鬼は外の歌の歌詞と意味を保育で活かす方法
「鬼は外」の歌詞は全部で14語しかないのに、子どもが豆まきを怖がると保護者からのクレームになることがあります。
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鬼は外の歌「まめまき」の歌詞の全文と読み方
節分の保育現場でいちばん多く歌われる「まめまき(豆まき)」は、昭和6年(1931年)に「えほん唱歌(ヱホンシャウカ)」という幼児向け唱歌集に収録された曲です。作詞・作曲は「絵本唱歌」とされており、具体的な個人名は現在も不詳とされています。「えほん唱歌」は春・夏・秋・冬の4冊が出版されており、「まめまき」は「冬」の号に掲載されていました。
つまり約90年以上歌い継がれている歌です。
歌詞はとてもシンプルで、以下の2番構成になっています。
| 番 | 歌詞(ひらがな) | 内容 |
|---|---|---|
| 1番 | おにはそと ふくはうち/ぱらっ ぱらっ ぱらっ ぱらっ まめのおと/おには こっそり にげていく | 鬼が豆の音を聞いてこっそり逃げていく場面 |
| 2番 | おにはそと ふくはうち/ぱらっ ぱらっ ぱらっ ぱらっ まめのおと/はやく おはいり ふくのかみ | 福の神を家の中に招き入れる場面 |
1番で「悪いものを追い出す」、2番で「良いものを招く」という構成になっています。歌詞に登場する「ぱらっ ぱらっ」は豆が飛んでいく音の擬音語で、子どもが体でリズムを感じやすいように工夫されているのが特徴です。
歌全体が一つのストーリーになっていますね。
保育で歌う際は、1番と2番でシーンが変わることを意識して、声の表情を変えてみましょう。1番は少し勢いよく、2番はやわらかく迎え入れる雰囲気で歌うと、子どもたちも情景を想像しやすくなります。
参考:童謡「まめまき」の歌詞と由来について詳しく解説されています。
まめまき 歌詞と解説 童謡 唱歌 鬼は外 福は内 – 世界の民謡・童謡
鬼は外の歌の「おにはそと ふくはうち」の意味と由来
「おにはそと ふくはうち」という掛け声には、単なる掛け声以上の意味が込められています。「鬼は外」は、家の中にある厄や邪気・災いを外へ追い出すという意味であり、「福は内」はその後に福の神を家の中へ招き入れるという意味です。悪いものを出してから、良いものを迎えるという順番が大切です。
順番が逆にならないよう子どもに説明しましょう。
豆まき自体の由来は室町時代にさかのぼります。当時の人々は、大豆(だいず)には霊的な力が宿ると信じていました。鬼の目「魔目(まめ)」に豆をぶつけることで「魔滅(まめ)」=魔を滅するという語呂合わせが生まれ、豆を投げるという形式が定着したとされています。さらに「豆まきをするときは炒った豆を使う」という慣習も理由があります。もし生の豆をまいて芽が出てしまうと、せっかく追い出した邪気が育ってしまうと考えられたからです。
子どもに「なんで炒った豆なの?」と聞かれたときに、この話はとても使えます。これは使えそうです。
「鬼は外、福は内」という掛け声の言葉を、保育現場では子どもが叫ぶことで自己表現や声の解放につながります。言葉の意味を理解してから行うと、行事の深みが増し、子どもの言語発達にもつながる機会となります。乳幼児クラスでは意味より「音やリズムを楽しむ」ことを主目的にし、幼児クラス(3歳以上)では意味や由来を噛み砕いて伝えると、節分の理解がより深まるでしょう。
参考:節分の由来と「鬼は外、福は内」の意味について、子どもへの説明方法がまとめられています。
保育園や幼稚園で「節分」を子どもたちに説明するには – 保育士バンク!コラム
鬼は外の歌の手遊びの動作と保育指導のポイント
「まめまき」は歌詞がシンプルなため、手遊びと組み合わせやすい曲です。基本的な動作のポイントを以下にまとめます。
- 「おにはそと」:指を外に向けて「あっちへ行け」とはじく動作。手のひらをパーにして前方へ押し出すイメージで。
- 「ふくはうち」:両手を自分の胸元に引き寄せるように動かし、福を招き入れる動作。
- 「ぱらっ ぱらっ ぱらっ ぱらっ」:指先を下に向けてパラパラと豆をまくような動作。リズムに合わせて左右交互にするとノリやすい。
- 「まめのおと」:耳に手を当てて「聞こえるよ」というポーズ。
- 「おには こっそり にげていく」:両手を後ろに回してこっそり逃げるしぐさ。子どもたちが特に喜ぶ動作です。
- 「はやく おはいり ふくのかみ」:手招きをして福の神を呼び込むジェスチャー。笑顔で行うと雰囲気が出ます。
動作の説明は先生が大げさに見せるのが基本です。
子どもの年齢によって指導のアプローチを変えることが大切です。0〜1歳クラスでは膝の上に乗せて揺らしながら保育士が歌い聞かせる形が適しています。2歳クラスになると「ぱらっ ぱらっ」の動作を真似し始めます。3〜5歳クラスでは全動作を通して歌い、子どもが主体的にリードできるよう促しましょう。特に4〜5歳では、友達と向かい合って「おにはそと」で相手を追い払い合うペアワークにすると、コミュニケーション力を育む機会にもなります。
歌の速度は子どもに合わせて調整が必要です。最初はゆっくり、動作が定着してきたら少しテンポを上げると子どもの集中力が続きやすくなります。ピアノ伴奏が難しい場合は、童謡CDやYouTubeの音源を活用する方法も選択肢の一つです。保育向け定番童謡を多数収録した楽譜集があると、節分以外の行事でも継続して役立てることができます。
実は「鬼は外」と言わない場所が全国に存在する理由
「おにはそと」と歌いながら豆をまくのが当たり前だと思っていませんか。実は、日本全国には「鬼は外」という掛け声をあえて使わない場所や地域が複数あります。これを知っておくと、子どもや保護者から「なんで?」と聞かれたとき、正しく答えることができます。
全国的に有名な例をいくつか挙げます。
- 🏯 浅草寺(東京都台東区):「千秋万歳(せんしゅうばんぜい) 福は内」のみを唱えます。観音様の前には鬼はいないという考え方から「鬼は外」の発声を行いません。
- 🏯 成田山新勝寺(千葉県成田市):不動明王の前では鬼さえ改心するため鬼はいない、という考え方から「福は内」のみを唱えます。毎年大相撲力士や芸能人が特別年男として招かれる有名な節分会を行います。
- 🏯 大須観音(愛知県名古屋市):伊勢神宮の神様から授けられた鬼面を寺宝としているため「鬼は外」は禁句とされています。
- 🌋 金峯山寺(奈良県吉野町):「福は内、鬼も内」と唱えます。開祖・役行者が法力で鬼を改心させたという伝説に由来します。
- 🌄 群馬県藤岡市鬼石地区:地名が「鬼石(おにし)」であることにちなんで、追い出した鬼たちを迎え入れようと「鬼は内、福も内」という掛け声で豆まきをします。
- ⛩️ 京都府福知山市・大原神社:「鬼は内、福は外」という、標準的な掛け声とは真逆の口上を唱えます。鬼を神社の内に迎え入れ改心させるための言葉とされています。
意外ですね。
これらの地域では「鬼=悪いもの」ではなく、「鬼は改心できる存在」「守り神としての鬼」という考え方が根付いています。保育の現場で「鬼は怖いだけじゃないんだよ」と伝えるきっかけになる情報です。特に4〜5歳の子どもには「鬼にもやさしい神社があるよ」という一言が、節分への親しみを深める言葉になります。
参考:「鬼は外」を言わない寺院の背景が詳しく解説されています。
鬼は外の歌と節分行事で保育士が見落としがちな安全・配慮ポイント
節分の行事を楽しく進めるうえで、ひとつだけは必ず押さえておきたいリスクがあります。それが「豆による誤嚥(ごえん)事故」です。消費者庁は毎年節分前に注意喚起を出しており、2014年〜2019年の6年間で、食品による誤嚥が原因で亡くなった5歳以下の子どもは73人に上ることが報告されています。
これは絶対に知っておく必要があります。
幼児は奥歯が生えそろっておらず、噛み砕く力も飲み込む力もまだ弱い状態です。硬い節分豆は小さく砕いた場合でも、気管に入り込んで気管支炎や肺炎を引き起こすリスクがあります。2020年には4歳の子どもが節分豆による窒息で亡くなる事故が起き、注意の対象年齢がそれまでの「3歳頃まで」から「5歳以下」に引き上げられました。
消費者庁のガイドラインでは以下の対応を推奨しています。
- 硬い豆・ナッツ類は5歳以下には食べさせない
- 保育園での豆まきには「個包装の豆」や「新聞紙で作ったボール」などを代替品として使用する
- 豆まき後の後片付けを徹底し、子どもが拾って口に入れないようにする
- 豆を食べる際は必ず大人が監視し、一度に多く口に入れないよう見守る
個包装の豆に変えるだけで大きなリスクを減らせます。
歌を歌うことは安全ですが、豆そのものの扱いには細心の注意が必要です。行事の準備段階で「今年はどんな豆を使うか」を園全体で確認しておくことが、事故を防ぐ最初の一歩になります。また、行事計画書に誤嚥対策を明記しておくことで、保護者への説明責任にも対応できます。
参考:消費者庁による豆・ナッツ類の誤嚥に関する公式注意喚起資料です。
鬼は外の歌を使った保育現場だけの独自視点:「心の鬼」を歌で手放す感情教育への活かし方
「おにはそと ふくはうち」という歌詞を、単なる行事の掛け声として終わらせるのはもったいないことです。近年の保育現場では、節分の豆まきを「感情の外在化」として活用するアプローチが注目されています。子どもが自分の中にある「怒りんぼ鬼」「泣き虫鬼」「意地悪鬼」などに名前をつけ、それを「外に追い出す」という形で歌を歌う方法です。
感情に名前をつけることが第一歩です。
具体的なやり方はシンプルです。まず行事の前日に「みんなの心の中にいる鬼の名前を考えてみようか」と問いかけます。子どもたちが「おこりんぼ鬼!」「やだやだ鬼!」「おねしょ鬼!」などと発言するのをホワイトボードに書き、翌日の豆まきでその鬼を「おにはそと!」と歌いながら追い出すというものです。
これはSEL(社会性と感情の学習)の観点からも有効なアプローチです。自分の感情に気づく(自己認識)→感情に名前をつける(感情語彙の拡大)→歌と動作で発散する(感情の調整)という3ステップが一つの行事の中に収まっています。特に3〜5歳クラスで実施すると、行事後に「あの鬼もう逃げた?」と子ども自身が感情を振り返るきっかけになることが多いです。
行事が感情教育の場になるということですね。
また、鬼を「絶対に悪いもの」として恐怖心を煽るのではなく、「自分の中にある直したいところの象徴」として伝えることで、鬼を怖がりすぎる子どもへの配慮にもなります。節分が苦手な子どもを「怖くて泣く」という状況から「少し怖いけど自分で追い出せた」という達成感の体験に変えることができます。歌詞の意味と自分の気持ちをつなげるこのアプローチは、「鬼は外」という短い歌詞が持つ可能性をさらに広げてくれます。


