虹のむこうに歌を保育士が教える完全ガイド

虹のむこうにの歌を保育園で活かす完全ガイド

「虹のむこうに」を”メロディーを流すだけ”で教えると、子どもの声帯に負担をかけている場合があります。

🌈 この記事でわかること
📖

曲の背景と歌詞の意味

1996年にNHK「おかあさんといっしょ」で初登場。坂田おさむさんが手がけた名曲の誕生秘話と深いメッセージを解説します。

🎵

保育現場での歌唱指導のコツ

シンコペーションや四分休符など、子どもがつまずきやすいポイントを押さえた具体的な指導法を紹介します。

🎤

行事・季節・年齢別の活用法

梅雨明けや卒園式まで、この一曲をいつ・どのように使えば最大効果を得られるかを年齢別に整理しました。

虹のむこうに歌の誕生背景と作詞作曲者・坂田おさむ

 

「にじのむこうに」は、1996年4月にNHK「おかあさんといっしょ」の「月の歌」として登場した曲です。当時、うたのお兄さん・速水けんたろうさんとうたのお姉さん・茂森あゆみさんのコンビが歌い、一気に子どもたちの心をつかみました。作詞・作曲を手がけたのは、坂田おさむさん。芸名・本名・活動名を合わせると「坂田おさむ」「坂田修」「坂田修一」という3つの名前を場面によって使い分けており、この曲のクレジットには「坂田修」と表記されています。

坂田おさむさんは、1985年から1993年までの8年間、「おかあさんといっしょ」の第7代目うたのお兄さんを務めた人物です。その在任中からソロシンガーとして作詞作曲にも取り組んでおり、番組に多くの楽曲を提供しました。「ありがとうの花」「どんな色が好き」など、保育現場で定番となっているヒット曲も、すべて坂田おさむさんが生み出したものです。つまり「日本中の子どもたちは坂田さんの曲で育った」と言っても過言ではありません。

この曲が生まれた1996年から数えると、すでに30年近く歌われていることになります。驚くべきことは、当時幼児だった世代が今や保護者となり、自分の子どもが同じ曲を保育園で歌っているという光景が全国各地で生まれていることです。世代をまたいで愛される理由のひとつは、歌詞に使われている言葉の選び方にあります。「あめ」「おひさま」「にじ」「てとてをつなぐ」という日常的で具体的なイメージの言葉が並んでいるため、まだ語彙が少ない3歳前後の子どもでも直感的に意味を感じ取ることができるのです。

保育士さんにとって覚えておきたいのは、この歌がいわゆる「昔ながらの童謡」ではなく、ポップス的なリズム感を持つ「現代型の子ども向けソング」であるという点です。シンコペーション(音の出だしをリズムの裏拍にずらす技法)が随所に盛り込まれており、これが耳に残るグルーヴ感を生んでいます。一方でその分、歌唱指導の難易度も少し上がります。ただのメロディーをなぞるだけでは魅力が伝わらない曲でもあります。

「にじのむこうに」の歌詞・作詞作曲まとめ!おかあさんといっしょでいつから歌われてる?(作詞作曲者・坂田おさむの詳細と、この曲が生まれた背景についての参考記事)

虹のむこうに歌詞の内容とこめられたメッセージ

「にじのむこうに」の歌詞を丁寧に読むと、単なる「虹がきれいだね」という情景描写にとどまらないことがわかります。まず冒頭の「あめがあがったよ おひさまがでてきたよ」という部分は、雨上がりという体験と感動の瞬間を描いていて、子どもが実際に園庭で感じるシーンとも重なります。そこから「にじがかかったよ」へとつながる流れは、非常に自然で共感しやすい展開です。

2番に入ると「てとてをつなげば げんきがでるのさ まほうみたいだね どこでもゆけるさ」というフレーズが登場します。これは友達と手をつなぐことの価値を歌っており、保育の現場でまさに毎日実践されている行動です。だからこそ子どもたちが歌詞に共感しやすく、保育士さんにとっても「心のつながり」という保育のねらいと一致させやすい曲です。

歌の中で特に印象的なのが「このゆびにとまれ おーい! しゅっぱつだぞあつまれ おーい!」という掛け声です。この「おーい!」は歌の中でも際立った存在感があり、子どもたちが毎回元気に叫ぶ場面でもあります。保育士さんにとってのポイントは、この「おーい!」の盛り上がりの後も、次のフレーズを歌詞のトーンに合わせて優しく歌い直せるように指導することです。大声の後にすぐ柔らかいメロディへ切り替えるのは、実は子どもには難しいことです。

歌詞の後半「つないだてとてに つたわるよあったかい ぽっかぽかのおひさまと おなじにおいがする」の部分は、温かさや安心感を体の感覚で表現した印象的なくだりです。「においがする」という表現は童謡では珍しく、これが坂田おさむさんらしい詩的なセンスを感じさせます。子どもたちにとっても「においで感じる温かさ」というイメージが記憶に残りやすく、歌を長く覚えていられる理由のひとつになっています。

つまり、この歌は情景・友情・感動・体の感覚をひとつの曲に詰め込んだ名曲です。

虹のむこうに歌の歌唱指導でつまずくポイントと対策

「にじのむこうに」は聞こえの良さとは裏腹に、保育現場での歌唱指導では子どもがつまずきやすい箇所がいくつかあります。まず最大の難所が「シンコペーション」です。「にーじのむこうにー」というフレーズを例にとると、「に」の音が8分音符分だけ前にズレています。このシンコペーションを無視して歌うと「にーじーのーむーこーうーにー」と音が間延びした平坦な印象になってしまいます。この8分音符のズレが、この曲のリズムの躍動感を生み出しているのです。

指導の際は、最初から「シンコペーション」という言葉を子どもに使う必要はまったくありません。保育士が範唱しながらリズムに合わせて手拍子を取ったり、実際に体を揺らしながら歌ったりすることで、子どもは自然にリズム感を身につけていきます。これは使えそうです。

もうひとつの難所は、Bメロの四分休符です。「このゆびに とまれ」の直前、「しゅっぱつだぞ あつまれ」の直前にそれぞれ四分休符があります。子どもはリズムの「間」を意識して待つことが苦手なため、どうしても前のフレーズに続けて歌いがちです。現場で実際に効果があるとされる方法として、休符の部分で「うん」と声に出してリズムをキープさせる手法があります。「うん、このゆびに~」「うん、しゅっぱつだぞ~」という形で練習し、慣れてきたら「うん」を心の中でだけ言うようにしていくと、自然と正しいリズムで歌えるようになります。

3つ目の注意点はテンポです。元気な曲であるため、歌い進めるうちに徐々にテンポが上がっていく傾向があります。特に歌詞が詰まっている「ぽっかぽかのおひさまと おなじにおいがする」の部分は、テンポが速くなると子どもには歌いにくくなります。ピアノ伴奏をする保育士さんは、後半になってもテンポをキープする意識を持ちましょう。

また、年齢と声域の関係にも注意が必要です。宮崎国際大学の研究(日髙・横山、2021年)によれば、3歳児の無理のない声域はおおよそB♭⁰〜A¹、4歳児はB♭⁰〜B♭¹とされています。「にじのむこうに」の音域は比較的子どもが歌いやすい範囲に収まっていますが、高音への無理な発声は声帯に負担をかけます。子どもが声を張り上げているように見えたら、キーを半音下げるなどの調整も検討しましょう。これが基本です。

幼児の歌唱声域と子どもの歌曲集の音域についての考察(宮崎国際大学・学術論文|年齢別の声域データと、子どもの歌300曲の音域分析を収録した権威ある資料)

虹のむこうに歌を年齢別に取り入れる最適な方法

「にじのむこうに」は幅広い年齢で歌える曲ですが、年齢によってアプローチを変えることでより効果的になります。まず3歳児クラスでは、歌詞や音程を完璧に覚えることよりも「歌うことが楽しい」という感覚を育てることが最優先です。保育士が楽しそうに歌う姿を見せ、子どもがまねしながら自然に口ずさむ環境をつくりましょう。歌詞のすべてを歌えなくてもよく、「おーい!」という掛け声部分だけでも一緒に声を出せれば十分です。

4歳児(年中)クラスになると、歌詞を通して覚えられる子どもが増えてきます。この時期は、歌詞のイメージを広げながら歌うアプローチが効果的です。「にじっているね。きれいだね。虹のむこうにはなにがあると思う?」と問いかけることで、想像力と言語表現力を同時に刺激できます。発表会で取り上げる場合も、この年齢から少しずつ振り付けを加え始めるのが現実的です。

5歳児(年長)クラスでは、この曲の持つリズムの面白さや歌詞の感情表現をより深く体験できます。「おーい!」の後に柔らかいフレーズが続くことに自分で気づき、自然と表情を変えながら歌えるようになるのも、この年齢の成長ならではです。また、手話を組み合わせた歌唱は年長クラスで特に人気があります。男女に分かれて歌う部分を作り、サビ「ぽっかぽかのおひさまと~」で全員合唱にする演出も、発表会で感動を呼びやすいアレンジです。

意外と知られていない独自のポイントとして、この曲は「梅雨明け直後〜夏の初め」に導入するのが最も子どもの自発的な歌唱につながりやすいという実践例があります。プール遊び中やシャワーを浴びた後に空に虹がかかることがあり、子どもたちが「あ、にじだ!あめがあがったよ!」と自然に歌詞を思い出して口ずさむ場面が生まれるからです。保育室の中だけでなく、戸外遊びの体験と歌が結びつくことで、子どもの中に歌の記憶が深く刻まれます。これは特別な指導の工夫が必要なく、季節のタイミングを活かすだけで得られる効果です。

年齢 おすすめの取り入れ方 ポイント
3歳児 保育士が楽しく範唱・「おーい!」だけ参加OK 歌の楽しさ体験が最優先
4歳児 歌詞イメージを膨らませ全体を歌う 発表会向け振り付け導入も◎
5歳児 手話・パート分け・感情表現を深める 卒園式・発表会で特に映える

虹のむこうに歌を発表会・卒園式で輝かせる演出アイデア

「にじのむこうに」は卒園式や発表会での使用実績が非常に豊富な曲です。YouTubeには「令和5年度卒園式 歌『虹のむこうに』」などのタイトルで各保育園・幼稚園の実際の発表動画が数多くアップされており、現場での活用頻度の高さがうかがえます。卒園式での演出として定番なのは、「1番と2番を男女グループに分けて歌い、サビの『ぽっかぽかのおひさまと〜』で全員合唱に切り替える」という構成です。パートが分かれることで舞台に変化が生まれ、保護者席からも子どもの成長が感じ取りやすくなります。

さらに感動を高める演出として「手話」を取り入れる方法があります。日本手話では「虹」「夢」「一緒」「手をつなぐ」といった動作が歌詞と自然に連動するため、5歳児でも2〜3週間の練習で舞台に乗せられる完成度に達します。手話の振り付けはYouTubeに参考動画が多数あるため、保育士さん自身が先に覚えてから指導する流れが効率的です。

ピアノ伴奏については、楽譜通りに弾けなくても心配は不要です。コード奏法で伴奏する保育士さんも多く、サビ部分でコードの根音を1オクターブ下で弾くだけで、音の厚みが増して豊かに聴こえます。低音が加わると子どもたちの歌声も引き上げられる効果があり、観客席からも「なんかすごく感動的」という印象を持ってもらいやすくなります。

発表会の練習期間は約4週間が目安です。1週目は曲を聞かせて親しませる、2週目はフレーズごとに歌い方を確認する、3週目は通し練習を重ねる、4週目は細部を整えながら本番の動線も確認する、という流れで進めると無理なく仕上がります。子どもたちが「この曲好き!」と思える状態で本番を迎えることが、何より大切なことです。

7月に楽しめそうな歌・童謡〜HoiClue(「にじのむこうに」を含む夏の季節にぴったりな保育向けの歌まとめページ)