こんにちはの歌と万博を保育で活かすための完全ガイド
この歌、正しいキーで歌わないと子どもが3分で集中を失います。
「こんにちはの歌」万博テーマ曲の誕生と驚きの歌詞のヒミツ
「世界の国からこんにちは」は、1970年の日本万国博覧会(大阪万博)のテーマソングとして生まれた楽曲です。作詞は島田陽子、作曲は中村八大が担当しました。歌詞は1967年1月に毎日新聞社が主催した一般公募によって選ばれており、なんと全国から集まった13,195点もの応募作の中から1点を選んだという経緯があります。
これは意外です。「三波春夫が書いた歌」だと思っている保育士さんも多いはずです。
実際には、三波春夫・坂本九・吉永小百合・山本リンダ・弘田三枝子・西郷輝彦・倍賞美津子・ボニージャックスという8つのレコード会社が競作で発売し、総売上は300万枚を超えるミリオンヒット曲となりました。なかでも三波春夫盤が140万枚と最大の売り上げを記録したため、「三波春夫の歌」という印象が強く残っています。
この歌のもう一つの驚きは、歌詞の構造にあります。3番まで通して歌うと「こんにちは」という言葉が35回も登場します。歌詞全体の半分以上が「こんにちは」で占められているのです。一見シンプルすぎるように見えますが、これが保育現場での活用において非常に大きな強みになります。子どもは繰り返しのフレーズを好む傾向があり、「こんにちは」の連続が子どもにとっては予測可能で安心感のあるリズムを生み出します。
歌詞の制作について、島田陽子は「子どもにもわかる言葉、美しい日本語、1970年の未来のイメージを考えながら、人類の進歩と調和という万国博のテーマの精神を歌詞の中にそっと盛り込む点に苦労した」と語っています。
作詞の出発点は一般市民の女性。これが重要です。
難しい言葉を使わず、誰でも口ずさめることを最優先に設計されたのが、この歌が55年以上にわたって歌い続けられている理由です。保育士として子どもに歌を届ける立場から見ると、「子どもでもわかる言葉」というコンセプトは実に理にかなっていると言えます。
参考:「世界の国からこんにちは」の歌詞全文と詳細な解説はこちらでも確認できます。
世界の国からこんにちは 歌詞と解説 – worldfolksong.com
こんにちはの歌が万博と保育をつなぐ理由とねらい
「世界の国からこんにちは」を保育に取り入れることのねらいは、単に「昔の名曲を歌う」ことではありません。万博というテーマそのものが、子どもたちの異文化理解・国際感覚の育ちに直結しているのです。
1970年大阪万博のテーマは「人類の進歩と調和」でした。そして2025年大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」です。どちらも根底に「世界がつながる」という思想があります。この歌を保育に使うことで、保育士は子どもに対して「世界には多くの国がある」「あいさつは世界共通の大切なもの」というメッセージを、歌を通じて自然に届けることができます。
つまり「こんにちは」は挨拶の学びです。
手遊び歌や歌活動には、言語能力の向上・リズム感の発達・社会性の育成という発達的な効果があります。特に「こんにちは」という言葉を繰り返す構造は、言葉の音に敏感な幼児期に非常に効果的です。歌の中で「西のくにから」「東のくにから」「世界のひとが」と地理的な表現が出てくることで、3歳以上の子どもが「世界ってどんなところ?」と興味を持つきっかけにもなります。
また保育のねらいとしては、以下のような点を設定できます。
- 🎵 歌を楽しみながら「あいさつ」の大切さを知る
- 🌏 「世界にはいろんな国がある」ことに気づく
- 🤝 友だちと一緒に声を合わせることで協調性を育む
- 💃 歌に合わせて体を動かし、リズム感を養う
- 🗺️ 万博をきっかけに世界地図や国旗への興味を引き出す
保育の指導計画を立てる際は、この歌を単独のプログラムとして扱うよりも、「世界の国を知ろう」という大きな単元の中に位置づけると、一貫した学びの流れが作りやすくなります。国旗遊びや世界の食べ物クイズなどと組み合わせることで、子どもたちの知的好奇心がより広がります。
こんにちはの歌を使った万博テーマの保育活動アイデア
「世界の国からこんにちは」は、保育現場での活用シーンが非常に多い楽曲です。以下に、年齢別・場面別の活用アイデアを紹介します。
🎈 朝の集まり・お集まりの時間(全年齢)
朝の集まりで歌を歌う時間に取り入れるのが最も基本的な使い方です。3歳未満の場合はサビの「こんにちは こんにちは 握手をしよう」の部分だけを繰り返す形で取り入れると、子どもが無理なく参加できます。サビに合わせて隣の友だちと握手する動作をつけると、身体と言葉が連動して理解が深まります。
これは使えそうです。
4〜5歳クラスでは全番を通して歌い、歌詞に出てくる「西の国」「東の国」について保育士が簡単に解説する時間を設けると、語彙力と地理的なイメージが広がります。「西ってどっちかな?」と問いかけることで、子どもの思考が動きます。
🌍 万博をテーマにした製作活動(4〜5歳)
万博に参加した国の国旗を画用紙に描いて、教室に万国旗として飾る活動は、歌の世界観とリンクさせることができます。1970年の大阪万博には77か国・地域が参加し、2025年の大阪・関西万博には150以上の国と地域が参加しました。「こんなにたくさんの国が来てくれた」という驚きを子どもと共有することで、歌の意味がより立体的に伝わります。
🎤 発表会・生活発表会での活用
年長クラスの発表会では、「世界の国からこんにちは」を合唱として取り上げる園も増えています。振付師akaneが手がけた「万博ダンス(こんにちはダンス)」は、2025年大阪・関西万博の公式ダンスコンテンツとして動画が公開されており、保育や運動会でそのまま活用できます。
ダンスは無料で参照できます。
振付のベースは子どもでも真似しやすいシンプルな動きで構成されていますので、3〜4回練習すれば年中・年長クラスの子どもは十分に形になります。行事の出し物として取り上げる際は、子どもが「この歌には意味がある」と理解した状態で踊れるよう、事前に歌の背景を簡単に伝えることが重要です。
参考:2025年大阪・関西万博オフィシャルテーマソングとダンス動画の公式ページはこちら。
大阪・関西万博オフィシャルテーマソング – expo2025.or.jp
2025年万博テーマ曲「この地球の続きを」とこんにちはの歌の関係
2025年大阪・関西万博のオフィシャルテーマソングはコブクロの「この地球(ほし)の続きを」です。この曲は、1970年大阪万博のテーマ曲「世界の国からこんにちは」へのオマージュとリスペクトが込められた楽曲として制作されました。
二曲はつながっています。
「この地球の続きを」は歌詞の中に、世界共通であってほしいという願いと、2025年に万博の幕が開くまでの期待感、そしてその先の未来への希望が描かれています。コブクロは制作にあたり、世界中の人が口ずさめるシンプルな旋律を意識したと語っています。この設計思想は、「誰でも歌える言葉」を選んだ島田陽子の作詞哲学と通じるものがあります。
保育活動でこの二曲を並べて紹介することで、「1970年の万博でも世界の人たちが来て、今度の2025年の万博でもまた来たんだよ」という時代の流れを、子どもがイメージしやすくなります。5歳クラスなら「昔の歌と新しい歌を比べて聴く」という活動も成立します。
また、コブクロの「この地球の続きを」には子ども向けのダンスバージョン動画が公式に公開されており、保育現場で使用申請が可能です。
| 比較項目 | 世界の国からこんにちは | この地球の続きを |
|---|---|---|
| 万博 | 1970年大阪万博 | 2025年大阪・関西万博 |
| アーティスト | 三波春夫ほか(競作) | コブクロ |
| 特徴 | 「こんにちは」35回 | オマージュと未来への希望 |
| 活用場面 | 朝の集まり・手遊び・合唱 | 発表会・運動会ダンス |
| 子どもへの伝わりやすさ | ◎(繰り返しが多い) | ○(メロディが綺麗) |
二曲を組み合わせることで、活動の幅が広がります。年間行事計画の中で「春:こんにちはの歌」「秋の発表会:この地球の続きを」という使い分けをしている保育園も実際にあります。
保育士が知っておくべき「こんにちはの歌×万博」の独自視点|歌詞の繰り返しが持つ発達的意義
「こんにちは」が35回繰り返されるという歌詞の特徴は、一見すると単純に見えますが、発達心理学の観点から見ると非常に意味のある構造です。乳幼児期の子どもは、繰り返しの言葉や音に対して強い反応を示します。これは「繰り返すことで世界のルールを理解する」という学習プロセスと関係しています。
繰り返しには深い理由があります。
幼児が「いないいないばあ」を何度もせがむのと同じ原理で、繰り返しパターンのある歌は子どもの予測感覚(「次にこれが来る」という期待)を満たすことができます。この予測が満たされる瞬間に子どもは喜びを感じ、それが歌への主体的な参加につながります。35回の「こんにちは」は、子どもを歌の世界に引き込む最強の装置とも言えるのです。
さらに、歌の中に出てくる「握手をしよう」という歌詞は、単なる挨拶の言葉ではなく、「身体を使ったコミュニケーション」の象徴として機能します。保育士が歌を歌いながら実際に子どもと握手をする動作を取り入れることで、言語・身体・関係の三つの発達を同時に刺激できます。
「握手」は信頼関係の象徴です。
また、保育士として見逃せないのは、この歌が「あいさつは楽しいものだ」という印象を子どもに植え付ける力を持っているという点です。「こんにちは」を大声で言うことが照れくさい子どもも、歌の形であれば気軽に声を出すことができます。あいさつが苦手な子どもへのアプローチとして、この歌を日常の保育の中に取り入れることは、行動変容を促す一つの有効な手段です。
保育士として活動の引き出しを増やしたいなら、保育専門の歌やリトミック教材サイトで「万博」「世界の国」と検索すると、この歌に関連した振付動画や楽譜素材が複数見つかります。YouTubeで「世界の国からこんにちは ドレミ運指」と検索すると、ピアノ演奏の参考動画も多数あります。歌の伴奏に自信がない保育士さんでも、ガイド付き動画を見ながら練習できます。
参考:保育現場での手遊びや歌活動のねらいについて詳しく解説されています。


