草原の歌吹奏楽を保育士が子どもと楽しむ全ガイド

草原の歌吹奏楽を保育士が子どもと楽しむ全ガイド

子ども向けに見える音楽が、実は大人の吹奏楽曲より子どもの脳を強く刺激します。

この記事のポイント
🎺

「大草原の歌」とは何か

1983年にレックス・ミッチェルが作曲した吹奏楽の名曲。グレード3・演奏時間約6分15秒で、コンクールにも使われる定番曲です。

🌿

保育士がこの曲を知るべき理由

ドリアンスケールによる叙情的な旋律が子どもの感受性を豊かに刺激します。保育の音楽活動に取り入れることで情操教育の質が高まります。

📋

実際の活用法と注意点

鑑賞・リズム遊び・イメージ画など、年齢別に効果的な取り入れ方を紹介。子どもが「飽きない聴き方」のコツも解説します。


<% index %>

草原の歌(大草原の歌)吹奏楽の基本情報と作曲背景

 

「大草原の歌(Song of the Prairie)」は、アメリカの作曲家レックス・ミッチェル(Rex Mitchell)が1983年に書き上げた吹奏楽のためのオリジナル作品です。この曲が生まれたきっかけは、ミズーリ大学ローラ校のカッパ・カッパ・プサイというバンドの名誉音楽団体の、創設25周年記念という特別な委嘱でした。つまり「お祝いのために書かれた曲」という、明るく前向きなエネルギーが最初から組み込まれているのです。

出版はオハイオ州クリーブランドのLudwig Music Publishing Co.(ルドウィグ・ミュージック)が担当し、現在も世界各国で演奏され続けています。難易度はグレード3、演奏時間は約6分15秒から7分程度とされており、中学・高校の吹奏楽部から市民楽団まで幅広い団体が取り上げています。

作曲者のレックス・ミッチェルは1929年9月28日にアメリカ・ペンシルバニア州ピッツバーグで生まれ、2011年3月5日に亡くなりました。マスキンガム大学で学士号、ケント州立大学で修士号、ペンシルベニア州立大学で博士号を取得し、クラリオン大学の音楽教育名誉教授という輝かしい経歴を持ちます。吹奏楽作品の代表作には「海の歌(A Song of the Sea)」「序奏とファンタジア」「スターフライト序曲」「コンサート・ミニチュア」「祝典賛歌」などがあり、日本での人気が特に高い作曲家として知られています。これは意外な事実です。

「大草原の歌」の音楽的な特徴として最も重要なのが、旋律の多くがドリアンスケールに基づいているという点です。ドリアンスケールとは、日本の民謡や中世ヨーロッパの音楽にも通じる独特の音列で、どこか懐かしく、叙情的で、心に染み入るような響きを持ちます。楽曲は前半が緩やかで抒情的な導入部、後半が活気あふれる急の部分という2部構成になっており、聴き手を自然に引き込んでいきます。つまり「ゆっくり→速い」という流れが基本です。

楽器編成はピッコロ・フルート2部・オーボエ2部・ファゴット2部・Esクラリネット・Bbクラリネット1〜3番・アルトクラリネット・バスクラリネット・コントラバスクラリネット・アルトサックス2部・テナーサックス・バリトンサックス、金管にはコルネット3部・トランペット2部・Fホルン4部・トロンボーン3部・ユーフォニアム・チューバ・ストリングベース、打楽器にはティンパニ・オーケストラベル・シロフォン・ビブラフォン・スネアドラム・バスドラム・クラッシュシンバル・サスペンデッドシンバルと、非常に多彩な編成で書かれています。これだけ多くの楽器が加わっているにもかかわらず、「音域に無理がなく、ソロもないため、どのバンドでも安心して取り組める」と楽譜販売サイトでも紹介されているほど、演奏のしやすさも特徴のひとつです。

大草原の歌(レックス・ミッチェル)楽譜詳細・楽器編成・解説 | ブレーン・ミュージック

参考:上記リンクでは楽器編成・グレード・演奏時間・楽曲解説の詳細を確認できます。

草原の歌吹奏楽を保育士が子どもに聴かせると起きる変化

「吹奏楽は大人向けだから、子どもには難しすぎる」と思っていませんか。実はこれ、かなり大きな誤解です。東京藝術大学大学院応用音楽学研究室が足立区の保育園で継続的に行った研究では、「子どもの音楽と大人の音楽は別物」という前提そのものが、保育現場の音楽活動を狭めているケースが多いと指摘されています。子ども向けのシンプルな楽曲だけに絞ることが、必ずしも豊かな音楽体験にはつながらないということです。

この研究結果は重要です。

「大草原の歌」のような吹奏楽の名曲を子どもに聴かせることには、音楽療法の視点から見ても大きな意義があります。東京藝術大学の研究資料によれば、音楽活動は自己肯定感・コミュニケーション能力・自主性・社会性・集中力を高めることができるとされています。保育士として直感的にそう感じている方は多いですが、それを裏付ける根拠として活用できます。

特に「大草原の歌」の場合、前半の緩やかな部分は子どもを静かに落ち着かせる「鎮静」効果が期待でき、後半の急の部分はエネルギーを引き出す「覚醒」効果を持ちます。この「緩→急」という自然な流れは、子どもが集中を維持しやすい構造になっています。園の昼食前のBGMとして静かな前半を使い、外遊びや身体活動の前に後半を流すという使い分けも理にかなっています。

なお、子どもの集中力は一般的に「年齢×1分」程度とされています。3歳なら3分、5歳なら5分が目安です。「大草原の歌」の演奏時間は約6分15秒ですので、3〜4歳の子どもに全曲を一度に鑑賞させようとするのは難しい場合があります。前半だけ、あるいは後半だけを切り取って使うといった工夫が有効です。これが条件です。

また、ドリアンスケールを基調とした旋律は、どこか日本の民謡に通じるような懐かしさがあります。子どもの脳はまだ「童謡」「吹奏楽」という枠組みを持っていないため、純粋に音の質や旋律の流れに反応します。保育士がこの特性を知っておくだけで、選曲の幅が大きく広がります。

子どもの心を育む音楽活動(東京藝術大学大学院音楽研究科 応用音楽学研究室)

参考:保育現場における音楽療法アプローチや音楽活動の5つのステップが詳しくまとめられています。保育士研修の資料としても活用できます。

草原の歌吹奏楽を保育活動に取り入れる年齢別の活用法

「大草原の歌」を保育の現場で活かすには、子どもの発達段階に合わせた取り入れ方が必要です。使い方次第で「ただ流していた音楽」が「育ちを支える音楽体験」になります。

🎵 0〜2歳クラス(乳児)

乳児は生後10ヶ月頃まで「聴覚優位」の状態にあります。音の強弱・速さ・音色の変化に敏感で、吹奏楽の多彩な楽器の音色は、それだけで豊かな聴覚刺激になります。この年齢では「聴かせる」が基本です。保育士が抱っこしながら一緒に音楽を感じるのが最も自然なアプローチで、「大草原の歌」の穏やかな前半部分をBGMとして流しながら、保育士が体をゆっくり揺らすだけで十分です。全曲を聴かせる必要はありません。

🎵 3〜4歳クラス(年少〜年中)

この年齢になると、音楽に合わせて体を動かすリズム活動が活発になります。「大草原の歌」の前半を「草原を歩く馬」のイメージで自由に歩き回り、後半の急の部分で「走る馬」に切り替えるという身体表現遊びが有効です。「草原」「大きな空」「走る動物」といった言葉を事前に伝えておくと、子どもたちが音楽からイメージを膨らませやすくなります。絵本との組み合わせも効果的です。

🎵 5〜6歳クラス(年長)

年長クラスでは、音楽鑑賞としてより深い体験が可能になります。実際に楽器の名前を紹介しながら聴くと、子どもたちが「フルートの音だ!」「トロンボーンが聞こえる!」と興味を持ちます。聴いたあとに「どんな景色が見えた?」と問いかけ、それをクレヨンや絵の具で表現するイメージ画の活動に発展させると、音楽・言語・造形が連動した豊かな保育活動になります。これは使えそうです。

また、保育園・幼稚園への吹奏楽団の演奏会訪問が行われることがあります。事前に「大草原の歌」を子どもたちに聴かせておくと、本番の演奏会でその曲が演奏された時の感動と理解が格段に深まります。「知っている曲だ!」という体験は子どもの自己肯定感にもつながります。

年齢 活動スタイル 大草原の歌の使い方
0〜2歳 BGM・抱っこで揺れる 前半の緩やかな部分を流す
3〜4歳 リズム遊び・身体表現 緩急の変化に合わせて動く
5〜6歳 鑑賞・イメージ画・楽器紹介 全体を通して聴き、表現につなげる

草原の歌吹奏楽のグレードと演奏難易度、保育士が知るべき楽曲の構造

保育士として吹奏楽の演奏会に子どもを連れて行ったり、CDや動画で曲を紹介したりする際に、楽曲の構造を少し理解しておくと子どもへの説明がグッと豊かになります。これだけ覚えておけばOKです。

「大草原の歌」はグレード3に分類されています。吹奏楽のグレードは一般的に1〜6(または1〜5)段階で示され、グレード3は「中学校吹奏楽部や市民吹奏楽団が取り組む標準的な難易度」に相当します。プロ向けの超難曲ではなく、コンクールの自由曲としても中学・高校で実際に選ばれてきた実績のある曲です。実際に過去の吹奏楽コンクールの記録を見ると、蟹江北中学校などが自由曲として演奏した記録が残っています。つまり、中学生でも演奏できる曲ということです。

楽曲の構造を簡単にまとめると、次のようなイメージです。

  • 導入部(アダージョ):ゆったりとした抒情的な開始。まるで夜明けの草原を眺めているような静けさ
  • 第一部(緩):ドリアンスケールを基調とした美しい旋律が各楽器を渡り歩く。フルートやクラリネットが主役
  • 第二部(急):2拍子のアレグロへと自然に転換。金管楽器が勢いよく鳴り響き、エネルギッシュな場面が展開
  • 全体合奏(トゥッティ):すべての楽器が重なる圧倒的なクライマックス

「明確なアーティキュレーションやセンスの良い転調が特徴で、美しい旋律が各パート間を行き来する」という楽譜販売サイトの解説にあるように、楽器同士がメロディーをバトンのように渡し合う構造は、子どもに「次はどの楽器がメロディーを歌う?」というクイズ感覚で聴かせるのに最適です。

ちなみに、ミッチェルの代表作「海の歌(A Song of the Sea)」も同じグレード3で演奏時間約7分53秒と近いスペックを持っています。「大草原の歌」と「海の歌」を並べて聴き比べることで、「草原の音楽」と「海の音楽」の違いをテーマに子どもとの音楽対話ができるのは、保育士ならではの独自の活用法です。

大草原の歌/Song of the Prairie 楽譜詳細・グレード・演奏時間 | ウィンズスコア

参考:上記リンクではグレード・演奏時間・メーカー情報を詳しく確認できます。吹奏楽団への演奏依頼時の参考資料としても使えます。

草原の歌吹奏楽と保育士の音楽活動を深める、独自視点の活用術

ここでは、検索上位にはほとんど書かれていない独自の視点をお伝えします。それは「大草原の歌」を保育士自身の「音楽的自信」を取り戻すツールとして使うという発想です。

保育士のなかには「音楽が苦手で、子どもに自信を持って音楽を届けられない」と感じている方が少なくありません。そのような状況で「大草原の歌」のような吹奏楽の名曲は、保育士が「演奏する」必要がなく「一緒に感じる」だけでいいという大きな強みがあります。つまり、楽器が弾けなくても深い音楽体験を子どもと共有できます。

東京藝術大学の研究では「保育士の経験的な気付きを明確な知識としてまとめ、組織の力として活用することが保育士の資質向上につながる」と述べられています。「大草原の歌を聴いた後、この子が落ち着いた」「後半の速い部分で子どもたちが自然に体を動かし始めた」というような観察を記録・言語化していくことが、保育士としての専門性を高める実践になります。

具体的な活用のステップを整理すると、次のようになります。

ステップ①:まず保育士自身が聴く

YouTubeで「大草原の歌 ミッチェル」と検索すると、東京マロニエ吹奏楽団や入間市民吹奏楽団など複数の演奏動画が視聴できます。無料で聴けます。前半と後半で音楽がどう変わるか、どの楽器が目立つかを自分の耳で確かめておきましょう。

ステップ②:子どもへの導入の言葉を用意する

「広い広い草原で、動物たちが遊んでいます。最初は朝の静かな時間です。さあ、どんな動物が出てくるか聴いてみよう」という一言が、子どもの集中力を引き出します。曲の内容を先に伝えることで、子どもが「音のイメージ」を持って聴けるようになります。

ステップ③:反応を観察し記録する

「どのタイミングで子どもが体を動かし始めたか」「どの音色に反応していたか」「後半の速い部分でどう変化したか」をメモするだけで、次の音楽活動の改善に役立ちます。この記録が保育士の成長につながります。

また、楽譜の販売価格は18,150円(税込)とやや高めです(ウィンズスコア調べ)。保育士個人が楽譜を購入する必要はまったくなく、CDや動画を活用するだけで十分です。最寄りの図書館や市民文化センターに問い合わせると、吹奏楽の演奏会情報が得られることもあります。地域の市民吹奏楽団に「保育園・幼稚園への演奏訪問」を依頼するという手段も非常に有効です。多くの市民楽団がアウトリーチ活動(地域への音楽普及活動)に積極的で、無料または低コストで演奏会を開いてもらえるケースがあります。問い合わせてみると思わぬ可能性が広がります。

なぜ音楽が幼児教育にとってそれほど重要なのでしょうか?|久屋大通プリスクール

参考:保育士音楽活動のねらいを保護者に説明する際の参考になる内容が豊富に記されています。


草原の人 (限定盤)