は「朝・地球・日常の感情・ユーモア」など、季節に関係なく年間を通じて使えるテーマが多いのが特長です。
たとえば、月のテーマが「友だち」の場合は「ありがとうの花」のような感謝をテーマにした曲とセットで「うたのじかん」の「おはよう地球」(朝の挨拶・つながり)を組み合わせることで、子どもたちが「挨拶=気持ちを伝える行為」という共通テーマで一週間を過ごせます。月のテーマ連動が基本です。
保育計画との連動を意識すると、1曲の歌が次のような波及効果を生みます。
- 🌍 歌詞をきっかけに「地球って丸いの?」「裏側って夜なの?」という疑問が生まれる → 絵本や図鑑コーナーへの関心が高まる
- 😄 ユーモアのある曲(うんうんうんちくんなど)は、トイレトレーニング中の子どもに「うんちくん!」と声をかけるだけで笑顔が生まれる → 生活習慣と歌がリンクする
- 🎵 同じ曲を2〜3週間繰り返すことで、子どもが自分から口ずさむようになる → 音楽的記憶の強化に繋がる
「毎月1曲更新」という「うたのじかん」の仕組みも、保育計画の月テーマと合わせやすいリズムです。4月なら「新しい出会い」「春」をテーマにした曲、10月なら「秋・収穫」をテーマにした曲が選べれば、自然と保育の流れに溶け込みます。
現時点で「うたのじかん」の楽曲一覧を確認したうえで「この月はこの曲」と年間計画に組み込むことを検討してみてください。公式YouTubeチャンネルで無料で確認できます。1回確認するだけで、1年分の選曲の引き出しが増えます。これだけ覚えておけばOKです。
https://www.youtube.com/@timetosing3303(アニマックス「うたのじかん」公式YouTube)
歌の時間アニマックス「うたのじかん」で保育士が実感するメリットとよくある疑問への回答
実際に「うたのじかん」を保育現場で活用するうえで、保育士からよく出る疑問があります。それに対して順番に答えていきます。
Q. ピアノが弾けなくても使えますか?
まったく問題ありません。「うたのじかん」はアニメ映像つきの完成されたコンテンツなので、YouTubeやアニマックスで流すだけで使えます。むしろ、ピアノが苦手な保育士にとっては「映像を流しながら子どもたちと一緒に体を動かせる」という大きなメリットがあります。厳しいところですね、ピアノへのプレッシャーは。でも「うたのじかん」はその問題を回避できます。
Q. アニマックスを契約していない園でも使えますか?
はい、公式YouTubeチャンネルで全8曲が無料で公開されているため、インターネット環境があれば問題なく活用できます。タブレット1台でも十分です。
Q. 子どもが興味を持たなかったらどうすれば?
興味を持たない場合は、まず映像だけを見せてみましょう。「うたのじかん」は2分間のアニメーション映像と一体になっているため、「歌を聴く」より「アニメを見る」入口から子どもに届けることができます。映像の登場キャラクターについて話しかけるだけで、自然と歌への関心が生まれやすくなります。
Q. 何歳クラスに向いていますか?
基本的には0歳〜就学前まで対応可能です。乳児クラスにはリズムが明確でシンプルな曲、幼児クラスには歌詞のストーリー性が豊かな曲を選ぶのがポイントです。1日5〜6回放送という繰り返しの多さは、乳幼児の記憶形成において非常に有効です。繰り返しが学習の原則です。
また、「うたのじかん」の楽曲はすべてオリジナル曲のため、著作権の管理が明確なのも保育現場にとって安心できる点です。一般的な童謡や流行曲の無断使用に不安を感じている保育士にとって、公式配信コンテンツを活用することはリスク回避にも繋がります。
保育の歌の時間に「新しい刺激」を加えたいと感じているなら、まず「うたのじかん アニマックス Time to Sing!!!」のYouTubeチャンネルを開くところから始めてみてください。2分間の動画を一本見るだけで、明日の保育のアイデアが広がります。

