おやすみの歌で保育園の昼寝を変える方法
複数の歌を次々と歌うと、子どもの目が覚めやすくなります。
<% index %>
おやすみの歌が保育園の昼寝に与える科学的な効果
「子守唄はなんとなく歌えばいい」と思っていませんか。実は、歌の選び方や歌い方には科学的な裏付けがあり、保育現場ではその違いが子どもの入眠時間に直結します。
子守唄(おやすみの歌)を聴くと、子どもの体内では男性ホルモンの一種であるテストステロンの分泌が抑制されます。これによって子どもは興奮状態から落ち着いた状態へと切り替わり、自然と眠気を覚えるのです。同時に、歌っている保育士の側にも同じ効果が起きていて、ゆったりした歌を口ずさむことで保育士自身もリラックスできるという二重の働きがあります。
特に重要なのがテンポです。研究によれば、1分間に60〜80拍(BPM)のゆったりしたテンポの音楽が入眠を促すのに最も効果的とされています。これは、お母さんのお腹の中で赤ちゃんが聞いていた心臓の音がおよそそのくらいのテンポだからです。保育士が歌うときも、この「心拍に近いテンポ」を意識するだけで効果が変わります。
埼玉福祉保育医療製菓調理専門学校の研究では、保育士23名へのアンケートと実際の園での実験を通じて、「ゆっくり・なめらかなテンポの子守唄を流すと入眠への時間が短縮される」という仮説が検証されています。つまりテンポが基本です。
音楽が入眠に与える効果についての詳しい研究内容はこちらで確認できます。
入眠時における子守唄の効果|埼玉福祉保育医療製菓調理専門学校 卒業研究
また、子守唄には子どもの言葉の発達を促す効果もあります。歌詞に含まれる言葉のリズムや抑揚が、言語習得の土台となる音韻認識の発達を刺激するとされています。寝かしつけのためだけでなく、保育全体の発達支援という観点でもおやすみの歌は意義のある取り組みなのです。
子守歌が幼児の発達に与える効果について詳しくまとめられています。
幼児への子守歌の効果とは|しんがぽん(Shinga-S Club)
保育園で選ばれるおやすみの歌・定番ランキングと特徴
「どの歌を歌えばいいか迷う」という保育士は多いです。定番曲には理由があります。
保育士が実際に寝かしつけで使っているおやすみの歌には、選ばれ続けるだけの理由があります。以下に、現場で高い評価を受けている定番曲とその特徴を整理しました。
| 曲名 | テンポ | 特徴・ポイント |
|---|---|---|
| 🥇 ゆりかごのうた(作詞:北原白秋・作曲:草川信) | ゆっくり | 大正時代から100年以上歌い継がれた定番。「ねんねこよ」の繰り返しが安心感を生む。著作権保護期間終了済み。 |
| 🥈 きらきら星 | ゆっくり~普通 | 子どもが日頃から聞き慣れている。ハミングで歌うと特に落ち着きやすい。 |
| 🥉 シューベルトの子守唄 | ゆっくり | 「ねむれ ねむれ 母の胸に」の歌詞が安心感を与える。マッサージとの組み合わせが効果的。 |
| ねんねんころりよ(江戸子守唄) | ゆっくり | 江戸時代から伝わるわらべうた。シンプルな音程で歌いやすく、乳児クラスで特に有効。 |
| 赤とんぼ(作曲:山田耕筰) | ゆっくり | メロディのゆとりが眠気を誘う。夕方のイメージが日中から夜へのモードチェンジを促す。 |
小田原乳児園の保育者たちが選んだランキングでは「ゆりかごのうた」が堂々の1位を獲得しており、「ゆったりとしたリズムに子どもたちも安心して眠れる」と評されています。これは現場の実感を裏付ける結果です。
保育者が選んだ寝かしつけにおすすめの歌ランキングTOP3|小田原乳児園
「ゆりかごのうた」のようなわらべうたや童謡は著作権保護期間が終了しているものが多く、保育の現場でCDやデジタル機器で流しても使いやすいという利点もあります。なお、2000年以降に作られた楽曲は著作権が存続している場合があるため、保育での使用にあたっては注意が必要です。迷ったときは古くから親しまれてきた定番曲を選ぶのが安心です。
曲選びが条件です。子どもにとって「初めて聞く歌」より「聞き慣れた歌」のほうが安心して眠れるという特性があるため、まず1曲を繰り返し使うことから始めましょう。
おやすみの歌を保育園で歌うときの上手な歌い方と声のコツ
「歌が上手でないと子守唄は効果がない」と思っていたとしたら、それは思い込みです。
保育現場では、歌の上手・下手よりも「声の使い方」のほうがはるかに大切です。子どもにとって重要なのは技術的な正確さではなく、自分をそばで見守ってくれている安心感のある声です。保育士養成の研究でも、「子どもに届く声を出すためには自分の最大音量で歌わず、培ってきた声を子どもに合わせて使い分けることが大切」と指摘されています。
歌い方のポイントをまとめると以下のとおりです。
- 🎤 声量は「小さめ」に設定する:声が大きすぎると子どもの注意が声に向いてしまい逆効果になります。耳元でそっと聞こえるくらいの音量が目安です。集団保育の場では隣の子にも不要な刺激を与えないよう特に意識しましょう。
- 🎶 抑揚を「徐々に平坦にしていく」:歌い始めはやや抑揚をつけ、繰り返すにつれてだんだんフラットな声になっていくと、子どもの意識が音楽から眠りへと自然に移っていきます。
- ⏱ テンポを「途中から少しずつ落とす」:歌い始めのテンポより後半を心持ちゆっくりにすると、子どもの呼吸がそれに合わせてゆっくりになります。
- 🔁 同じ曲を「1曲リピート」する:複数の歌を次々と変えると脳が新しい刺激として認識するため、むしろ目が覚めやすくなります。1曲だけを繰り返すのが基本です。
- 😤 ハミングも効果的:歌詞なしのハミングでも十分です。特に「きらきら星」や「ゆりかごのうた」はハミングでも十分に心地よく、声への意識が強くない分リラックスしやすいという利点があります。
つまり「完璧に歌う必要はない」ということです。子どもが求めているのは技術ではなく、安心して眠れる環境です。
保育士養成における歌唱の重要性と「子どもに届く声の出し方」について詳しく述べられています。
保育士養成における歌唱指導の重要性(PDF)|追手門学院大学
年齢別・おやすみの歌の活用法と保育園での使い分け
0歳児と5歳児に同じアプローチで歌っているとしたら、効果は半減します。
おやすみの歌の使い方は、子どもの年齢や発達段階によって大きく変わります。現場ではこの使い分けが、寝かしつけの成否を左右します。
🍼 0歳〜1歳:抱っこと組み合わせた歌いかけ
この時期の赤ちゃんは、声・体温・リズムを感じることで安心します。保育士が抱っこしながら「ゆりかごのうた」や「ねんねんころりよ」をゆっくり歌いかけると、体温の温もりと声のリズムが重なって入眠を促す効果が高まります。
歌と同時に体をゆっくり揺らしてあげましょう。横揺れよりも縦揺れのほうがお腹の中の感覚に近く、安心しやすい子が多いです。この年齢には「慣れた保育士の声」が特に効果を発揮します。同じ歌を毎回同じ保育士が歌うことで、声とのリズムが「眠りのサイン」として定着していきます。
👶 1歳〜2歳:静かな環境づくりとセットで
言葉の理解が少しずつ進むこの時期は、歌の内容をうっすらと感じ始めます。「きらきら星」など親しみやすいメロディを使い、歌の途中でだんだん声が小さくなる「フェードアウト唱法」が効果的です。
興奮が続いている場合は歌だけに頼らず、室温(夏28℃前後・冬20℃前後)や照明(薄暗い程度)の環境整備も必ずセットで行います。「おやすみの歌+環境整備」がこの年齢の基本です。
🧒 2歳〜3歳:歌と絵本の読み聞かせを組み合わせる
イヤイヤ期と重なるこの時期は、「眠りに誘う歌→穏やかな絵本→再び歌」という流れが有効です。ただし、絵本は楽しすぎる内容を選ぶとテンションが上がってしまいます。「眠れる森の動物たち」のような静かなテーマの絵本が向いています。
厳しいところですね。でも、この流れを毎日同じ順番でルーティン化することが、数週間後の劇的な変化につながります。
🏃 3歳〜5歳:自律的な眠りへの移行をサポート
幼児になると歌だけで寝かしつけるよりも、「眠りの準備を自分でする」という意識を育てることが大切になります。おやすみの歌はあくまでもスイッチのひとつとして活用し、歌が終わったら「自分で目を閉じる」ことを促しましょう。
この年齢になっても眠れない子には「寝なくていいから目を閉じてごろんしていよう」と伝えるだけで十分です。無理に眠らせようとしないことが原則です。
保育園でのおやすみの歌にありがちなNG例と改善ポイント
「一生懸命歌っているのに眠らない」には、必ず原因があります。
現場での経験から見えてくる「やってしまいがちなNG」をいくつか挙げます。思い当たる節があれば、今日から改善できます。
❌ NG1:複数の歌を次々と歌う
「1曲歌っても寝ないからもう1曲」と歌い続けると、脳が「新しい刺激」を受け続けていると判断して目が覚えてしまいます。これは使えそうです、逆に言えば「1曲を繰り返す」だけで入眠しやすくなる可能性があります。1曲を繰り返すことで脳にとってメロディが「安全な背景音」になり、意識が眠りに向かいやすくなるのです。
❌ NG2:声量が大きい
「子どもたち全員に届けたい」と思うあまり、声が大きくなる場合があります。しかし声量が大きいと子どもの注意が声に向いてしまい、逆効果です。目安は、隣にいる子どもにかろうじて聞こえる程度。集団の場では特に意識が必要です。
❌ NG3:歌いながら動きまわる
歌を歌いながら他の作業(連絡帳の記入など)をしていると、声にエネルギーが入らず、子どもには「歌っているだけ」と伝わってしまいます。歌うときは子どものそばに寄り添い、体に軽く触れながら歌うことが大切です。
❌ NG4:焦って歌う
「早く寝かせなければ」という気持ちはテンポの乱れとして歌に現れます。子どもはその緊張を敏感に感じ取ります。寝かしつけに時間がかかる日は「今日はそういう日」と割り切り、ゆったりした気持ちで歌うことが最も大切です。保育士がリラックスすることが条件です。
❌ NG5:毎日違う歌を歌う
「飽きないように」と毎日違う歌を選ぶのも実はNG。子どもは「聞き慣れた音」に安心します。同じ歌を毎日繰り返すことで「この歌が聞こえたら眠る時間だ」という条件反射が形成され、入眠がスムーズになっていきます。
寝かしつけ全般の具体的なテクニックが詳しく紹介されており、歌との組み合わせの参考になります。
お昼寝がもっとスムーズに!園児の寝かしつけテクニック|保育コレクション
おやすみの歌だけに頼らない!保育園の昼寝環境づくりのポイント
おやすみの歌は「きっかけ」であり、それだけで全てが解決するわけではありません。
いくら歌が上手でも、環境が整っていなければ子どもはなかなか眠れません。おやすみの歌の効果を最大限に引き出すためには、以下の「眠りやすい環境」と必ずセットで取り組むことが重要です。
🌡 室温と湿度の管理
入眠時、人の体は体内温度が下がり皮膚温度が上がります。室温が高すぎたり衣類が厚すぎたりするとこの体温調節がうまく働かず、眠りにくくなります。夏場は28℃前後、冬場は20℃前後が目安で、湿度は40〜60%に保つことが理想とされています。昼食後に換気をして室温を調整してから布団に入れましょう。
💡 照明の調整
完全な暗闇は不安を感じさせる子どもも多いため、「薄暗い」程度が理想的です。保育士が子どもの表情を確認できる明るさを保ちつつ、強い光は遮ってあげましょう。カーテンで外光を遮るだけでも十分に効果があります。
🔇 音の環境
おやすみの歌以外の雑音は子どもの入眠の妨げになります。他のクラスの声が聞こえないよう扉を閉める、廊下での大声を控えるなどの配慮が必要です。川のせせらぎや波音などの自然音をBGMとして取り入れると、おやすみの歌との相乗効果が生まれます。
🛏 布団の配置
眠れない子どもと活発な子どもを隣同士にしないなど、布団の配置を工夫するだけで入眠の質が変わることがあります。自分だけの「安全な場所」があることが眠りの条件です。好きなぬいぐるみや家から持参したタオルを使えるようにしてあげるだけで安心感が高まります。
⏰ 昼食後のルーティン
昼食→トイレ→着替え→静かな絵本→おやすみの歌、という一定の流れを毎日繰り返すことが、最も効果的な眠りの準備になります。「この流れになったら眠る時間だ」という体内時計が育まれ、保育士が歌い始めただけでうとうとし始める子どもも出てきます。これが理想の状態です。
保育士の寝かしつけ全般について詳しく書かれており、環境整備との組み合わせが参考になります。


