梅の歌・童謡を保育で使いこなすための完全ガイド
園で歌詞をコピーして配ると、最悪3年以下の懲役か300万円以下の罰金になることがあるんです。
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梅の歌・童謡とはどんな曲があるのか一覧で確認
保育の現場で「梅の歌」と聞いて、どんな曲を思い浮かべますか?実は、梅をテーマにした、または歌詞の中に梅が登場する童謡・唱歌は想像以上にたくさんあります。春の到来を告げる代表格として、保育士なら押さえておきたい主要曲をまとめてみましょう。
まず最も代表的なのが、「うめがさいたら」(作詞・作曲:佐々木信綱)です。「うめがさいたら はるがきた そよそよかぜも あたたかい」という歌い出しで始まるこの曲は、シンプルなメロディーと明快な歌詞が特徴です。楽譜はPiascore(楽譜販売サービス)でも取り扱いがあり、保育士が手に入れやすい曲のひとつです。
次に紹介したいのが、「うぐいす」(作詞:林柳波、作曲:井上武士)です。「うめのこえだで うぐいすは 春が来たよと うたいます ホウホウホケキョ」という歌詞が印象的で、梅の枝に止まるうぐいすの姿を通じて春の訪れを歌っています。同じ作詞・作曲コンビによる「うみ(海は広いな大きいな)」と並ぶ名作で、文部省唱歌として長く親しまれてきました。
古典的な大人向けの民謡・端唄では「梅は咲いたか」があります。「梅は咲いたか 桜はまだかいな 柳ゃなよなよ 風しだい」という歌詞で知られるこの曲は、江戸の情景を歌ったもので、幼児向けというよりは保育士自身の教養として知っておくと歌の季節感について説明できる場面が増えます。
また、わらべ歌の中には「いちりっとらい(いちりっとらん)」のように「うめのはな」という言葉が入るものもあります。
梅の花が咲く時季は地域によって異なりますが、一般的に1月下旬〜3月上旬にかけてです。つまり、保育では1月後半から3月の保育活動に梅の歌を積極的に取り入れるのが自然な流れです。季節のつながりが基本です。
| 曲名 | 作詞 | 作曲 | 特徴・対象年齢目安 |
|---|---|---|---|
| うめがさいたら | 佐々木信綱 | シンプルな歌詞。3歳〜向け | |
| うぐいす | 林柳波 | 井上武士 | 文部省唱歌。4〜5歳向け |
| 梅は咲いたか | 俗曲(作者不詳) | 江戸民謡・端唄。保育士の教養として | |
| うめぼしのうた | みやかわひろゆき | 梅干しの一生を描く。4歳〜向け |
参考として、梅の歌に関する民謡・童謡一覧がまとめられているサイトも活用してみてください。
梅のうた一覧(世界民謡・童謡データベース)。
梅のうた 梅の花に関する民謡・童謡 – WorldFolkSong.com
梅の歌・童謡の歌詞の意味を保育士が子どもに伝えるコツ
梅の歌・童謡には、日常ではあまり使わない言葉や少し難しい表現が含まれている場合があります。保育士として子どもに歌を教えるとき、歌詞の意味をどう伝えるかが大きな課題です。
たとえば「うぐいす」の歌詞に出てくる「こえだ(小枝)」や「さえずり」という言葉は、3歳児には馴染みが薄いかもしれません。「うめの木の細い枝のことをこえだって言うんだよ」と実物の写真を見せながら説明するのが効果的です。イメージが浮かぶ説明が大切です。
「うぐいす」のホウホウホケキョという鳴き声のくだりは逆に子どもが大好きな部分で、保育士が声をまねて誇張してみせると自然と笑いが起こります。難しい言葉の前後に楽しい要素を置くことで、子どもの注意を歌詞に引きつけることができます。
「うめがさいたら」は歌詞がシンプルなため、まずは全体を通して聞かせて「どんな季節の歌かな?」と問いかけるところから始めると良いでしょう。3〜4歳児であれば、梅の花の写真を保育室に貼っておき、実際に歌詞の世界観を目で感じさせながら覚えてもらうのが効果的です。
文部省唱歌の研究者・池田小百合氏の著書「なっとく童謡・唱歌」によると、明治期に作られた唱歌の多くは、歌詞が文語体・雅語体であるために子どもには難解であるという批判が教師の間で繰り返されていたと記録されています。意外ですね。これは現代の保育士にとっても引き継がれた課題と言えます。
研究によると、3〜5歳の幼児は視覚よりもリズムへの反応が強く、手遊びを組み合わせると記憶の定着率が1.8倍に上がるとされています。これは使えそうです。梅の花の開き方を手で表現したり、うぐいすが飛ぶ動作を加えたりするだけで、子どもが歌詞を自然と体で覚えてくれます。
歌詞の意味を伝えるときは次のステップが原則です。
- ① 絵カードや写真で「梅の花」「うぐいす」などの実物イメージを見せる
- ② 保育士が大げさに表情をつけて歌って聴かせる
- ③ 難しい言葉だけを取り出してゆっくり説明する(「小枝ってこういう枝のことだよ」)
- ④ 動作・手遊びを加えて体でリズムを覚えてもらう
- ⑤ 繰り返し聴かせて、少しずつ一緒に口ずさむ
保育における季節の歌のねらいについては、「歌詞やリズムを通じて言葉の理解や表現力を向上させる効果がある。子どもたちは新しい言葉や表現を自然に学ぶ」(こどものこころ保育園)とされています。梅の歌の導入は語彙力の発達にも直接つながります。
保育で使える春の歌・童謡を年齢別に紹介した信頼性の高い参考サイトはこちらです。
保育園・幼稚園で歌いたい!春の歌・童謡17曲【3,4,5月・歌詞付き】 – おしえて!保育求人ガイド
梅の歌・童謡を年齢別に使い分ける保育の工夫
梅の歌は曲によって難易度がまったく異なります。年齢に合った選曲と導入方法を知っておくと、保育活動の質がぐっと上がります。
0〜1歳児(乳児クラス)では、メロディーのシンプルさが最優先です。この時期の子どもは言葉の意味より「音の心地よさ」に反応します。「うめがさいたら」は音域が狭く、なだらかなメロディーが続くため、聴かせるだけでも情緒が落ち着く効果があります。保育士がゆっくり穏やかに歌いながら抱っこしたり、スキンシップを取ったりするのが望ましい使い方です。
2〜3歳児(1〜2歳児クラス)では、手遊びの導入が効果的です。「うめがさいたら」に合わせて梅の花が開くように両手をゆっくり広げる動作を加えると、子どもたちも真似し始めます。この時期は模倣能力が急発達するため、保育士がお手本をしっかり示すことが大切です。繰り返しが学びの核心です。
4〜5歳児(年中・年長クラス)になると、歌詞の内容を理解し始めます。「うぐいすは なぜ梅の枝にいるの?」「ホウホウホケキョって何?」と子ども自身が疑問を持てるようになります。そこで保育士が梅の花の写真を見せながら「うぐいすは春になると山から里へ下りてくる鳥で、梅の枝に止まって春を告げると古くから言われているんだよ」と話すと、自然と歌への興味が深まります。この時期は楽器に合わせて歌う活動も導入できます。
季節感と結びつけた保育活動のねらいとしては、「季節に合った歌をうたうことで、子供たちも季節とのイメージを繋げやすくなる。また季節や行事への興味・関心を養うことができる」(おしえて!保育求人ガイド)という効果が期待できます。
梅の花が実際に咲く時期に、散歩で梅を見てから保育室に戻って歌を歌う、という流れが最も効果的です。絵本や製作活動(梅の花の折り紙など)と組み合わせると、感覚的な記憶として子どもの中に残ります。
- 🌸 0〜1歳:聴かせるだけ・スキンシップと組み合わせる
- 🌸 2〜3歳:手遊び・動作を加えて模倣を促す
- 🌸 4〜5歳:歌詞の意味を問いかけながら理解を深める・楽器合奏も◎
梅の歌・童謡の著作権と保育士が知らない歌詞コピーのリスク
保育士の多くが「古い童謡は著作権が切れているから自由に使える」と思い込んでいます。これが大きな落とし穴です。
著作権の保護期間は、著作者の死後70年です(2018年の著作権法改正以降)。たとえば「うぐいす」(林柳波・作詞、井上武士・作曲)は井上武士が1974年に亡くなっているため、著作権が消滅したのは2044年末になります。つまり現時点では保護期間内で、無断で歌詞を全文コピーしたり配布することは違法になり得ます。
歌詞を園だよりやホームページに全文掲載したり、PDFにしてLINEで配信すると「複製権の侵害」や「公衆送信権の侵害」になる可能性があります。著作権法違反の刑事罰は最大で3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。法的リスクは実在します。
一方で、「文部省唱歌」として著者名が明記されていない楽曲(「春が来た」「うれしいひなまつり」など)の一部は著作権が消滅しているケースもあります。ただし、楽曲ごとに状況が異なるため、JASRACの「作品データベース検索サービス J-WID」で必ず個別に確認することが重要です。
安全な使い方として、次の点を覚えておきましょう。
- 🎵 歌詞を子どもに教えるときは「口伝え」が最も安全
- 🎵 印刷配布は個人の私的使用に留め、組織的な配布は避ける
- 🎵 園内の掲示(保護者が見るスペースへの掲示)は公開とみなされる場合がある
- 🎵 SNSへの歌詞全文投稿は著作権侵害になり得る
- 🎵 出版社の楽譜集(ライセンス付き)を使って保育活動を行うのが確実
近年は「やまびこ出版」や「世界文化社」のCD教材のように、使用許可(ライセンス)付きの保育向け教材が増えています。保育で楽曲を使うなら、こうした正規の教材を活用することで法的リスクをゼロにできます。
著作権についての詳細は文化庁の公式ページで確認できます。
文化庁 著作権に関するガイドラインと教育現場向けQ&A
JASRAC公式サイト – 管理作品の検索方法と著作権指針
梅の歌・童謡が持つ季節教育の力と保育士ならではの活用アイデア
梅の歌には、他の春の曲では得られない独自の教育的価値があります。それは「梅と桜の違い」という、日本ならではの季節感覚を子どもに伝えられることです。
保育士の多くは、春の歌といえばまずチューリップや「春が来た」を選ぶ傾向があります。しかし梅は桜より先に咲き、「春の先触れ」として日本の文化の中で特別な地位を持ってきた花です。梅の歌を取り入れることで、「桜が咲く前にもう春は始まっている」という、より豊かな季節観を子どもに育てることができます。これはほかの花の歌にはない視点です。
また、梅はうぐいすと「梅に鶯」という言葉で一対に語られることが多く、「うぐいす」の童謡を通じて生き物と植物のつながりという生き物・環境教育のきっかけにもなります。5歳児クラスなら「うぐいすはなぜ梅の枝にいるの?」という問いかけから虫や鳥の生態への興味をひき出す活動につなげることができます。
季節を肌で感じることができるよう、梅の歌を活用する際は以下のような連携が効果的です。
- 🌸 散歩で梅の花を実際に見て、香りを嗅いでから保育室に戻って歌う
- 🌸 折り紙で梅の花を作り、完成後に「うめがさいたら」を歌う
- 🌸 「うぐいす」を歌うときは鳥の写真や絵本と組み合わせる
- 🌸 梅干し給食の日に「うめぼしのうた」を歌い、梅の一生を学ぶ
- 🌸 梅の花の色(白・紅・ピンク)を使った色塗りや絵の具遊びとの連携
さらに独自の視点として注目したいのが、「梅の歌は嗅覚教育のきっかけになる」という点です。多くの童謡が視覚・聴覚的なイメージを呼び起こすのに対し、梅の歌は実際に梅の花のそばで歌うことで「甘い香り」という嗅覚体験と結びつけることができます。嗅覚は感情記憶と深くつながっており、梅の香りとともに歌を覚えた子どもは、大人になっても春の訪れとともにその歌を思い出す可能性が高くなります。五感を使う活動が豊かな記憶を作ります。
保育の中の音楽活動で大切なのは、うまく歌わせることではありません。保育士自身が楽しそうに、笑顔でアイコンタクトをとりながら歌う姿こそが、子どもが「歌うことって楽しい」と思える最大の動機になります。梅の花が咲く美しい季節に、梅の歌を一緒に歌う時間は、子どもの記憶の中に「春はうれしいもの」という感覚として刻まれていくものです。


