もこもこもこ絵本のサイズを正しく選ぶと読み聞かせが変わる
大型絵本より通常版のほうが、1対1の読み聞かせで集中力が1.5倍以上持続するというデータがあります。
もこもこもこ絵本の通常版サイズ(28.3×22.4cm)の特徴と保育での活用法
『もこ もこもこ』の通常版は、B4変型ワイドサイズと呼ばれる28.3cm×22.4cmという大きさで作られています。これはコピー用紙のA4サイズ(21cm×29.7cm)よりも横幅が広く、正方形に近いゆったりしたフォーマットです。雑誌の見開きページを少し小さくしたイメージと言うと、サイズ感がわかりやすいでしょう。
この絵本のサイズが絶妙なのは、子どもとの「ちょうどよい距離感」にあります。保育士が子どもを膝に乗せたり、隣に座らせながら読む1対1や1対2の読み聞かせでは、大きすぎず小さすぎないこのサイズが最も絵本の世界に引き込まれやすい環境を作ります。28.3cmという横幅は、はがきの横幅(14.8cm)のほぼ2枚分。大人の手で包み込めるギリギリのサイズで、片手でページをめくりながら安定して持てる点も現場では評価されています。
通常版は29ページ・定価1,430円(税込)と手に取りやすい価格設定です。文研出版から1977年に初版が出て以来、累計発行部数は150万部以上を誇るロングセラーです。保育室の本棚に常備しておく絵本として、コストパフォーマンスも非常に優秀です。
0歳後半から1歳クラスで毎日のように使う絵本ならなおさら、通常版サイズが原則です。使用頻度が高いぶん、ページの角が傷みやすい点は注意が必要です。保育室では専用のブックカバーや丈夫な棚管理を心がけると長持ちします。
参考:文研出版公式 もこもこもこ 通常版の詳細ページ(サイズ・価格・ねらいを確認できます)
もこもこもこ絵本の大型絵本(44×35cm)を保育士が選ぶべき場面とは
大型絵本版の『もこ もこもこ』は440mm×350mmという堂々たるサイズです。これはB3用紙(364mm×515mm)に近い大きさで、見開き時には子どもの胴体とほぼ同じ高さになります。クラス全員が一度に見られるのがこのサイズの最大の強みです。定価9,350円(税込)と通常版の約6.5倍の価格ですが、集団保育での使用頻度を考えると十分な投資価値があります。
保育現場では、クラス全員(10〜20人程度)での朝の会や帰りの会に読み聞かせる場面でこのサイズが力を発揮します。子どもを扇型に並べたとき、最後列の子どもまで絵が見渡せるのが44cmサイズの実力です。通常版の28cmでは後ろの子どもが「見えない」と首を伸ばす場面が出てきますが、大型絵本ならその心配がありません。
大型絵本は基本的に2人1組での読み聞かせが推奨されています。1人が本を両手で支え、もう1人がページをめくりながらテキストを読む形式です。重さは通常版の数倍あるため、長時間の読み聞かせでは腕が疲れてくることもあります。実際、フレーベル館から販売されているビッグブック版(44.6×34.8cm)は重量1.4kgと表記されており、A4コピー用紙500枚のパッケージとほぼ同じ重さです。
大型絵本は価格が高い分、購入を保留にしている保育士も多いかもしれません。その場合、近くの図書館で大型絵本の貸し出しサービスを実施しているケースがあります。試しに1度借りてみて、クラスの子どもたちの反応を確認してから購入判断をするのが賢い使い方です。
参考:大型絵本 もこもこもこ(文研出版)の詳細スペックと購入情報
もこもこもこ絵本のミニブック(21×14.8cm)が保育士の意外な場面で役立つ理由
2023年に登場した文研ミニブック版(210mm×148mm)は、A5サイズという名刺入れとほぼ変わらない薄さと軽さが特徴です。これはスマートフォン(一般的な縦15cm前後)をひとまわり大きくしたサイズ感です。赤ちゃん自身が両手で持ちやすいよう設計されており、1歳児が一生懸命抱きかかえて大人のところに持ってくる姿が多数報告されています。これは便利ですね。
保育士がミニブックを活用する場面として意外に見落とされがちなのが、「個別対応の読み聞かせ」です。登園直後のぐずりや午睡前の落ち着かせの場面では、クラス全員に向けた読み聞かせではなく特定の子どもに向き合う必要があります。そういったとき、ミニブックは片手でサッと取り出して読み始められる手軽さがあります。
また、親御さんへの絵本紹介という観点でも使い勝手が良いサイズです。連絡帳や保育便りで「今週読んだ絵本はこれです」と紹介する際に、実物のミニブックをちらっと見せながら話すことで、家庭でも購入してもらいやすくなります。通常版(1,430円)に対し、ミニブック版はより手軽な価格で販売されており、家庭環境への波及効果が期待できます。
ミニブックの注意点は、絵が小さくなる分、視認性が下がることです。集団読み聞かせや、1メートル以上の距離がある場面での使用には向きません。ミニブックは基本的に「近距離」限定、が条件です。使い分けを明確にしておくと、どの場面でどのサイズを使うか迷わずに済みます。
参考:ミニブック版登場の背景と各サイズの詳細(絵本ナビ特集記事)
多くの赤ちゃんに愛されてきた名作がてのひらサイズに – 絵本ナビ
もこもこもこ絵本を保育士が読み聞かせるときのねらいと声の使い方
『もこ もこもこ』の文章を構成するのは「もこ」「にょき」「ぱくっ」「ぽろり」「しーん」など、すべて擬音語と擬態語(オノマトペ)だけです。説明的なセリフはひとつもありません。これが保育士にとって「読み方で大きく差が出る絵本」になっている理由です。
ねらいとして保育士が意識すると効果的なのは、主に「①言葉の響きを楽しむ」「②次の展開を想像する力を育てる」という2点です。0歳後半から1歳クラスでは、大人の声を聞いて同じ言葉を真似しようとする段階に入ります。「もこ」「ぱくっ」のような短い音は非常に真似しやすく、子どもが自然に声を発するきっかけになります。つまり発語の促進にも直結しているということです。
声の使い方については、まずページごとの「音の大小」を変えることが基本です。「しーん」は静かに、ほとんど囁くような声で読む。「もこもこもこ」と膨らみが大きくなるにつれ、だんだん声も大きく低くしていく。「ぱちん!」は思い切った破裂音で。こうした抑揚の変化が、子どもの視線を画面にくぎ付けにします。
さらに上級のポイントとして、保育士自身のボディランゲージも重要です。「ぱくっ」のページでは口を大きく開けて食べる仕草を見せる、「もぐもぐ」では頬を動かしてみせる、「ぱちん!」では絵本を持つ手の甲を反対の手で軽く叩いて実際に音を出す、といった動作を加えるだけで子どもたちが真似をし始めます。読み手の表情もよく見ているのが乳児の特徴です。
参考:現役保育士が解説する読み聞かせのねらいと具体的ポイント
【言葉の面白さと想像が楽しめる絵本】もこもこもこ【現役保育士がレビュー】
もこもこもこ絵本サイズ別・保育士が知っておくべき対象年齢と独自の活用シーン
サイズと対象年齢を組み合わせると、保育士が絵本を「どこに置くか・誰に渡すか」をより精密に判断できるようになります。整理するとこのようになります。
| サイズ | 対象年齢のめやす | 推奨シーン | 価格(税込) |
|---|---|---|---|
| ミニブック(21×14.8cm) | 0〜1歳(赤ちゃん自身が持てる) | 個別対応・登園時のぐずり・お出かけ | 通常版より安価 |
| 通常版(28.3×22.4cm) | 0歳後半〜4歳 | 保育室での少人数・1対1・本棚常備用 | 1,430円 |
| 大型絵本(44×35cm) | 幼児全般(集団向け) | クラス全体の読み聞かせ・朝の会・帰りの会 | 9,350円 |
ここで紹介したい独自の活用シーンが一つあります。それは「落ち着きたい子どもへの個別クールダウン読み聞かせ」です。集団生活の中で興奮が高まってしまった子、泣き止まない子、または場の空気が騒がしくなったタイミングに、通常版の『もこ もこもこ』を静かに広げてみるのが効果的です。これは現役保育士のRyuさんが「1歳児クラスに1番読んでいる絵本。特に気分が高まって収集が付かなくなった時など、落ち着いてほしい場面でよく読んでいる」と述べていることからも裏付けられます。
読み始めると不思議なほど子どもたちの意識が絵本に向いて静まる、という報告は複数の保育士から上がっています。これはページの冒頭が「しーん」という静寂の擬音から始まることが大きく関係しています。言葉で「静かにして」と伝えるより、絵本の冒頭の「しーん」が子どもの注意を引き、保育室全体のトーンをリセットしてくれるのです。これは使えそうです。
サイズを場面ごとに使い分けることで、1冊の絵本から最大の効果を引き出すことができます。通常版を保育室本棚に1冊、大型絵本を園の共有備品として1冊、さらに可能であればミニブックを個別対応用として持っておく、という3冊体制がひとつの理想的な形といえるでしょう。大型絵本の購入が予算的に難しい場合は、地域の図書館で大型絵本を借りる方法も積極的に検討してみてください。
参考:保育士による集団読み聞かせの環境設定と実践アドバイス
【保育士必見】園での絵本読み聞かせを効果的に!発達を促す実践

ふんわりえほん こぐまくんの焼きたてパン [cocory friends]
