アリクイの歌の歌詞を保育士が深く知るための完全ガイド
「アリとアリクイ」の歌詞を子どもに覚えさせるだけでは、この歌の本当の価値を半分も活かせていません。
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アリクイの歌「アリとアリクイ」の歌詞全文と基本情報
「アリとアリクイ」は、NHK教育テレビ(現・Eテレ)で1995年から2006年まで放送された子ども向け番組「なんでもQ」シリーズ(通称「むしまるQ」)の中で紹介された楽曲です。作詞は里乃塚玲央、作曲はつのごうじ、歌は水木一郎と橋本潮が担当しています。水木一郎といえば「マジンガーZ」の主題歌を歌ったアニソン界の大御所で、橋本潮は「ちびまる子ちゃん」のエンディング曲で知られる実力派シンガーです。そんな豪華な顔ぶれが担当したこの曲は、1990年代後半に保育園・幼稚園の現場でも広く親しまれました。
番組「むしまるQ」は幼稚園・保育所向けの環境教育番組として制作され、1996年度には放送文化基金賞を受賞しています。子どもたちの自然への興味をクイズと歌で喚起するというコンセプトのもと、数多くのオリジナル楽曲が生まれましたが、中でも「アリとアリクイ」は今日まで語り継がれる人気曲です。
歌詞の全文は以下のとおりです。
| 番 | 歌詞(主要部分) |
|---|---|
| 1番 | 「アリクイはアリを食べる / 片っ端からアリを食べる / 千万匹もっと食べる / アリクイはアリを食べる / だけどアリクイが死んだら / アリクイをアリが食べる / キミはボクの ボクはキミの…グリコーゲン」 |
| 2番 | 「アリクイをアリが食べる / 寄ってたかってアリが食べる / 千万匹もっと食べる / アリクイをアリが食べる / そして骨と皮になって / アリクイは土に帰る / 巡り巡り 土に帰る…シーユーアゲイン!」 |
| 3番 | 「あるときアリ愛護団体が / アリクイのアリ食いを禁止した / たちまち世界はアリアリア / アリ折り重なって / アリ凝り固まって / アリの踏み場所もない」 |
| 4番 | 「アリクイはアリを食べる / アリクイをアリも食べる / 千万年そうして来た / だからお互い食べるとき / 日付には注意してる / キミはボクのボクはキミの…賞味期限!」 |
| 5番 | 「つまりアリはアリを食べて / 魂 もらったと言える / 巡り巡り そうも言える…医食同源!」 |
| 6番 | 「今度はアリクイ援護会が / アリクイ食うアリ訴えた / でもアリクイは異議アリアリア / アリクイ食うくらい / 根性あるアリじゃないと / アリの食いごたえない」 |
| ラスト | 「アリクイがアリクイでいて / アリがアリでいる限り / キミはボクのボクはキミの…大権現! / 巡り巡り 土に帰る…シーユーアゲイン!」 |
各番の末尾に「グリコーゲン」「賞味期限」「医食同源」「大権現」などの意外なオチワードが飛び出すのが、この歌の最大の特徴です。これは子どもだけでなく大人も思わず笑ってしまう仕掛けで、歌詞としての完成度が高いと多くのファンに評価されています。
アリクイの歌の歌詞が伝える「食物連鎖」のテーマと意味
この歌の歌詞が面白いのは、単にアリクイがアリを食べる様子を歌っているだけでなく、「食物連鎖」と「命の循環」という深いテーマを込めている点です。これが肝心なところです。
1番・2番では「アリクイがアリを食べる→アリクイが死んだらアリが食べる→土に帰る」という流れを描き、自然の中で命がぐるぐると巡っていく様子を表しています。「巡り巡り 土に帰る」というフレーズは、食物連鎖の先に土への還元があるという生物の循環サイクルそのものです。
3番の「アリ愛護団体がアリクイのアリ食いを禁止した→たちまち世界はアリだらけ」という展開は、ユーモラスに見えて、実は生態系バランスの大切さを示したパロディになっています。これは意外ですね。捕食者がいなくなると被食者が増えすぎて生態系が崩れるという「捕食と被食のバランス」は、実際に生態学でよく取り上げられるテーマです。
「医食同源」「グリコーゲン」といったオチも、命を食べてエネルギー(グリコーゲン)に変えること、食べることは命をもらうことだという考え方を、笑いに包んで表現しています。つまり、食と命の結びつきです。
このような深い内容が、テンポよいリズムと笑えるオチワードで包まれているため、子どもが飽きずに繰り返し聞けるように設計されています。保育士が歌詞の意味を理解しておくと、子どもの「なんで?」という疑問に自信を持って答えられるようになります。
NHK「なんでもQ(むしまるQ)」番組の概要・放送情報(Wikipedia)
アリクイの歌の歌詞と連動して覚えたいアリクイの生態10の事実
歌詞をより深く子どもに伝えるためには、アリクイの実際の生態を知っておくことが大切です。事実が歌詞の面白さを何倍にも引き出してくれます。
まず、歌詞の「千万匹もっと食べる」というフレーズに関連して、オオアリクイが1日に食べるアリの数は約3万〜3万5,000匹とされています(ナショナルジオグラフィック日本版ほかによる)。3万匹というのは、例えばご飯粒に換算すると、茶碗軽く2杯分ほどの「粒数」に相当します。「千万匹」は誇張表現ですが、それほど大食いだという歌詞の意図は正確です。
次に舌について。オオアリクイの舌の長さはなんと約60cmにも達します。これはA4用紙を縦に2枚並べたくらいの長さです。しかも1分間に150〜160回も出し入れできる超高速機構で、粘着性の高い唾液でアリをからめ取ります。歯はまったくなく、飲み込んだアリは筋肉の力と強力な消化液で処理されます。これは使えそうです。
以下、保育の場面で使いやすいアリクイの基本事実をまとめます。
- 🦎 体長:オオアリクイは最大約1.8m(しっぽ込み)。大人の身長より長いこともある。
- 👅 舌の長さ:約60cm。1分間に150〜160回出し入れできる。
- 🐜 1日の食事量:約3万〜3万5,000匹のアリまたはシロアリ。
- 🦷 歯:まったくない。飲み込む力と消化液で食べ物を処理する。
- 👃 嗅覚:人間の約40倍。アリ塚をにおいで見つける。
- 💤 睡眠:1日14〜15時間眠る。起きている時間のほぼすべてを食事に費やす。
- 🌡️ 体温:約33℃と哺乳類の中では低め。
- 🤱 育児:子どもは母親の背中に乗って移動する。毛の模様がぴったり重なってカモフラージュになる。
- ⚠️ 爪:非常に鋭く力強い。動物園でも飼育員の死亡事故が報告されているほど危険。
- 🔄 食べ方のルール:一つのアリ塚で食べ続けず、アリが回復できる程度で移動する(歌詞の「日付に注意してる」はこれを指す?)。
特に「睡眠14〜15時間」と「嗅覚が人間の40倍」は、子どもが「えー!」と声を上げる鉄板ネタです。歌を歌ったあとに一つ豆知識を添えるだけで、子どもの興味を一気に引き出せます。
アリクイの歌の歌詞を保育現場で活用する具体的な方法
歌詞を覚えさせるだけが保育活動ではありません。「アリとアリクイ」は、いくつかの保育場面で応用が利く非常に使いやすい素材です。
① リズム遊び・体を使った表現活動として
歌のテンポはやや速めですが、歌詞に合わせて手拍子や体の動きをつけやすい構成です。「片っ端から」のフレーズで手をバタバタさせる、「土に帰る」でしゃがみ込むなど、動きを加えると子どもの記憶への定着が高まります。幼児期の音楽表現活動において、歌と動きを組み合わせることで自己表現力が育つことが、保育学の研究でも示されています。
② 食育・命の学習の導入として
「食べることは命をもらうこと」というテーマは、食育活動の導入として最適です。「アリクイがアリを食べる→アリクイが死んだらアリが食べる→土に帰る」という流れを絵に描いて見せながら歌うと、5歳児でも食物連鎖の基本を直感的に理解できます。
給食前や食育の日に歌を一度流してから食事をするという取り入れ方も有効です。「いただきます」という言葉が持つ意味を、歌を通じて体感的に伝えられます。
③ 自然観察活動のきっかけとして
園庭でアリを見つけたとき、この歌を口ずさんでから観察するだけで子どもの目の輝きが変わります。「アリクイはこのアリを食べるんだよ」と一言添えれば、自然観察が一気に物語のある体験になります。観察→歌う→話し合うというサイクルが、子どもの探究心を継続的に刺激します。
④ 年齢別のアレンジポイント
- 🌱 2〜3歳児:「アリクイはアリを食べる」の1番だけを繰り返す。短いフレーズを歌いながら動物の絵を見せる。
- 🌿 4歳児:「アリクイが死んだらアリが食べる」の部分まで拡げ、「どうして?」という問いかけを加える。
- 🌳 5〜6歳児:歌詞全体を通して歌いつつ、食物連鎖の図を自分たちで描く活動へ発展させる。
保育士が歌詞の意味を深く知っているかどうかで、子どもへの「問いかけの質」が変わります。歌詞が基本です。
「アリとアリクイ」の歌詞を保育士が子どもに正しく伝えるための豆知識
保育の現場でこの歌を扱うとき、知っておくと便利な知識がいくつかあります。
歌詞中の難しい言葉について
「グリコーゲン」「医食同源」「大権現」といった言葉は明らかに子ども向けではありません。これらは子どもへの直接的な説明ではなく、一緒に笑う「共有のユーモア」として機能しています。無理に説明する必要はなく、「なんか変な言葉が出てきたね!」と笑いで済ませるのが正解です。これが原則です。
逆に「巡り巡り 土に帰る」「命はぐるぐるしている」という部分は、5歳児以上に「どういう意味かな?」と問いかけるのに絶好のフレーズです。
歌詞中の「アリ愛護団体」「アリクイ援護会」について
3番・6番に登場するこの架空の団体は、人間社会の「権利・法律・団体行動」を自然界に当てはめるというブラックユーモアです。大人が読めば苦笑いできる皮肉ですが、子ども向けには「生き物が会議をしてるみたい」という面白さとして伝えれば十分です。無理に正確に伝えようとしなくて大丈夫です。
「賞味期限」「日付に注意してる」のフレーズについて
これは食品の賞味期限を自然界に当てはめたダジャレです。実際のアリクイは、一つのアリ塚でアリを食べ尽くさず、アリが回復できる程度で次の巣へ移動する行動をとることが知られています。歌詞は面白おかしく言っていますが、自然の中での「持続可能な食べ方」という視点をユーモアで表現しています。意外ですね。
歌詞を使った絵本・紙芝居づくりのアイデア
歌詞の内容を絵に描いて「動く絵本」を作る活動に発展させることができます。「アリクイがアリを食べる→アリクイが土に帰る→土から植物が育つ→その植物を虫が食べる→虫をアリが食べる」という食物連鎖の輪を、子どもたちが絵で描いてつないでいくと、一枚の大きな循環の絵が完成します。これは使えそうです。
この活動は、文部科学省・厚生労働省が示す「保育所保育指針」における「自然との関わり・生命尊重」という領域に直結する実践になります。
アリクイの特徴・生態・舌の仕組みの詳細解説(中央大学 animal lab)
保育士が「アリクイの歌」歌詞活用でよくある疑問と答え
Q. 歌詞に「死」という概念が含まれているが、子どもに伝えてよいか?
結論は問題ありません。幼児期の子どもは、絵本や自然体験を通じて「生き物が死ぬ」という事実に触れることがあります。保育所保育指針の「環境」領域では「身近な動植物への親しみを持ち、命を大切にする気持ちを持てるよう」とされており、命の循環を歌で伝えることはその趣旨に沿っています。「死んだら土に帰る。それでまた植物や虫が育つんだよ」という一言を添えれば十分です。
Q. この歌をいつ歌えばよいか?
朝の会、帰りの会、給食前、自然観察前など、さまざまな場面に合います。特に春(アリが活発になる季節)や秋(生き物の死を感じやすい季節)は自然との結びつきが強くなるタイミングで歌いやすいです。季節に注意すれば大丈夫です。
Q. 歌詞を全部覚えさせる必要があるか?
全曲は歌詞量が多いため、特に3歳・4歳児に全部覚えさせる必要はありません。「アリクイはアリを食べる / 片っ端からアリを食べる / 千万匹もっと食べる / 巡り巡り 土に帰る」という1〜2番の要点部分だけでも、命の循環というメッセージは十分に届きます。シンプルなフレーズが基本です。
Q. 替え歌にしてよいか?
活動の一環として「ライオンはシマウマを食べる」「ツバメは虫を食べる」などの替え歌を子どもと一緒に作るのは大変有効な発展活動です。歌詞の構造がシンプルなため替え歌にしやすく、子どもが自分で考える「作詞体験」にもなります。
- 🎤 替え歌の骨格:「〇〇は△△を食べる / 片っ端から△△を食べる / でも〇〇が死んだら / 〇〇を△△が食べる / 巡り巡り 土に帰る」
- 🐧 例(ペンギンバージョン):「ペンギンはサカナを食べる / 片っ端からサカナを食べる / でもペンギンが死んだら / ペンギンを海が育てる / 巡り巡り 海に帰る」
替え歌づくりは「自分で歌詞を考える」という言語活動にもなるため、5〜6歳児の発表会の演目として使っている保育士さんも実際にいます。
