音楽とYouTubeを同時に保育で使う方法と注意点
YouTubeをBGM代わりに流しながら別の動画を再生しようとして、「なぜか音が止まる」と悩んだことはありませんか。
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音楽とYouTubeの同時再生ができない原因とiPhone・Androidの設定方法
「YouTubeを開いたら、せっかく流していたBGMが止まった」という経験は、保育士なら一度はあるはずです。これはOSとYouTubeアプリの仕様が原因です。
スマートフォンのOSは、音を出すアプリが複数起動したとき、後から開いたアプリを優先する設計になっています。つまり、音楽アプリでBGMを流している最中にYouTubeアプリを立ち上げると、YouTubeが自動的に音楽アプリの再生を止めてしまいます。これは設定ミスではなく、意図的な仕様です。
iPhoneの場合、回避策は2つあります。1つ目は「Spotify」や「Amazon Music」などのバックグラウンド再生対応アプリを使う方法で、YouTubeを開く前に音楽アプリで再生を始めておき、YouTubeの音量をゼロにするとBGMを鳴らしながら映像だけを見ることができます。2つ目は「YouTube Premium」(月額1,280円)に加入することで、画面を閉じてもYouTubeの音声が流れ続けるバックグラウンド再生が使えます。これは使えそうです。
Androidの場合は、システムの設定でオーディオフォーカスの管理がiPhoneよりも柔軟なため、機種によっては設定なしで同時再生できることがあります。ただし、すべての端末で動作を保証できるわけではありません。確実な方法は、音楽専用のBluetoothスピーカーを別途用意してCDプレーヤーやICレコーダーと連携させ、映像はタブレットで流すという「デバイス分離」の方法です。保育室にはこの方法が一番シンプルです。
PCを使う場合は最も制約が少ない環境です。ChromeやEdgeなどのブラウザタブを複数開いておけば、タブごとに音を制御できます。YouTubeを1つのタブで開き、別のタブで音楽サービスを開いて再生。その後、YouTubeタブのスピーカーアイコンをクリックして「タブをミュート」に設定すれば、映像だけを表示しながら別タブの音楽を流せます。つまりPCなら特別なアプリは不要です。
| デバイス | 同時再生の難易度 | おすすめの方法 |
|---|---|---|
| iPhone | やや難しい | YouTube Premiumまたはデバイス分離 |
| Android | 機種による | デバイス分離が確実 |
| PC(ブラウザ) | 簡単 | タブミュート機能を活用 |
| タブレット(iPad) | やや難しい | SpotifyなどのBGMアプリと組み合わせ |
音楽とYouTubeを同時に保育で流すと著作権違反になるケース
YouTubeで流れている音楽を保育室でBGMとして使っている保育士は、全国に相当数いると考えられます。しかし、この行為が著作権法上のグレーゾーン、あるいは明確な違反に該当する場合があることは、ほとんど知られていません。意外ですね。
著作権法第38条は「営利を目的としない演奏・上演・上映」については著作権者の許可なしに利用できると定めています。保育所・幼稚園・認定こども園は原則として「非営利目的」とみなされるため、音楽をBGMとして流す行為そのものは、多くの場合この条項に該当します。ただし、これが適用されるのは「入場料を取らない」「演奏者に報酬を払わない」「放送用ではない」という3つの条件をすべて満たす場合に限られます。これが条件です。
問題になるのはYouTubeの「利用規約」です。YouTubeの利用規約(2023年改定版)では、YouTubeのコンテンツを「個人的・非商業的な目的以外」で使用することを禁止しています。保育所は業務として運営される施設であるため、「個人的な視聴」とは言えず、厳密に解釈すれば規約違反にあたる可能性があります。著作権法とYouTube規約、この2つは別の話です。
さらに深刻なのは、YouTubeに投稿されている音楽の多くにはコンテンツIDが設定されており、その楽曲の権利者が「商業施設での使用」を制限している場合があることです。保育所が商業施設かどうかという議論はありますが、権利者がクレームを入れた場合、対処が必要になる可能性はゼロではありません。実際に2022年以降、飲食店や小売店がYouTubeのBGM利用でクレームを受けた事例が複数報告されています。
保育現場でのリスクを避けるために取るべき行動は1つです。JASRACの「店舗・施設でのBGM利用」申請ページ(JASRAC公式:BGMの利用手続き)で自施設が申請対象かどうかを確認することです。保育所の場合、年間使用料が発生するケースと無手続きで使えるケースに分かれるため、まず確認することをおすすめします。
音楽とYouTubeを同時活用できる保育向け無料BGMサービス3選
著作権のリスクを避けながら、保育室で音楽を自由に使いたいなら、最初から「保育利用可」の音楽サービスを選ぶことが最善策です。無料で使えるサービスも充実しています。
① ほいくisの保育BGM
保育士向け情報サイト「ほいくis」では、保育室でのBGM利用を前提とした音楽素材を無料配布しています。朝の会・給食・お昼寝・帰りの会など場面別に整理されており、ダウンロードしてオフラインで使える点が強みです。インターネット接続が不安定な保育室でも使えるため、実用性が高いサービスです。
② YouTubeの「著作権フリー音楽」チャンネル
YouTube内には「NCS(No Copyright Sounds)」「FreeMusicWave」など、商用・非商用を問わず無料で使える楽曲を集めたチャンネルがあります。ただし「保育利用OK」と明示されているわけではないため、利用前にチャンネルの利用規約を個別に確認することが必要です。確認する手間がかかる点は覚えておきましょう。
③ Audiostock(オーディオストック)の無料プラン
日本最大級の音楽・効果音素材サービス「Audiostock」は、月額制の有料プランが主体ですが、「フリー素材」カテゴリに無料で商用利用できる楽曲が登録されています。サービスURL:Audiostock公式:フリー素材ページ
保育向けのかわいらしい曲調のものも多く、発表会の練習BGMや季節のイベント準備にも使えます。これは使えそうです。
| サービス名 | 料金 | 保育利用の明示 | オフライン利用 |
|---|---|---|---|
| ほいくis BGM | 無料 | あり | 可(ダウンロード) |
| NCS(YouTube) | 無料 | 要確認 | 不可(ストリーミング) |
| Audiostock フリー | 無料 | あり(商用可) | 可(ダウンロード) |
| YouTube Premium | 月額1,280円 | 要規約確認 | 可(オフライン保存) |
保育士が音楽とYouTubeを同時に使うときのBluetooth・スピーカー接続の落とし穴
保育室でBluetoothスピーカーを使って音楽を流しながら、タブレットでYouTubeの手遊び動画を見せようとしたら「音が出ない」「Bluetoothが切れた」という状況に陥ることがあります。これはBluetoothの接続仕様が原因です。
Bluetoothには「プロファイル」と呼ばれる通信規格があり、音楽再生に使われる「A2DP(Advanced Audio Distribution Profile)」と、通話や音声コントロールに使われる「HFP(Hands-Free Profile)」の2種類が主に使われています。問題が起きるのは、スピーカーが2つのプロファイルを同時に処理できない場合です。音楽を流しながらYouTubeの音声を同じスピーカーで出そうとすると、プロファイルの切り替えが発生して音が途切れることがあります。
具体的な例を挙げると、iPad(第9世代)でSpotifyを流しながら同じBluetoothスピーカーでYouTubeを再生しようとした場合、スピーカーによっては最後に接続されたデバイスの音声しか出力しない「シングルポイント接続」の制約があります。これを解決するには、「マルチポイント接続」対応のBluetoothスピーカーを選ぶことが重要です。2台のデバイスから同時接続できるため、BGM用デバイスと動画再生デバイスを同時に接続しておけます。マルチポイント対応が条件です。
保育室の音響環境を整えるうえで参考になるのが、文部科学省と厚生労働省が共同で発行している「保育所保育指針解説」で触れられている「環境構成」の考え方です。音の環境も「子どもの主体的な活動を支える」という観点から設計することが推奨されています。
マルチポイント対応スピーカーは、AnkerのSoundCore シリーズやJBL Clip 4などが保育現場での口コミが多く、2,000円〜5,000円の価格帯で入手できます。購入前に「マルチポイント」の記載があるかをスペック表で確認する、これだけ覚えておけばOKです。
保育士だけが得する「音楽とYouTube同時活用」の独自ルーティン設計法
技術的な問題が解決できても、「どの場面でどの音楽をどう使うか」を決めていないと、毎回スマホをいじる時間が発生して保育の流れが途切れます。これが現場で最も多い「見えないタイムロス」です。
保育士1人が1日の保育中に音楽を切り替える回数は、登園〜自由遊び〜朝の会〜活動〜給食〜午睡〜おやつ〜帰りの会という流れで最低7〜10回程度になります。1回の操作に30秒かかるとすれば、1日あたり最大5分間の手が止まる時間が生まれます。週5日で換算すると、月に約100分です。この100分を子どもの観察や記録に使えると考えると、ルーティン設計は決して無駄ではありません。
具体的な方法は「プレイリストの場面別作成」です。Spotifyの無料プランでは、最大15,000曲までプレイリストを保存でき、「朝の会用」「給食BGM用」「午睡用」「発表会練習用」などに分けて登録しておくことができます。保育補助や他のスタッフも同じプレイリストを共有できるため、音楽の準備にかかる時間を全体で削減できます。つまりチームで使えます。
YouTube側の工夫としては、「後で見るリスト」を場面別に複数作成しておく方法があります。YouTubeは公式には1つの「後で見るリスト」しか持てませんが、再生リストは複数作成できます。「手遊び動画まとめ」「季節の歌まとめ」「リトミック動画まとめ」などに整理しておくと、操作が1タップで完了します。これは使えそうです。
音楽とYouTubeを「同時に使う必要がある場面」と「どちらか一方でよい場面」をあらかじめ整理しておくことも大切です。たとえば、手遊び動画を見せるときは画面と音に集中させたいため、BGMは不要です。一方、工作やお絵かきの活動中はYouTubeをBGM代わりにしつつ、必要なときだけ手遊び動画に切り替えるという使い方が効果的です。場面ごとの整理が基本です。
以下に保育場面別の音楽・YouTube活用マップをまとめます。
| 保育場面 | 推奨ツール | 同時使用の必要性 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 朝の会・帰りの会 | YouTubeの手遊び動画 | 低い | 映像と音に集中させる |
| 自由遊び・製作活動 | SpotifyのBGMプレイリスト | 不要 | 著作権フリーが安心 |
| 給食・おやつ | ほいくis BGM or Audiostock | 不要 | オフライン対応が望ましい |
| 午睡 | Spotifyの子守唄プレイリスト | 不要 | タイマー設定で自動停止 |
| 発表会・季節行事の練習 | YouTube + BGM同時 | 高い | PCのタブミュートが便利 |
参考情報として、保育ICT活用に関する国の指針についてはこちらも参照してください。


