お弁当の歌の歌詞でさくらんぼがいつから登場したか徹底解説
「さくらんぼさん」が歌詞に入ったのはNHKがきっかけで、原曲では別の食材だったと知らずに教えると子どもへの伝え方が変わってしまいます。
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お弁当の歌の歌詞に登場するさくらんぼの原型は「さんしょうさん」だった
「おべんとうばこのうた」を子どもたちに歌って聞かせるとき、「にんじんさん、さくらんぼさん」と自信を持って歌っている保育士さんは多いはずです。しかし、この「さくらんぼさん」という歌詞は、実は原曲には存在しなかった言葉です。
原曲の歌詞には「さくらんぼさん」ではなく「さんしょう(山椒)さん」が登場していました。山椒は兵庫県の有馬煮など、昭和の和食文化を代表するお弁当のおかずとして使われていた食材で、歌詞全体の和食テイストとも自然に溶け込んでいます。ところが、山椒は刺激の強いスパイスであるため、幼い子どもには馴染みが薄く、食べて「ちょっと苦い」「辛い」と感じる場合もあります。
そこで、NHKの子ども向け番組「おかあさんといっしょ」でこの曲が取り上げられた際に、子どもへの配慮から「さんしょうさん」を「さくらんぼさん」に変更したバージョンが歌われたと言われています。「おかあさんといっしょ」は視聴率・認知度ともに非常に高い番組で、その放送を通じて「さくらんぼさん」バージョンが日本全国の家庭や保育現場に一気に広まりました。
つまり、現在の保育現場で親しまれている「さくらんぼさん」という歌詞はNHK発であり、原曲ではないということです。これが原因で「子どもの頃に歌った歌詞と違う」と感じる大人が一定数いるのも、この変更の名残です。
保育士として正しい背景知識を持つことは大切です。子どもや保護者から「さんしょうじゃないの?」「さくらんぼじゃないの?」と聞かれたときに、自信を持って「実は原曲はさんしょうで、NHKの番組がきっかけでさくらんぼに変わったんです」と説明できると、保護者の信頼も自然と高まります。
| 歌詞バージョン | 該当する食材 | 広まった経緯 |
|---|---|---|
| 原曲(わらべうた・1978年レコード版) | さんしょう(山椒)さん | 作詞:香山美子、作曲:小森昭宏によるシングル発売 |
| NHK版(現在の主流) | さくらんぼさん | 「おかあさんといっしょ」での放送を通じて全国に普及 |
参考:「おべんとうばこのうた」の歌詞の変遷と背景について詳しく解説されたWikipedia記事
お弁当の歌の歌詞が持つ数え歌の仕組みをいつから活かすか
「おべんとうばこのうた」が保育現場でこれほど長く愛されている理由は、単にメロディが覚えやすいからだけではありません。実はこの歌、隠れた「数え歌(手遊び数え歌)」の構造を持っているのです。これを知っているかどうかで、保育の質が大きく変わります。
歌詞に登場する食材を順番に見ると、以下のように数字の読み方の冒頭音と一致しています。
- 🥕 にんじんさん:「に(2)」から始まる → 2
- 🍒 さんしょうさん/さくらんぼさん:「さん(3)」から始まる → 3
- 🍄 しいたけさん:「し(4)」から始まる → 4
- 🌿 ごぼうさん:「ご(5)」から始まる → 5
つまり、2・3・4・5という数字の言葉を食材の名前に重ねた、巧みな言葉遊びが仕込まれているのです。「1」に相当する食材がないのは、おにぎりが「いち(1)」で始まらないためと考えられており、歌の作りとして「1」だけ省略された状態になっています。
ここで重要なのが、原曲の「さんしょうさん」が持っていた役割です。「さんしょう」は「さん(3)」という音をより明確に含んでいるため、数え歌としての構造に完璧にハマっています。一方「さくらんぼ」も「さん(さくらんぼ)」という音を含みますが、語感としてやや曖昧さがあります。原曲が山椒であった理由のひとつに、この数え歌の整合性があると指摘する研究者もいます。
この数え歌の仕組みを知っていると、保育の引き出しが一気に広がります。たとえば3歳児クラスで「2・3・4・5の数字の練習」をするとき、「おべんとうばこのうた」を歌いながら指を折って数えるだけで、遊びの中に数の概念が自然に入ります。抽象的な「数字の勉強」が、歌と手遊びに乗って具体的な体験になるわけです。これは使えそうです。
また「6」以降は「れんこんさん(あなのあいた)」と「ふき(すじのとおった)」が続きますが、数え歌の流れから外れた部分は食材の特徴を描写する形式に切り替わっています。この構成の変化自体も、子どもが「歌の流れが変わった」と感じ取る耳の訓練になります。
参考:「おべんとうばこのうた」の数え歌構造や考察を詳細に分析したnote記事
お弁当の歌の歌詞の正しい発音といつから歌われてきたか背景知識
「おべんとうばこのうた」を保育の場で歌うとき、歌詞の細かな部分で迷ったことはないでしょうか。実はこの曲、いくつかの「よくある誤解」が存在します。正確な知識を持って子どもたちに伝えることが、保育士としての信頼につながります。
まず最も有名な誤解が「おにぎり おにぎり」の部分です。SNSを中心に「おにぎりを握り、ちょいとつめて」と読むのが正しいのではないか、という説が広まったことがあります。これは作詞者の香山美子さん自身がホームページで「おにぎり おにぎり(名詞を2回繰り返す)が正しい」と公式に説明して決着しています。同様に「ごましおふって」も香山さんは「ごまをふりかけて(ごまふりかけて)が正しい」と述べていますが、NHK版では歌いやすさのために「ごましおふって」に変更されて広まりました。
歌詞全体の歴史を振り返ると、この曲の発祥は作者不詳のわらべうたです。古くから口伝えで歌い継がれてきた歌が、1978年(昭和53年)8月25日に、こおろぎ’73のシングルレコード(日本コロムビア)として正式に発売され、広く知られるようになりました。記録に残るテレビ初出については複数の説があり、1978年の日本テレビ系「おはよう!こどもショー」でこおろぎ’73と女優の大場久美子が手遊びつきで歌ったバージョン、あるいは同年のTBS系「8時の空」で田中星児が歌ったバージョンが最初とも言われています。
歌詞に登場する食材の渋さについては、作られた時代背景が大きく影響しています。1978年前後は高度経済成長期の末期。精進料理に近い和食が日常のおかずとして普通に存在していた時代であり、山椒や牛蒡・蓮根・ふきといった食材は当時の子どもにとっても珍しくない存在でした。現代の子どもたちの視点では「渋い」と映るおかずも、当時としては自然なお弁当の中身だったということですね。
バラエティ番組「水曜日のダウンタウン」でも「おべんとうばこのうたのおかず渋すぎる説」として検証が行われ、実際にこの歌詞通りのお弁当を作って子どもに見せたところ、微妙な表情をされたという結果が話題になりました。それほど時代の食文化との差が開いていると言えます。
こうした背景知識を保育士が持っておくと、保護者との会話や、子どもたちへの食育の語りかけにも深みが出ます。「この歌にはちゃんと理由があるんだよ」と伝えられる一言が、子どもの知的好奇心を刺激する種になります。原則として、正しい知識を持ったうえでアレンジすることが大切です。
お弁当の歌を使って保育士がいつからでも始められる食育アプローチ
「おべんとうばこのうた」は単なる手遊び歌ではなく、食育の入り口として保育現場で非常に活用しやすい曲です。対象年齢は2歳児から5歳児と幅広く、年齢に応じたアプローチを変えることで、それぞれの発達段階に合った学びを引き出せます。
まず年齢別のねらいと導入のポイントを整理します。
- 🌱 2歳児:食べ物の名前を覚えることと、手の動きを真似する力を育てるのがねらいです。「これなーんだ?」と実物の野菜やフードカードを見せながら始めると効果的です。
- 🌿 3歳児:言葉と動作を一致させて楽しむことがねらいです。「お弁当を持ってくる設定で何が入ってるかな?」と問いかけながら歌を始めると、イメージが膨らみます。
- 🌳 4歳児:お弁当の中身を想像したり、自分の好きな具材を発表する遊びへ発展させます。「好きなおかずは何?」と子どもの経験を結びつけた導入が効果的です。
- 🌲 5歳児:ごっこ遊びや創作活動へと発展させ、言葉の表現力や構成力を育みます。「自分だけのお弁当を作ろう」という創作的な導入で歌と遊びを連動させます。
手遊びとしての定番アレンジとして広く知られているのが「ゾウさんのお弁当」「アリさんのお弁当」という大小バリエーションです。同じ歌詞でもテンポやサイズ感の表現を変えることで、子どもは感覚的に「大きい・小さい」「速い・遅い」という対比を体験できます。これは言語習得と運動能力の両方に働きかける、ほいくの現場で実証された遊び方です。
食育としての効果も見逃せません。歌詞に登場するにんじん・しいたけ・ごぼうなどは子どもが苦手としやすい食材の代表です。しかし歌の中では「さん付け(にんじんさん、ごぼうさん)」という形で丁寧に呼ばれており、食材への親しみや感謝の気持ちが自然に育まれる言語表現になっています。「おいしそう」「食べてみようかな」という気持ちの種まきとして、給食前に歌うのは非常に有効なアプローチです。
おすすめの季節は新生活が始まる4月〜5月と、遠足が多い10月〜11月です。お弁当の持参が増えるこの時期に合わせて歌を取り入れることで、子どもたちにとって「歌とリアルの生活がつながる体験」が生まれます。食材に興味を持つきっかけが作れるということですね。
参考:「おべんとうばこのうた」の年齢別ねらいと保育現場での実演ポイントをまとめた記事
おべんとうばこのうた|まな&ゆうによる振り付き動画 – ほいくnote
お弁当の歌の歌詞でさくらんぼ以外にも知っておきたいアレンジ版の歴史
「さくらんぼ」への変更に代表されるように、「おべんとうばこのうた」は時代とともにさまざまなアレンジが加えられながら歌い継がれてきた歌です。保育士として、現在流通しているバリエーションを把握しておくと、子どもや保護者の質問に落ち着いて対応できます。
代表的なアレンジとして「サンドイッチバージョン」があります。これは「おにぎり おにぎり」という歌詞を「サンドイッチ サンドイッチ」に変え、食材も現代のランチに合わせた内容にした替え歌です。幼稚園や保育園によっては、より子どもたちが親しみを感じやすい食材に全面的に変更したオリジナルバージョンを採用しているケースもあります。
歌詞の変遷という観点では、NHK「おかあさんといっしょ」の影響力は絶大です。「さんしょうさん」から「さくらんぼさん」への変更もそのひとつですが、「ごましおふって」という表現もNHK版での変更例として知られています。原曲は「ごまふりかけて」という表現でしたが、子どもが歌いやすいよう文字数を短縮して「ごましおふって」になりました。近年は著作権への配慮から元の表現に戻るケースもあるとされています。
また、こおろぎ’73によるシングルレコード版には、実はお弁当の具材を歌う部分のあとに「ゾウやアリ、ワニやサルといった動物が登場するブリッジ部分」が存在します。しかし、「おかあさんといっしょ」でこの動物部分が一切歌われなかったため、世間的にはほとんど知られないまま現在に至っています。現在の保育現場で親しまれているシンプルな手遊び版は、このNHK由来の「短縮版」がベースになっているわけです。
2022年頃から放映されているマクドナルドのハッピーセットのCMでも「おべんとうばこのうた」の替え歌が使われており、2025年7月にはゼスプリのキウイのCMで歌詞通りのお弁当を使ったコマーシャルが話題になりました。子どもたちが日常的に目にする場所にもこの曲が届いているということで、保育士が歌う前から「あの歌だ!」と反応する子どもも今後増えてくるでしょう。アレンジも知っておけば問題ありません。
保育の場でこの曲を使うとき、「この歌にはいろんなバージョンがあるんだよ」とひと言添えるだけで、子どもたちの興味が歌そのものに向かいます。歌詞の多様性は混乱の原因ではなく、子どもの語彙と文化的感覚を豊かにするチャンスです。原曲と現在の歌詞、両方の知識を持っておくことが、保育士としての引き出しをひとつ増やすことにつながります。
参考:「おべんとうばこのうた」の詳細な歌詞バリエーションと記録をまとめたWikipedia記事
おべんとうばこのうた – Wikipedia(歌詞の変遷・録音した歌手一覧)

パネルシアター「おべんとうばこのうた」(お誕生日会に これくらいのお弁当箱にオニギリおにぎりうさぎ手遊び歌あそびうたの保育教材) 【未カット(大サイズ)】

