童謡メドレー冬の選び方と保育への活かし方
冬の童謡メドレーは「知っている曲を順番に流すだけ」で十分だと思っていると、子どもの集中が途中で切れて活動が崩れます。
童謡メドレー冬の年齢別おすすめ曲と選曲のポイント
冬の童謡メドレーを保育に取り入れるとき、「とりあえずジングルベルから始めればいい」という選曲では、年齢によっては子どもがまったく乗ってこないことがあります。曲の難易度・テンポ・歌詞の長さが発達段階とかみ合っていないことが原因です。つまり「曲の良し悪し」ではなく「年齢との相性」が問題です。
0〜2歳の乳児クラスには、繰り返しフレーズが多くテンポがゆったりした曲が向いています。「ゆき(♪ゆきやこんこ)」「たき火」「雪だるまのチャ・チャ・チャ」などは、抱っこしながら身体を揺らすだけで楽しめる曲です。特に「雪だるまのチャ・チャ・チャ」は「チャ・チャ・チャ」の部分で手拍子を自然に誘えるため、1歳児クラスのリズム遊びとの組み合わせに最適です。この時期は歌詞の意味よりも音の響きとリズムが刺さります。
3〜5歳の幼児クラスになると、歌詞に意味を感じながら歌う力が育ってきます。この年齢帯では「北風小僧の寒太郎」「あわてんぼうのサンタクロース」「こぎつね」「お正月」のような、ストーリー性や擬音が豊かな曲が効果的です。「あわてんぼうのサンタクロース」は1番から3番まで段階的に展開していくため、5歳児クラスでは3番まで歌わせることで歌の構造を体験させることができます。曲の構造を理解し始める年齢です。
以下に年齢別のおすすめ曲をまとめます。
| 年齢 | おすすめ曲 | 活動のねらい |
|---|---|---|
| 0〜1歳 | たき火・ゆき・しずかなクリスマス | リズムへの反応・情動の安定 |
| 2歳 | 雪だるまのチャ・チャ・チャ・赤鼻のトナカイ | 手拍子・身体表現との連動 |
| 3歳 | こぎつね・コンコンクシャン | 歌詞の意味理解・表情豊かに歌う |
| 4〜5歳 | あわてんぼうのサンタクロース・北風小僧の寒太郎・お正月 | 歌の構造理解・合唱体験 |
選曲のもう一つの軸は「テーマの時期」です。12月はクリスマスソングを中心に、1月は「お正月」「雪」「たこのうた」、2月は「豆まき」「鬼のパンツ」をメドレーに加えると、季節の流れを子どもが自然に体感できます。冬全体の流れを意識するのが基本です。
保育のねらいと季節の歌の関係を詳しく解説している参考サイトです。
童謡メドレー冬の曲順が子どもの集中と情緒に与える影響
保育士の多くは「好きな曲を集めてメドレーにする」という方法をとっています。しかし、曲の並べ方次第で子どもの集中力がぐっと変わることは、あまり知られていません。これは意外ですね。
カナダ・マギル大学の研究(2013年)では、音楽を聴いたとき脳の「側坐核」と「聴覚皮質」が同時に活性化し、ドーパミンが放出されることが確認されています。ドーパミンは快楽・動機づけに関わるため、音楽は脳にとって「報酬」として機能します。この性質を利用すると、メドレーの冒頭に子どもがよく知っている曲を置くだけで、クラス全体が自然に集中モードに入りやすくなります。
メドレーの曲順を組む際の基本は「テンポの波」を意識することです。具体的には、①ゆっくりめの親しみある曲でウォームアップ→②中程度のテンポで歌う楽しさを広げる→③速めの盛り上がる曲で身体表現も加える→④落ち着いたテンポの曲で着地する、という流れが子どもの感情の波と合いやすいとされています。
🎵 曲順の組み方の例(12月・幼児クラス向け)。
- 🎶 ウォームアップ(1〜2曲):ゆき・たき火など、ゆったりした曲で場を整える
- 🎶 展開(2〜3曲):こぎつね・赤鼻のトナカイなど、歌詞を楽しめる曲
- 🎶 盛り上がり(1〜2曲):あわてんぼうのサンタクロース・ジングルベルなど
- 🎶 クールダウン(1曲):きよしこの夜・しずかなクリスマスなどの静かな曲
特に見落とされがちなのが「クールダウンの曲」です。盛り上がる曲で終わってしまうと、子どもの興奮状態が続き、その後の活動への切り替えに時間がかかります。メドレーの最後は落ち着いた曲で締めるのが原則です。
東京大学の開一夫教授らの研究では、3〜4歳児が歌を介して新しい単語を学んだ場合、読み聞かせだけで学んだ場合に比べて1週間後の語彙保持率が平均約30%高かったと報告されています。冬の童謡メドレーを「ただ歌うだけ」でなく、「新しい語彙に出会う場」として位置づけると、保育的な意義がぐっと深まります。「雪景色」「霜柱」「凍てつく」など冬特有の言葉を含む唱歌は、語彙の種まきとして活用できます。これが保育の醍醐味です。
音楽が子どもの発達に与える影響の科学的な情報はこちら。
幼児〜児童期の音楽経験が与えるものとは|YAMAHA音楽教育研究
童謡メドレー冬の保育活動における手遊び・身体表現との組み合わせ術
冬の童謡メドレーと手遊びを組み合わせるとき、「とりあえず手遊びを付ければ盛り上がる」と思っていると失敗します。手遊びの難易度が年齢とずれていると、子どもはすぐに手を止めてしまい、歌そのものへの興味も薄れるからです。これだけは覚えておけばOKです。
0〜2歳の乳児クラスでは、左右非対称の細かい動きは難しいため、「両手を同時に動かす」「手のひらを上下させる」程度の動きにとどめます。「いとまき冬バージョン」では巻き巻きの動作だけで成立するため、1歳児から十分楽しめます。一方、「雪だるまのチャ・チャ・チャ」は「チャ・チャ・チャ」の部分で手拍子するだけでもリズム体験として成立します。シンプルさが鍵です。
3〜5歳の幼児クラスでは、ペープサートやパネルシアターを曲に合わせて使う方法が有効です。「こぎつね」ではきつねのペープサートを用意して歌に合わせて動かすと、子どもたちの目が輝きます。「コンコンクシャン」はくしゃみをするキャラクターのイラストを提示しながら歌うと、冬の保健衛生テーマとも自然につながります。ビジュアルの力は絶大です。
身体表現を取り入れる際には、歌全体のうち「身体を動かす部分」と「静かに聞く部分」を意図的に分けることが大切です。たとえば「ジングルベル」なら、サビの部分だけ立って全身を動かし、Aメロは座って歌うというメリハリが子どもの注意を維持します。保育士が動きを事前に決めてから実施するのが理想です。
以下に活動タイプ別の使い分けの目安をまとめます。
| 活動タイプ | 向いている曲 | ポイント |
|---|---|---|
| 手遊び | いとまき(冬ver.)・雪だるまチャチャチャ | 0〜2歳はシンプルな動きに絞る |
| ペープサート | こぎつね・コンコンクシャン | キャラクターを動かして視覚的に楽しませる |
| ダンス・身体表現 | ジングルベル・あわてんぼうのサンタクロース | サビだけ動く「メリハリ構成」が有効 |
| 楽器遊び | 赤鼻のトナカイ・雪のペンキ屋さん | 鈴・カスタネット・タンバリンが扱いやすい |
楽器遊びとの組み合わせも冬の童謡メドレーと相性が抜群です。「赤鼻のトナカイ」や「あわてんぼうのサンタクロース」では鈴を使うと季節感が一層高まります。1歳児クラスなら鈴、3歳以上ならカスタネットやタンバリンも加えられます。小道具ひとつで活動の質が上がります。
年齢別の手遊びや保育活動の組み合わせは下記サイトが参考になります。
盛り上がる人気の手遊び30選!保育に取り入れるときのコツ(保育士バンク!)
童謡メドレー冬の保育効果を高める「音楽アンカー」活用の独自視点
ここでは、検索上位の記事にはほとんど書かれていない視点をお伝えします。冬の童謡メドレーを「活動の一つ」として使うのではなく、「子どもの記憶の引き出し口」として意図的に設計する方法です。
記憶科学の分野では「音楽アンカー」という考え方があります。特定の活動や行動と同じ音楽を繰り返し結びつけると、その音楽が流れるだけで脳が次の行動を自動的に準備し始めるという現象です。わかりやすく言うと、「この音楽が聞こえたら次はこれをする」という条件付けです。
実際にある認定こども園では、手洗い指導に特定のオリジナルソングを導入したところ、導入後3ヶ月で手洗い手順の定着率が約60%から85%へと向上したという実践報告があります(2022年、日本保育学会発表)。冬の童謡メドレーでも同様の応用ができます。
具体的には、毎朝の登園後の荷物整理タイムには必ず「ゆき」を流す、お昼寝前には「きよしこの夜」や「しずかなクリスマス」を流す、帰りの会には「蛍の光」でしめる、という形で音楽と行動を結びつけます。2〜3週間継続すると、曲が流れるだけで子どもたちが自分から行動を始めるようになります。先生が声を荒げなくて済む場面が増えます。
🎯 音楽アンカーの設計手順。
- ✅ Step1:毎回必ず行う「ルーティン行動」を1つ選ぶ(例:片付け・手洗い・着替え)
- ✅ Step2:その行動の長さに合った冬の童謡を1曲選ぶ(2〜3分の曲が扱いやすい)
- ✅ Step3:その行動の開始時に毎回必ず同じ曲を流す(最低2週間継続)
- ✅ Step4:保育記録に「何週目から子どもが自発的に行動し始めたか」を記録する
この記録は保護者への発達報告にも使えます。「○○の音楽が流れるとすぐに自分で行動できるようになりました」という報告は、音楽活動の教育的価値を具体的に伝えられます。冬の童謡が保育の質を底上げする道具になる、ということです。
この「音楽アンカー」の設計は、指導計画の月案・週案に「音楽と行動の対応表」を一行追加するだけで始められます。難しいことはひとつもありません。ぜひ来月の指導計画に取り入れてみてください。
子どもの記憶発達と音楽の関係について、国内の研究情報はこちらが参考になります。
一般社団法人 日本保育学会 公式サイト(国内の保育関連論文・研究発表の情報源)
童謡メドレー冬に関わる著作権の基礎知識と保育士が取るべき対応
「童謡は昔からある曲だから著作権はない」と思っていると、法的なトラブルにつながる場合があります。これは保育士の方にぜひ知っておいてほしい重要な点です。実際には、著作権の扱いを誤ると予期せぬ費用や法的リスクが生じることがあります。注意が必要です。
著作権には大きく「著作財産権」と「著作隣接権」の2種類があります。著作財産権は、作詞者・作曲者が亡くなってから原則70年が経過した曲については消滅します。たとえば「ゆき」「たき火」「お正月」などの文部省唱歌は、作詞・作曲者が明治〜大正時代に活動していた方が多く、すでに著作財産権が消滅しているケースがほとんどです。これらは園内での演奏や歌唱に使っても著作権料は発生しません。
一方、比較的新しい冬の童謡は注意が必要です。「あわてんぼうのサンタクロース」(作詞:吉岡治、作曲:小林亜星、1960年代)や「北風小僧の寒太郎」(作詞:井出隆夫、作曲:福田和禾子、1974年)などは、作詞・作曲者の没後70年を経過していないため著作財産権が存続しています。
ただし、保育園・幼稚園などの「非営利目的・入場無料・演奏者への報酬なし」という3条件を満たす演奏・歌唱は、著作権法第38条により著作権料が免除される場合があります。これが条件です。
⚠️ 保育現場での著作権チェックリスト。
- 🟢 園内での歌唱・ピアノ伴奏:非営利・無料・報酬なしの3条件を満たせば原則OK
- 🟡 発表会・保護者会での演奏:入場料を取る場合はJASRACへの申請が必要な可能性あり
- 🔴 YouTubeやSNSへの投稿:子どもの発表動画でも著作権が残る曲の場合は申請が必要
- 🟡 プリント・歌詞カードの配布:歌詞を印刷して配布する行為も著作権の対象になる
特に気をつけたいのが、子どもの発表動画をSNSに投稿するケースです。「入場料なし・非営利」という条件は、SNS投稿では必ずしも適用されません。著作権が残っている曲を含む動画をYouTubeに無断でアップロードすると、動画が削除されたり収益が回収されたりする事態が起きることがあります。知らなかったでは済まない問題です。
著作権が消滅している曲かどうかを確認したい場合は、JASRAC(日本音楽著作権協会)の作品データベース「J-WID」で曲名を検索すると管理状況が確認できます。保育実践の安心のためにも、気になる曲は一度確認しておくことをおすすめします。
著作権の確認はJASRACの公式データベースで行えます。
JASRAC 作品データベース検索(J-WID)|曲の著作権管理状況を確認できます

女声二部合唱 やさしい女声合唱のための 抒情歌でつづる うた暦メドレー (活用のための解説付) 編曲:石川芳

