カブトムシの歌0655を保育に活かす夏の音楽活動ガイド

カブトムシの歌0655を保育で活かす夏の音楽ガイド

この歌を「ただ流すだけ」にしている保育士ほど、子どもの夏の成長機会を毎年1回丸ごと逃しています。

この記事でわかること
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「夏だ!チーム・カブトムシの歌」の基本情報

NHK Eテレ「0655」のおはようソングとして放送されるこの曲の作詞・作曲・キャラクターなど、保育士として知っておきたい基礎知識を解説します。

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子どもへの発達効果と保育のねらい

リズム、言語、自然への関心など、この歌が子どもの発達にどうつながるかを具体的に紹介します。

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現場ですぐ使える活用アイデア

朝の会・身体表現・自然観察との連携など、明日からできる保育への組み込み方を具体的に解説します。


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カブトムシの歌0655「夏だ!チームカブトムシの歌」とはどんな曲?

 

「夏だ!チーム・カブトムシの歌」は、NHK Eテレ「0655」(毎週月〜金曜、朝6時55分〜7時00分放送)の人気コーナー「おはようソング」として、夏の季節限定で放送されている楽曲です。番組自体は2010年3月29日から現在まで放送が続く、15年以上の歴史を持つロングランミニ番組であることは、保育士としてぜひ押さえておきたいポイントです。

この曲の作詞・作曲は、堀江由朗・うちのますみ・佐藤雅彦の3名によるものです。番組の監修者でもある佐藤雅彦氏は、慶應義塾大学の教授であり、あの「ピタゴラスイッチ」を手がけた著名なメディアクリエーターとして広く知られています。制作はNHKエデュケーショナルと、佐藤研究室の卒業生によるクリエイター集団「ユーフラテス」が担当しています。つまり、「ただ楽しいだけ」の歌ではなく、表現・教育の専門家たちがつくり込んだ作品ということです。

歌のアニメーションに登場するのは「チーム・カブトムシ」の5名で、リーダーのカブトむし五郎をはじめ、くぬぎカブ太郎、木の下かぶ夫、くぬぎブト三、切り株トムシロウという個性豊かなメンバー構成になっています。このキャラクターたちは、番組名物コーナー「よんきびう隊」のカブトむし五郎が率いるチームという設定で、ファンの間でも人気が高いです。アニメーション制作は永迫志乃氏が担当しています。

歌の特徴として、「カブカブカブカブ」というリフレインが耳に残りやすく、子どもたちが自然に口ずさみやすい構造になっています。これは意識的な設計です。また、歌詞の中に「夜行性」「樹液が大すき」「栗の木 樫の木 ナラ クヌギ」「カラスにも気をつけろ」といった本物の生態情報が自然に組み込まれていて、楽しみながら虫の知識が入ってくる工夫がされています。

歌詞の正式な内容は以下のとおりです。

  • 「カブトムシ カブトムシ 夏の主役だ カブトムシ(ヘイ!)」でテンポよく始まる
  • 「われわれは カブトムシ(ヘイ!)」という掛け声が繰り返しで入り、合唱しやすい
  • 「夜行性 昼間は 落ち葉の下などで休む」と生態の解説も含まれる
  • 「虫捕り子供に 気をつけろ(ヘイ!)」「カラスにも 気をつけろ」と天敵への言及もある

保育現場では、この歌をそのまま「夏の朝の会」に取り入れることができます。歌の中の「ヘイ!」という掛け声部分では子どもたちが自然に声を上げられるので、全員参加型の歌遊びとして展開しやすい構成です。これは使えそうです。

参考:NHK公式サイト Eテレ0655 おはようソング紹介ページ

Eテレ0655
【NHK】0655は、1日のはじまりをつくる5分番組。「日めくりアニメ」「おはようソング」などの楽しいコーナーで、あなたを送り出します。

カブトムシの歌0655が子どもの発達に与える3つの効果

保育士がある歌を活動に選ぶとき、「子どもが喜ぶから」という理由だけでは本来不十分です。厚生労働省の「保育所保育指針」では、うたや音楽は「表現」の領域に位置づけられており、季節感・想像力・自己表現の育ちとの連動が求められています。「夏だ!チーム・カブトムシの歌」は、この観点から見ても非常に優れた素材です。

①リズム感と言語発達への効果

「カブカブカブカブ」「なつなつなつなつ」のような繰り返しフレーズは、3〜5歳児が言語を習得する際に特に効果的です。同じ音のパターンを何度も聴いて口に出すことで、音韻意識(おとのまとまりを感じる力)が育まれます。大阪教育大学の研究でも、幼児期における音楽と身体表現の統合的な発達が指摘されており、歌いながら体を動かすことには複数の発達効果があるとされています。「カブカブ」の部分でかき分けるような手の動きをつけるだけで、身体表現活動としての深みが出ます。

②自然・生き物への関心を高める効果

この歌の歌詞には、「栗の木 樫の木 ナラ クヌギ」という樹木名、「夜行性」という生態情報、「カラスにも気をつけろ」という天敵への言及が含まれています。保育所保育指針の「環境」の領域では、子どもが身近な自然に興味をもつことをねらいとして掲げています。歌のなかで自然に「クヌギ」「ナラ」という木の名前が出てくることで、絵本や虫観察への導線がつくれます。

実際、近年の研究でカブトムシは「完全な夜行性ではない」という事実も話題になりました。埼玉の小学5年生(当時)が162個体の行動を調査し、シマトネリコという外来植物では昼間も活動を続けるカブトムシが多数いることを発見し、後に山口大学の研究者との共同研究として論文化されています。「昼間は必ず落ち葉の下にいる」という常識が実は場合によっては違う、という驚きのある情報も、年長クラスの子どもたちとの対話のきっかけになります。

③グループ一体感と自己表現への効果

「ヘイ!」という掛け声が3回繰り返されるこの曲は、子どもたちが「みんなで一緒に声を出す」体験を自然に生み出します。これはいわゆる「一体感体験」で、集団保育の中で非常に重要な感情経験です。掛け声を合わせた瞬間に「みんなと息が合った!」という感覚が生まれ、それが友達への親しみや安心感にもつながります。グループ活動のはじまりとして使うと効果的です。

参考:大阪教育大学「幼児における音楽に合わせた身体表現の発達」

https://osaka-kyoiku.repo.nii.ac.jp/record/2093107/files/edu_20_p43.pdf

カブトムシの歌0655を保育現場で使う具体的な活用アイデア

「どんな場面で、どうやって使えばいいの?」という疑問に、具体的な形でお答えします。この歌は夏限定のおはようソングですが、放送の有無に関係なく、YouTubeや公式サービスを通じて再生できる環境が整っています。活用できる場面は大きく3つです。

場面①:朝の会・サークルタイムでのウォームアップ

朝の会を始める前のウォームアップとして、この歌をかけるだけで場の空気が一変します。「ヘイ!」の掛け声を子どもたちに任せてみてください。最初は恥ずかしがる子もいますが、2〜3回繰り返すうちに全員が声を出し始めます。これが条件です。歌自体は2分程度で終わるので、朝の会の時間を圧迫する心配もありません。映像をプロジェクターに映しながら流すと、キャラクターへの親しみもわき、より効果的です。

場面 年齢のめやす ポイント
朝の会ウォームアップ 2〜5歳 「ヘイ!」の掛け声をみんなで合わせる
身体表現・ダンス活動 3〜5歳 「カブカブ」でカブトムシの角を手で表現
自然観察との連携 4〜5歳 歌の前後に絵本・図鑑を組み合わせる

場面②:身体表現活動として展開する

「カブカブカブカブ」の部分で、両手の人差し指を頭の上に立ててカブトムシの角に見立てる動きをつけると、幼児向けの身体表現活動として成立します。「夜行性 昼間は 落ち葉の下で休む」という歌詞の部分では、みんなで床にうずくまって「落ち葉の下に隠れる」演技をすると盛り上がります。このように歌詞の場面を体で表現する活動は、語彙力と身体認識の両方を同時に育てます。

保育士が先に「カブトムシになりきって動く」手本を見せると、子どもたちは一斉に真似をし始めます。「見せてから一緒に」の流れが基本です。

場面③:夏の自然観察・生き物コーナーとの連携

この歌が特に優れているのは、歌詞のなかに実際のカブトムシの習性が盛り込まれている点です。「クヌギ」「ナラ」という木の名前を歌で覚えた子どもたちは、後の絵本や図鑑での学びと結びつきやすくなります。

たとえば、歌を聴いた翌日に「カブトムシが好きな木の名前、なんだったっけ?」と問いかけると、多くの子が「クヌギ!」「ナラ!」と答えられます。これは歌が「記憶の引き出し」として機能している証拠です。意外ですね。さらに、カブトムシの絵本(たとえば福音館書店の「かぶとむし」など)と組み合わせると、1週間を通じた夏のテーマ保育として展開できます。

カブトムシの歌0655の歌詞に込められた意外な生態情報

この歌が他の夏の子ども向け歌と一線を画している理由のひとつが、歌詞の情報密度の高さです。単に「楽しい・かわいい」だけでなく、本物のカブトムシの生態情報が複数織り込まれています。保育士として内容を理解しておくと、子どもの「なぜ?」に答えやすくなります。

「夜行性 昼間は 落ち葉の下などで休む」

カブトムシは基本的に夜行性であることが知られています。夜、特に午後5時から10時頃と、早朝4時から7時頃が活動のピークとされています。昼間はクヌギやナラの根元近く、落ち葉の下に潜って休んでいます。ただし近年、シマトネリコという外来植物では昼間も活動を続けるカブトムシが多数報告されており、「完全に夜行性ではない」ことも研究で示されています。子どもが「なんで昼間はいないの?」と聞いてきたとき、「落ち葉の下で休んでいるんだよ」と答えられると、歌と現実がつながる瞬間になります。

「カラスにも気をつけろ」

カブトムシの天敵としてカラスを歌に入れているのはユニークな着眼点です。実際、カラスはカブトムシを捕食することが知られています。ほかにも、オオスズメバチはカブトムシの天敵として有名で、山口大学の小島渉講師の研究では「カブトムシが昼間に落ち葉の下に隠れるのはオオスズメバチへの恐れから」という仮説が提唱されています。「カラスにも気をつけろ(ヘイ!)」という歌詞が、実は生態学的に正確な情報を含んでいることに気づくと、この曲への見方が変わるかもしれません。

「樹液が大すき 栗の木 樫の木 ナラ クヌギ」

カブトムシが好む木として歌詞に登場するのは、クヌギとナラです。この2つは樹液が多く出るため、カブトムシやクワガタが集まる木として昆虫採集の定番として知られています。実際にカブトムシを捕りにいく場合も、クヌギやナラの木を目印にすると見つかりやすいとされています。歌でこの木の名前を覚えておくと、夏の虫捕りの際に子どもたちと「あの木だ!」と発見する喜びが生まれます。これは知っておくと得する情報です。

参考:カブトムシの生態と天敵に関する情報(読売新聞オンライン)

「カブトムシは夜行性」の常識覆す新説…昼間は強敵恐れコソコソしているだけ
【読売新聞】 カブトムシは昼間も活動できるのに、オオスズメバチの強さに手も足も出ないから、仕方なく落ち葉の下で休んでいる――。山口大理学部の小島渉講師(37)(昆虫生態学)が、カブトムシは夜行性という常識を覆すこんな研究成果を発表し

カブトムシの歌0655を軸にした独自の夏テーマ保育プランの組み方

多くの保育士が「夏の歌を歌って終わり」にしがちです。しかし、この曲を起点にすると、1週間〜2週間の夏テーマ保育として丸ごと設計することができます。歌は「入口」であり、子どもの興味が広がっていく「窓」として機能させるのがポイントです。

以下は、「カブトムシの歌0655」を軸にした5日間プランの例です。

活動 ねらい
1日目 歌を聴く・映像を見る 曲と映像に親しむ、キャラクターを知る
2日目 身体表現(角の動き・落ち葉ポーズ) リズムに合わせて体を動かす
3日目 カブトムシの絵本・図鑑 本物の生態と歌詞をつなげる
4日目 製作(紙コップや折り紙でカブトムシ) 表現・集中力
5日目 発表・みんなで合唱 達成感・一体感

このプランは「ねらいから逆算して活動を選ぶ」ことを意識しています。「楽しかった」だけで終わらず、週の最後に「みんなでヘイ!ができた」という達成体験が残るのが理想的です。達成感が条件です。

また、独自の視点として保育士が意識したいのは、「この歌で子どもが初めて知る言葉」の記録です。「クヌギって何?」「夜行性ってどういう意味?」という子どもの疑問は、語彙指導の絶好のチャンスです。疑問が出た言葉をホワイトボードに書いておき、次の日に絵本や図鑑で確認する流れをつくると、語彙の獲得が可視化されます。保育のドキュメンテーション(記録)として残すことにも活用できます。

さらに、このプランは「おかあさんといっしょ」のような子ども専用コンテンツとは異なり、0655は大人が視聴することを前提に設計された番組です。「保護者と一緒に見てきた」という子どもも一定数います。「今朝0655で見たよ!」という子どもの発言が出たとき、それをクラス全体にひろげる声かけをするだけで、家庭と保育をつなぐコミュニケーションにもなります。つまり保護者連携の糸口にもなります。

夏のテーマ保育を計画する際には、Eテレ公式の「おはようソング」アーカイブをNHKのウェブサイトで確認しておくと、放送時期(主に7月〜8月にかけて放送)と合わせたスケジューリングがしやすくなります。

参考:NHK Eテレ0655 公式ページ

https://www.nhk.jp/p/e0655/ts/5ZZY183L7P/

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